雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽庭園

【“春近し“  大徳寺盆栽庭園・植替え前の手入れ❗️】

“寒の戻り“を思わせるような寒さの京都。

IMG_9387
大徳寺芳春院盆栽庭園も、まもなく始まる“植替え“を前に、雑木盆栽や花物盆栽の細々とした手入れをしています。
“芽留め“と言われる徒長枝の切込み、河津桜や寒桜の野放図になりがちな枝々の角度や流れなどの微調整。

IMG_9389
少しずつの手入れですが、これを年々怠らずにしている事で、いつの間にか、盆栽達はその姿の美しさを増してゆきます。

IMG_9390
IMG_9391
“これを植え替えなきゃ“  “あれの鉢をどのように替えようか“  そんな事を考えながら、
少し寒い風の中、盆栽達に向き合っている時間は、意外に楽しいものです。

今日も海外の方の多いこと❗️
工事準備の進む庭園奥のシートの中、盆栽庭園は現在の2倍の広さになります❗️

IMG_9388
新たに始まる庭園の第二期工事!
ここからまた新しい舞台の幕開けが始まります‼️

それにしても、樹々を一本ずつ眺めれば眺めるほど、やるべき“仕事“は果てどもありません💦 
“樹守り“として頑張ります💪


【“梅から椿“ そして芽吹の春❗️大徳寺盆栽庭園‼️】

“雨水“から“啓蟄“、寒暖の差大きい2月も、いつの間にか“春“の兆しがすぐそこに来ています。京都大徳寺「芳春院盆栽庭園」の樹々達も、“今年は不思議な2月だね“という、
人の思いなど素知らぬ顔で、普段通りの季節の移ろいを現しています。
国風盆栽展の慌しさが過ぎて、ホッと訪れた庭園。

IMG_9261
梅の各種は、花を終えたもの、名残の花を楽しませているもの、椿の花々も同じです。
ふと見れば、国風賞の花梨名樹も、梢の先には、もう新芽の息吹がありました。

IMG_9260

少し早い“三寒四温“。
それでも、自然界の“輪廻“はホントに正直なものですね!
間もなく、庭園の春の象徴“枝垂れ桜” が儚くも美しい花姿を訪れる方々に見せてくれます。
併せて、雑木盆栽から始まる、“春の植替え“ が目白押しになります。
庭園の片隅にブルーシートを敷いて、4人掛かりで挙げて💦根ほどき~鉢合わせ💧
でも終わった後のスッキリとした樹達を見れば、疲れも飛びます。

IMG_9259
でも、国風展と言う業界のお祭りでもあり、渦巻く取引のドロドロ😓 
そこからこの庭園に帰ってくると、“ホントにここはいいなあ“と、つくづく思う私自身に笑ってしまいます😅

【雪の大徳寺☃️盆栽庭園❄️】

大寒の頃となると、京都北部にある大徳寺は、日本海側の気候が、日々舞い降りて来ます。
朝夕、さっきまで青空が見えていたと思えば、北山を越えて雪雲が空を覆います。
今朝も,未明から降り始めた雪が,庭園の景色を変えていました!

IMG_8918
深々とした空気の中、盆栽達は雪帽子を纏います。
寒そうに見えますが、彼らにとっては、関東地方の乾燥した空っ風よりも、
ある程度の湿度を与えてくれるこの地の方が、環境としては良いように思います
(勿論、低温を嫌うもの、樹の施術などをしたばかりの樹は保護必要!)

IMG_8919
紅冬至梅の名品も、雪の中に花色が埋まって見えます!
国風賞の花梨も、まるで白い花を咲かせているよう!
真柏は、翠の葉組の雪帽子で、舎利幹とモノクロ世界!
上杉謙信の一位「謙信峠」は、生まれ故郷に帰った感じ!
こんな景色も、陽が昇れば、あっと言う間に“幻“のように消えてゆきます❄️
名ばかりの立春も間近の中、大徳寺の盆栽達は、意外にこの冬、この雪、を喜んでいるようです❗️

【京都・大徳寺 厳寒に咲く盆梅の花❗️】

1月15日、小正月も過ぎると、古都京都はまさに悴む真冬の中です。
芳春院盆栽庭園も、市内とは別世界と言える“北山時雨“。
街中が晴れていても、ここは朝夕には山を越えて雪雲が降りてきます。

IMG_8798
細雪が庭を覆い、雲が晴れれば、陽の光でスッと雪が消えてゆく。
そんな毎日が始まります。
でも盆栽にとっては、これくらいの雪や寒さは、丁度良いものです。
埼玉からここへ飾った盆栽達は、何処となく葉色が良くなる気がします。

IMG_8797
雪帽子の寒椿から、ひと足早い梅の花へと、庭内の盆栽も替わっていきます。
野梅・紅冬至・道しるべ、雪舞う中に咲く梅の姿は、いいものです!
床の間にも、梅の飾りをしました。

IMG_8796
つい最近まで、培養場で何年も陽の目を見ずに置かれていた梅。
手入れをして鉢を替えて、この間まで、誰も見向きもしない所にあった樹が、今は大徳寺の床の間にあります。
私達盆栽人は、何よりも樹を作っていかないと!と思います。

厳しい冬はこれからが本番です。
その中でも、ここは夜明け前から、修行道場の鐘の音が聞こえてきます。


除夜の鐘まで、あと数日となる中、今年最後の大徳寺入りとなりました。

IMG_8584
上杉謙信公の一位、国風賞の花梨、木村正彦先生の創作石付真柏、
伏見宮様の宮様楓、そして徳川慶喜公の五葉松、そのほか、数々の名樹達も、静かに健やかにこの庭園で新しい年を迎えようとしています。

IMG_8582
あっという間の一年、それでもいろんな事があった一年。
蹲にも氷の張り始めたこの頃、異常気象と言われた今年、ようやく冷気も出てきて、盆栽達も佳き眠りの刻を迎えています。

IMG_8585
盆栽園の各地での海外グループによる盗難が相次ぎ、インボイス制度の始まりで困惑する業界、
良き事、悪き事、織り混ぜて年は過ぎていきます。

でも、盆栽達にとっては、数百年という樹齢の中で起きる、ちょっとした出来事。
私達も目の前の出来事にせめて心だけでも振りまわされないようにしたいものです。

IMG_8583
禅林の修行の鐘音、鳥や風の音、今年も無事に守れました。
ありがとうございました。

↑このページのトップヘ