雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会

【『春の逸品鑑賞会』ありがとうございました】

久し振りの羽生での皆様を招いての展覧会。
天候にも恵まれてご無沙汰している多くのお客様と有難い時間を過ごす佳きイベントとなりました。
2日には名匠木村正彦先生が愛好家の方々といらして下さってビックリ!
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庭の隅々まで ここに生きる盆栽達を“この樹はこう作れば人が見てくれるようになる”
と思って、売れてしまったものの代わりに植替えや手入れをして飾ってみると、またお客様の目に留まって“お嫁に行く”事になって。
日常からひとつひとつの盆栽達と真摯に向き合うことの大切さを改めて知る機会となりました。
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10年前、無一文に等しい所から歩んだ歳月。
庭にある盆栽や、水石水盤・樹鉢・掛軸等々。
このすべてが、雨竹亭の「今」を物語っています。
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展示場にかけられた掛軸も、大観・春草・栖鳳・探幽 等々、
時をかけて盆栽水石の飾りの為に集めた作品、手に入れた時の苦労や思い出、使わずに旅立つものへの愛惜の念。
訪れて下さるお客様・ここを守るスタッフ達・たくさんの『宝物』にもう一度気付かさせてくれる展覧会でした。
ありがとうございました!


【『緑風展』舩山会長の正面展示席】

日本盆栽協同組合主催の『新緑風展』ポスター用 展示品を同組合 大嶋理事長・石井理事 に依頼されて、
福島県著名愛好家としてご懇意にさせて頂いている舩山会長にお願いしました。
同展正面飾りに相応しい一席を用意するにあたり、
会長の溢れる盆栽・美術コレクションの中から取合せをして、写真の席飾りを設えてみました。
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貴重盆栽のこの吾妻五葉松は、長く福島地方で愛培されたものを、
舩山会長が10年ほど前に受け継ぎ、私と二人三脚で現在の姿に仕上げたものです。
独特な樹相は、他に見ない景色を示しています。
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取合せの水石は、本邦初公開のもので、静岳石としてはその姿・大きさ・共に稀有なるもので、波頭を思い浮かべる様から『沖波浦』の銘としました。
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掛け軸には、舩山会長が盆栽と同じように愛好される日本画の名品コレクションから、近代日本画の大家、横山大観の名画を使用しました。

『残雪見ゆる霊峰の麓に広がる満開の桜・松の翠と共に日本の春を象徴している。
眼下に生きる老松の豊かな翠と生き抜く姿・遥か海原には 波頭見事な大自然』

展覧会の正面を飾る 王道の飾りは、いつ見ても胸のすく思いです。

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 【春の逸品鑑賞会】

ゼロからのスタートで 開園した雨竹亭も、お陰様で10年。
あっという間でもあり、その間に経験させて頂いた出来事を思えば、本当に走馬灯を見ているような歳月でした。
すべては私ども 出来の悪い拙い身に温かいご芳情をおかけ下さった 愛好家の皆様と、
共に正業に励む同業の方々のご支援に他なりません。
感謝の心を込めて久し振りに 雨竹亭で 季節の盆栽・水石飾りを設えて、皆様にご披露させて頂きました。
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重厚な名樹や名石も素晴らしいものですが、ささやかな草物・水盤に合わせることで広がる景色を映し出す景石。
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麗らかな天気の中、この趣味の有難さを私たち自身も感じる機会となっています。
6日までの展覧、雨竹亭の正門は 訪れて下さる皆様にいつも “ 開門 ” しています。
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【半世紀続く 水石展『炉端会』見学と共に】

先日、四国高松へ出向く道すがら、ご案内を頂いていた 水石展『炉端会』を見学させて頂きました。
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関西水石界の恩人として、私の“西の父”として生涯見守り続けて下さった、
故横山雨洛先生の畏友、大阪の本山幸男先生のお誘いでした。
吹田市が保存されている「浜屋敷」は、豪商の名残を見せる見事な建築。
飾られた10席は、熟練の水石家の味わいのあるものでした。
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久し振りの関西水石展見学でしたが、中で出迎えて下さった皆さんは、
横山先生が主宰されていた“伝説の水石会”『聴石会』の元会員の方々がほとんど!
皆さん私が二十代の頃よりご縁を頂く古老達でした!

翌日、2年ぶりに本山先生の居宅(殆ど“石屋敷”!)にお伺いして歓談のひととき。
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夥しいご蔵石と、隣家を買い取って、自蔵石の展覧を毎日楽しまれていられるとの事!
一見して、水石1500~2000点、水盤・卓などの飾り道具に掛け軸類、八十路を迎えられる中、益々の趣味三昧の境地には頭が下がりました。
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25歳で新婚旅行に出かけた先で、初めて石を求められたこと、
丹波紫雲石に惚れ込み、産地の山をそっくり贖われたこと、さすが横山先生の盟友だなぁと思いました!
お元気に水石趣味を楽しまれる本山先生のこの大コレクションが、次代に正統に受け継がれることを願って退出しました。


【創作意欲は国風展終わっても変わらず!】

国風展も無事に終わり、合同チームで展示した作品の引き取りと、お礼に木村先生のお宅へ訪れました。
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海外からの来訪者で賑わった国風展中ですが、一般の方々がご覧になれる庭の棚以外に奥に
非公開の先生の創作中の多くの作品がある棚場があります。
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国風展出品の作品を“ヒートダウン”させている温室には、将来の名木達が並んでいます。
76歳の今も毎日 作品作りに情熱を注ぐ先生の精神には、頭が下がります。
足元の棚には、見事な舎利幹に僅かな枝を伸ばす真柏がありました。
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「この樹も 2~3年経てば、立派な盆栽になるよ」と、先生は いつも“明日”の盆栽を見つめています。
羽生に2000点の盆栽達と暮らす私も、もう一度先生の姿勢を見習って、
ひとつひとつの盆栽を見つめ直そうと思いました。

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