雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 水石

【廣瀬邸 見学会】

私が取りまとめ役を務める「玄虹会」の秋季研修旅行。
大中国盆栽旅行を数年続けた中、今年は久し振りに国内盆栽研修としました!
1日目は現在の日本愛好家を代表するおひとり、廣瀬幸夫先生の大邸宅へ訪問しました。
大徳寺での『玄虹会展』などにも参観に来てくださり、昨年は大観展の際、
会員との会食を木村正彦先生達とも過ごされた廣瀬先生。
以前よりの“一度 噂に聞く大邸宅と名木群を拝見させて下さい”と言う、私の懇願に快く迎えて下さいました。
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10年の時をかけて造られたご自宅は、日本建築の粋を現代に残す名建築!
選び抜かれた木材と匠の技。
これだけの個人邸宅を平成の作品として見るのは、他には無いと思いました。
広々とした庭園、その一角に設けられた盆栽棚。
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所蔵される五葉松を中心とする古樹達は、第一級の名樹ばかり!
この中には国風賞を受賞したものだけでも6点と聞いてびっくり!

邸内に招かれてその造り・所蔵される名石・道具にため息ばかり!
これでも最近の蒐集品を蔵に入れる暇が無いものだけ!との事!
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玄虹会の会員の皆さんもあまりにも圧倒的なスケールと幅広い眼福高い収蔵品に、言葉を失う程でした。
盆栽から水石へ、歓談の時は 美術品そして蒔絵芸術・刀剣へと、そのどの分野においても、国内トップレベルの内容!
今でも盆栽界にこれ程の見識と実蔵をされる方がいらっしゃる事に、感嘆と敬意を持つばかりでした。
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“本物に魅入られると、くだらないものは要らない!その方が無駄も授業料も安くすむんだよ”
と、お若い頃よりの蒐集趣味を語られていました。

今回の慰安を兼ねた研修旅行の第一歩で、会員の皆さんにも ある意味の満足をして頂けたと有難く思って、
「名品の坩堝」と言える 邸宅から、妙義山を眺めて退出しました。

最終執筆!

軽井沢「銀座雨竹庵」最後の年、7月下旬から3週間、残すところあと数日となりました。
道ゆく避暑地を歩く皆さんに初めてご覧になる盆栽を説明するのは、今も昔も楽しいものです。
お得意様のお相手も凡そ済んだ中、水石界に依頼されても“貧乏暇無し”ゆえ、
執筆に長い時間を頂いている『日本水石名品選集』、この残された軽井沢の時間で骨子全体の執筆だけは完了しようと鉢巻を締めています。
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いざ!取り掛かると、所載が予定されている水石の数々は、日本を代表する名品ばかり!
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次世代に遺す大切な文献のなる事を思えば、1度1石の校了となっても、再考して書き直す!の繰り返しです(笑)
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少しでもひとつひとつの石に対して、正確で出来るだけの資料となるように努めて、
自分にとっても、プロとしての足跡になれるように頑張りたいと思います。
それにしても、学が無いという事を身にしみる毎日です(泣)

【大宮盆栽美術館!】

日本水石協会とのコラボで、毎年開催される盆栽美術館での水石展は、今月の26日まで行われています。
前期・後期 に分けての展示、メインの床間席と後期分を私共で お手伝いしました。
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20日には 来場の方々に展示品の解説をする〈ギャラリートーク〉を今年も担当しました。
盆栽愛好家だけでは無く、ご家族連れや学生達の観覧も増え続けている美術館。
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“石が文化として飾られているんだ!”と、興味を持って頂ければと、同じ水石協会の役員である蔓青園主、加藤崇寿氏と 続けています。
今回 主飾りとなった瀬田川石「男体山」は、最近まで〈幻の名石〉として 斯界に広く喧伝されながらも、
その現物は半世紀以上公開されなかったものです。
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その名の通り、加工なき姿は日光連山の主峰をまるで絵に描いたようです。
各展示石共に、水石を理解して頂きたい気持ちで、山地や姿、そして台座ものと水盤石、水石の幅の広さを展示してみました。
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残り数日程ですが、ぜひご覧になってみて下さい。


春花園 盆栽美術館の成熟度満点!

