雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 大徳寺・芳春院盆栽日記


【夜長の季節、禅語と盆栽水石飾り!】

澄んだ夜空の月が美しく感じる秋。
盆栽庭園の展示場飾りも、季節の良さで心に染みる楽しみの頃となりました。
連席を芳春院ご住職の揮毫による禅語との取合わせで組み立ててみました。
国風展級の樹でもなく、水石展級の石でもないものが、
“設え“と言う日本文化が培って来た“席の構成が織りなす美の気韻“で、観者に響くものを感じさせてくれます。
三席の禅語の意味と共にご覧下さい。



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「月落露光冷 獨坐松根下」
月落ちて露光冷ややかなり 私はひとり松の根元に居る

五葉松の樹齢約百年の木立。
自然の三幹の生い立つ無理ない姿。
脇には佐治川のくずや石。

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禅林の夜、老松は月明かりの下で夜露の微かな光を見せている。
そんな景色を松と石が描き出しています。
くずや石は、“羅屋“と呼ばれる座禅をする粗末な庵を想わせます。
静けさ極まる禅寺の宵闇の景色が浮かび上がります。



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「鳥啼山更幽」 
鳥啼きて山更に幽なり

文房卓から変化した二段卓に、真柏の幹模様ある文人風の樹、下段に老僧を想わせる八海山石。
脇には楓の数本からなる林間の風景。


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精神性深い真柏、見立て心で感じとる姿石、そして簡略化された中に自然の景を見せる楓。
自然界にある“当たり前の景色“が如何に深いものかを語っています。
“鳥が啼き、山々はその静かな荘厳さを更に深く示している“
まさに、自然の偉大さを伝えてくれています。



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「時雨洗紅葉」 
時雨紅葉を洗う

見上げるようなケヤキの大木立。
樹下には山草の有り様を想わせる風知草。
間もなく訪れる晩秋の紅葉の景色は、この前後の意味を形に表しています。
時雨は人生の苦難を意味して、その時代や経験を超えてこそ、本当の人生の素晴らしさがある
(美しい紅葉)盆栽も酷暑を耐えて私達に目に鮮やかな紅葉を見せてくれるのです。
私達も、苦労を歓迎して日々を前向きに生きたいですね!

【古都名刹の“夏空“❗️ガンバレ!40度の中の盆栽達!】


鬱陶しい梅雨がまるで嘘のように、抜けるような青空と白い雲。
 五山送り火“のふもと、京都北区に位置する大徳寺にも、暑い夏が訪れました。
山々に囲まれた千年の都、内陸性の盆地として、夏暑く、冬寒く、は承知の上での始めての夏ですが、
実際この季節になると、埼玉県羽生市の私の庭と変わらない暑さにビックリします。


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先日の梅雨の合間に庭園ならではの、“陽よけ帽子“を設営した事が、ホントに良かったと思います。


朝8時に盆栽と杉苔に水をあげて、ひと通りの掃除と飾り付けをして開園となる10時の開門。
手入れ室の日陰にかけた気温計を見れば、まだ10時なのに、既に36度!

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午後には40度を示す日がほぼ毎日!
日中の盆栽の鉢中の“蒸れ“を考えて、夕方4時頃までは、追い水を控えて、
“さあ、シャワーだよ“と言うばかりに、樹々に水遣り。
ここから1ヶ月、こんな猛暑の中になるでしょう。
人間も熱中症に気をつける日々ですが、盆栽達も、必死に耐えてくれています。


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旧盆、8月の中旬を過ぎれば、暑さの中にも、朝夕に何処か“秋風“を感じる季節が来てくれます。
人も盆栽も、暑さに負けないで、頑張りましょう❗️


芳春院盆栽庭園の、名木の代表格のひとつ、故岩崎大蔵先生の遺愛樹(現・慶雲庵所蔵)。
岩石性黒松の筆頭として盆栽界に知られる樹、朝の水遣りをしている時、ふと、樹から何かがこちらを見ている感じがしたので、よく見ると❗️
鳩が樹の枝元の方にジッといて、微動だにしないでいるではありませんか❗️

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私も半世紀近くこの仕事をしていて、野鳩が盆栽に巣作りをしている光景は初めてでした。
“参った“もし卵を抱えていたら、無造作に巣を払う事も出来なくなる、
そう思いながら、鳩が私を気にして飛んだ時、寺内のモミジの小枝を集めた“未完成“の巣を覗くと、まだ何もありませんでした。
“良かった!“ 鳩には申し訳ないけど、天下の名木が鳥の羽ばたきや、爪などで小枝や古色ある幹肌をやられたら大変です。
そっと小枝を取り払い、思案の末に、縫糸を日差しよけの柱掛けにランダムに回して、鳥が内側に入れないようにしました。

