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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽鉢


コロナ感染非常事態の中で開催された「第95回国風盆栽展」併催の盆栽大市。

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私達専業者の本丸「上野グリーンクラブ」の特設売店も、
通常のブースメンバーから、出店見合わせの業者さんが多く、各店の配置も大幅に変更されました。


私共エスキューブ雨竹亭も、従来の2階大型ブースから、初めての1階屋外ブース。

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開催直前に、メイン会場の“名園大手”が定席となっているクラブ本館1階の、2店舗分を追加で受け持つ事になり、
思案の末、“こんな時だからこそ、来場される皆さんに、最高の展示をお見せしよう!“と決めて、
普段では出来ない、“名品のみの本格展示”をそこでしてみました。


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屋外の超大型ブースも、ありがたい事に、初日だけで25点のご成約を頂き、
メイン会場の名品展示コーナーも、皆様にお褒めの言葉を頂く結果となり、有り難く思っています。




盆栽園は、各園それぞれの個性と特徴があってよいもの。
規模の大小ではなく、自分の願う売店作りで愛好家に楽しんで頂く事が大切だと思います。
“海外が来ないから・コロナで来客が半減するから・どうせこんな時売れないから”、
色々な考え方があっても仕方がないと思います。
でも、私はこんな時こそ、それでも盆栽が好きでいらして下さる方々の為に、
プロ業者は、“明日の為に“精一杯の店作りに心がけるべきと考えています。

友人の名匠、鈴木伸二さんもいつもの年と変わらぬ見事な出店。

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17日まで続く祭典、来て下さる愛好家の皆様の為に、日々僅かな努力でも大切に盆栽界の一大イベントに尽くしたいと思います。



2月8日〜17日に開催される「第95回・国風盆栽展」に併催される、上野グリーンクラブの「立春盆栽大市」は、
私共エスキューブ雨竹亭も、毎回クラブ本館2階に、最大ブースを設けさせて頂いておりましたが、
新型コロナウィルス感染予防による出店ブース減少により、
“盆栽界の一大イベントの会場が、ガラガラの出店は寂しい“との判断と、組合への協力を込めて、
初めて1階室内付き屋外ブース(29台分)と、大市のメインホールである本館1階の鈴木伸二師が作品を陳列する対面の大型ブースの2ヶ所を預かる事になりました。


コロナの非常事態宣言延長に伴って、今回はお得意様への案内も控えての開催です。
“海外も来ない、国内も半減、売れない”の下馬評は、そうかもしれませんが、開催すら危ぶまれた国風展、挙行が決定したからには、
こんな中でも訪れて下さる愛好家の皆様へ、お楽しみ頂くだけかもしれなくても、お迎えをする展示をするのが、専業者の責務と思っています。

4日会場設営、5日盆栽搬入、6日飾り付け完了、7日午後プレオープン。
その前日の3日、秋に発注した雨竹亭オリジナルの中国盆栽鉢(宜興宝山製の泥物鉢と広州劉峰窯の広東鉢)が、40ftコンテナで着きました!
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朝から全員で下ろして検品、かたや明日の設営の資材積込み(資材だけで2トントラック1台!)
テンテコ舞いの1日でした。

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会場に持ち込む盆栽達の仕上げ手入れも夜まで、鉢を磨き、化粧苔を貼り直し、
細かな枝先までの見直し、等々、やりたいことばかりに追われる数日です。

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こんな事をもう45年以上やっていますが、国風展、その売店、いつもワクワクそわそわするのは、盆栽業の性でしょうか(笑)

【80歳の作家意欲に脱帽!】

国風展の時、わざわざ私のような者と会う為に上京して下さった「樹鉢界の至宝」中野行山先生。
“必ずお伺いします”と言う約束を果たす意味もあり、四半世紀ぶりに日本盆栽鉢の聖地、常滑を旅しました。

