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盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

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【展覧会未公開の真柏名樹・日輪画幅・大鷹】

歳の始めに皆様にお届けする年賀のご挨拶状。

来年は酉年、双龍を想わせる真柏は私の所で14年の年月を過ごし、
ようやく盆栽らしくなってきた"将来の名樹"です。
昇りゆく龍は希望や道そのもの、円山応震の日輪の図は、
床勝手にあった画中右手描き、脇床にはやや大きめですが干支に因んで大鷹の鋳銅作品。
昇る日の出に向かって羽ばたく鷹、神格化された真柏老樹。
新年の格調と「大和の盆栽美」を構成してみました。


【"歳月"という古典・"審美"というモダン
三位一体が醸し出す"真の盆栽美"】

樹齢200年を超える生命を宿す真柏の古樹。
立ち上がりから樹冠へ届く天然の舎利芸は、僅かに生きる水吸い部分がまるで
"我が身を捨てて守る"死生観を自然の造形で表現しているようです。

神韻響くほどの老幹大樹が描く"枝配り"は、限りなく無駄を省き
己が生きる術を究極に削り取った末に現出した「スガタ」と言えます。
取り合わせた鉢は中国紫砂盆器の歴史と陶技の「誇りと伝承」を繋ぐために
"神業"を今に伝える老工の渾身の一作「朱泥扇型盆」。
伝承される盆栽と盆器の調和とは一線を画した合致が、
名品同士の邂逅で"新たな美"として絶妙な旋律を奏でています。

掛物は「如雲」。
明治に生きた禅の名僧 峩山 の墨跡。
何物にも捉われない心、まさに"雲の如く"は盆栽人もこの道に親しむ中で一考すべきものです。


脇床に飾られた一石は、観者の捉え方によって達磨・観音・羅漢など、
一塊の石が高雅な姿へと導かれるのも、席全体の"しつらえと空気"ではないでしょうか。

モダンな美すら感得できる真柏、達観した禅僧が遺した一筆の書、
遠き昔山河に横たわる石をその手に取り上げ、石中に"何か"を観た人々。
三者が共に飾られた時、それぞれが共鳴しあい醸し出す気韻と情趣。
この醍醐味こそが、盆栽美の最も深く心に響く世界だと思います。

各作品に込められた"想い"、これが三位一体となって新たな"趣意"を感じる時、
150年を超えて現代に続く
失いたくない盆栽界の「本道」らしきものが何なのかを
「覚悟」出来る思いがします。
何気ない盆栽飾りの一席に
"その奥に潜むもうひとつの世界観"があること、
そしてその扉を開ける楽しみをなさって下さい。

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