雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽鉢

【「鉢作り」の歓談!】

先日 古老の訪問を受けました。
雨竹亭の庭に ご老体がいらして、“何処かで見た方”と思い 声をかけたら、日本鉢名工「中野行山」先生本人でした!
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ご本人とお話しするのは初めてで、本物の鉢作りに対する問答で
“こんなに制作に詳しい盆栽家にお会いしたのは初めてで、今日は会えなくてもと伺って良かった”
と言われて、少し照れてしまいました!
八十路を目前に 政策に対する考え方は、壮年期のまま。
「最近は 注文の額面長方などに飽きてしまいました。次の時代に受け入れられるもっとデザインを考えた作品を目指したくて、森前さんの意見を聞きたかったのです」

!!!

同じように 盆栽の創作に情熱を輝かせる木村正彦先生と通じる
「到達した名人のみが感じる境地」があるのだなあ、と 還暦を迎える私など、まだまだ修行が足りないと痛感しました。
“見てほしい”と言われた2枚の新作鉢の内、一作を無理を言って譲って頂きました。
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「全盛期で年収1000万・普通は500万に届くかどうかが、鉢作りの職人の価値ですよ」
の言葉にもビックリ!
中国の奥地に行って「失われた盆器の歴史と技術」を追求する私。
振り返って、日本鉢の陶地・常滑に次代の盆器を共に描ける人物がいないものか?
もう一度色々と考えようと思う行山先生との時間でした!

 【新たなる名品盆器制作の旅】

「均窯」の再現を夢見て2年前、西安の雨竹亭チームと始めて訪れた広州佛山市。
探し求めて辿り着いた 「龍窯の再現」へのパートナー『石峰雨竹』。
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第二段としての製作打ち合わせの為、初めてスタッフ同行で赴きました。
“2尺5寸を超える釉薬鉢”への挑戦は、釉調や狂いを出さない窯入れなど、
試練の多いものでしたが、ようやく完成に近くなりました。
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秋から冬には、来春の植替えに間に合うものを日本に到着させたいと思います。
失われた広東釉薬鉢の逸品、今苦労して作っている作品達が、
私が逝った数十年先、日本盆栽界で、国風展などに当たり前のように使われている事を夢見て、40度近い旅は続きます!
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【失われた 古渡盆器の再現・次代への遺産として】

泥物盆栽鉢の頂点・中国江蘇省宜興県の窯場『宝山』に “失われた古渡盆器再現” 
そして これを良心的価格で 日本盆栽界に紹介する活動を開始する為、半年振りに訪れました。
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以前にもコンテナ2台分を羽生に運びましたが、まずはプロ専業者の皆さんに
使用されている胎土や洗練された古渡を踏襲した『宝山』の作品の素晴らしさを伝えようと紹介したところ、
蔓青園さん椎野宝樹園さん達、活躍目覚ましい人達に殆どが売れてしまって、市場に送り出す分がなくなってしまいました。
先達の盆栽界が伝承してきた名器の多くが、海を渡って作られた中国に渡った今こそ、
10年後・20年後 の日本盆栽界の為に『次代の名器』を 日本にもたらすのが、私の仕事だと思うようになりました。
18歳の時、修行先の竹風園で大量の宜興紫砂を親方が誂えて、必死に全国を売りに歩いたことが思い出されます。
私が今紫砂盆器を発注しているのが、当時の宜興紫砂陶磁公司を前身とした会社『宝山』で、
何人か当時のことを知る人がいる事も不思議な縁です。
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18歳で宜興鉢に出会い、38歳で独立して、20年後の今、次代の盆栽鉢をその地で作っている・・・
人生はほんとに不思議な巡り合わせだなあ、と思います。
2月8日からの国風展売店(上野グリーンクラブ2階)のエスキューブの店にもこれらは飾られます。
是非ご覧下さい。
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