行山先生のご自宅兼工房を訪れて、まずびっくりしたのが、蔵されているご自身の作品の多さでした!
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所狭しと室内に陳列された鉢・鉢・鉢。
パッと見ても約1000点!
更に感心したのが、工房に隣接する中庭の盆栽棚、数十点の盆栽はすべて行山先生の鉢に納められていました!
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私が鉢造りに対しての思いがある事をご存知の先生とは、形姿・焼成法・歴史など、汲めども尽きぬ時間を頂きました。
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初めての訪問にもかかわらず、大切な工房から窯場までご案内下さり、
80歳の今も“森前さんはどう思いますか?”と、飽くなき探究の姿勢に感服するばかりでした。

常滑の街は、若い陶芸家の方々が、新しい焼物の街として色々な挑戦をされているのが窺えましたが、
盆栽鉢の作家の皆さんは、けして豊かな“今”を送られているわけではない事も実感しました。
昔訪れた時には、多くの窯の煙突が勢いよく煙をあげていましたが、環境問題もあり、古い窯はまるでヨーロッパの古城の廃墟のようになっていました。
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私達、盆栽業界に生きる者が、もっと作家達の卓抜な鉢造りの技術の継承にも目を向けていかなければいけないと痛感しました。
名工『誠山』『山秋』は今はいません。
行山先生のように老成された作家も少なく、幸いにも誠山窯を継いだ、釉薬鉢の名手『黎鳳』で名高い片岡黎鳳先生の窯に伺い、
洗練された作品群に触れた事を土産に“もう一度、もっとどうすれば手伝えるか?”を考えて、この街に来ようと思います。
立ち並ぶ窯煙突が消え去らないように。
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【展示用の古鉢群の圧倒的な充実と日々変わらぬ手入れ作品】

貴重盆栽登録審査会の打合せで、木村先生の庭に伺いました。
国風展が終わり、貸し出しされていた展示用の古鉢群が、丁度並んでいました。
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古渡大型鉢から3点飾り用の中型鉢まで、「これだけあれば、多くの作品の利用に充分」と言える保管量です。
日頃から先生は
「私にとって古鉢は、売り買いするものではなく、盆栽を映えさせる衣装のようなもの。必要なものを少しずつ集めた結果」
と仰っています。
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愛好家の仮植えから戻されて元の鉢に植えられた盆栽は、
樹勢を留意して先生のハウスで、3~5週間状態の安定が確認されるまで管理されます。
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そんな中でも先生は、新たな作品作りに邁進されています。
老成されてなお、制作意欲は衰えるどころか 益々意気軒昂!
すべての点で 盆栽人として見習うことばかりの大先輩です。

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【「鉢作り」の歓談!】

先日 古老の訪問を受けました。
雨竹亭の庭に ご老体がいらして、“何処かで見た方”と思い 声をかけたら、日本鉢名工「中野行山」先生本人でした!
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ご本人とお話しするのは初めてで、本物の鉢作りに対する問答で
“こんなに制作に詳しい盆栽家にお会いしたのは初めてで、今日は会えなくてもと伺って良かった”
と言われて、少し照れてしまいました!
八十路を目前に 政策に対する考え方は、壮年期のまま。
「最近は 注文の額面長方などに飽きてしまいました。次の時代に受け入れられるもっとデザインを考えた作品を目指したくて、森前さんの意見を聞きたかったのです」

!!!

同じように 盆栽の創作に情熱を輝かせる木村正彦先生と通じる
「到達した名人のみが感じる境地」があるのだなあ、と 還暦を迎える私など、まだまだ修行が足りないと痛感しました。
“見てほしい”と言われた2枚の新作鉢の内、一作を無理を言って譲って頂きました。
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「全盛期で年収1000万・普通は500万に届くかどうかが、鉢作りの職人の価値ですよ」
の言葉にもビックリ!
中国の奥地に行って「失われた盆器の歴史と技術」を追求する私。
振り返って、日本鉢の陶地・常滑に次代の盆器を共に描ける人物がいないものか?
もう一度色々と考えようと思う行山先生との時間でした!

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