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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 中国

【圧倒的な規模!】

8月1日・日本と同じ位の猛暑の北京へ、日本代表としてこの博覧会に赴きました。
北京郊外の延慶という地、ひと昔前までは、この地域で最も貧しい所だったとか。
会場の広さは、日本の規格では表現できないくらいのもの!
約45,000坪!
その中でも盆栽パビリオンは、中心に位置していて、
建築だけでも世界の建築家がコンペでも開いて作ったのかな?と思わせるくらいの素晴らしさ!
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約500席の出品盆栽は多種多様。
古典的な名木から、庶民への提案型の室内装飾用・そしてこの国ならではの、
古い時代から受け継がれた各地域に根付いた「○○派」と称される独特の樹相を示す盆栽達。
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私は『日本から両国行政機関の正規ルートによって中国に名木を運んだ唯一の日本人』として、顕彰を込めて招待頂きました。
(旅費まで出してもらって来るなんて、何故かこそばゆい感じです。笑)
世界の国々のパビリオンが個性的な建築物で立ち並ぶ中、盆栽パビリオンは その規模と来場者数において、他を圧倒していました。
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こうして中国の巨大な祭典に訪れれば訪れる程、“世界に冠たる日本の盆栽”と、あと何年胸を張って言えるのだろう?”と思ってしまいます。
でも、こんな事を重ねているからこそ、日本人と日本の盆栽だから伝えられることがあると信じています。
鉢映り・席の構成・手入れの最終仕上げの完璧さ・・。
日本人だから伝えられる「何か」を私は 見つけるつもりです。

【日本の名盆栽 初の公開!】

先日 中国最高峰の盆栽愛好家・張小宝 氏 の依頼で、8月の北京園芸万博に展示される盆栽の手入れ進行をお伝えしましたが、
仕上がった7点の作品をご紹介します。
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「日本の名盆栽を!」という意味では、あと10点位 飾りたい思いですが、会場や運搬の都合上、この選出となりました。
今回、予定をやり繰りして お手伝いさせて頂いたのは、中国では 名盆栽を入手されても、
その後の手入れに対して どちらかといえば「元気ならば良い」という風潮があり、
日々の細やかな枝々の間に至るまでの鋏や整姿に、丹精をかけないところがあります。
盆栽は 手に入れてからのたゆまぬ手入れがされてこそ、その美しさが増すものです。
他の美術品と違って、命あるもので、この積み重ねが樹格向上とするのです。
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張先生に至っても、以前より名匠木村正彦先生と伺った折も、これを強く伝えていましたが、今回の訪問手入れで、ようやくその意味を理解して下さったようです。
各作品のビフォーアフターをご覧下さい。 

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【北京園芸万博 出品の為の手入れ!】

北京で開催されている「世界園芸博覧会」の 盆栽ブースに、日本から正式に移送された盆栽の展示を依頼され、
江蘇省 盆景連盟協会主席である張小宝 先生の所へ、出品作品の仕上げ手入れの為に訪れました。
中国で 日本の盆栽として正式に招聘出品を受けたのは今回が初めてです。
日本盆栽大観展の国際審査員として我が国の盆栽界との交流も多い張氏は、中国有数の盆栽愛好家。
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自宅とは別の太湖に近い5階建の約1000坪の屋上には、日本の作品を含めた名品の数々が所狭しと並んで居ます。
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8点の作品を選び、エスキューブスタッフの小林君と木村先生門下の森山義彦氏が、5日間で仕上げます。
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私も初日のみ参加して、張家ご家族への挨拶と選出指示をしました。
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木村正彦先生作品2点を中心に各特徴ある日本らしい盆栽が、8月1日より北京の万博パビリオンに展示されます。
「木村技術の申し子」と言われる森山氏の仕上げの姿は、次回お届けします。
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私は、スタッフと熱波の広州仏山・来春植え替え用の釉薬鉢デザイン発注の打ち合わせで、劉峰 窯 に向かいます!
それにしても、張氏のコレクションは、日本国内でも類を見ない程の圧倒的な質量です。
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こんなにあっても張氏は 更に広大な庭園計画を持ち(太湖のほとりに約2万坪!)大型名木を精力的に蒐集される予定だそうです。
この国にいると、比較しづらいくらいの愛好家の規模に感覚がおかしくなりそうです。
これだけの資産家・愛好家でありながら、張氏もご家族も 謙虚で優しく、お手伝いをしていても、気持ちが良いくらいです。

