雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


【日中奉納盆栽水石展@清水寺‼️】

大観展で賑わう京都、同期間に世界からの観光客が押し寄せる名所「清水寺」では、
日中平和条約締結45周年を記念して、中国大阪総領事館・春花園Bonsai美術館・そして清水寺が、共同主催して、
『日中奉納盆栽水石展』が、開催されました。

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世界遺産であり、“清水の舞台“の愛称で代表される清水寺を構成する数々の堂宇の中、
三重塔に隣接する経堂の内外に、春花園さんより、多くの名樹・大樹が運び込まれ、名建築と名樹達の競演が行われました❗️

朝6時から夜9時まで、清水坂・産寧坂は、車と人の波で、動きが取れないほど💦
大観展開催中の事もあり、私共エスキューブスタッフは、全員で朝6:30に坂を登り、展覧の場に向かいました❗️
十数年ぶりに訪れた同寺。

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朱色の堂宇が立ち並ぶ中の経堂、遠目からのその軒下を囲むように、盆栽達が、訪れる観光客の目を奪っていました。
来訪を歓迎して下さった小林國雄先生は、“ありがとう!でも疲れたよ💧“の一言。
この東山の上まで、しかも朝6時には押し寄せる人の波! 
いつも親しくしている春花園のスタッフの皆さんに尋ねれば、深夜不眠での飾付け、そして
5時には会場に入っての日々💦
それでも、一般の観光客の方々にはご遠慮して頂く、経堂の中に案内されて、立ち並ぶ仏像群と共に陳列された盆栽群・水石群を見て、“よくやられましたね“の言葉が出ました。

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やりたくても不可能な展示❗️
小林國雄先生はならではの快挙❗️

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一見単独挙行にみえるこの展覧。
しかし、真実はこの展覧の前に、私に
“多くの著名な方々に共にこの展覧を行いたい。京都国際文化振興財団・慶雲庵の田中会長にも京都での展覧、お誘いしてほしい“
と依頼されたのです。
結局、大観展との同時期開催の事もあって、やむなく辞退となりましたが、
たったひとりでこの展覧を遂行した小林國雄先生、盆栽界の国際化と言う観点から、本当にご苦労様でした!と感謝したいイベントでした❗️



【圧倒的な最高レベルの盆栽たち‼️】

大観展搬入~選考審査23日終了!
24日より開幕となり27日、無事閉幕しました。
内閣総理大臣賞の真柏名樹、もみじ「右近」の京都市長賞、
その他、数々の部門受賞の樹々など、日本の盆栽界の“今“をそのまま写し出した世界が、京都に集結しました❗️

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本当の意味のコロナ明けの大観展❗️
予想通り、海外の方々の来場が目立った4日間となりました。

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京都国際文化振興財団の企画展示も、正面の「上杉謙信の一位」・「伏見宮家旧蔵の宮様楓」・「徳川慶喜旧蔵の加茂川石」という
歴々の名品!の他、陶芸界の巨匠達が残した貴重な盆器の、物故作と現存作家の作、の両面展示と言う、財団らしいものでした。

国風展時の上野グリーン倶楽部の「立春盆栽大市」に匹敵する、館内併設の巨大売店ブース!
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今年は、水石組合による特設販売ブースが設けられ、
約300点に及ぶ、水石・水盤・卓・盆器を一堂に陳列販売するコーナーとなりました。

海外バイヤーの交渉が目立つ中、やはりこういうイベント会場は、来場される初級から大家まで、
幅広い愛好家に向けたアピールをしたいものと、日常の商売の在り方の“基本“を噛みしめる機会にもなるように思います。

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出品下さった愛好家の皆様、展覧を楽しまれる一般の愛好家の方々、
初めて“本物“の盆栽の醍醐味をご覧になった人達、そしてこの展覧に関わる業界人のすべて。
其々の“想い“ 其々の“目的“ は、一様ではありませんが、この展覧が、何かの役に立つものであって欲しいと、心から願うばかりです。
事故なく閉幕まで進んだこと、とにかく感謝です🙏


京都府立植物園で毎年春秋2回開催されている「京都盆栽展」

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半世紀近い歴史ある地元の展覧会は、大徳寺庭園でご協力を頂いている、大溝さん、会長の岩本さん、水石業界でお世話になっている河合さんなど、
日頃からお付き合いのある京都の盆栽業者さん達が、ボランティアで愛好家の方々と開いています。

