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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽庭園

【大徳寺・芳春院盆栽庭園 大型盆栽の植替え!】


開園から1年を迎えた「芳春院盆栽庭園」普段は1日だけ休園日を設けて羽生からの盆栽入替をスタッフ達と行っていますが、

今回は初の現場での超大型盆栽の植替えをしました。

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旧高砂庵の代表的五葉松「大納言」伏見宮貞愛親王旧蔵の「宮様楓」など、

プロが4人でも持ち上がらない大樹群。

4日間かけてようやく陽春の盆栽庭園が落ち着きました。

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庭園そのものが“大きく“、国風賞クラスの盆栽が“レギュラーサイズ“に見える庭園!

いざ植替えに取り掛かると、ひとつの作品を仕上げるのに四苦八苦!7種の配合の用土もみるみる減ります!

中には15年近く1度も植替えがされなかった樹もあり、根の状態を確認しながら急げど慎重に作業を進めました。

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庭園を守り続けることが私達の役目。ようやく1年。

そしてまだ1年。

禅と茶の湯と中世日本の文化と歴史が凝縮された禅林。

この地に盆栽庭園があり続ける事こそが、未来の盆栽界を拓く事と役目の重さを痛感しています。

よく友人や同業者達に“商売にもならない事を何故無理してやるのか?“と言われます。

勿論大変です。

でもこの庭を守る事、そして次の時代に残すことが、何よりも大切なのを感じているからです。

機会があったら是非ご覧になりにいらして下さい。




【京都・季節の入替り!盆栽庭園の春爛漫へ!】

彼岸も過ぎて、京都北山に近い大徳寺も、春本番となってきました。

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まだまだ、名残り雪が舞い散る時もありますが、梅も間もなく終わり、入替りで“寒桜が満開となり、富士桜も咲き始めました。

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もう少しすれば、庭内の歴史的大型松柏盆栽達の“植替え・鉢替え“が始まります。
4人でようやくと言える巨大な樹々、1日に3~4作がやっとの仕事。
4〜5日で仕上げてゆくつもりです。

併せて冬の庭園を守り飾られた盆栽達から、陽春を彩る樹々への、羽生庭園から大型トラックでの輸送入替えを行います!
どんなに立派な庭園でも出来ない“季節による景色の入替え“・・これこそが盆栽庭園ならではのもの!

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1年を経て、少しは盆栽達も私達も、この庭園に慣れてきたところ!
それにしても、杉苔の築山に生えてくる、もみじの“ひこばえ“の量には辟易とします💦  

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この“小さな命“から今年も100本ほど、大切に育てて、“未来の盆栽の種“を残してゆきたいと思っています!

※2022年3月29日(火)は、庭園内盆栽入れ替えのため、休園となります。


【梅の香満ちる庭園・咲き替わる盆梅達】

国風展など、業界の慌ただしき2月も過ぎ、1ヶ月ぶりに“京都の我が家“、大徳寺盆栽庭園に
戻りました。
1ヶ月経つと、庭の空気も季節感も大きく変わっているのを感じます。

厳寒の冬姿から、庭全体が何処となく“春の空気“を纏っています。

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関東の“空っ風“の中から来ると、ここが“都“だった事が、潤湿さが漂っている事と、盆栽達がとても良い“色“で過ごしてくれている事でわかります。
2~3日に一度、天気が替わる“北山時雨“のせいか? 盆栽達に“潤い“を感じるのです。

庭内の盆梅達も、種類によって名残の花咲きから、これから咲き始めるもの、移ろう季節が梅だけでも教えてくれます。

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ここ芳春院は加賀百万石・前田家初代、前田利家公の夫人、“まつ様”諡“芳春院殿様“の建立。
前田家の家紋、“梅鉢紋“ に因んで、院内には、そこかしこに梅の樹があります。

盆栽庭園も負けずに数々の盆梅を飾らせて頂いています。

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枝垂れ梅の花が綻び始めると、早咲きの桜が後を追ってきます。
ここから季節の変化が日々感じる頃です。
手入れ・入替え・相変わらずの忙しさですが、訪れる方々に、静かな大徳寺盆栽庭園で、
ひとときの至福が盆栽を通して感じていただける様に尽くしたいと願っています。

【京都盆栽庭園の大雪!梅に想う心】

1月20日、京都は5年ぶりの大雪に見舞われました。
特に北部の山に近い大徳寺付近は、報道の発表を大きく超える積雪量でした。
庭園は明け方には雪に覆われ、庭も通路も寺内全体も白銀の世界になりました。

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閉園を決めて通路と盆栽の雪かきをする時、庭内の梅の古木「紅冬至梅」を見て、盆栽における梅の美を感じました。

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覆われる程の雪の傘!
降り積り続ける雪で、盆栽の枝々には数十センチの雪がのしかかります。
玄関の“大寒“の今、凍える空気の積もる雪の中、梅の枝先には、薄紅色の可憐な梅花が、純白の雪に映えて咲いていました。

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春まだ遠く、芽も吹かぬ中、梅はその花を凛と咲かせていました。
静寂の大徳寺庭園、細雪の降る中、それでも盆栽達は命の謳歌を続けています。
この庭を預かる私は、63歳になる中でも、今も盆栽と自然に“生きる“ことは何なのかを教えてもらっています。
今日は1日雪かきです💦



寒気の強い今年の冬。

羽生や大徳寺でも、暮れから新春にかけて何度も雪模様になりました。
積雪が多くなれば、雪害もあり苦労しますが、“細雪“と呼ばれる静かに降る雪は、
なぜか?まわりの“音を消して、“静けさの美しさ“と言うものを強く感じさせてくれます。
盆栽に帽子のように被る雪、静の中に佇む盆栽達。

自然が織りなす景色は、私達に色々な世界を見せてくれますね!




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