雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


【銘酒『久保田』の蔵元屋敷・有形保存建築での展示!】

水石協会の理事として、日頃から交流深い中川幹男さんのご案内で、昨年に続いて新潟 長岡に赴きました。
昭和初期の素晴らしい邸宅建築の中での展覧、慌しい毎日から離れて 座敷陳列の空気に触れると、何故かホッとします。
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中央での水石展などでお会いする愛好家の方々もいらっしゃって、
地方の水石展という感覚を超えて、秀石・秀席・名品道具 を拝見する機会となりました。
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羽生でも 雨竹亭の片隅に 小さな和風の“掘っ立て小屋”を建てて、
お客様達と 座敷の中ならではの “しつらえの楽しさ”を 伝えたいと前々から願っているのですが、
予算を貯めると 何故か欲しい盆栽や水石にそのお金が流れていってしまって?
反省・反省!



11月23日より開催される「第38回日本盆栽大観展」に、エスキューブ は18メートルに及ぶ大ブースを設けます。
この中で 木村正彦先生の作品を特別展示する為に、私の依頼に応えてくださって、現在 大型創作盆栽の制作が開始されました。
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今春 先生と旅をした 中国『黄山』の原風景をイメージしての 過去最大級の石付き作品を展示する予定です。
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今回 その制作打合せをさせて頂いた時、原石の加工・切り出し・そしてその石にどの様に盆栽が植栽されるのか、
生理学的にも健康な培養を考えた、先生独自の各所における驚きの隠された技術を知り、
"他で見る類似作品との大きな違い"に感銘を受けました。
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現在は素材である石と真柏各樹の下準備の段階ですが、10月初旬にはいよいよ制作になります。
近代盆栽』が、この制作過程を全面取材され、大観展終了後の直近の1月号(12月1日発売)に、その全容が公開されます。
10日26日から大宮盆栽美術館で開催される『木村正彦の世界』にもこの作品は展示されます。
作家とプロデュース役・この盆栽界には今まで存在しなかった形を名匠と挑戦出来ることに、期待と責任を感じています。
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この制作の助手として、先生の下で修行中の海外からの2人
(アンドレイ・ロシア22歳、アレッサンドロ・イタリア20歳)にも、記憶に残る刻になってくれる事を願っています。

【さいたま市盆栽美術館で開催!】

10月25日より約1ヶ月のロングランで、
名匠木村正彦先生の盆栽家としての歴史と作品を紹介する企画展が、さいたま市大宮盆栽美術館で開催されます。
先生との打合せで、お宅に訪問した時は、丁度明日 美術館用のパンフレット撮影の為に、
作品の最終調整の手入れをされているところでした。
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「毎週9点の入替だから、今から手入れの進行予定が大変だよ」
と笑顔でいらっしゃいました。
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名作『登龍の舞』(真柏)から直近の大作『神威』(一位)まで、
圧倒的な作品群が、盆栽美術館に陳列されます。
「老成」という “老いてなお見えてくる真実”に 今も日々真正面から向き合う姿は、
真の盆栽家のあるべきものと 胸を打たれます。


【古老名人達の本領!】

舩山秋英先生の叙勲を祝って友人達が開催した祝賀展は、
現代数寄屋建築の名亭「八芳園・壺中庵」全館を使っての平成最上の展覧でした。
招待客のみの半非公開の様な展覧でしたが、次代に伝えるべき内容だったと思い、特に秀抜な4席をご紹介します。


イワシデの席
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名匠 山北松月・松田恭治先生の作出による、イワシデの雅樹。
自然な株姿の古幹に数十年の鋏作りが物語る枝味の素晴らしさ。
日本盆栽界が捉えるべき雑木盆栽の美が集約された作品です。
格調高い床の間に合わせてかけられた「水墨山水」は、江戸期大家 狩野探幽の筆。
樹と掛物だけで充分に席中の風趣を醸し出していますが、場面の広さを考えて、
“留め飾り”として、この景色を壊さない 双鹿の添を配されました。

瀬田川石の席
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山水景情石の真骨頂と言える石相を持つ瀬田川石の賓石。
配する水盤は薄造りの中渡均窯の中でも釉調に静けさを漂わせる“吹墨”の均窯。
掛物は横山大観筆「東海の朝」。
祝賀の意を込めての目出度さを現出した水石飾りの“引き算の美”を見事に具現した一席。

赤松の席
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老樹の相見事な赤松。
静かな月の掛物との取合わせは、定法。
右に設えた、呑平水盤での蓬莱山の取合わせが心憎い。
閑雅な印象の赤松飾りに、蓬莱図を水石で取合せることで、祝賀の一席とされた。

ノウゼンカズラ(凌霄花)の席
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夏の儚い花姿が印象深いノウゼンカズラは、徒長しやすく蔓性ゆえに、盆栽仕立てが難しい。
花色も里の種よりもひと色濃く、暑季の中、ひときわの目を惹く。
水面に映る「水月」の図は、主木の観を見事に扶けている。
添えの一木彫りの苫屋舟が、塗床ゆえ “素置き”で配されたことで、席面全体を水面に見立てたものとなった。
花物盆栽で涼を呼ぶ好例。


【美術館ならではの 格調高い展示!】

日本水石協会との共催の形で、毎年恒例となっている大宮盆栽美術館の水石展が開催されています。

後期展(13〜15日)は、私の監修担当。
5席の “平飾り”・3席の床の間飾りで構成されています。
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盆栽に興味を持ってこの美術館にいらっしゃる方々の殆どが、水石をご覧になるのが初めての方。
“河原にある石”が 美術館の床の間に飾られている事に、初めは不思議そうな目で見ていた人たちが、
学芸員さん達が分かりやすく書いた解説などによって、見終わる頃には、納得の表情を浮かべられているのが、微笑ましかったです。
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14日に「盆栽アカデミー」の文化講演会で『水石の歴史と文化』をテーマに午前午後2回にわたって、講座を開かせていただきました。
古代から室町期の「東山文化」による盆石の誕生、江戸期の大名・茶人・文人による熟成、
そして明治からの「水石」という表現への変遷を出来るだけ丁寧にお話しさせて頂きました。
若き頃、片山一雨先生・高橋貞助先生・村田香樹園師・吉村香風園師・小口賢一先生・福島茂夫先生・等々、
数え切れない多くの皆様に盆栽・水石の文化をご教授頂いたあの頃を思って、微力でも次代へ繋ぐ役目の少しでも出来ればと、
勉強のつもりでこれからもお手伝いしてゆきたいと思います。
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