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盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

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【真柏「風神・雷神」の 展示構想!】

11月18日〜21日の「日本盆栽大観展」で公開される 
一般財団法人『京都国際文化振興財団・慶雲庵』の 特別陳列に 
片岡鶴太郎氏の書「風神・雷神」と 真柏名木のコラボ飾りが行われます。
大観展実行委員長であり、財団の主管盆栽作家の鈴木伸二氏の庭に訪れて、
作品を前に"極秘の打合せ"をしました。
相変わらずの名木群の鈴木邸。
二点の真柏をどんなデザインの展示にするか、
私の拙い練想で設営業者と打合せを始めなければなりません。
知恵熱出そうですが、京都の秋を彩る展覧を是非楽しみにしていて下さい。


【76歳!いつまでも 作り手として現役!】

昨年末、私共の羽生雨竹亭に木村正彦先生が来訪されました。
先生が他の盆栽園に訪れるのはとても珍しく、拙亭も10年間で三度めです。
「今年は一緒に中国へ連れて行ってもらったり、いろいろと世話になった」
と世界にその名を知られる方とは思えぬ程の謙虚さ。
本当に頭が下がります。
亭内を一巡され、かつて手掛けた作品などを見て懐かしがられていました。

スタッフ・見習い・中国研修生 達との記念写真にも気軽に応えて下さって、
若者達には最高の記念になりました。
床の間の黒松は遠い昔、大家小口賢一翁が愛蔵されていたもので、
基本の姿は若き頃の木村先生が作り上げたものです。
樹も先生と三十年を超えての再会です!


【展覧会未公開の真柏名樹・日輪画幅・大鷹】

歳の始めに皆様にお届けする年賀のご挨拶状。

来年は酉年、双龍を想わせる真柏は私の所で14年の年月を過ごし、
ようやく盆栽らしくなってきた"将来の名樹"です。
昇りゆく龍は希望や道そのもの、円山応震の日輪の図は、
床勝手にあった画中右手描き、脇床にはやや大きめですが干支に因んで大鷹の鋳銅作品。
昇る日の出に向かって羽ばたく鷹、神格化された真柏老樹。
新年の格調と「大和の盆栽美」を構成してみました。


【静謐の極み 玉堂・伊豫石・五葉松】

大徳寺塔頭「芳春院」の別室 書院に設えられた席は、
本床に水石飾り、対面の毛氈飾りが、一体となった"室ひとつを舞台"とした深い"考案"がなされた展示です。

本床は、川合玉堂筆「三更」月に落雁、題の三更は深夜"子の刻"つまり11時〜2時の名。
暗闇で見えぬ夜空の月明りに雁の姿、
画中には描かれていても目では見えぬもの、眼下には人影も無い瀬の岩場。
遠くには杣人の庵らしき粗屋。
まさに"侘しさ"漂う景色が浮かんでいます。
利休に代表される茶人の精神を表した藤原定家が残した名句
「見渡せば花ももみじもなかりけり、裏の苫屋の秋の夕暮れ」
そこに存在する景色が「寂びがれた景色」それを観て人が喚起される「侘び心」
この相対こそが俗に言う「わびさび」の真実です。
ひとつの言葉として使われる現代ですが、両者は具象と心象の相対なのです。
本席はこのもっとも日本的な美意識を水石飾りによって見事に表現された好例と言えます。

対面する五葉松は細身の根連り。 
あくまで細く百年を超える樹齢を経ても盆中で肥培させず、老幹の揺れ立つ姿の林立が、
かの長谷川等伯の名画「松林図」を彷彿とさせる程の精神美を纏っています。
盆栽は人の手によってその姿が形作られてゆきますが、
長い刻をかけることで"人の介在と存在を消し去る瞬間の美"が現出されることがあります。
この樹はまさに今、香り立つその美をみせています。
傍に置かれた木彫の「笠と杖」作者田中一光師の銘は"旅の終わり"。

神韻漂う松林は辿り着いた"悟りへの道"、長い求道の旅の末、旅人が旅装と解いた安住の地。
盆栽と添景が共鳴して描き出す更なる"奥の世界観"。
本室は世界に誇る日本の盆栽水石趣味の深奥を感じる見事なものです。
脱帽!


【第8回「玄虹会展」 盆栽・水石飾りの頂点】

明治・大正・昭和前期に花開いた"座敷飾り"における盆栽水石の美の追求を今に伝える「玄虹会展」が
今年も臨済宗大徳寺派本山の塔頭「芳春院」で開催されました。
戦国武将 前田利家の妻 "おまつの方"が建立したこの名刹は今年創建400年を迎えました。
本堂から始まり、近衛家寄進の大書院、院全体も非公開寺院ですが、
とりわけ奥に位置する茶室「迷雲亭」「落葉亭」は茶人すらが拝見を憧れる文化財。
海外よりの盆栽熱が高まる中、日本の真の盆栽水石文化を物語る最高の世界を3回に分けてご紹介します。
今回は大書院の格調高い飾りです。
鎌倉期の阿弥陀如来の来迎図に貴重盆栽の長寿梅。
神韻纏う古筆の仏教的気高さと二度三度と一年に咲く長寿梅を "めでたさ"の気品で取り合わせた見事な調和。
脇床は「北の御所」と謳われた京都大覚寺伝来の天龍川石 銘「泰山悠遠」
霞棚は法隆寺伝来の百萬塔。
人々の住み暮らす万象の自然界である雄大な山々は本床の精神性を扶けています。
棚上の百萬塔は静謐な古作の中に秘められた「もの言わぬ古雅の美」と如来像を共鳴させています。

主飾りの趣意、そして道具立の吟味の深さ、本展の盆栽美・水石美への求道の深さを痛感させられた一席です。

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