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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 大徳寺・芳春院盆栽日記

1週間で色付く京都の紅葉🍁大徳寺の錦繍❗️

盆栽界・秋の最大イベント『日本盆栽大観展』も4日間の開催があっと言う間に過ぎました❗️
猛暑の夏、今年の紅葉は京都も期待できないものと思っていましたが、
大観展の後半になると、“北山時雨“の訪れとともに、急に寒さも増して、僅か数日で目に映るもみじ達が、見事な紅葉を見せてくれました。

芳春院盆栽庭園も、大観展に飾られた、財団の“上杉謙信の一位“や、
“伏見宮家の宮様楓“などが、庭園に戻り、年に何度かの“見映えの庭“となりました‼️

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澄んだ青空の下に色を添えた庭園風景❗️
いいもんですね‼️

ここから京都は一気に“暮れの雰囲気“になっていきます。
隣接する修行道場の昼夜を問わぬ“鐘の音“や読経、各塔頭で開催される茶会や遠忌会。
街中と離れたこの“紫野大徳寺“の近辺、“月明かりで本が読める“と言う言葉が本当なんだと実感できる日常。

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静謐の中にある盆栽達とともに居る時間は、何ものにもかえられません❗️
この庭園はまだ三年経たず💧
百年の計からすれば、一歩を踏み出したばかり。

近い将来は、和尚様と私が描いた、“禅林の中の盆栽“ を末長くここに有り続ける為の、更なる舞台へと変貌するでしょう。
予定では来年までは、この庭園の仕様、再来年には、今の二倍の規模の庭園へと、和尚様と私の夢は広がります。

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それでも、今年の紅葉は今年限り❗️
昨日を思うものではなく、明日を思うものでもなく、

“今“と言う刻を大切に有り難く、盆栽と過ごしたいと思います。

芳春院盆栽庭園・大展示替え❗️大観展に向けて‼️】

今月下旬に開催される『日本盆栽大観展・於京都みやこメッセ』に合わせて
大徳寺芳春院盆栽庭園も、“晩秋~初冬の秋色展示“に羽生雨竹亭からトラック輸送で、大幅な展示替えをしました❗️
山柿・椿・もみじなど、季節を彩る盆栽、そして大観展に「京都国際文化振興財団」が特別展示する一位の巨木、
戦国大名上杉謙信のゆかりを持つ『謙信峠』を出品前の最終手入れをする為に、名匠鈴木伸二さんの所に移動している今、
庭園の“顔“として、同じ一位の名樹(これも同財団の所蔵樹)『白昇龍』を羽生から運び込みました❗️

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圧倒的な庭園の巨木名樹に加えて、庭内の“通玄庵“の床の間や、展示棟には、誰もが自分でも楽しめる親しみのある盆栽達も設えました❗️
真柏の文人樹の風韻、筆柿の晩秋の風情、盆栽の素晴らしさを少しでも伝えたいと願っての取り合せです。

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開園してもうすぐ3年、海外を含めて多くの方々がご覧頂くこの庭園、
秋の紅葉観光で賑わう京都で、日本盆栽大観展に訪れる皆さんも、“この機会に“と昨年も多くの盆栽愛好家が来園下さいました。
50本を超える選抜された盆栽達、どれもが庭園の構成美に大切な配置!

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ひとつの庭園の“姿“は、2週間程で数本が季節の役目を果たして入れ替わります。
今月いっぱいの芳春院盆栽庭園の“満喫の秋“。是非皆さんもご覧にいらして下さい。

【大徳寺芳春院「中秋の名月」❗️】

9年29日、遅めの中秋の名月、今年は京都大徳寺にいる日となりました。
これほど美しい名月、初めてかと思います。

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隣接する修行道場から聞こえる鐘や笏丈の音、それ以外は何も聞こえない静けさの中の盆栽庭園。
京都市内の灯りも届かないここは、まさに“月明かりで本が読める“❗️

堂宇の屋根に光る月、星空の灯りに照らされた庭園、こんな幻想的な景色は、一生の内そうはないと思います。
ひとり静かに仰ぐ月、盆栽と禅林、贅沢の極み!
申し訳ないくらいです‼️

和尚様にお願いして、来年は中秋の夜、お世話になっている方々と、“夜咄の盆栽観賞“をしてみたいです❗️
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【待ち遠しい秋の気配“  大徳寺庭園❗️】


例年以上に30度を超える残暑が続く毎日💦


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その中でも芳春院盆栽庭園は、少しずつ展示の内容と飾りが、秋色になっていきます。

色付きには程遠い今、まずは床の間や室内飾りに、掛け物や水石を使って、

少しだけでも、近づく秋を感じてもらおうと、設えました。


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庭園内「通玄庵」には、五葉松の文人樹。

江戸期名筆、長澤蘆雪の「雲月図」。

幽玄な静けさに、瀬田川虎石のくず屋石。


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展示場は故高木礼二翁遺愛の五葉松。


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山野草飾りは珍しいサワヒヨドリ、去年から名前が分からなかった山草でしたが、

我が芳春院常駐番のナベさんの朋友が、天才的な山草博士!

写真を送ると一発で種名を教えてくれました❗️

まさに令和の牧野富太郎‼️

今年は十五夜も九月の末、秋の気配もその分遅いようです💦

【台風から樹を守る‼️盆栽家の使命❗️】

台風7号が近畿地方を直撃横断しました💦
大徳寺芳春院盆栽庭園は、盆栽界の代表的な名樹や、上杉謙信・徳川慶喜・伏見宮・など、
歴史的人物にゆかり深い樹々も多く庭園にあります。
国風展出品樹ですら、“小さく“感じる庭園💧

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超大型の盆栽達を直撃が予想される台風から守る為、通常担当の1名に加えて、羽生本店から応援部隊を京都に向かわせました。
15日通過予想の中、交通事情が間に合う14日午後に羽生を出発して、同17時着、
事前に現地担当者が、この庭園独特の遮光ネットをはずし、
応援到着後、普段は4名で下ろし込む盆栽達を、“火事場の馬鹿力“ で、2人で馬力をかけて守りました❗️

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葉物などの“雑木類“は、強風に葉が“揉まれる“と、葉先が焦げてしまいます💧
出来るだけ室内に取込み、台風の通り過ぎるのを、“寝ずの番“で守ります。
盆栽家は、自然には勝てません💦 
だからこそ、盆栽達を必死に守る為には、すべてをその時間に充てます。
“何事もなく通り過ぎてくれ“  出来るだけの防備をした上で、祈る気持ちで通り過ぎるのを待つばかりです。

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風が止み、台風が行き過ぎると、ホッとすると同時に、棚や石柱に盆栽を戻さなければなりません。
“樹を守る!“ この想いで、必死に片付けている時はいいのですが、炎天となった庭で、休園の看板を外すまでに、元の姿に庭園を戻す作業!
これがキツイなんてもんじゃありません。
“どうやってこの樹を僅かな人数でこれだけ片付けたのだろう?💦“ 
こんな気持ちで汗かきながら戻します😅

数百年の“命“、私達の一度の気の緩みが、その時間を無駄にしないように、努めます。
台風!強風! 
大っ嫌いです‼️

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