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盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽庭園


【五山の送り火と盆栽庭園 悠久の時の流れ】

8月16日、京都は13日にお迎えした個々の精霊(先祖)を冥土に迷わず送る“五山の送り火“が行われました。
東山の“大文字“・松ヶ崎妙法山の“妙“と“法“。
西賀茂の船形から、北山の“左大文字“、そして曼茶羅山(水尾山)の鳥居本。
妙と法はひとつと数えて五山の送り火としています。
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大徳寺盆栽庭園からは、すぐ後ろの北山金閣寺から仰ぐ“左大文字“が間近に見えます。

1000年以上前に起源を持つ送り火。
最近は観光的な報道が多い行事ですが、
京都の方々にとっては、順々に灯火されてゆく送り火に手を合わせて、精霊や先祖に対しての尊崇を心に祈る“静かな“ものなのです。


長い時の中、戦禍や疫病など、人々を苦しめる様々な出来事が歴史の記憶にあります。
盆栽も日々愛情を注ぎ、これを守ってきた人達、数多の災害を経て、樹相を変えながらも必死に生き抜いてきた老樹達。

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庭園から“左大文字“を仰ぎながら、盆栽を眺め楽しめる“今“が、ずっと続きますように、祈る日でした。
合掌。


長野県小布施町、久しぶりに友人鈴木伸二さんの盆栽園に伺いました。
いつの間にか、彼も今年で60歳、30代初めの頃、
“小布施に盆栽美術館を作りたいので、相談に乗って欲しい“と言われて、
もう30年以上の時間が経ちました。

業界、世界を代表する盆栽作家になられた彼は、昔と変わらず、唯々盆栽を見つめる好青年!
それでも多くのお弟子さんを育てて、今も6人のスタッフを抱えて日々盆栽と向き合っています。
“森前さん、盆栽と居る時間だけでいたいですね!“
・・お互いにこの歳になると、この言葉には本当の想いを感じます💦

庭内の盆栽達は、私の雨竹亭とは桁違いのレベル‼️
名樹が当たり前のように所狭しと置かれています。

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“樹と一緒に生きていたいんだなあ“・とつくづく思います。
特に盆栽のひとつひとつに対する適切な管理面には頭が下がります。

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どんな樹でも、“今はこの状況が一番“と思える管理です!
盆栽園には、それぞれ園主の個性や感がう方が滲み出ます。

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彼は本当に盆栽を愛しているのでしょう。

【ひと足早く『初夏の飾り』芳春院盆栽庭園❗️】

絵に描いたような大徳寺の青空!
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盆栽達もひと通りの春の手入れが終わり、緑豊かな充実の時に入りました。
庭内「通玄庵」の床の間も、少し早めの“夏飾り“にしてみました!
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「緑陰」の言葉がピッタリとする“山蔦“。
空にはまだ湿気を纏った月、そこに一閃をひくホトトギス。
里山の寓居からそれを見上げる高士。

床飾りで大切なのは、“間調子“  と言われる、主木はもちろんの事こと、
掛物、添景、などの空間を活かした、その場面の全体を“ゆったり“と設えてあげる事です。

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明治期に中京で活躍した日本画家、織田杏逸が遺した「月にホトトギス」の図。
細身の軸に小さめに描かれたホトトギスが、画中は勿論の事、席全体を広々とした世界を創り上げています。

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山蔦も大き過ぎず、葉物盆栽の季節と“色“をよく表しています。

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添景に木彫を使った事で、主木や掛物の“季節に合わせた柔らかさ“を扶けてくれました。

盆栽にしても、水石・山野草の飾りにしても、どうしても“肩肘を張った“席を創りがちですが、
空間と季節感を活かした“日々の飾り“を努めることが、いつの間にか、スッキリとした席作りになるものです。

とは言え、いつも“その時の飾りと持ち合わせの道具立て“で、頭を抱える日々の多いこと💦

【盆栽・水石の “飾り方“  について】

最近は若い方々にも盆栽や水石が広まってきた感があって嬉しいことです。

初心者的な栽培方法から、樹造りのマスターへ、そして展覧会などに見られる名品へ鑑賞と憧れ。
誰もが辿る趣味の道ですが、近年、盆栽も水石も、単にその本体だけでの評価や楽しみに特化してしまっている感があります。

本来、この趣味は最終的にその盆栽水石を自身の感じる“世界観“や“自然観“、そして突き詰めれば、“人生観“ 的な飾りへと昇華して欲しいものです。

例えば、文人樹と言われる、細身の飄々とした松は、それ自体だけで観れば、
真柏などの迫力ある舎利幹などの自然芸術性に圧倒されがちなもの、
でも、その樹を掛軸と合わせたり、水石や山野草と組み合わせる事で、その樹の周辺の景色や、その樹に求める世界観が、広がっていきます。

水石にしても、静かな一塊の石に、その周りの景趣を想わせる道具と取り合わせる事で、
まるで石に自然界の命が宿されたような景色が浮かび上がります。

日本人は、日常の身の回りに四季折々の自然を取り入れた生活を楽しんできました。
それを盆栽や水石で表現できたら、どんなにこの趣味が奥深くなるでしょうか。

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京都大徳寺の「芳春院盆栽庭園」でも、庭内の大型名木の鑑賞とは別に、
展示場には、誰もが持ちやすい楽しみやすい中型の盆栽や水石を使った総合的な飾りを日々披露しています。

皆さんも、ご自分の盆栽や水石を、“ひとりぼっち“の世界から、遥かに広がる世界にしてみませんか!


風吹く飄々とした松。
足元には爽風になびく風知草。
これで季節が表せます。
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風雪に耐えて生きた真柏の姿、左に遠くに見える山姿の鞍馬石。
掛物は「鳥鳴きて山更に幽なり」鳥が鳴き山々は大自然の大きさを謳っていると言う、
自然界の“あるがまま“を伝えているものです。
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吹き荒ぶ自然の中に生きる松の姿、
眼下には渓谷の清流や滝に見える貴船石を“水気“を感じるように水盤に仕立てています。
掛物は江戸期の名筆、狩野探幽の「波濤」水気を意識した飾りです。
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【五月雨の“緑陰“に包まれた芳春院盆栽庭園】


5月14日は、芳春院開山忌(玉室宗珀和尚)です。
半月ぶりに手入れで赴いた芳春院盆栽庭園は、新緑から美しい深い翠へと空気を変えていました。

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五月雨と呼ばれる、シトシトと降る霧雨が、緑の美しさを引き立たせています。
徒長芽の抑え切り、松柏類の新芽止め、病虫害の予防視認、施肥の状態。
そして何よりも、
庭園の雑草(ホントは雑草と言う名の草はないのですが💦)の手摘みによる除草❗️

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それでも静かな空気に包まれたこの庭園で盆栽といると、世情の憂いのすべてが消えていきます。
“ここにずっと盆栽の事だけ考えていられたらどんなにいいだろう“
などと、歳を重ねても相変わらず、修行の足りない私です(笑)


雲の間から見える庭園からの比叡山
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木村正彦先生が、庭園の為に作られた創作盆栽群(右)
加藤三郎先生遺愛の石群(左)
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隣接する龍泉庵の書院庭園
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盆栽庭園を作る時、150年間荒れ果てた地から出た仏様
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