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盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

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【震災・津波 の街に 若き盆栽文化の継承者!】

私共エスキューブ雨竹亭で修行を終えた 宮城県多賀城市の 加藤 充 君が、
震災から6年、様々な思いを込めて住み慣れた自宅を壊し、
市内を見下ろす地に盆栽園を建設中です。

徒手空拳の初代、何もないところからのスタートは並大抵のものではないでしょう。
先日、多賀城へ出向き初めて現場を拝見に行きました。
高台にある旧家の自宅は津波を免れたものの、眼下の見慣れた街は大変な被害にあったとの事。

修行中も東北人らしく、寡黙で盆栽と向き合う様な性格の彼は、
故郷へ帰ってからの7年、人生を変える程の災害を目の前に盆栽と向き合う日々を、
各地の愛好家の手入れ仕事をしながら過ごしてきました。
"1度きりの人生、盆栽しか自分が世の中に尽くせるものはない"
と心に決めて傾斜地という難しさと闘いながら、もう少しというところまで来ました。

今はまだ、仮置きの盆栽棚、ようやく地面が仕上がった自宅部分、
夢と苦労を背中に背負う青年の応援をしたいと思います。
頑張れ!東北人の魂!


【矢内 信幸翁 の 美意識と日常の中の盆栽】

先日 久しぶりに大阪箕面市の料亭「みのお茶寮」へ
20年来の得意先 矢内信幸先生の所に行って来ました。
元々はご自宅だった茶寮は、まさに矢内先生の美意識のかたまり!
自然体に造られた庭には、其処此処に盆梅の古木が点在していました。
建築や調度品など、造作のすべてが翁の凝った意識の中でまとめられ、床の間には白梅の古樹。
ここ"みのお茶寮"は、まさに「矢内ワールド」全開の世界でした!
20年前、独立間も無い私が初めて出店した「日本盆栽大観展」の売店。
そこで矢内先生に出会い、ご自宅の盆栽を拝見した時、
"関西にこんな味の効いた盆栽を理解して楽しむ方がいたのか!"
と驚きを覚えたことがつい昨日のようです。
長いお付き合いの中で、意見をぶつけたり、個展の開催をお手伝いしたり、いろんな事を教えて頂きました。
盆栽界にも料理界にも染まらず、自身の「矢内ワールド」を貫く姿は今も昔も変わりません!
約300点に及ぶ盆栽をたった一人で日常の管理手入れをし、
毎日店に訪れる方々を迎えるように各部屋に「季節の自然」を設える。
これを矢内先生は数十年続けているのです。
至福の昼食を頂いた後、退出する暖簾の脇に紅梅の古木が見送ってくれました。
 



【埼玉県行田市桜ロータリークラブ講演】

先日 ご懇意にしている愛好家の依頼でロータリークラブの講演をさせて頂きました。
私に出来ることは、盆栽や水石を隣において様々な自分の日常や出来事をお話しするだけです。
今回は4月の世界大会に出品する真柏を飾り、この大会が日本の盆栽界にとってどれ程大切なものかを伝えて、
併せてそこで「盆栽と水石を世界遺産登録へ!」という活動の発信についてお話しました。
地域や社会に尽くされる方々に、少しでも盆栽界の現状と未来を伝えられればと願っています。

真柏は彫技による舎利やジンの芸ではなく、自然の風雪が創り上げた天然の姿を持つ数少ないものです。
僅かな枝姿で幽玄な相を現しているのも真柏盆栽の真骨頂と言える樹です。
使われている鉢は宜興紫砂泥で特注した扇型で、
"古典と現代的モダン"を融合させた作品として私なりに気に入っているものです。
海外・特に中国での多くの真柏盆栽を目にする今ですが、
こんな日本ならではの美意識で作出された盆栽を訪れる多くの皆さんに観て頂きたいものです。

【月に緋梅  "紅一点の美しさ"】

国風展・日本の水石展  などで、慌ただしい如月、
ようやく雨竹亭の床飾を心静かに構える気持ちになりました。
三寒四温が近付く中、まだまだ名残の雪模様と盆梅が身近にあります。
昨年手に入れた緋梅の古幹が良き花姿を楽しませてくれる頃となり、
雪模様の空に浮かぶ月の掛物と「静謐な微春」を設えてみました。
太幹の堂々とした盆樹も良いですが、"梅一輪の美しさ"とされるように
一重の可憐な花姿は、この樹のように枯淡の味わいを大切にした自然な枝姿が嬉しいものです。
鉢も花の美しさを強調させるように、渋めの南蛮鉢に移し替えました。
渡辺公観が描いたこの月も、雪空の仄暗い中に浮かぶ情景がとても良く描かれています。
墨流しのような画、枯れ木のような幹枝に凜と咲く緋色の花姿。
全体を一幅の名画を眺めているように心がけてみました。
新春から早春へ、そして間もなく訪れる爛漫の春。
刻々と移り変わる日本の四季を盆栽の飾りにも大切に表したいものです。


【館内最大ブース!約150点の精選の数々】

第91回国風盆栽展に併催された上野グリーンクラブ「立春盆栽大市」
通称 "国風売店 "に小店は例年通りクラブ本館2階に17軒分のブースを使った特設売店を開きました。
業界最大にしてハイレベルなこの催事に際しては「エスキューブ雨竹亭」の精選品を陳列させて頂きました。

貴重盆栽・古渡盆器・重要水石 など
"今"のエスキューブが皆様に提供できる姿そのものが展示されているといっても過言ではありません。
毎年、この場所に飾り販売をさせて頂いた数々の盆栽が、
数年先の国風展に入選出品されている陳列品すべてが "お薦めの逸品 "です。

特に今回は更に出店スペースを拡大して 2年の研究開発を費やして出来上がった
中国広州の釉薬鉢「石峰雨竹」製  盆器群の初窯作品披露
同じく中国宜興紫砂「宝山」製  精選盆器群 の陳列を初めてさせて頂きました。
特に「均窯の再現」に挑んだ石峰鉢は、蔓青園・鈴木伸二氏・浅子隆敏氏・小林國雄氏など、
プロ作家の方々にその釉薬と器型の完成度を絶賛頂きました。

"失われた技術の歴史"を再び蘇らせる事は試行錯誤の繰り返しで、
40度を超える再興した窯場で何度試作に失敗したものかを思い出します。
開発費やかけた時間を考えるとけして採算がとれるとは言えませんが、
納得のいく最高の再現が出来れば、古渡盆器が激減し、
盆栽そのものも大型化して器型を崩さずやや奥行きを持った鉢の必要があった中、
10年後、20年後にこの鉢を多くの愛好家や作家の方々が
国風展などの大舞台に当り前に使って頂ける事を夢見た作品が、完成した事だけでも嬉しいものです。
国風展への行き帰り、是非グリーンクラブ本館2階にお遊びにいらして下さい!

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