雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 飾り


明けましておめでとうございます。
今年も、盆栽・水石・で、皆様のお役に立ちたいと思います。
新春の盆栽飾りを羽生雨竹亭、応接室にしました。

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明けやらぬコロナ禍の影響も少しずつ普通の生活へと戻って来ています。
そんな想いを掛物に託しました。

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雲間に昇る日輪、もうすぐ燦然と輝く旭日になって欲しいと、120年前の大家、木村武山先生の作品を蔵から出して初めて飾りました!
床右には、黒松の大樹。

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屈曲する丸幹の模様木、誤魔化しのない“松の王者“の風格を持つ樹に今年が力強い一年になるよう願いを込めました。
床左には野梅の古木。

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縮緬と言えるほどの古感ある幹肌、枯木のような枝にここから凛と咲く花姿に、“厳しい中でも繋ぐ命“を願いました。

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今年もお客様と盆栽を通して過ごさせて頂きながら、盆栽に“生きる事“の意味を教えてもらおうと思います。
宜しくお願いします。


師走の足音響く中、毎年恒例の“季寄せ“の鉢植え作りをしました。
開店以来、悴む手を暖めながら、ずっと作り続けていた“ふきのとう“の鉢物も、
気候変動と採り手がいない事などで、お届けできなくなり、思案の末に、
今回のように新春の“なぞらえ“に因む草木で、季寄せを作ることにしました。

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「長寿延命」の長寿梅、厳寒の中でも真紅の実を成す“ヤブコウジ“、
“難を転ずる”に因んだ「南天」、そこにまだ来ぬ春を願って咲く小菊。

五葉松の厳しい生き方を舎利幹に秘めた樹、掛物は明治の名筆、竹内栖鳳が描いた“うさぎ“。

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扇面に描かれていることで、“末広がりのめでたさ“を示しています。
大きな床飾りではありませんが、新春飾りは楽しいものです❗️


【一足早い新春の飾り❗️“梅に鶯”  大徳寺「通玄庵」】

先日、大徳寺芳春院盆栽庭園で、KBS京都テレビの年末年始特番の録画がありました。
大晦日の23時から明けて新年の深夜1時までの番組の“新年を迎えてから“の時間に放映するようです。
そのため少し早めに、庭園内の寮舎“通玄庵“に新春の飾りをしつらえました。

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細身の中に凛とした厳しさを秘めた、野梅の古木。
何年も作ってきましたが、幹味が気に入っています。

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“返しの流れ“が、一度左方へ向かった幹が樹冠近くで、中央へと帰ってくる樹姿。
今年は梅の花の動きが早く、この分だと本当に新年にはチラホラと咲き始めそうです。

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掛物は明治の名筆、中島来章の「鶯」空を切るように翔ぶ姿1羽。

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大家ならではの筆です。

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脇に陶製のくず屋香炉。
渋めの釉薬には屋根に初雪を想わせる白釉。

“梅ひと枝に花一輪“  厳しい寒さの中、葉も芽もない中、スッと蕾から清楚な花を咲かせる梅は、日本の初春・早春を謳う有難い樹種です!


京都大徳寺盆栽庭園も大観展も過ぎ、“北山時雨“が、庭内の紅葉を散らしています。
山も樹々も一年の色付きを輝かせた秋。
冬の訪れを前に、“名残り“の飾りを芳春院盆栽庭園内の「通玄庵」床の間にしつらえてみました。

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細身の柿、鉢持込み古いこの樹は、文人好みと言える姿を持っています。
半月の間、葉の色付きや実の充実を、刻々と深まる秋を感じながら、いざ飾る寸前に、
無駄枝を捌き、実数を減らし、描こうとした“風情“に合わせた樹姿にしました。
柿は枝先で実の重さで枝を垂らす、こんな樹味を大切にしました。
僅かな実、僅かに残った葉。
日本人が心底に持つ“もののあわれ“を表現しました。

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掛物も、時雨の中散りゆくもみじの葉、百年を超える画幅の紙本の枯れた味が、一層の静けさを出してくれました。

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脇に添えたくず屋形の石。赤玉石とは言え、寂びた石味が、まるで散り紅葉で覆われた屋根姿を現出したようです。

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一年かけて培養した柿、この一瞬の世界観を創り出す為の一年でした。


20年ほど前、長野県須坂市の井浦勝樹園さんに伺った時、見た事もない大型真柏の未完があり、
何度かの訪問の末、“森前君ならいいよ“と言われて譲っていただいた事が昨日のように思い出されます。

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そこから15年、下手なりにコツコツと作り、名樹としての樹相として発表しました。
私は商人、盆栽作家などと名乗る立場はありません。
長くこの樹と歩んで思いました。
“この樹にはもっと別の顔が必ずある“・・
そんな時、木村正彦先生から修行を終えて、羽生の近くに居を構えた若き作家、森山義彦君との交流が始まっていました。

それでも高額な樹、お世話になっている愛好家の舩山さんにお願いして、

“旧蔵者から譲って頂いた値のままでいいから持ってほしい。
但し、森山君に作家としての作品になるよう、自由に改作させてほしい。
完成して作風展に挑んで、すべてが終わるまで作風展の規定の為、舩山さんはどこにも飾れません。
それでもお願いします“

・・無理なお願いを受け入れて下さった舩山さんには感謝しかありません。

無事に栄えある作風展内閣総理大臣賞を森山君が射止めたのが昨秋。

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間もなく開催される第42回日本盆栽大観展の特別出品が済めば、ようやく交わした約束通り、舩山さんの所でこの樹も静かな刻の中に入れます。
天国にいる井浦のお父さんにも報告できます。
私は主人公よりも、脇役や軍師が似合っているみたいです💦笑

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