【中国西安地区「楊凌」我が中国第一歩の地!】

日本盆栽の中国初の展示施設として8年前に 奇跡の輸送の末に開館した「日本盆景館」。
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ここ数年は現地スタッフに管理を任せての運営ですが、久しぶりに訪れれば、
ここへ基地を作るまでに起きた数々の苦労、そして今の私の対中国での活動を走馬灯の様に思い出します。
ここ「楊凌現代農業示范園区創新園景区」は、農業特区。
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その幾つかのパビリオンのひとつがこの日本盆景館。
水質に苦労し、遮光に悩み、2500平米の巨大な室内展示設備。
今は私が日本から運んだ盆栽達が、只々健康にこの地で生きて行くことを願うだけです。

この楊凌の地から日本に来て盆栽を学ぶハオ君とツァオ君、
そしてここで盆栽を守りながら、いつかは2人の後を追いかけて日本で盆栽技術を学ぶ夢を持つジャン君。
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彼らに少しでも技と「記憶」を残してあげたくて、以前よりこの楊凌に置いてある大型真柏の枝接ぎをみんなでしました。
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私の時代には世に出なくても、この子達が成長した時、「あの時・先生と作った樹だ」という記憶が残ってくれれば、私の盆栽人生の旅に花が咲きます!
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【充実したギャラリーの盆栽群!】

1年ぶりに エスキューブ雨竹亭の提携公司「楊凌雨竹亭園芸公司」が経営する西安ギャラリーに訪れました。
何年もかけて政府の許可を得て中国へ運んだ盆栽達は、
このシルクロードの玄関である 遠い昔の大唐國の都「長安・現在の西安」で、健やかな日々を過ごしていました。
高騰を続ける中国盆栽市場は、高額品の名木を求める富裕層から平和でささやかな“豊かさ”を謳歌する中間層へと移行して、
日本円で5~15万円のものが 需要に追いつけない状態になっています。
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西安のギャラリーは、本来の日本の盆栽をご覧に入れて 理解して頂くためのステージです。
今回 このギャラリーで大切にしていた 五葉松の大樹が、劣化して本来の姿を残さない程の状態になりました。
現地スタッフは 「ダメになった」と心を痛めるに留まっていましたが、
私は同行させた小林と、この楊凌から研修に来日して大変な日々の努力をしている2人の若者で、樹の新たな姿を求めて改作に挑みました!
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伝えたかったのは、ひとつの形ある命が、ひとつの時代の姿を終えても、
“生きている”というなによりも大切な事にもう一度目を向けて、残された樹の可能性によって、新しい盆栽としての姿が描き出せるか?
自身の今までの経験と感覚で、蘇らせてあげることです!
たとえそれが今までの価値観と違うものであれ、盆栽としての命を繋ぎ、時代に数百年の命宿る樹を遺し伝えることなのです。
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枯れた枝や幹を剥きながら削りながら、「頑張れ!新しい君となれ!」と願って作業しました。
今回出来る作業には季節としての限界もあるので、次なる姿の基本を創り上げるに留まります。
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秋冬に各枝捌きを加えて、春にはその姿に合う鉢合わせをして初めて生まれ変わるのです。
この道程も 盆栽として素晴らしいと私は思っています。
まるで人の人生の様です。
挫折や苦悩を経験した人だけがみせる心の深さ!
盆栽も園芸的に理想を求めた名木から、不幸な時間を過ごして 形を失ったものが、そこから盆栽自身の生きる力で新たな造形を生み出す!
そしてその姿は見飽きないものなのです!

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