雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 飾り


最近は秋の彼岸まで続く残暑。
それでも暦も朝夕の空気も何処と無く秋の気配。 
盆栽飾りも"ひと足早い季節の姿"が嬉しいものです。 

相生の幹立ちが風になびくように流れを見せる五葉松、
見上げる空には「中秋の名月」、
対岸の深山は名残の滝音を残す渓谷の美。 
まだまだ水遣りに余念の無い中、どことなく"もう秋だなあ"と捉える心を大切にしたいものです。
9月15日が中秋の名月ですが、実際には17~18日が一番満月に近いみたいです。 

私も含めて多くの盆栽愛好家が訪れて下さるプロの盆栽園は、
せめて一席でもこんな季節を切り取った席飾りを毎日しないといけないですね。 


【蝉時雨の向こうに見える荘厳な瀑布   山越え深く自然林】

朝夕の水打ちに人も盆栽も生気を取り戻す頃、盆栽の床飾も盛夏の作法。

雲湧く山々を越えて遠くに聴こえた滝音は、眼前に水飛沫の清冽な姿を見せる大瀑布へと。
その水は岩清水となって"水守り"と例えられるブナの原生林を育んでいます。

根元の寄植え部分が白く絡み合うブナならではの美しさが長年の"鉢持ち込み"によって
まるでその林間へ誘われるかのように感じられます。

人界では得られない大自然の興趣を席中に創出しようと努めた席飾りです。
昭和前期に描かれた楳崎珠雀の「瀑布図」水墨の作品によってブナの緑陰の美しさが際立っています。
また、脇の水石を水盤使いではなく、台座としたことで滝の清冽さ、
"分けいっても分けいっても続く神韻響くブナの原生林に"瑞々しさ"に
"水"を感じることへの強調ができたと思います。
夏雲の向こうに変わらぬ自然の営みが見える盛夏の一席です。


【長刀鉾に無病息災と家内安全の祈りを込めて】

6月30日は半年の「穢れ」を落し、斎戒した身であらたな半年を迎える"夏越の祓"。
雨竹亭も新春、国風展・都美水石展・風雅展明治神宮水石展等々、
様々な行事をお客様と共に歩んで来ました!
夏を迎える前、私も訪中を控え、留守中の息災を願う気持ちを込めて、
応接室の飾りを設えました。


主木のイワシデは雑木盆栽の"鋏作り"はかくあるべし、
と言えるほどの見事な仕立てを見せる逸樹。
名匠 山北松月翁の作。
掛物は月下に進む長刀鉾。7月中京都を彩る「祇園祭」の象徴です。
山鉾の先頭をいくこの長刀鉾は邪を祓い、
古来疫病などを祓う思いが込められたと言われます。

脇床の峯雲名水盤に取り合わせた揖斐川石は、深山の奥に渓聲聴こえる谷姿。

病虫害に強いイワシデ、邪気を祓う長刀鉾、霊気宿る清流の聲・・・。
厳しい夏を乗り切る思いを一席に込めてみました。


【都会の喧騒を忘れて  山野草・盆栽・水石  そして  アンティークの数々】

今春、池之端の老舗骨董店「呂宋・内久根」が
銀座雨竹庵  池之端店」となり、半年が経ちました。
創業70年(終戦後  開店!)の歴史を持つこの店は、
私どもの古くからの友人である現店主内久根シゲ子さんが2代目として守られていたものです。
美術骨董界に信頼厚い内久根さんが "店長"を快く引き受けてくれたので助かりました!
床の間飾りも楽しめる店内は、盆栽水石界と
骨董世界の様々な道具を楽しんで頂く「出会いの場」として
多くの皆様が内久根さんとの語らいのひと時を楽しまれています。

この間、霧煙るまさに今の季節を切り取った様な飾りをされていました。
 
室内に自然の美しさと詩情を取り入れる日本の素晴らしさを伝えたいと店主は願っています。
(店主は結構男勝りの"江戸っ子タイプです!お会いになればわかります!)

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