雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 飾り


盆栽庭園を預かって、2週間近い刻が過ぎました。
掃除・草取り・水掛け・雑木の芽出しの手入れ・来庭される方々の応対・・!
1日があっという間に過ぎてゆきます。
その中でも、ここをお預かりする時、
私なりに盆栽水石を多くの方々に伝えるひとつの仕事としての「座敷飾り」の妙を、ここで実践することです。
庭内にも「通玄庵」に床席を造り、今回は赤松の三幹と滝石を飾りました。

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文人樹形の名作として、大家、塩月翁から現代の名手、矢内信幸氏に受け継がれた樹です。
鉢も飴南蛮の名器。
このような樹こそ、鉢も贅沢に、それでいて目立たぬものを使いたいものです。
脇に雪解けの清流が飛沫となる滝石を配する事で、松柏盆栽が描き辛い季節感を出してみました。


庭園に隣接する塔頭「龍泉庵」は、大徳寺の中でも歴史深い塔頭名。


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書院に飾ったのは、桧の三幹。
飄々と揺れたつ姿が見所のこの樹は、戦前の大家によって作られた「高明山焼」

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僅かな奥行にこれだけの三幹を植え込むには、技量もさることながら、持ち込みによる根の仕上がりが必要です。
まるで明治の大家達を魅了した“飾らぬ逸樹”を見ているようです。

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掛物は、名手、長澤蘆雪の「雲月図」
横物であることが、床の間の空間を壊さずにいます。

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添えに、田中一光師の「蓮に白鷺」
十数年前、一光先生に依頼して制作していただいたもの、細い脚を含めて、この作品は、一木から掘り出されたものです。
その姿から、蓮の上に立つ「白衣観音」の化身に見立てています。


次の間には、加茂川の遠山石。


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練れた味わいは、百年を越える愛玩によるものです。

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2尺を越えるこの年代の遠山加茂川石は、とても貴重です。
掛物は、菊池容斎「雪月花」


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真黒の石に季節感は出ませんが、月にかかる散り桜の花びらが、過ぎゆく季節を謳っています。


大徳寺の中は、今日も静寂に包まれています。
ここにいると、まるで刻が止まったかのような錯覚を覚えます。
庭を守り、盆栽を守り、訪れる人達に私が出来る事を伝え、そしてこのような飾りの世界観を伝えて行けたらと願っています。


大徳寺の開園特別展の合間を縫って、羽生に戻りました。
温暖化の春、もう桜の各種が七分から満開の時に来ています!
毎年、富士桜の一重咲枝垂れ性の盆栽を、床の間に飾っていますが、以前より選んでおいた1本を、無駄枝の整理をして、応接室に設えてみました。

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中国広州まで赴いて、2年の時をかけて再現した、広東釉薬鉢に入れた枝垂れ桜。

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美しさと儚さを兼ね備えたこの樹は、毎年私と訪れて下さる方々に、日本人の持つ、桜にかける想いをよく表してくれています。
名残りの雪に月明かり。
夜桜の風情満点です!
脇床には、八海山石の段溜り石。


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“水温む”季節、溜り石は、桜などの優しい樹種にも
良く合います。
水盤も、瑞々しさを表現するのに、中渡りの均窯水盤。
床の間全体に、「朧の春、水温む」と言う、席趣ができたと思います。
ひとつの盆栽に、掛物や脇飾りを組み合わせることで、そこに季節感を謳歌できる世界が広がります。
こんな情緒を楽しむ事も、盆栽水石趣味の醍醐味です!


つい数日前、慌しい国風展・水石展を終えて、久しぶりの床の間飾りを盆梅で設えたのに、もう花は満開を迎えて、
1年間培養に努めた梅の“晴れ舞台“は、その役目を終えて応接室から“関係者以外立入禁止“の、第3培養場に戻りました。

彼岸の頃の温かさが続く中、山椿の懸崖の老木が、真紅の見事な花を咲かせました。

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やっぱり春は花物盆栽の美しさに目を惹かれますね!
椿の盆栽は、やや日陰で一年中育てれば、比較的管理はしやすいです。

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様々な花姿・花色・の種を持つ椿の盆栽ですが、私は目を瞑って浮かぶ椿の自然な花が
大好きです。
これは盆栽の種全体を通して思う事ですが、日本画家が描いた梅や椿に、園芸種と言われるものは殆どありません。
山里、庭先、何処かでふと目に留まった自然の中にある樹々の姿が、心のファインダーに映って残っていると思います。
“珍しいもの“、“稀少種“、は、それも楽しいものですが、私は自然界の淘汰の中で、
その姿や色を創り上げてきた、“当たり前“のものが1番好きです。

