雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 大徳寺・芳春院盆栽日記

【祇園祭りの頃、猛暑を避けて遮光設備❗️】

“戻り梅雨“で暑さと潤湿な日が行ったり来たりする7月。
それでも間もなく日中は外に立っていることすらキツい日々が来ます。
今年の暑さは異常で、羽生の培養場も、
昨年まで何ともなかった大阪松の大型太幹までもが、葉が灼けてしまった部分が出たほどです。


大徳寺の庭園も、昨年同様に樹に合わせての木製遮光ネットの設置をしました。
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僅かな遮光で樹々の状態は歴然と違います。
人間で言えば、帽子をちゃんと被っているかいないか?と言う感じです。

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それでもここ京都の北区、送り火の山々の麓、
朝晩の温度やしっとりとした空気が関東平野とはずいぶん違います。
山育ちの五葉松類も、葉色が羽生よりも良いです。

庭を守り、樹を守り、まだ2年。
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ここからどれだけの刻を“守人“として全う出来るか?
樹に庭に寺に教わりながらいきたいものです。

【大徳寺庭園・初春の盆栽飾り】

新春を迎えて大徳寺の室内展示も、新春の飾りになりました。

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別棟「通玄庵」は、緋梅と鶯(うぐいす)の画。
まだ咲かぬ梅に“厳寒の中でも蕾を育む”凛とした生き方が、日本の美意識を表しています。

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連棟には、五葉松と水石に「日の出」の画。
真冬でも緑を湛える松の生命力、雲海に昇る日輪、遠くに山を仰ぐ。

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冬の林間を表現した木立の老爺柿には「鳥啼山更幽」の書。
脇に冬枯れの褐色の山姿を表す鞍馬石。
しんとした静けさの中にも、変わらぬ大自然を謳い上げた席。

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珍しい“天草野梅“には木彫の老師の置物。

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もうひとつの野梅の幹味良い文人盆栽には、木彫の詩人の座像。
禅語の「雲無心」が、咲かぬ春の梅を待ちわびる心を静かに説いています。

盆栽も水石も、その本体が語りかける美と共に、様々な道具を構成する事で、そこに表現された世界観をより鮮明に伝えてくれます。
名木だけが良いのではなく、いかに盆栽や水石を心の中で逍遥させて楽しむか?
これも趣味世界の醍醐味なのです。
京都禅寺“大徳寺“の盆栽庭園で皆様にお伝えしたいのは、盆栽水石から“人が生きる事、自然とは何なのか?“を感じて頂ける事なのです。


【夜長の季節、禅語と盆栽水石飾り!】

澄んだ夜空の月が美しく感じる秋。
盆栽庭園の展示場飾りも、季節の良さで心に染みる楽しみの頃となりました。
連席を芳春院ご住職の揮毫による禅語との取合わせで組み立ててみました。
国風展級の樹でもなく、水石展級の石でもないものが、
“設え“と言う日本文化が培って来た“席の構成が織りなす美の気韻“で、観者に響くものを感じさせてくれます。
三席の禅語の意味と共にご覧下さい。



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「月落露光冷 獨坐松根下」
月落ちて露光冷ややかなり 私はひとり松の根元に居る

五葉松の樹齢約百年の木立。
自然の三幹の生い立つ無理ない姿。
脇には佐治川のくずや石。

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禅林の夜、老松は月明かりの下で夜露の微かな光を見せている。
そんな景色を松と石が描き出しています。
くずや石は、“羅屋“と呼ばれる座禅をする粗末な庵を想わせます。
静けさ極まる禅寺の宵闇の景色が浮かび上がります。



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「鳥啼山更幽」 
鳥啼きて山更に幽なり

文房卓から変化した二段卓に、真柏の幹模様ある文人風の樹、下段に老僧を想わせる八海山石。
脇には楓の数本からなる林間の風景。


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精神性深い真柏、見立て心で感じとる姿石、そして簡略化された中に自然の景を見せる楓。
自然界にある“当たり前の景色“が如何に深いものかを語っています。
“鳥が啼き、山々はその静かな荘厳さを更に深く示している“
まさに、自然の偉大さを伝えてくれています。



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「時雨洗紅葉」 
時雨紅葉を洗う

見上げるようなケヤキの大木立。
樹下には山草の有り様を想わせる風知草。
間もなく訪れる晩秋の紅葉の景色は、この前後の意味を形に表しています。
時雨は人生の苦難を意味して、その時代や経験を超えてこそ、本当の人生の素晴らしさがある
(美しい紅葉)盆栽も酷暑を耐えて私達に目に鮮やかな紅葉を見せてくれるのです。
私達も、苦労を歓迎して日々を前向きに生きたいですね!

【古都名刹の“夏空“❗️ガンバレ!40度の中の盆栽達!】


鬱陶しい梅雨がまるで嘘のように、抜けるような青空と白い雲。
 五山送り火“のふもと、京都北区に位置する大徳寺にも、暑い夏が訪れました。
山々に囲まれた千年の都、内陸性の盆地として、夏暑く、冬寒く、は承知の上での始めての夏ですが、
実際この季節になると、埼玉県羽生市の私の庭と変わらない暑さにビックリします。


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先日の梅雨の合間に庭園ならではの、“陽よけ帽子“を設営した事が、ホントに良かったと思います。


朝8時に盆栽と杉苔に水をあげて、ひと通りの掃除と飾り付けをして開園となる10時の開門。
手入れ室の日陰にかけた気温計を見れば、まだ10時なのに、既に36度!

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午後には40度を示す日がほぼ毎日!
日中の盆栽の鉢中の“蒸れ“を考えて、夕方4時頃までは、追い水を控えて、
“さあ、シャワーだよ“と言うばかりに、樹々に水遣り。
ここから1ヶ月、こんな猛暑の中になるでしょう。
人間も熱中症に気をつける日々ですが、盆栽達も、必死に耐えてくれています。


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旧盆、8月の中旬を過ぎれば、暑さの中にも、朝夕に何処か“秋風“を感じる季節が来てくれます。
人も盆栽も、暑さに負けないで、頑張りましょう❗️


芳春院盆栽庭園の、名木の代表格のひとつ、故岩崎大蔵先生の遺愛樹(現・慶雲庵所蔵)。
岩石性黒松の筆頭として盆栽界に知られる樹、朝の水遣りをしている時、ふと、樹から何かがこちらを見ている感じがしたので、よく見ると❗️
鳩が樹の枝元の方にジッといて、微動だにしないでいるではありませんか❗️

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私も半世紀近くこの仕事をしていて、野鳩が盆栽に巣作りをしている光景は初めてでした。
“参った“もし卵を抱えていたら、無造作に巣を払う事も出来なくなる、
そう思いながら、鳩が私を気にして飛んだ時、寺内のモミジの小枝を集めた“未完成“の巣を覗くと、まだ何もありませんでした。
“良かった!“ 鳩には申し訳ないけど、天下の名木が鳥の羽ばたきや、爪などで小枝や古色ある幹肌をやられたら大変です。
そっと小枝を取り払い、思案の末に、縫糸を日差しよけの柱掛けにランダムに回して、鳥が内側に入れないようにしました。

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広い大徳寺の中、鬱蒼とする樹々多く、なぜ、盆栽の中に作ろうとしたのか?
芳春院の和尚様は、
「大樹だと、烏達に卵を狙われる。盆栽のしかも葉が硬く針金のように触ると痛い黒松なら、烏も中へ入れないからだね」と。

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名樹「大王」に巣を作って卵を孵そうとした鳩のカップル。
もしかしたら、生まれてくる鳩は、大王の子、鳩の王子様だったかも(笑)

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