雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 中国


コロナ禍の前年秋、木村先生達一行と中国真柏山採りの現地視察に出向いて以来、

その後のコロナ禍もあって、4年と言う時間を海外に出かけませんでした。

雨竹亭オリジナルの盆器も在庫が底を付きはじめ、その制作現場との打合せもあって、久しぶりの訪中となりました。


まずは私の中国とのを開けてくれ、木村先生と共に日本で3年間見守った若者2人、郝(ハオ)君と、趙(ツァオ) 君を、

手軽な盆栽の商売人にはならずに、真の盆栽家となるよう、屋敷内に住まわせて下さる、王永康先生の所へ伺いました。

70歳を超えて今なお、中国盆栽界の良心として多くの後輩に慕われる王先生。


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伺った時も、黒松の逸材中の逸材を、友人の台湾名匠と見事な改作をされていました!

2万坪の庭内❗️

数えきれない程の真柏・黒松・五葉松の将来性高い所蔵樹達。

“4年経てば、日本の皆さんにも高い評価をしてもらえる樹になればと、

樹の将来を見据えた捉え方は、私達日本の盆栽業も見習わなければと、痛感しました。


もう一つ、11月に京都で開催される、43回日本盆栽大観展の世界から3名選ばれた、

海外審査委員として、アジア地域を代表する、常熟市の張小寶会長への表敬と、大観展審査委員の招聘状のお届けです。

愛好家として、人徳者として、中国盆栽界の頂点に立つ張会長。

その盆栽コレクションは、4年ぶりに見ても、圧倒的な名樹群❗️


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しかも、日々スタッフの方々への指示で、満点と言える管理状態と樹造り❗️

自身に関わるすべての人達に対する、真摯な思いやり。


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国を超えても、社会制度が違っても、盆栽を愛する人達のは、ひとつの願いの中にある事を感じました。

社会やそこに暮らす人達が安寧で幸福であることです。

何十回も訪れて来た中国ですが、こうして長い期間を経ても、多くの事を教えて頂いたように思います。

さて、明日からは、盆器の旅の始まりです❗️

【圧倒的な規模!】

8月1日・日本と同じ位の猛暑の北京へ、日本代表としてこの博覧会に赴きました。
北京郊外の延慶という地、ひと昔前までは、この地域で最も貧しい所だったとか。
会場の広さは、日本の規格では表現できないくらいのもの!
約45,000坪!
その中でも盆栽パビリオンは、中心に位置していて、
建築だけでも世界の建築家がコンペでも開いて作ったのかな?と思わせるくらいの素晴らしさ!
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約500席の出品盆栽は多種多様。
古典的な名木から、庶民への提案型の室内装飾用・そしてこの国ならではの、
古い時代から受け継がれた各地域に根付いた「○○派」と称される独特の樹相を示す盆栽達。
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私は『日本から両国行政機関の正規ルートによって中国に名木を運んだ唯一の日本人』として、顕彰を込めて招待頂きました。
(旅費まで出してもらって来るなんて、何故かこそばゆい感じです。笑)
世界の国々のパビリオンが個性的な建築物で立ち並ぶ中、盆栽パビリオンは その規模と来場者数において、他を圧倒していました。
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こうして中国の巨大な祭典に訪れれば訪れる程、“世界に冠たる日本の盆栽”と、あと何年胸を張って言えるのだろう?”と思ってしまいます。
でも、こんな事を重ねているからこそ、日本人と日本の盆栽だから伝えられることがあると信じています。
鉢映り・席の構成・手入れの最終仕上げの完璧さ・・。
日本人だから伝えられる「何か」を私は 見つけるつもりです。