先週飾った掛軸「淡雪に月」をそのままに、同じ[雪月花]の飾りでも、梅から椿になる事で、そこに浮かび出る世界観は、季節を含めて別の空間になってきます。

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これも盆栽と言う、その場所に“自然“を運び込める醍醐味だと思います。
脇床には、今年はじめての“水盤飾り“での水石を設えました。

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京都の貴船石。穏やかな稜線を描く遠山姿の中に、残雪の景色を見せる古石。
“水温む“春の訪れを感じるように、水打ちの水盤の取り合わせにしました。

深山に咲く山椿
仰ぐ月には、未だ名残りの淡雪
遥か彼方の山並みには、山間の雪渓

自然のあるがままの世界を、盆栽・掛物・水石・で表現する。
海外での盆栽水石趣味が広がる現代、ともすれば高額作品の購買欲という面では、本家の日本も押されがち。
それでも、こんな永い歴史の総合的な文化の集合体の中で出来る世界観は、私達の国ならではのものだと思います。
そして、この感性こそが、次の時代に私達の国が世界に発信する“日本の力“なのではないか!と思うのです。

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また数日間、この山椿に目を楽しませてもらいます。
1年の共に過ごしてきたご褒美のような時間。
元気にこうして花を咲かせてくれる事に感謝して。


国風展・日本の水石展・と、早春の一大催事も無事終了。
業界人として目のまわる2週間でした。

羽生の庭に帰ると、梅の盆栽の数々が、蕾から美しい凛とした花を咲かせていました。
展示会と商売に追われる刻を終えて、寒気の中でも、楚々と咲く姿を見ると、
人の気忙しさが他愛もない位に、自然はありのままに時を刻んでいる事を感じます。

半月ぶりに、応接室の床飾りをしました。

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盆栽と掛軸を使った「雪月花の飾り」
野梅青軸系の貴賓「月影」。


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昨年手に入れて、鉢合わせをしました。
月影は、花弁に萼の青さが透き映り、淡い萌色を見せてくれます。

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愛好家が相当長く愛培した事が、古感見事な幹味に感じられます。


掛物は、江戸時代後期に京都で活躍した“四条派“の画家、田中日華。

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この掛軸は、“描き表具”と言う筆法によるもので、表具と言われる絵のまわりの部分も、すべて日華の筆によって描かれたものです。

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まるで絵の外側の自然界から雪が深々と降ってくるような、粋で情緒満点の作品です。



脇床には、京焼の人形「紫の上」。


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20年以上前に、京都五条坂を焼物を探して散策している時、“これは盆栽や水石の添景に使える?“と思って、
工房を訪ねて、“あの作品の彩色をやめて髪色と紅だけにして作って下さい“と、
今思えば、陶芸家の方になんて無礼な注文をしたものかと、頭をかいています(笑)。

音も無く、しんしんと降る淡雪の中に浮かぶ月
冷気厳しい中でも、春の訪れを伝える梅“月影“の気品ある花姿、
月に雪に花に、何かに想いを寄せる紫の上の姿

やはり、私はこんな風趣を楽しむ世界が大好きです!
(中々、これだけでは食べられませんが、笑)


旧年中は、羽生・銀座・その他、私共の活動すべてにご支援ご愛顧を頂き、誠にありがとうございました。
ウィルス災禍でまだまだ厳しい社会情勢が続きますが、盆栽と水石の豊かさを皆さまにお伝えして、
少しでも心豊かに暮らせますよう、お手伝いをさせていただきます。
今年もどうぞ宜しくお願いします。


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新春の盆栽飾りを応接室に床飾りをしました。

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五葉松に日の出、脇飾りには、長寿梅とふきのとう。


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其々、年をあらためる神気を願って飾りました。
特にふきのとうは、私が23年前、独立した時から毎年お世話になる方々へ、
芽数の足りる限りに鉢植えして年の納めにお届けしているものです。

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20年前は、埼玉県の桑畑の農家の方から譲って頂けたのですが、

温暖化と桑農家が減ってしまい、段々北へ採取地が移動して、今では山形や宮城県から山採りしてもらっています。

“来る年も宝の芽がたくさん出ますように!富貴の塔となりますように!芽出たい年になりますように“の願いを込めて作っています。
羽生の培養場もなく、栃木の小さな家の小さな庭先で、
銀座を閉めて帰ってから、寒風の露天で悴む手を暖めながら作ったあの頃を忘れないように。

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皆様にとって、少しでも幸多き佳き年となりますように。

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