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愛らしい小品盆栽の飾り、季節を彩る実物盆栽、迫力のある大型松柏盆栽等々、幅広い内容が楽しめる展覧です!
国風展・大観展、と言う国内最高レベルの盆栽展も見応えのあるものですが、
このように、地域の愛好家の方々と、協力しながら開催している盆栽展は、拝見していてとても心が和むものがあります。

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搬入から片付けまで、1週間近くかかる展示、普段の仕事を外してお手伝いする業者連。
こうして地域それぞれの盆栽趣味を支える“目立たぬ活動“こそに、心からの拍手を贈りたいです❗️


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さいたま市大宮盆栽美術館で開催中の「山水涼景〜水石の世界」※日本水石協会共催 で、
展示品へのギャラリートークをコロナ以前のようにライブで行いました。

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美術館へいらっしゃる、普段盆栽の素晴らしさを楽しまれる方々、皆さんへ“水石って?“という、
単純でひとことで伝えるのが難しい説明から、各席の詳しい解説まで、
38℃と言う猛暑の中いらして下さった30名程に伝えるのに、45分ほどかかってしまいました❗️

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嬉しいのは、解説など、浅学非力の私が、おこがましくも説明する事に、
耳を傾けて真剣に聞いて下さったり、メモをとりながら、“なるほどなあ“と、一席ずつご覧になったり・・。

水石を扱うプロとして、このようにその魅力を伝える事の大切さを痛感する時を頂いたのは、何よりも私自身かもしれません‼️

以前、アメリカワシントンの国立盆栽園でキュレーター(主に学芸員の方々)との講義を任された時、
“モリマエ、石は河川にあるもので、結局盗んで(拾って)来たものなのか?犯罪ではないか?“
と問われて、答えに窮した事がありました。

水石協会の役員として、正当な答えを求めに、国土交通省所管の河川局とその内容を相談して、答えを見つけました。
今日のような講演の時には、この内容を必ずお伝えする事にしています。

(河川局よりの解答)
日本の山河や海にそそぐ河川は、すべて国の管理するもので一部を除いて個人の所有はありません。
この河川に広がる石類も同じく国民の自然財産です。
個人としては、娯楽の域で河原から石を手に取り、訪れた記念に数点を持ち帰り楽しむ事は、
その河川を荒らすような行為とならなければ、問題ありません。
しかし、これを営利目的で採取したり、業とする方が持ち帰ることは、河川法に照らしても違反行為となります。
自然を愛する日本国民としてのコンプライアンスを遵守された娯楽の域で楽しまれる事を望みます。


これが解答でした。
つまり、一般の愛好家の方々が、“探石“と言う、水石として楽しめそうな石を河原から拾う事は問題なく、私達プロはダメという事です❗️


多くの人達が、訪れた山河で、自分の“目利き“で、水石の“卵“を見つける事が、いつかはそれが水石展に登場する第一歩になるのです。
盆栽で言えば、山採りの素材から名木が生まれるような事です。
みなさん!川へ行きましょう❗️未来の名石を‼️


「山水涼景〜水石の世界」についてはこちら


毎年、夏の季節、さいたま市大宮盆栽美術館で、同館と日本水石協会の協同主催による水石展が開催されます。

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今年は7月21日から8月30日までのロングラン❗️
途中(8/10)入替を経て前後期の展示です。
今回の前期展は、雨竹亭関係で、全席8席の内、7席を受け持ちました。

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冬の『日本の水石展・都美術館』とは雰囲気を変えた展示、この美術館ならではの企画が込められています。
格調高い床の間飾り・茶室風飾り、山形石・島型石、滝石、小品棚飾り、など、
景趣や設えを凝らした水石の展示。

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庭園の名樹を背景に静かな空間が広がっています。
私も8/6(日)13:30~ ギャラリートークを今年も受け持っています。
“ひとつの石が見せる大自然の景色“  是非皆さんもご覧になって下さい❗️

大宮盆栽美術館『山水涼景』についてはこちら↓
https://www.bonsai-art-museum.jp/ja/exhibition/exhibition-9438/

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