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盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

タグ:鉢


【中国 宜興  里帰りした古渡盆器の名品展】

先日、今年の盆栽中国輸送の際に、宜興市博物館で開催中の名盆器展を見学する機会を得ました。
10年位前まで日本盆栽家達が100年の歳月を守り続けた名器群が "里帰り "の形で、生まれ故郷のこの宜興の地に戻りました。
拝見して感慨深かったのが、居並ぶ名品盆器の半数以上が、私の旧蔵品で、若き頃より名盆器を扱い、
一時は故片山先生の跡を請けて美術倶楽部の鑑定家になる人生の思い出深い品々ばかりだった事です。
古渡最高峰と謳われた"李鴻章の烏泥"は、別格で飾られていましたが、
当時中国を代表する蒐集家 楊貴生先生に請われて手放したことが、昨日のように思い出されます。
楊 季初 の 絵白泥・川石山人の紅泥・為善最楽の梨皮紅泥
数えればキリがない数々の"思い出の名品"が、ここに集まっていました。

日本から海を渡らせることに忸怩たる思いを持ちながら当時を過ごしていた私ですが、
こうして大切に"博物館"の展示品として扱われている姿を見ると「これで良かったのかな」と思います。
私は今、この宜興に僅かに残された"古渡の技術"を踏襲する窯場と未来の実用盆器の研究製作に取り組んでいます。
試験的に完成した作品は、日本到着と同時に蔓青園氏を筆頭に著名盆栽家達の目に留まり、
自分で使いたいものまで含めて、あっという間に無くなってしまいました。
10代で恩師須藤進が運んだ「新々渡鉢」銀座三越時代に遮二無二扱った盆器達、
そして自ら中国との交流をする中で、手探りで始めた「名器の再現」。
秋には未来の国風展用の"廉価な名器"を多くの愛好家にご紹介したいと思います。




【館内最大ブース!約150点の精選の数々】

第91回国風盆栽展に併催された上野グリーンクラブ「立春盆栽大市」
通称 "国風売店 "に小店は例年通りクラブ本館2階に17軒分のブースを使った特設売店を開きました。
業界最大にしてハイレベルなこの催事に際しては「エスキューブ雨竹亭」の精選品を陳列させて頂きました。

貴重盆栽・古渡盆器・重要水石 など
"今"のエスキューブが皆様に提供できる姿そのものが展示されているといっても過言ではありません。
毎年、この場所に飾り販売をさせて頂いた数々の盆栽が、
数年先の国風展に入選出品されている陳列品すべてが "お薦めの逸品 "です。

特に今回は更に出店スペースを拡大して 2年の研究開発を費やして出来上がった
中国広州の釉薬鉢「石峰雨竹」製  盆器群の初窯作品披露
同じく中国宜興紫砂「宝山」製  精選盆器群 の陳列を初めてさせて頂きました。
特に「均窯の再現」に挑んだ石峰鉢は、蔓青園・鈴木伸二氏・浅子隆敏氏・小林國雄氏など、
プロ作家の方々にその釉薬と器型の完成度を絶賛頂きました。

"失われた技術の歴史"を再び蘇らせる事は試行錯誤の繰り返しで、
40度を超える再興した窯場で何度試作に失敗したものかを思い出します。
開発費やかけた時間を考えるとけして採算がとれるとは言えませんが、
納得のいく最高の再現が出来れば、古渡盆器が激減し、
盆栽そのものも大型化して器型を崩さずやや奥行きを持った鉢の必要があった中、
10年後、20年後にこの鉢を多くの愛好家や作家の方々が
国風展などの大舞台に当り前に使って頂ける事を夢見た作品が、完成した事だけでも嬉しいものです。
国風展への行き帰り、是非グリーンクラブ本館2階にお遊びにいらして下さい!


【捉え方で表情を変える山採り盆栽の面白さ!】

国風展売店に飾る為に、以前から庭にあった真柏古木の見付・鉢合せを変えてみました。

いつものことですが、鉢合せは決まる時は1発で簡単に決まりますが、
合わないとなると何枚試みても合いません。
2000~3000点の鉢が羽生雨竹亭にはあるのに困ったものです!!
この真柏は以前から両面から見られるので、どちらで作るべきか中々纏まらなかった樹です。

漸く枝の捌きや空間の姿などを総合的に考えて右流れで仕上げる事にしました。
正方の"逃げ"の効く鉢から紅泥袋式楕円と言う量感と"抑え込む力"を持つものに換えてみました。

以前に整枝作業をして針金掛けによって枝作りをした姿から今回の植え替え・植付けで、
舎利幹の前にある左落ち枝の下部分を取り、幹筋の流れと空間を見せるようにしました。

私は「名人」ではないので、時間をかけて樹と少しずつ対話する気持ちで、
"そうか!ここを直せばこの樹はもっと美しくなるかも!"
とはっきり感じてから作業をする事にしています。
上野グリーンクラブ2階に特設されるエスキューブ国風展特設売店で是非ご覧になって下さい。


【1000点越えの古鉢・水石・卓】

年末の大掃除が始まりました!
天気の良い日、諸道具収蔵庫(別名 高木倉庫・以前 旧高木美術館コレクションを収蔵する為に作った名残です)
を1回全部出しての大仕事です。

"こんなに在庫あるんだ??"
と自分でもびっくりするくらいの量。
1年間良品を求めて買い続けるとこんなになるモノかと、あらためて感じました。
新年よりのお客様をお迎えする時、雨竹亭の倉庫をご覧になる方が、
しまったままの古作名品を見やすい形でご覧頂く毎年恒例の"大棚飾り替え"です。
私たち自身もしまいっぱなしにしておいた鉢や水石、
そして展示会用の卓など、あらためて目で確認する機会としています。
年明けにお越し頂いて、この蔵に"こもって"1日楽しんで頂くのもよろしいかと???


[広州 盆栽大典 福田理事長達と合流】

4年に一度の中国大盆栽展、広州への訪問は
"失われた広東鉢"の再現と来年の日本「世界盆栽大会」招待状のお届けが目的です。
7月にようやく辿り着いた広東鉢再現のパートナー劉さんの窯場で、
あの時絵に描いた幾つかの鉢が、胎土の状態でほぼ完成していたことには感激しました。
僅かな修正程度で、後はこれだけの大きさの鉢が釉薬の研究と共に焼成して仕上がるかの段階に入ります。
何とか2月位までに日本に運べればと願ってますが、
"未来に残る仕事"となるよう、納得のいく作品にしたいです。


広東鉢の故郷 広州で開催された盆栽展は、日本盆栽協会福田理事長と合流して、
世界盆栽大会の招待状を中国著名盆栽家にお渡しする活動でした。

圧倒的な展示内容、式典のイベント化など、参考にすべきものが多くありました。

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