雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 飾り

【月に緋梅  "紅一点の美しさ"】

国風展・日本の水石展  などで、慌ただしい如月、
ようやく雨竹亭の床飾を心静かに構える気持ちになりました。
三寒四温が近付く中、まだまだ名残の雪模様と盆梅が身近にあります。
昨年手に入れた緋梅の古幹が良き花姿を楽しませてくれる頃となり、
雪模様の空に浮かぶ月の掛物と「静謐な微春」を設えてみました。
太幹の堂々とした盆樹も良いですが、"梅一輪の美しさ"とされるように
一重の可憐な花姿は、この樹のように枯淡の味わいを大切にした自然な枝姿が嬉しいものです。
鉢も花の美しさを強調させるように、渋めの南蛮鉢に移し替えました。
渡辺公観が描いたこの月も、雪空の仄暗い中に浮かぶ情景がとても良く描かれています。
墨流しのような画、枯れ木のような幹枝に凜と咲く緋色の花姿。
全体を一幅の名画を眺めているように心がけてみました。
新春から早春へ、そして間もなく訪れる爛漫の春。
刻々と移り変わる日本の四季を盆栽の飾りにも大切に表したいものです。


【展覧会未公開の真柏名樹・日輪画幅・大鷹】

歳の始めに皆様にお届けする年賀のご挨拶状。

来年は酉年、双龍を想わせる真柏は私の所で14年の年月を過ごし、
ようやく盆栽らしくなってきた"将来の名樹"です。
昇りゆく龍は希望や道そのもの、円山応震の日輪の図は、
床勝手にあった画中右手描き、脇床にはやや大きめですが干支に因んで大鷹の鋳銅作品。
昇る日の出に向かって羽ばたく鷹、神格化された真柏老樹。
新年の格調と「大和の盆栽美」を構成してみました。


【関西開催の最大盆栽展 名品と飾りの競演】

二十代前半の頃より三十年以上参加している大観展も、
今は飾りの審査「大観賞」や水石協会事務局長として「水石協会賞」などに関わるものが私の仕事となっています。
それでも出品作品の頂点を競う「内閣総理大臣賞」や「文部,農林大臣賞」は注目されます。
今回は総理大臣賞と文部大臣賞が甲乙付けがたい拮抗した作品となりました。
結局真柏が総理大臣賞、五葉松が文部科学大臣賞となりました。
私のお気に入りの展示席の数点もご紹介します。


【盆栽の本道を伝えるお手伝いを】

夏の頃より企画相談を受けていたNHK「美の壺」での盆栽特集が収録の段階に入りました。
私共の雨竹亭庭園での撮影が行われ、久しぶりに観音堂にも盆栽飾りをしました。

応接床の間も日輪の掛物を配した五葉松の設え、
季節を超えた"日本"の象徴として収録してもらいました。

12月2日(金)NHKBSプレミアム で放映予定です。
ぜひ、盆栽を愛好される皆さんもご覧下さい。
(床の間の五葉松は、収録許可を頂いた 京都国際文化振興財団 の所蔵樹です) 

 
【"見えぬ月を席中に描き出す" 】

樹齢100年を超える黒松の老木を手に入れました。 
文人盆栽はその基準が難しく、"細く下枝のないひょろひょろとした木"
が文人樹だと勘違いされる方や、プロですら解釈が出来ずにいる面々もあり、
「究極の盆栽」と評した古人の想いがわかります。 
この樹は、荒ぶれた幹肌、捻る様な立ち上がりの腰部分、
捻転する幹に見える枝が落ちた跡のサバ姿、
そして樹冠と僅かな"落ち枝"で構成された空間ある樹相。
これ以上"引き算"のしようがない身形、まさに文人盆栽の真骨頂だと思います。 
文人盆栽は飄逸とした姿の裏側に、厳しく果てし無く永く生き抜いた足跡が感じられるもので、
決して昨日針金技で創出出来るものではありません。 

今回この樹を使って「掛け軸を使わない席飾り」をしてみました。 

老い立つ如き老松、その樹下に佇み松を仰ぐ古老。
禅の問答や古詩に登場する景趣を樹と木彫のみで表現してみました。 
一枚板の地板に双方を載せて飾ってみましたが、僅かな"間"がきつくダメでした。 

詩情を湛える飾りは数センチの"間"や高さが、
そこにある「心地良い緊張感」的な空間を創り上げます。
「空間有美」とはよく言ったものですね。 

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