日本水石協会の今年の名品展(明治神宮・6月12日〜16日)に展示される日本の名水石達の、
出品審査会が、理事長である 春花園 小林國雄師の邸宅「啓雅亭」で行われました。
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先輩として・私の恩師の友人として・そして“愛すべき人柄”。
水石協会の理事長と事務局長というタッグを組んで6年になる中、
盆栽水石という世界に見せられて走り続けた似た者同士が、いつのまにか70と60の年齢になっていました。
“そろそろ後輩達の成長と努力を喚起させないと”という想いが、小林理事長の再来年の勇退・森前事務局長の4年後の退任・で、2人で相談して決めました!
百人力の2人がいつまでも先頭を切って協会を運営していたのでは、
若年の役員達がいつまで経っても「自分たちでまかなう協会・未来の水石界」という責務を実践出来ないと判断したからです。
2人とも何も無い頃から、良くここまで来ましたね!と語り合う中、啓雅亭の庭を見れば、日本を代表する名盆栽の山々。
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お互いに海外からの研修生を育てて、ひとりでも新しい愛好家を増やしたい!
この気持ちで 自分というものを駆り立てて来たのも似ています。
「理事長は この春花園をどうするの?」と尋ねれば、「モリちゃんだって同じだろ!俺たちの生き方や動き方を受け継ぐ奴なんていやしないさ!お互い一代限りだよ!」
当たっていないとも言えませんが、たとえすべてを伝えられなくても、
盆栽人・水石家・としての“大切なもの”が何か?を 私達の生き方から学んでもらえたならと、
後に続く者達を信じて行きたいと思っています。
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勿論 私も理事長も、自分の求める「夢」に向かって、どんなに年を重ねても、
たとえ明日斃れる時が来ようとも、前に向かう事だけに生きると思います。
何かの本に書いてありました。
「出来れば 逝くその時が来ても、一歩でも前に向かって斃れたい」
道はまだまだ続きます。
とりあえず今は、来年に挙行される明治神宮100年祭・東京五輪記念・水石協会60周年記念・この三祝展として
明治神宮が 100年の歴史の中、水石協会を信頼して下さって、初めて神宮の杜の中、参道に100mを超える展示施設を作り、
100数十点の日本を代表する名盆栽を一堂に展覧すること、そして同じく明治神宮の杜の中に守られている旧社務所・現在の参集殿(昭和の名建築)で、
100石を超える名石を大展覧を敢行すること!これに邁進したいと思っています。
2人の道は 続きます。
盆栽に完成がないように。
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【至高の水石飾り!】

玄虹会長老の根岸庄一郎先生の邸宅に同好の「玄虹会」有志メンバーが集いました。
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今春より 体調を崩した根岸先生を見舞い励ます同朋の集いは、
根岸先生の渾身の座敷飾りを満喫させて頂く機会ともなりました。
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玄関脇には、端午の節句を間近にした木彫の鐘馗像・寄付き床は 宇田荻邨の筆による扇面の「さくらんぼ」 
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広間床の間は、間調子絶妙のポンピラ石の遠山型を名器 植松陶翠の水盤に合わせ。
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掛物は 児玉希望の「若鮎」大脇床は木彫の「杭に翡翠」。
季節を捉え、主たる水石を映えさせる道具立て。
名手と謳われた根岸先生の面目躍如と言える見事な設えでした。
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近年は、盆栽も水石も単体としてのコレクションは、名品を蒐集される方も多くいますが、
それを使い切って、総合的に設えて飾り込む・・と言う 日本文化を凝縮した盆栽水石趣味へと昇華できる方が少なくなりました。
これは 私達 プロと言われる者共の研鑽の不甲斐なさによるところが大きく、将来を憂う部分があります。
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貧者の一灯かもしれませんが、私も先師片山一雨先生・恩師 須藤雨伯 より薫陶を受けた
「正統の盆栽水石飾り」の中に息づいた文化そのものを、僅かでも伝えて行きたいと思います。
・・・飾りの中に、席主の人格が響くような・・・切なる願いです!

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