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盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

タグ:水石


【400年の「刻の封印」を解いて 初公開!一休禅師の寺  大徳寺「真珠庵」盆石!!】


2月に開催される「第4回日本の水石展」の特別出品が決まった"幻の名石"が間もなく公開されます。
1月7日、京都 紫野  臨済宗大徳寺派 総本山「大徳寺」内にある『真珠庵』に
山田宗正ご住職を訪ね、展覧図録の詳細打合せをさせて頂きました。
正親町天皇の皇后様の化粧殿を移築した真珠庵内の書院「通僊院」に
他の文化財と共にある唐物盆石は、名石「末の松山」などと同じく、
室町時代の東山文化の名残を色濃く残すものです。

真珠庵創建以来、この石が庵外に持ち出された事は、記録にありません。
今は図録・ポスター・ハガキなどの撮影も済み、雨竹亭の「観音堂」内で静かに公開の刻を待っています。
歴史上の名石は数多くあっても、当時よりその場面を変えずにそのまま鎮座してある石はこの石のみと言えます。
400年以上前の文化人達が眺めた石中の景色は、今の私達と違ったものだったのでしょうか?
応仁の乱で塵芥となった都に再建された名刹、その時からこの平成への長い歳月、この石は真珠庵に眠り続けたのです!
2月の公開をお楽しみに!


【1000点越えの古鉢・水石・卓】

年末の大掃除が始まりました!
天気の良い日、諸道具収蔵庫(別名 高木倉庫・以前 旧高木美術館コレクションを収蔵する為に作った名残です)
を1回全部出しての大仕事です。

"こんなに在庫あるんだ??"
と自分でもびっくりするくらいの量。
1年間良品を求めて買い続けるとこんなになるモノかと、あらためて感じました。
新年よりのお客様をお迎えする時、雨竹亭の倉庫をご覧になる方が、
しまったままの古作名品を見やすい形でご覧頂く毎年恒例の"大棚飾り替え"です。
私たち自身もしまいっぱなしにしておいた鉢や水石、
そして展示会用の卓など、あらためて目で確認する機会としています。
年明けにお越し頂いて、この蔵に"こもって"1日楽しんで頂くのもよろしいかと???


【1億円の盆栽「天帝の松」を中心に構成デザインスタート!】

来年開催の"盆栽のオリンピック"「第8回世界盆栽大会」における
埼玉アリーナ「日本の盆栽水石至宝展」はおそらく近年における最高レベルの盆栽水石展となります!
この展覧会で"特別ブース"が4席用意され、一席21,5m×5mと言う、巨大展示ブースとなります。
名木での展示で、15~20点は飾れるスペースです。
4席の内2席は日本水石協会、京都国際文化振興財団、
つまり水石の大ブース(これも水石協会の役員の皆さんと設計・展示構成をしなければなりません!)と
(財)高木盆栽美術館を継承された田中慶治先生の大コレクションという、公的なものとなります。
残り2席が日本を代表する愛好家として実行委員会の指名で決定しました。
そのおひとりが福島県の舩山秋英先生です。
「森前君にすべて任せる」の一言。
私が生きている間には次の日本開催は無いと予想できる今回、
"訪れる世界の方々にメイドインジャパンの盆栽をどの様にご披露しよう?"
とここから思案の知恵熱の毎日が始まります。
舩山先生の出品予定の1部をご覧下さい。
また、この進行具合はお届けしたいと思います。

【水石三種  水盤石・紋様石・姿石】

先月京都で開催された「第36回日本盆栽大観展」での水石部門受賞三石は
近年においてとてもレベル高いものでした。
水盤石は八瀬の巣立真黒、青銅地紋の中深長方という
"ウブ石を深めに受けとめながら水盤の厚さを感じさせない"絶妙な取り合わせです。
動きあるジャクレの中に想像させる深山奥深くにある岩清水の源流風景。
乗り出す右方の滝口とも取れる石相の巧みさ。
水打ちによって感得できる「景色と石と水気」が一体となって現出される
水盤石の真骨頂が見事に表現された一石です。
紋様石は下方に渋味ある紅色の石質が晩秋の古都の山景色を想わせ、
東山に天高く浮かぶ高月が清涼なる空気を石中に喚起させています。
姿石は安部川のくず屋石。
日本昔話や山里の農屋を彷彿とさせるこの石は
屋根・軒・底面・すべてが天然ウブ成りであることに驚かされます。
どっしりと重みを感じさせる屋根・僅かに見える軒中の姿。
戦前盆石趣味に名を残された高島子爵の旧蔵石です。
日本水石協会の事務局長を務める私としても、水石の発祥地京都でこの様に
内容深き水石が飾られる事をとても嬉しく思っております


【静謐の極み 玉堂・伊豫石・五葉松】

大徳寺塔頭「芳春院」の別室 書院に設えられた席は、
本床に水石飾り、対面の毛氈飾りが、一体となった"室ひとつを舞台"とした深い"考案"がなされた展示です。

本床は、川合玉堂筆「三更」月に落雁、題の三更は深夜"子の刻"つまり11時〜2時の名。
暗闇で見えぬ夜空の月明りに雁の姿、
画中には描かれていても目では見えぬもの、眼下には人影も無い瀬の岩場。
遠くには杣人の庵らしき粗屋。
まさに"侘しさ"漂う景色が浮かんでいます。
利休に代表される茶人の精神を表した藤原定家が残した名句
「見渡せば花ももみじもなかりけり、裏の苫屋の秋の夕暮れ」
そこに存在する景色が「寂びがれた景色」それを観て人が喚起される「侘び心」
この相対こそが俗に言う「わびさび」の真実です。
ひとつの言葉として使われる現代ですが、両者は具象と心象の相対なのです。
本席はこのもっとも日本的な美意識を水石飾りによって見事に表現された好例と言えます。

対面する五葉松は細身の根連り。 
あくまで細く百年を超える樹齢を経ても盆中で肥培させず、老幹の揺れ立つ姿の林立が、
かの長谷川等伯の名画「松林図」を彷彿とさせる程の精神美を纏っています。
盆栽は人の手によってその姿が形作られてゆきますが、
長い刻をかけることで"人の介在と存在を消し去る瞬間の美"が現出されることがあります。
この樹はまさに今、香り立つその美をみせています。
傍に置かれた木彫の「笠と杖」作者田中一光師の銘は"旅の終わり"。

神韻漂う松林は辿り着いた"悟りへの道"、長い求道の旅の末、旅人が旅装と解いた安住の地。
盆栽と添景が共鳴して描き出す更なる"奥の世界観"。
本室は世界に誇る日本の盆栽水石趣味の深奥を感じる見事なものです。
脱帽!

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