雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽庭園


京都大徳寺・「芳春院盆栽庭園」も、着工から1年、隣接する龍泉庵の本堂、書院、玄関、などのも、ご住職の指示で殆どが仕上がりました。

IMG_8728

盆栽庭園の方は、私が無理にお願いした、庭園を腰掛けて眺められ、水石や山野草を飾る16mの展示場も、
ようやく銅板の屋根の葺き込みが終わり、棟瓦も乗りました(やっぱり、切妻屋根は銅板葺きがいいですね!)

IMG_8729

脇に建つ手入れ室と小間床も、あとは建具などの完成を待つだけ。
ここからはいよいよ、庭園の工事になります。
庭方の大将が淡路島の造園に入っているので、お盆明けの打合せ。
歴史ある禅林の中に作る盆栽庭園。
あくまでご住職の想いを大切に進めたいと思います。

IMG_8727
“森前君も頭丸めて入るの?”・・お客様にはからかわれてばかり!
ここは臨済宗の名刹。
ここに盆栽庭園が出来る事だけでも、お手伝いできる事だけでも、この仕事に歩んできた冥利があります。
私はあくまで盆栽の脇役、せいぜい寺男程度の存在です。
おひとりでも盆栽をよくご存じない方々に、本物をお伝えするのが役目。
それが国風賞級であろうと、可愛らしい儚いひと鉢であろうと、
盆栽として納得のゆくものを披露することが、私がここで広げる世界です。
もうしばらくお待ち下さい!

【200年前の五葉松盆栽が8mの巨木に!】

四国高松市の鬼無国分寺に“将来の名木”となる原木を探しに出向いた折、初めて国の特別名勝となっている「栗林公園」に見学に訪れました。

IMG_8424

十数年、盆栽の仕入れで来ている高松ですが、いつも時間のすべてを盆栽探索に費やすため、この地の素晴らしい景色を堪能する機会がありませんでした。

IMG_8425

同行した中国から3年の研修で羽生に来ているハオ君ツァオ君は、初めての四国。
残り少ない日本での時間。
当然この高松も最初で最後です。
こんな時でないと、私も見事な公園を拝見する時間が取れないので、半日ゆっくりと300年を超える築庭を愉しみました。

IMG_8428

中でも、やっぱり盆栽業!
他では絶対見られないと教えて頂いていた黒松の大樹「鶴亀の松」と、将軍家拝領の「根上りの五葉松」は、感動の一言でした。

IMG_8422
IMG_8423

「鶴亀の松」は、圧巻の幹太さ!
うねるような幹模様!
そしてまさに“ザ!ボンサイ”と言える樹姿!!!。無粋な商人根性で見てしまうと(中国の盆栽家の方々は、数億円でも欲しがるだようなあ)など、不謹慎極まりないことを思ってしまう自分に喝!!

IMG_8426
IMG_8427

「根上りの五葉松」は、天保4年(1833年)9代高松藩主が、徳川家11代将軍・徳川家斉から贈呈された““盆栽の松““と記録されていることにビックリ!
係員の方に伺うと、根は黒松、樹は五葉松。
つまり「接木五葉」、盆栽の時も将軍から親藩の藩主への贈物だったから、50〜100年は経っていたものでしょう。
多分、樹齢250年~300年、盆栽が歴史の中で長く命を繋いでいたなんて、本当に嬉しかったです。
私達も、拙くても、100年の後にも残る盆栽を手掛けたい!と願うひとときでした。

【お手伝いの草むしり!】

着々と進んでいる大徳寺芳春院の盆栽庭園工事。
庭内の展示場・手入小屋、まもなく屋根部分も仕上り、建具部分に入ります。
庭園は建て方が終わってから、その現場での目線を考えてご住職とお話しして進めるつもりですが、
盛土にしてある所全体に草が生い茂ったので、先日雨の中、3人のスタッフを連れて「草むしりに京都」!
ヘ行ってまいりました。
IMG_8166
刈ってしまうとすぐに根から生えてくるので、合羽を着てすべて手で根から引き抜きました。
ここが将来盆栽界の文化的象徴となってくれる事を願いながら、膝をついて500坪の敷地をみんなで綺麗にむしりました。
IMG_8165
盆明けには、いよいよ庭園に入ります。
ご住職に基本的な禅林らしい庭園を想定していただき、そこに盆栽を飾りやすい設計を加えるつもりです。
IMG_8167
15歳の時、禅僧になりたかった小僧が、盆栽の道を選び、沢山の方々に扶けられ、導かれて、
いつのまにか大徳寺に盆栽庭園を設けるお手伝いをすることになりました。
年でしょうか?
どうしようもない私、ここに辿り着くために歩んで来たようにも思えます。
そんな気持ちで、一日ここの地に膝をついてここに生える草と共にいた事、有難いと思います。

写真に見える土塀は、豊臣秀吉が織田信長の一周忌に大法要を営んだ、寺内「総見院」の北側の土塀で、最近塗り直しをしましたが、創建当時のものです。
盆栽庭園の借景となる壁が、500年の歴史ある塀!
有難いです!

【手入れに励まれる80歳の日々】

福島県の著名愛好家・舩山様と手入れのご相談で木村先生の庭に伺いました。
ご一緒に海外旅行までされる旧知のお二人。
IMG_7971
笑顔で歓談される姿は、御用掛をさせて頂く私から見ても、とても温かい光景でした。
舩山様が、岩崎大蔵先生から受け継いだ未完の大樹、久しぶりの対面で、
“これがあの樹?”と、手入れ前の姿しかご覧になっていない舩山様は驚きを隠せないご様子でした。
前庭に広がる「木村ワールド」と言える名木群。
普段はここしか公開しませんが、作家と愛好家と言う垣根を超えての間柄のお二人、
木村先生は、“奥の棚へどうぞ”と、非公開とされている棚場を案内して下さいました。
IMG_7972
名のある名樹、未完の逸材、傷みを回復中の樹、“木村マジック”で姿を変えてゆくもの。
この棚場はからどれ程の名木が世に送り出されたのでしょうか。
近日、福島に出向いて頂いて、舩山様が蔵される「真柏の王」と言える大樹。
昨年木村先生による大改作が行われ、その培養進行を確認して頂く事を約してのひと時でした。


【みのお茶寮・矢内先生の世界】

久しぶりの関西、大阪のみのお茶寮・矢内先生の庭に訪れました。
IMG_7657
独立した23年前からのお付き合い。
独特の個性と卓抜した盆栽に対する慧眼。
当時から“関西にこんな味を理解される愛好家がいたのか!”と感心させられた世界は、相変わらずの庭でした。
IMG_7665
七十代の後半となられた今「老練」の言葉が似合うお人柄、
そして盆栽達は、私達プロが目先の商売にかまけている間に、徐々に失われつつある先人達が伝えてくれた「真の盆栽美」が見事に息づいていました。
IMG_7666
ひとつひとつの樹の表情を捉えた樹作り、惜しげもなく使われている名鉢、
ここからの時代だからこそ、伝えてゆくべき“盆栽とは?”と問いかけた時の答えのひとつがここにあります。
『矢内ワールド』は、ご本人と共に益々の健在でした!



↑このページのトップヘ