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広い大徳寺の中、鬱蒼とする樹々多く、なぜ、盆栽の中に作ろうとしたのか?
芳春院の和尚様は、
「大樹だと、烏達に卵を狙われる。盆栽のしかも葉が硬く針金のように触ると痛い黒松なら、烏も中へ入れないからだね」と。

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名樹「大王」に巣を作って卵を孵そうとした鳩のカップル。
もしかしたら、生まれてくる鳩は、大王の子、鳩の王子様だったかも(笑)


大徳寺「孤篷庵」小堀遠州の“綺麗寂び“の世界!すべてが重要文化財の中に、松平不昧公の盆石‼️】

芳春院盆栽庭園を預かって100日余り。
ここと同じく、寺内の各塔頭は、それぞれ室町期からの歴史を連綿と繋ぐ“日本文化の玉手箱“のようなもの。
庭を預かった程度で、他の塔頭へノコノコと行くような事は、
宗務総長としてのお立場を預かる芳春院の和尚様に対して失礼があってはならず、
1年2年と経つうちに、ご縁を頂ければ幸いと思っていた矢先、
萩の著名陶芸家である“三輪休雪“先生との縁で、小堀遠州公が創建した非公開名刹「弧篷庵」にお邪魔させて頂く機会を得ました。


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約束していた時間に山門を潜り、庫裡の玄関で声をかけると、奥より数えて19代となるご住職、小堀亮敬師が出迎えて下さいました。

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水石の世界に身を投じて四十数年、数々の伝承名石に登場する小堀遠州公。
その総本家と言える弧篷庵に、ご住職と約束して伺う事になるなんて、思ってもみませんでした。

もとより非公開の寺院、しかも建築を含めて室内すべてが重要文化財!
それをご住職の案内で、ひと部屋ひと部屋と、襖を開けながら奥へ奥へと案内頂きました。
襖に描かれた水墨画は狩野探幽が、この寺の為に描いたものがそのまま!
雪見障子のような造りの向こうに、日本の茶庭園の本なら必ず載っている「忘筌」!

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そして、この“小さくも大きい“茶庭を眺める書院こそ遠州公直筆の扁額「忘筌」が掛けられた部屋!
仄暗い室の中には、外からの間接的な光が、天井にそして壁に、、これが遠州公が趣向を凝らした“綺麗寂び“の空間‼️

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次なる室に案内されてびっくり!
付書院風の棚に飾れた漆盆に載せられた古石!

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「ここを再興してくれた、不昧公の石です。森前さんが来るので飾っておきました」!!

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遠州公の茶の湯の精神を受け継いだ、松平不昧公。
茶人として名高い歴史上の人物の遺した水石界未公開の盆石!
ここは、水石文化の歴史の玉手箱です!

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私ひとりの為に、時間をとって下さり、奥様よりお薄茶まで頂き、
私にとってこの日は、芳春院盆栽庭園を預かる責務の中で生まれた、新たな1ページの日でした。
長いのご無礼がないように、お暇をしました。
ここに息づく日本の美と精神に共鳴下さる、愛好家の方々を、いつかはご案内させて頂ける事を願って。


【盆栽達も“麦藁帽子“❗️庭園観賞用の遮光設備設置!】

多くの皆様に、盆栽の素晴らしさを伝える使命の盆栽庭園。
酷暑の訪れを前に、試行錯誤の末に、和尚様と相談して、今までにない遮光ネットの設置をしました。


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普通、盆栽園の遮光と言えば、ハウスに陽除けの必要な盆栽を集めて、

寒冷紗など、陽射しを弱めるものを張って、ひと夏そこで管理していますが、ここは大徳寺!
なんとか美観を保ちながら、管理が出来るように出来ないものか? 
建て方の棟梁と相談して、少し贅沢ですが、遮光が必要な盆栽ひとつひとつに、“帽子を被せる“ように、杭棒にひとつずつ遮光を作ってみました。

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蝦夷松・一位・もみじや姫沙羅、夏とは言え、庭園はいろんな盆栽を観て頂きたいもの。
庭園の美観もこれならいいかな?と言う感じになったと、自画自賛❓しています(笑)

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何よりも、盆栽達が、長梅雨の後、厳しい暑さと陽射しに耐えて、無事に充実の秋となる事を願うばかりです。

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