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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


【将軍 德川慶喜の黒松・羽生から京都へ】

幕末から明治維新への大転換の出来事となった幕府から朝廷への大政奉還。
この舞台となった二条城で、奉還150年を記念して盆栽展が開催されました。
最後の武家政権の将軍であった德川慶喜公が旧蔵していた盆栽を
私が10年以上所蔵していた事で、これの中心的展示を設計段階から依頼されました。
世界遺産・国の重要文化財である二条城での盆栽展示は、
日本盆栽界でも初めてのこと。
当時の日本の実質的帝王の盆栽を、京都における武家の象徴と言える城に飾る。
頭の中に浮かんだのは「覇王としての威厳」を感じさせる
「黒縁に金屏風」でした。

文化財の中にこの仕様をするのは大変でしたが、
関係者の皆さんの理解と協力で設計どおりのものが出来上がりました。
国風賞受賞木を含めて約80点の選び抜かれた名樹達。
その中央に君臨する德川将軍家旧蔵の黒松「鎧掛けの松」。
150年ぶりに将軍の城へ戻った将軍の松。
その瞬間と関わることが出来たこと、
私の盆栽人生にまたひとつの思い出が増えました。


【鈴木伸二氏、17年目の邂逅】

9月に開催される京都二条城の盆栽展示、
そして11月の同じく京都秋の恒例「日本盆栽大観展」。
この二大盆栽展に大政奉還150年を記念して、公開が決まった
第15代徳川幕府征夷大将軍 徳川慶喜家旧蔵の盆栽群。
現在の所有者(財)京都国際文化振興財団 通称「慶雲庵」の依頼を受けて、
羽生雨竹亭に保管管理してある非公開培養場に
鈴木伸二氏がお弟子さん二人と仕上げ整姿に訪れました。

この徳川慶喜家の盆栽は、17年前私が銀座の店を切り盛りしている頃、
慶喜公直孫 慶光公夫人  和子様より譲り受け、
当時見る影もなかった樹々の手入れを鈴木氏に依頼して、高木盆栽美術館に納めたものです。
転生輪廻、こうしてまた二人で時代を背負う美術館への展示に向けての取り扱いをすることになるとは、
夢にも思いませんでした。
歴史を秘めた古樹が皆様の前に登場するのはまもなくです。


【北の大地    地元愛溢れる産地石!産地樹種】

3回目となる札幌での水石展盆栽展、地元の産石・樹種の多くが飾られた展覧は、水石展70席余・盆栽展50席。

内容も素晴らしく、特に水石展は主催責任者の菅生会長・木村事務局長らの、
相変わらずの人望とご苦労で、地方展とは思えぬ程。
中央でも全体の展示から減りつつある「水盤石」にも力が入れられ、
神居古潭・豊似・幸太郎 など、北海道ならではの石を拝見して勉強にもなりました。

盆栽展も蝦夷松・一位(オンコ)を心から楽しまれている愛好家の方々の想いが、展示作品からも窺えました。

毎年1度の北海道、来年も初めて見る北の水石達を楽しみにしたいと思っています。


【木村正彦先生・玄虹会の皆さんと】

大宮盆栽美術館と毎年水石協会がコラボして開催している水石展示に際して、
来場の皆さんと展示された名石の数々に対する解説をギャラリートークの形でさせて頂きました。
今回の展示は、京都大徳寺などでの盆栽水石の最高の展覧を毎年されている玄虹会の皆さんに、名石の展示をして頂きました。

美術館にいらっしゃった方々にも普段は図録などでしか見る機会のない名石を
お楽しみいただく機会になったと思います。

会場には名匠 木村正彦先生も私との友好で応援にいらして下さいました。
台座石・水盤石・紋様石・姿石・盆石、そして 真・行・草 の床の間飾り。
短い時間で熱心に私の解説をお聞き下さる皆さんに、
水石の真髄を何処まで伝えられたものかと、もっともっと解説者としての自分を磨かなければと思います。

この企画展は今月26日まで開催しています。


【国風展級の名樹達40点・愛好家の穢れ無き親睦】

6月25~26日、福島市 飯坂温泉 名門旅館「吉川屋」において、
東北六県が毎年持ち回りで開催している合同展「東北名品盆栽展」が、40点以上の名樹を陳列して行われました。

来賓の大宮盆栽村「芙蓉園」元日本盆栽協会理事長・竹山 浩 先生の丁寧な出品作品に対する解説も素晴らしく、
各県よりの参加された支部長・会員、そして今回ホスト役となった福島の方々。
皆さんが盆栽を愛し、交流を楽しまれている空気がとても清々しく伝わってきました。
盆栽作家である岩手の大町功さん・西那須野の藤川さん・私の"弟弟子"である宮城の加藤 充君。
手入れを中心に趣味家の皆さんとの歓談をみていると、
盆栽園と地域の趣味家がどうあるべきかをあらためて実感しました。
現地愛好家の代表格でもある船山秋英氏は、私のご贔屓様の筆頭格。
国風展出品作品から素材からの作出など、幅広い陳列に分け隔てなく笑顔で接待される様子を拝見し、
東北人の心の温かさを深く感じました。
来てよかった!!

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