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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽庭園


【盆栽達も“麦藁帽子“❗️庭園観賞用の遮光設備設置!】

多くの皆様に、盆栽の素晴らしさを伝える使命の盆栽庭園。
酷暑の訪れを前に、試行錯誤の末に、和尚様と相談して、今までにない遮光ネットの設置をしました。


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普通、盆栽園の遮光と言えば、ハウスに陽除けの必要な盆栽を集めて、

寒冷紗など、陽射しを弱めるものを張って、ひと夏そこで管理していますが、ここは大徳寺!
なんとか美観を保ちながら、管理が出来るように出来ないものか? 
建て方の棟梁と相談して、少し贅沢ですが、遮光が必要な盆栽ひとつひとつに、“帽子を被せる“ように、杭棒にひとつずつ遮光を作ってみました。

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蝦夷松・一位・もみじや姫沙羅、夏とは言え、庭園はいろんな盆栽を観て頂きたいもの。
庭園の美観もこれならいいかな?と言う感じになったと、自画自賛❓しています(笑)

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何よりも、盆栽達が、長梅雨の後、厳しい暑さと陽射しに耐えて、無事に充実の秋となる事を願うばかりです。


【芽切りから暑さ対策の小屋掛け!】

慶雲庵(京都国際文化振興財団)の、年に一回の収蔵庫整理を二日間かけて終了して、
日々の混み合う予定で、渡邉君に任せきりの庭園に、久しぶりに入りました。

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黒松・赤松の芽切りと枝透かし、ヤマコウバシなどの、茂る葉組みの透かし切り、等々、あっという間の1日を過ごしました。

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芳春院建て方の棟梁との相談で、ここからの猛暑(京都の暑さはまるで火鍋!)に備えての、
庭内の箇所箇所、石柱毎の陽射し除けの小屋掛け、大体の感じを捉えて、ご住職の了解を頂きました。
庭園の美観、盆栽の保護、両方を考えての設置。

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皆さんにご覧頂く庭として、
盆栽の夏場の管理の在り方を見て頂くのも大切かなと思って考えました。
遮光ネットの手配をして、梅雨明け前には、陽射しに弱い盆栽達にも、“麦藁帽子”を被らせてあげたいです!


【1ヶ月の休園を終えて、盆栽庭園再開❗️】

京都も5月はウィルス感染対策としての、緊急事態宣言で、休園をしていた盆栽庭園。
休園していても、庭園と盆栽達の管理は変わりません。
杉苔の築山・敷砂利・延段・庵内の通路・各所の草毟りは、すべて手作業!
そして盆栽は勿論のこと、庭園の灌水、1日はあっという間に過ぎてゆきます。
そんな1ヶ月が過ぎた中、1日より再開をご住職と決めた矢先の宣言の延長、
結局、ご住職の判断で「いつまでも閉めていてもしょうがないから、たとえ僅かな来園でも、季節の樹々を見てもらえるように開けよう」となりました。
羽生から大型トラック1台の入替え作業。


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この庭園は全体が大きく「通常の国風展サイズ」でも少し小さく、見栄えの良い大きさとなれば、4人で担架を担いでの飾り替えです!
京都市内に盆栽園を構える大溝さんの協力を得て、1日かけてようやく再開の準備となりました。

数ヶ月前、木村正彦先生が改作された真柏大樹、ご住職にお願いして授けて頂いた銘は「龍翁」


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老成した龍王を思わせる樹相と見事に合致しています。

京都盆栽財団「慶雲庵」の田中理事長よりお預かりしている五葉松直幹「寿」


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この樹は、財団の継承前の創設者、旧高木盆栽美術館を興された、故高木禮二先生の遺愛品であり、国風賞受賞樹でもあります。

石柱を飾る大型作品32点、庭園を構成している礎石に載る中型10点、そして入替用のバックヤード保管分。
樹種名、目録など、大入替は大変です。

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羽生オークション「天地会」の開催、明治神宮での「奉納盆栽展」など、諸用多く、
週2~3日在園をしたいのですが、留守を預ける渡辺君には苦労をかけています。
それほどの人がまだ動かない今、それでもいつかは皆さんがもっと自由に古都を散策される日を待って、日々盆栽達を見守って行きたいものです。



盆栽人としても、日本水石協会としても、お付き合いの深い、春花園小林國雄師の愛弟子であり、
同所の盆栽美術館の館長である神君が、可愛らしい中国のお嬢さんと結婚されました。
コロナ下の中、挙式も難しいと思っていた所、“春花園でやります“の案内!
お祝いに伺って、中華風の挙式装飾の数々にビックリ‼️

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それでも祝う多くの方々と共に「人前結婚」の姿には、微笑ましい気持ちになりました。

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島村元農林水産・文部大臣(現・日本水石協会長)をはじめ、内田洋行など、上場企業の創業者など、錚々たる面々、
祝辞を頼まれましたが、盆栽界以外の何物も持ち合わせない私。
私らしい言葉を送りました。
“私も23年の番頭時代がありました。その時一番大切にした気持ちは、主家を第一にする事、己は滅する事、主人の“脇差“である事”、
加えて、夫婦2人で協力して、夢と言う荷物を精一杯大きな山へ運んでと。
自分も36年前、夫婦2人だけの資金で、農協の2階を借りて披露をした事が思い出されました。
盆栽の仕事では行く事がないだろうと思って、北海道の道東(阿寒・摩周・知床・根室)に旅行するのに、
式に来てくれた人達のお土産を買う予算もなく、お祝い金を袋に詰めて出発した事、苦笑いの記憶です。
でも、人が出会って結ばれて、新しい人生の幕が開かれる。
いいですね!


【植松家の巨大赤松一対・名匠の技で蘇る❗️】

京都盆栽美術館の準備打合せ・ここからの2人の将来設計を語り合う刻を、久しぶりに鈴木伸二氏の盆栽庭園で過ごしました。

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彼の作品群に囲まれた中、懐かしい樹に会いました。
中国清代、粛親王より明治政府に贈呈された稀代の名鉢『李鴻章の烏泥』を譲り受ける為に、
名家川崎家にお伺いした時に、一緒に譲ってもらった、日本盆栽界の歴史の象徴と言える赤松2本。
(李鴻章の烏泥は、その後、蘇州の仁者、楊家に譲り、今も大切にされています)

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(40年以上前、日本盆栽作風展に、皇居の盆栽と共に特別出品された時の姿)
250年前、江戸時代中期、東海道にその名を知られた名家、植松家は、各地の大名達の逗留処となっていました。
そこには、目を見張る巨大な赤松の盆栽がいつもあり、当時の権力者の間の噂になっていました。
私の下へ来てから間もなく、鈴木伸二氏の所へ移ってもう10年。
その姿は、威容と言えるほどになりました。
おそらく日本に現存する赤松の中でも、群を抜く巨大な老大樹と言えます。

時が経つのは早いもので、2人とも、ここからの残された時間の中で仕上げる“自分らしい仕事”を見つめる歳になりました。
まったく性格の違う二人。
だけど、一緒にいると“二人でしか出来ない事“が沢山ある事がわかる二人。


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ここから彼と何を見つめてゆくか?楽しみです。

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