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盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 中国


【実用と失われた古盆を求めて】

数年前から 訪れて、盆栽鉢「広東」の 新しい実用品を模索する中で、出会った人達と 次なる扉への相談に訪れました。
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「華南軒」は、広州1番の骨董街の中でも、盆器の目利きとして名高いオーナーさん。
エスキューブの中国姉妹店「楊凌雨竹亭」社長の宋さんとの旅です。
ここ佛山市は中国で「古鎮」という呼び名で言われる“現地の歴史と文化を残した地区”です。
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久々に伺った華南軒は、相変わらず“何処にこんなに古鉢があるのか?”と思う程の品数でした。
「貴方が来ると聞いたから、一生懸命集めたよ」と、商売上手も相変わらずでした!
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オーナーの好みと私の欲しい物に微妙な差はありますが、日本の盆栽界に持って帰りたいものも多かったです。
丁度、この地に着いた頃、日本の羽生本店から“コンテナが届きました”と連絡。
昨年集めた古作・新作が国風展や植え替えに間に合うように届いたのです。

佛山の骨董街でひと通りの買付を終えて、一時間半の車程で、郊外の山間にある劉さんの窯場に着きました。
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昨年の国風展売店で「均窯袋式楕円」を再現して、話題となった窯です。
「広東の本当の実力を次の時代に残したい」と、30年前教職を捨てて窯の再現に尽くした古窯復活の恩人です。
今回も次にどんな鉢の再現をしようかとの打合せでした。
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“こんな釉薬鉢があったら”と日頃から脳裏に描いているものを劉さんとあれこれ話して来ました。
秋には また “本物の新作”が日本に届くでしょう。

中国との盆栽の商売、圧倒的な資金力と購買力で、夥しい数の盆栽が海を渡っています。
私達 専業者はその恩恵に預かっていますが、“売るだけの仕事”より、
この中国で日本盆栽界の未来の宝を探したり、作ったりして、それを持ち帰れたらと 始めた仕事です。
いつか自分が作った鉢が多くの愛好家の名木に使われるなら、この中国でのストレスも報われると思っています。


【国風賞級の名木群と逸材の山!】

上海から2時間程の中堅都市 常塾。
アパレル産業の立志伝中の人、張会長は70歳。
小学校も行けない境遇からその人望と努力で、財閥と呼ばれるまでになられた方。
盆栽愛好家としてそのお人柄から、日本で言う関東地方全体の協会会長をなさっている。
所有される市内中心地のビルの屋上に約1000坪の盆栽庭園を設けられ、
500点を超える大型名樹が管理されています。
常駐の手入れ師4名、見事な管理と手入れがされていて、
日本にあったなら多くの愛好家が息を飲む程の作品が列をなしています。
利害も投資的感覚もなく、只々 盆栽が好きで集められています。

来年の3月には木村正彦先生とお弟子さん達が、張会長の誘いで 
江蘇省の大イベントにデモンストレーションに参加される予定で、その打合せも兼ねて伺いました。
日本の愛好家の方々、プロの方々にも 
この中国最高レベルのコレクションをお見せしたいくらいです。


【圧倒的な素材と将来・ここから生まれる未来の名木達】

中国江蘇省常州市(沿岸部最大の園芸市場を擁する400万都市)の 王永康さんの庭は、
未来の名木と言える盆栽の素材で満ち溢れています。
日本は 山採りの素材は枯渇状態ですが、王さんは10~15年前、
中国山採りが規制される前に、500~1000点の原木を中国全土から各地を回り手に入れました。
その樹を少しずつ 時間をかけて幹を割き、大枝を曲げ、10年計画で真の姿へと導いています。
日本はそれなりの素材を入手すると すぐに人が鑑賞できるように仕上げていきますが、
王さんは「ひとつの樹の在り方を無理せずゆっくりと対話しながら」を創作基本としています。
同じ盆栽家として羨ましい限りです。
もし、私があと2年若かったらこの地で何年かひたすらに創作に取り組みたい気持ちです。

日本の若きプロ志望の人達は、先入観に囚われず、
この盆栽の大地に一度は訪れて、本当の盆栽家の在り方を観てみるべきだと思います。


【10万人規模の「農高会」展示準備!】

5日から開催される中国農業特区指定の陝西省楊凌地区での「農高会」。
バイオ・園芸・造園から 酪農までに至る すべての農業関係の年に一度の祭典は、
この楊凌に10万人の人が集まってくる大イベントです。
中国三大農業大学を有する楊凌ですが、大学関係以外だと
「楊凌は年に5日間の農高会の為にある」と言われるほどの盛り上がりです。
この地に盆栽展示培養場を"荒波超えて"作ってから、もう7回目の農高会。
スタッフも現場で6人、西安ギャラリーには3人。
「よくここまで来たものだ」と思います。
農高会前に、展示場への盆栽飾り付けを行いました。
エスキューブ本社スタッフの指示で殆どが、現場リーダー達が飾りましたが、殆ど手直し無し!
良く覚えてくれました。
男子4人のうち、この冬から2人が1年ビザがやっとおりて、
羽生に研修含めて来ます。

日本の若者にも仕事に対して、自分の夢に対しての姿勢を見習って欲しいほどの、2人です。
商売もですが、これからこの子たちの様な若者に、
盆栽の世界で自分の人生を歩んでもらう事を少しでも伝えるのが、
私の大切な役目のような気がします。


【盆景大師 最高峰 王 永康 先生 来亭!】

日本と中国の現在に至る活発な交流の橋をかけてくれた、
中国盆景界 頂点の人格者 王 永康先生が、私の訪中に合わせて 西安に訪れてくれました。
安徽省での大典審査委員の予定の合間を作っての貴重な時間でした。
西安ギャラリーでの盆栽の管理方法・展示方法、
そして何よりも、愛好家の方々への盆景家として、業者としての 忘れてはいけない「真心」を教えて下さいました。
日本の大手盆栽園で王先生を知らない人は居ません。
今、盛んに日本に訪れる多くの中国盆景業界の皆さんは、その殆どが王先生と縁のある方々で、
王先生の地道な努力が無ければ、今日の両国の文化交流はここまで発展しなかったと言える程です。
楊凌の私共の培養場にも訪問して、樹々のこれからの作出に対する指導を
若き中国盆景家の卵達にも、最高位の盆景家などと言うものは一切見せず、
同じ目線で我が子を見守る様に教えて下さいました。

文革の苦労を乗り越えて、ひたすら愛する盆栽に人生を歩まれる王先生は、
私達日本の盆栽家にも、「最後に残るものは何か?」を教えてくれます。
王先生は「次代を担う若者に盆栽の素晴らしさを受け継いでもらう」事だと言います。
私も 日本はもちろんのこと、海外や小学校の文化普及活動の中で、
この王先生の想いを大切に見習おうと思います。

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