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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


【国風展級の名樹達40点・愛好家の穢れ無き親睦】

6月25~26日、福島市 飯坂温泉 名門旅館「吉川屋」において、
東北六県が毎年持ち回りで開催している合同展「東北名品盆栽展」が、40点以上の名樹を陳列して行われました。

来賓の大宮盆栽村「芙蓉園」元日本盆栽協会理事長・竹山 浩 先生の丁寧な出品作品に対する解説も素晴らしく、
各県よりの参加された支部長・会員、そして今回ホスト役となった福島の方々。
皆さんが盆栽を愛し、交流を楽しまれている空気がとても清々しく伝わってきました。
盆栽作家である岩手の大町功さん・西那須野の藤川さん・私の"弟弟子"である宮城の加藤 充君。
手入れを中心に趣味家の皆さんとの歓談をみていると、
盆栽園と地域の趣味家がどうあるべきかをあらためて実感しました。
現地愛好家の代表格でもある船山秋英氏は、私のご贔屓様の筆頭格。
国風展出品作品から素材からの作出など、幅広い陳列に分け隔てなく笑顔で接待される様子を拝見し、
東北人の心の温かさを深く感じました。
来てよかった!!


帝都の杜に集められた名石70点!

日本水石界の歴史そのものと言える「日本水石名品展」も 数えて57年目。
都心の杜深き中に佇む社務所講堂と神域である内陣西廻廊。
ここを舞台に今年も、全国から厳正な審査で選ばれた秀石達が、一堂に展覧されました。

今回は特別出品として、京都国際文化振興財団「慶雲庵」より、
有栖川宮旧蔵 盆石「洞天」が出品され、併せてこの石に付属している画帳『洞天帳』も飾られました。

勝海舟・山県有朋・富岡鉄斎・田能村直入・伏見宮貞愛親王・等々、
明治を生き抜いた巨人達がこの石に賛を寄せた綴りが現存している事で、神宮の識者達も驚いていました。
徳川慶喜・厳島神社・岩崎財閥家・出陳された秀石達は、日本の歴史を共に歩いてきた遺産でもあります。

十数年前の記憶が蘇ります。
協会理事職に就いて間もない頃、この展覧も明日で終了という時に、当時の外山宮司様より
「明後日、天皇皇后両陛下と皇太子殿下がご参拝にお越しになられます。それまで展示を伸ばしてくれませんか?」
との依頼。
私と妻は、お迎え役として 当日この 西廻廊内陣にいる事になりました。
学校もろくに行けず、盆栽水石しか出来ないものが、
この様なお役を仰せつかるとは夢にも思いませんでした。
ありがたいものだと本当に思いました。
何も語らぬ石に心を寄せ、声無き声を聴く・・水石趣味は静かに深いものです。


【明治150年!神宮創建間もなく100年!】

私が事務局長を務める日本水石協会主催による「明治神宮奉納盆栽展」も、今回で20年になります。

当時私が協会の理事に最年少で就任した時、私の発案で始めた展覧、
こうして協会の行事全体を指揮する立場になっても、この展覧は想いが深いものがあります。

東京の観光地にもなっている明治神宮は、連日8,000~10,000人が訪れ、
そのうち約7000人が海外の方だそうです。
盆栽を飾っている時も、携帯を片手に群がる旅行客。

今回の展示で一番素晴らしいと思ったのは、
今春東京都美術館で開催された「国風盆栽展」に出品された真柏です。
大阪方面にあったものを手に入れて愛好家にご紹介して数年、樹の仕上がりも良くなりました


【大改作の末、風雅展に初公開】

世界盆栽大会で一世を風靡した「Funayama Collection」。

本当は飾られた樹々は、コレクションのごく一部です。
今回 第7回 風雅展 に舩山さんが出品された真柏、
2年前四国高砂庵 岩崎大藏先生のコレクション全品が羽生に届いた時、
"2~3年作れば世に出せます"と言う私の言葉を信頼して下さって、この2年間作ってきました。
未完ですがおよその樹姿も仕上がったので、風雅展の正面床の間に飾り、
新たな姿で披露させて頂きました。
銘もまだ無く鉢合わせも百点とは言えませんが、またひとつ未来に遺す作品が作れたと満足しています。

2017年5月27日から行われた風雅展
(すでに終了しています)


【『1億円の松・天帝の松』と 未公開大樹!旦那さんと歩んだ10年の結晶・感無量!】

半年以上前、世界盆栽大会の実行委員会で「舩山さんを大会の特別ブースに推薦したい」との内示を頂き、
ご本人と相談を重ねて 今回の「舩山コレクション」の展示内容・設営デザインを仕上げました。
舩山会長と私の予想をはるかに超える方々に2人で歩んで来た10年の作出を見て頂くこととなり、
先日無事に福島の邸宅にすべての作品を戻した今 "やって良かった!"の気持ちでいっぱいです。
普段から私が描く物事に"あんたがやりたいならやればいい"と
すべてを任せて下さる会長のお気持ちに答えられればと、非力浅学の中、
"どのように仕様を作り、どの様に見せたらよいだろうか?"と思い悩む日々もありました。

前庭の代わりに枯山水風のモニュメントを手前に、大樹の飾りは壁面風の並びの中央に破風屋根の床造り。
敢えて数百点に及ぶ古渡を中心とする名鉢群は出陳せず、唯一鍋島侯爵家旧蔵の色鍋島の文化財級の大皿2点のみ。
あとは盆栽の持つ存在感でまとめてみました。

展示された樹々たちが見えぬ程の観客、会長はただ微笑むだけで4日間奥様とずっといらしてくれました。
出入方としてこの4日間は、言葉にはならない "ほんの少しの恩返し"をさせて頂いた出来事に思えました。
これからも舩山会長との二人三脚は続きます。"今度はどんなことがあるだろう?"。
盆栽を通して人生の中で得られる"何か"がまた起きることを願って。

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