雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


【京都大徳寺『玄虹会展』】

展覧会的な盆栽水石文化が 主流を占める昨今ですが、
海外とりわけ中国盆栽界の圧倒的な台頭は、盆栽や水石(鑑賞石)をその本体のみで楽しむ意味で、
本家とされる日本を凌ぐのは質量ともに時間の問題となっています。
その中で日本の盆栽水石は、世界に対して"何を発信すべきなのか" は、
この展覧に込められていると思います。
日本は古来より盆栽や水石を屋外で楽しむのではなく、室内に飾り、
そこに醸し出される空気感そのものを趣向の第一として来ました。
「侘び寂び」「幽玄」「もののあわれ」など、500年前に日本文化が生み出した美意識の根幹が、
盆栽水石にも感じられるのが、この展覧のような舞台です。
9年前のこの会の発足以来 御用掛けとしてお手伝いをさせて頂いてきた私。
今回の席の中で特に印象に深いものを数回に分けてご紹介します。

「ひとつの石が生み出した 景趣の広がり」

この席が飾られた大徳寺芳春院の大書院は、加賀百万石前田家による寄進で、
戦前はのちの宰相となった五摂家筆頭 近衛文麿公が京都帝国大学に学んだ時の寄宿所でもありました
(近衛家も芳春院の檀家様です)
本書院脇の"次の間"的なこの空間は、飾り上手の腕が試される素晴らしい室です。
今回は玄虹会最年少の会員 今井和貴氏が受け持ちました。
主飾りは瀬田川の梨地石。
盆山の美を示すこの石に「月に雁」の静かな茶掛。
そして脇床には、山柿の飄逸とした姿。
さながら「木守」と言うべき 侘びた風情を見せる実姿。

石には色も季節もありません。
しかし、それを飾る"道具立て"によって、自然の深い景趣が創出されます。
「威張らず、誇張せず、静けさという大切な衣装を纏った席」
これが日本人が探し求めた 審美の世界です。
名木名石のみが 美を伝えるわけではありません。
一木一草一石が、美意識高い人の設えによって、真の美を生み出すのです。


【真柏・書 で 『風神・雷神』】

日本盆栽大観展の特別企画展示(京都国際文化振興財団)で、
盆栽と書による巨大展示が行われました!
『風神・雷神』と名付けられたこの展示は、盆栽作家 鈴木伸二氏の作品でもある 真柏の持つ 神秘性と 、
絵画や書など、芸術活動で多くの作品を生み出した 表現者 片岡鶴太郎氏の
まっすぐな直視力で創出された 「風神」「雷神」で 構成された 9メートルに及ぶものでした。
演出デザインをこの展示企画のオーナーである京都国際文化振興財団(通称 慶雲庵)から、
全権を任された身として"どんな展示デザインが良いものか?"知恵熱が出る日々でした。
施工を担当した大観展の装飾設営担当業者でもあるフジヤの坂川さんの協力を得て、
琳派の表現を基調にした 豪奢な感じの設えとなりました。

巨大な展示スペースを、たった2点の樹と石で表現する初めての展示仕様は、
観客の皆さんの注目を頂いたようです。
演出によってその表情を変える盆栽。
これからも色々な挑戦を続けたいと思います。


【1億円の五葉松「天帝の松」受賞 ‼︎】

京都の秋を彩る「日本盆栽大観展」

今年の最高賞は 4月末に さいたまアリーナで開催された「世界盆栽大会inさいたま」で
『舩山コレクション』の特別ブースの主飾りに横山大観の名画と共に出品され、
訪れる観客の驚きと溜息を呼んだ 五葉松 銘『天帝の松』でした。
東北 福島の地で、五葉松を愛する舩山氏と無名のこの樹を、
この舞台に運ぶまでの思い出が蘇ります。
私も舩山氏も 盆栽展での "賞レース"的な活動には興味がありませんでした。
それでも 何も運動もせず、ただ審査の方々に委ねた結果に頂いたこの受賞は、
ありがたいものと 感謝しています。

近日の間に福島の住み慣れた舩山邸の庭に戻しますが、
しばらくは もう外に出さず、静かで平穏な日々を樹に過ごして貰おうと思っています。


【真柏「風神・雷神」の 展示構想!】

11月18日〜21日の「日本盆栽大観展」で公開される 
一般財団法人『京都国際文化振興財団・慶雲庵』の 特別陳列に 
片岡鶴太郎氏の書「風神・雷神」と 真柏名木のコラボ飾りが行われます。
大観展実行委員長であり、財団の主管盆栽作家の鈴木伸二氏の庭に訪れて、
作品を前に"極秘の打合せ"をしました。
相変わらずの名木群の鈴木邸。
二点の真柏をどんなデザインの展示にするか、
私の拙い練想で設営業者と打合せを始めなければなりません。
知恵熱出そうですが、京都の秋を彩る展覧を是非楽しみにしていて下さい。


【春花園 盆栽庭園で開催!】

来年2月に東京都美術館で開催される第5回「日本の水石展」の選考審査会が
協会理事長 小林國雄師の自邸「啓雅亭」で開催されました。
特別出品・床の間席・一般席・道具飾り など、
百数十席の大展覧も5回目となると、その出品内容もレベル高く、
審査でも理事全員から感嘆の声が出るものも多かったです。

頼 山陽・岩崎財閥・山元春挙・水府散人 等々、歴代の名石から初見参のものまで、
流石に日本水石界を代表する展覧らしく、圧倒的な量と質が勢揃いしました。

併せて、この小林理事長邸はいつ来ても、建築は勿論のこと、棚の盆栽達も名木揃い!

木村正彦先生・小林國雄・そして鈴木伸二氏。
日本を代表する盆栽家は、どの庭も溜息が出る庭です。
私の雨竹亭、お三方からすれば まさに百貨店!
でもそれが私共の良さだと思って居ます。
誰にでも楽しんで頂ける雨竹亭でありたいと思っています。

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