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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽管理


毎年恒例となっている、木村先生のアトリエでの、1月24日に行われる来春の国風盆栽展の選考出品樹の鉢替えが行われました。


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高弟、藤川氏、森山氏、弟子のアレッサ君、ハオ君、ツァオ君によって、
十数本の名樹が、培養鉢から、古渡り、中渡り、などの逸品鉢に植替えられました。
盆栽は、書いて名の通り、「盆(鉢)に栽(う)える」ものです。
鉢の調和とレベルによって、厳しい採点選考での点数が変わります。

植替え後には、丁寧な「貼り苔」が、弟子の方々によって行われます。
この苔の貼り方も、ただ貼れば良いのではなく、植え替えた事すらも判別出来ないような、
自然な“古色感“が大切だと、先生はお弟子さん達に指導されています。


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細部に至る細やかな目線、圧倒的な改作術の裏には、こんな“見えない技”も隠されているのです。
私の所の愛好家の盆栽も、合同扱いで8点ほど、ハオ君ツァオ君と共に、先生のアトリエで、審査の日まで見守られています。



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多くの名木素材をご紹介して、二人三脚で国風展や各種展覧会に発表してきた、福島県の舩山様。
もう20年程の刻が経ちました。
40代だった私も60代、舩山様も秋には77歳。盆栽達が少しずつ仕上がってゆく中、
私達もあの頃のヤンチャさから、お互いに何も言わずに分かり合えるお付き合いになっていました。


最近は、何か良い盆栽をご紹介すると言うことよりも、今まで2人で集め創り上げて来た盆栽達の、日々続く“命の変貌”に対して、
1ヶ月に一度位のペースで、スタッフ4〜5人で、細かな鋏入れや、日当たり具合による置き場の移動、肥料の多寡の確認、大型作品の持ち帰りとお届け。
等々、刻を重ねてゆく仕事に専念しています。

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いつかは次の愛好家へのバトンタッチが来ます。
舩山様も私も、どんな姿であれば良いか?
まだまだ固まりません。
今はお年を重ねられた舩山様に、ご負担をなるべくかけないように、盆栽達の手入れに尽くしています。

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溢れる名木群、盆栽界の宝達を見守り続けます。


異常な猛暑だった今年の夏。
9月になってもしばらく暑い日が続きましたが、彼岸を迎えて朝晩の涼しさは、人間も盆栽達もありがたい限りです。

数年前から、松柏類にも寒冷紗で日除けを施している庭、私が修行中の46年前には考えられない事でした。
暑ささえ収まれば、少しでも早く日差しを浴びさせたい盆栽達。
庭に張り巡らされた、各種の寒冷紗を一斉に外しました。

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やっぱり、覆いの無い景色はいいですね!盆栽達もどことなくスッキリしたみたいです。

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ここから11月末~12月中旬まで、日差しをたっぷり受けて肥料を与えて厳しい冬に備えたいと思います。


終戦記念日の15日、羽生の温度計は40度を超えていました!

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テレビの天気予報は熊谷・羽生地方は、38〜9度となっていますが、体感温度は40〜45度だと思います。
私が修行に入った頃、45年前は、暑い日で30〜32度だったと思います。


何万年もかけて種として存在している盆栽達も、たった数十年でこれだけの変化があると、生理的についてゆけないものがあります。
庭も数年前より、各種の日除けを設備していますが、松に日除けをするなど、考えてもいませんでした。

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朝もあまり早く水かけをすると、日中に乾きが強すぎて、8時頃に朝の水を与えるようにしています。
夕方の水は、渇きのあるものを中心に、全体には樹と周りの庭の温度を下げる目的で「葉水」と言うシャワーのような水かけをします。


8月も25日を過ぎると、朝夕の風が少しだけ変わっています。
そこまでの辛抱!盆栽達も必死に我慢しています。“ガンバッテ!“
不思議なもので、35度を超えると樹も水をあまり吸いません。
30~32度だと渇きも良く、樹も“夏バテするんだなあ“とつくづく思いました。


季節は巡ります。
ついこの間までの長梅雨。

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“早く梅雨明けしないかあ、青空しばらく見ていないなあ“と呟いていたのに、
今は“ひと雨欲しいなあ“・・もしかすると、人の心が一番わがままなのかもしれませんね!


お得意様に納めてある、木村正彦先生の有名な真柏石付作品。
培養を重ねると各部分の繁茂と徒長をして、全体を締め込む手入れが必要となります。
木村先生の所に毎週3日ずつ住込で、特別指導を頂いている羽生雨竹亭のハオ君とツァオ君。
大型真柏の手入れをする私の隣で、この樹の仕事を任せました。

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“半日くらいかかるかな“と思ったら、2人で僅か2時間で仕上げました。
朝7:30から夜は10時位まで、自分の技術の向上の為に頑張る2人。

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木村先生も「この2人は、あと2年私の手元にいられたら、本物になるよ」。
残念ながら、彼らは今年いっぱいで、3年の研修を終えて、母国へ帰国しないといけません。
ご両親とも離れて頑張る彼らを見ていると、“あと2年ここにいてくれたら“と思う気持ちを中々伝えられません。

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でも、私はこの子達が、日本にいる間に教えられる事を精一杯教えて、生まれ故郷の中国へ帰って、
すぐに商売などせず、王永康先生のような大師のそばで、更なる腕を磨いてくれればと願っています。
でも、少し残念なのが、今日本にこの子達のような想いで、日常を送っている若き盆栽家の卵が、どれだけいるのだろう?と思う事です。
自分を磨く為に、寝食を忘れる・・
私の年代が心に思ったあの頃の情熱は、もう古いのでしょうか?
日本という国は、そんな思いが作ってきたと思うのですが。

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