【古老名人達の本領!】
舩山秋英先生の叙勲を祝って友人達が開催した祝賀展は、
現代数寄屋建築の名亭「八芳園・壺中庵」全館を使っての平成最上の展覧でした。
招待客のみの半非公開の様な展覧でしたが、次代に伝えるべき内容だったと思い、特に秀抜な4席をご紹介します。
イワシデの席
自然な株姿の古幹に数十年の鋏作りが物語る枝味の素晴らしさ。
日本盆栽界が捉えるべき雑木盆栽の美が集約された作品です。
格調高い床の間に合わせてかけられた「水墨山水」は、江戸期大家 狩野探幽の筆。
樹と掛物だけで充分に席中の風趣を醸し出していますが、場面の広さを考えて、
樹と掛物だけで充分に席中の風趣を醸し出していますが、場面の広さを考えて、
“留め飾り”として、この景色を壊さない 双鹿の添を配されました。
瀬田川石の席
瀬田川石の席
配する水盤は薄造りの中渡均窯の中でも釉調に静けさを漂わせる“吹墨”の均窯。
掛物は横山大観筆「東海の朝」。
祝賀の意を込めての目出度さを現出した水石飾りの“引き算の美”を見事に具現した一席。
赤松の席
赤松の席
静かな月の掛物との取合わせは、定法。
右に設えた、呑平水盤での蓬莱山の取合わせが心憎い。
閑雅な印象の赤松飾りに、蓬莱図を水石で取合せることで、祝賀の一席とされた。
ノウゼンカズラ(凌霄花)の席
ノウゼンカズラ(凌霄花)の席
花色も里の種よりもひと色濃く、暑季の中、ひときわの目を惹く。
水面に映る「水月」の図は、主木の観を見事に扶けている。
添えの一木彫りの苫屋舟が、塗床ゆえ “素置き”で配されたことで、席面全体を水面に見立てたものとなった。
花物盆栽で涼を呼ぶ好例。