雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


毎年、夏の季節、さいたま市大宮盆栽美術館で、同館と日本水石協会の協同主催による水石展が開催されます。

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今年は7月21日から8月30日までのロングラン❗️
途中(8/10)入替を経て前後期の展示です。
今回の前期展は、雨竹亭関係で、全席8席の内、7席を受け持ちました。

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冬の『日本の水石展・都美術館』とは雰囲気を変えた展示、この美術館ならではの企画が込められています。
格調高い床の間飾り・茶室風飾り、山形石・島型石、滝石、小品棚飾り、など、
景趣や設えを凝らした水石の展示。

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庭園の名樹を背景に静かな空間が広がっています。
私も8/6(日)13:30~ ギャラリートークを今年も受け持っています。
“ひとつの石が見せる大自然の景色“  是非皆さんもご覧になって下さい❗️

大宮盆栽美術館『山水涼景』についてはこちら↓
https://www.bonsai-art-museum.jp/ja/exhibition/exhibition-9438/


大徳寺での用向きを早めに済ませて、やっと時間を作って、京都市内から車で1時間半、
京都府北部、日本海へあと40分のところにある、綾部市。
山間の小さな街ですが、私にとっては、水石人生の忘れえぬ大切な土地です。

この地で水石趣味に人生を過ごされた、故横山巌先生(号・雨洛)は、まだ20代前半だった私が、
水石の業者として一人前になるまでを導いて下さった恩人中の恩人です。

天界に逝かれてもう10年になりますが、この綾部で先生が会長として水石展を始めて、
57回目の展示会が、市内のグンゼ博物館で開かれました。

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中々お伺いをする機会が得られませんでしたが、ようやく、横山先生が居ない展示会を拝見出来ました。
現在までも長く交流を頂いている同会の林さんが出迎えて下さいました。

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展示は、今も横山先生がそこにいるような、静謐で会場の設え、
展示された水石のレベル、水盤や卓の取合わせ、砂敷きの丁寧さ! 

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どれを取っても、中央の水石展のそれを凌駕する程の仕上がりでした。
ひとりの誰にでも心温かい対応をされた著名な愛好家であった横山先生が残されたこの会は、
半世紀を超える歴史を“正統な水石展“として受け繋いでおられました。

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水石業界の中でも中堅から老練の組に入りかけている私。
こうして各地で水石趣味を謳歌されている方々と、もっともっと交流をして、
“次の時代“の趣味家の為の“何か“をしなければと、思う1日でした。


東北6県の愛好家が集って、共同で開催されている「東北銘品盆栽展」

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今年は仙台支部がホスト役となって、昨年と同じく、日本三景のひとつ“松島“の景勝地で開催されました。
半世紀の歴史を持つ展覧会、数多くの盆栽達が、この地から中央盆栽界にもたらされて来ました。

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真柏・五葉松・蝦夷松・米栂・多様な自生地を持つ東北地方、愛好家と方々が山採りから育んだ作品は、
未完のものから国内盆栽界を代表するものまで幅広く、愛好家が主となって、この地域を支える専業盆栽園の協力で続いてきたのです。

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趣味家と業者のより良い関係が、この地には脈々と息づいているように感じました。
以前よりも少し“小振り“なったかな?と思って聞いたところ、“皆んな歳をとってきて、大きい物は運搬がたいへんだからねー!“の弁💦

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それでも、このように6県が協力しあって、ひとつの展覧会を続ける・・
趣味と言うものの
温かさと有り難さを心から思う機会でした。


今年で23年目となる明治神宮社殿回廊における「奉納盆栽展」
そしてコロナ禍、この数年開催が延期されていた水石協会の歴史ある展覧「日本水石名品展」が、
従来通り、社務所講堂で開催されました。

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今回は特別出品として西園寺公望由来の菊花石名品「羽衣」が、都美術館への展示に続いて、“帝都の杜“に出陳されました。

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神宮からは、名石「愛鷹」京都から頼山陽の「青山白水」まさに名石のオンパレードです!

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社殿回廊には、樹齢500年の真柏(高砂庵・故岩崎大蔵先生遺愛)や、今春国風展に出品された蝦夷松古木など20点!
海外からの参拝(観光?)の方々も、初めて見る“ホンモノ“の名木達に感嘆の声をあげて、展示の場は、人だかりで樹が見えないほどでした。

こうして、コロナ前の風景に戻る景色を見ていると、“平和な日常っていいものだなあ“とつくづく思います。
“神域“に飾られた樹々達、盆栽達も嬉しそうです❗️

【“平飾り“という、一番難しい世界】

盆栽・水石の、“座敷飾りの究極世界“と言われる「玄虹会展」。

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見事な床の間飾りに圧倒されがちですが、会員の方々は、
「この会は皆が平等、会長も幹部もありません。勿論毎回の展示も、その優劣など、初めからありません」
と仰います。

確かに数えてみれば、総席数20席の内、床の間飾りは僅か4席!

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青氈を敷いた “平飾り“  と言われる平易な飾りが殆どです。
しかし、会員の方々は「平飾りが出来るようになれば大したものだね!」の弁!?

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ご年配の会員如く、
「掛物や添えを配しての主題作りは楽しいですが、
盆栽や水石のみを飾って、
そこに大切な“想い“を込めて、観る方に“何かを感じる“世界を
設えるのは、意外に難しいものですよ」!!
さすがの奥深さ❗️

そう言われて見直せば、ひとつの盆栽・一塊の石に、ご自身の名札の誇りを込めての飾り!
“玄虹会員は、朋友への信を第一に“ と言う会是を筆頭にされる方々が極めようとする世界観、
もう一度、静かに見直したい展覧でした❗️


第15回玄虹会展の動画をこちらからご視聴いただけます☟

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