【日本の名盆栽 初の公開!】

先日 中国最高峰の盆栽愛好家・張小宝 氏 の依頼で、8月の北京園芸万博に展示される盆栽の手入れ進行をお伝えしましたが、
仕上がった7点の作品をご紹介します。
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「日本の名盆栽を!」という意味では、あと10点位 飾りたい思いですが、会場や運搬の都合上、この選出となりました。
今回、予定をやり繰りして お手伝いさせて頂いたのは、中国では 名盆栽を入手されても、
その後の手入れに対して どちらかといえば「元気ならば良い」という風潮があり、
日々の細やかな枝々の間に至るまでの鋏や整姿に、丹精をかけないところがあります。
盆栽は 手に入れてからのたゆまぬ手入れがされてこそ、その美しさが増すものです。
他の美術品と違って、命あるもので、この積み重ねが樹格向上とするのです。
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張先生に至っても、以前より名匠木村正彦先生と伺った折も、これを強く伝えていましたが、今回の訪問手入れで、ようやくその意味を理解して下さったようです。
各作品のビフォーアフターをご覧下さい。 

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【北京園芸万博 出品の為の手入れ!】

北京で開催されている「世界園芸博覧会」の 盆栽ブースに、日本から正式に移送された盆栽の展示を依頼され、
江蘇省 盆景連盟協会主席である張小宝 先生の所へ、出品作品の仕上げ手入れの為に訪れました。
中国で 日本の盆栽として正式に招聘出品を受けたのは今回が初めてです。
日本盆栽大観展の国際審査員として我が国の盆栽界との交流も多い張氏は、中国有数の盆栽愛好家。
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自宅とは別の太湖に近い5階建の約1000坪の屋上には、日本の作品を含めた名品の数々が所狭しと並んで居ます。
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8点の作品を選び、エスキューブスタッフの小林君と木村先生門下の森山義彦氏が、5日間で仕上げます。
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私も初日のみ参加して、張家ご家族への挨拶と選出指示をしました。
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木村正彦先生作品2点を中心に各特徴ある日本らしい盆栽が、8月1日より北京の万博パビリオンに展示されます。
「木村技術の申し子」と言われる森山氏の仕上げの姿は、次回お届けします。
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私は、スタッフと熱波の広州仏山・来春植え替え用の釉薬鉢デザイン発注の打ち合わせで、劉峰 窯 に向かいます!
それにしても、張氏のコレクションは、日本国内でも類を見ない程の圧倒的な質量です。
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こんなにあっても張氏は 更に広大な庭園計画を持ち(太湖のほとりに約2万坪!)大型名木を精力的に蒐集される予定だそうです。
この国にいると、比較しづらいくらいの愛好家の規模に感覚がおかしくなりそうです。
これだけの資産家・愛好家でありながら、張氏もご家族も 謙虚で優しく、お手伝いをしていても、気持ちが良いくらいです。

【中国西安地区「楊凌」我が中国第一歩の地!】

日本盆栽の中国初の展示施設として8年前に 奇跡の輸送の末に開館した「日本盆景館」。
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ここ数年は現地スタッフに管理を任せての運営ですが、久しぶりに訪れれば、
ここへ基地を作るまでに起きた数々の苦労、そして今の私の対中国での活動を走馬灯の様に思い出します。
ここ「楊凌現代農業示范園区創新園景区」は、農業特区。
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その幾つかのパビリオンのひとつがこの日本盆景館。
水質に苦労し、遮光に悩み、2500平米の巨大な室内展示設備。
今は私が日本から運んだ盆栽達が、只々健康にこの地で生きて行くことを願うだけです。

この楊凌の地から日本に来て盆栽を学ぶハオ君とツァオ君、
そしてここで盆栽を守りながら、いつかは2人の後を追いかけて日本で盆栽技術を学ぶ夢を持つジャン君。
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彼らに少しでも技と「記憶」を残してあげたくて、以前よりこの楊凌に置いてある大型真柏の枝接ぎをみんなでしました。
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私の時代には世に出なくても、この子達が成長した時、「あの時・先生と作った樹だ」という記憶が残ってくれれば、私の盆栽人生の旅に花が咲きます!
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