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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 水石


【神話の銘を持つ神居古潭石「高千穂」特別展示❗️】

東京都美術館において、水石界の象徴的展覧会となっている「日本の水石展」が、コロナ下の開催が危ぶまれた中、無事に開幕しました。

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東京都への来訪を積極的にお勧めする時とは言えない中でも、昨年を上回る総席数177石の出品をいただいた事は、
事務局長を預かる身として、本当にありがたい事でした。


全国各地に愛蔵されてきた名石の数々が、一堂に展覧される国内最大規模の水石展。
今回は特別出品としてポスターにした石は、戦前より名石として名高く、帝国議会への展覧、
そして“天覧“(陛下がご覧になった事)の栄を受けた石、神居古潭、銘「高千穂」が選ばれました。

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天孫降臨の神話の舞台としての地、高千穂の名を持つこの石は、水石家の誰もが知るものですが、近年は公開の機会を得る事がありませんでした。
コロナ下の都心、気高い名を持つ石を首座に据えて、無事に開催が行われる事を願っての
出陳です。


他にも、廣瀬自在庵氏の協力で、郷男爵、旧三菱財閥岩崎家、等々の旧蔵歴を持つ、日本の代表的な名石12点を一挙展示する企画展示も注目の的です。

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外出を控えて、自宅での時間が多い中、自然界の造形である「石」の持つ美が、

多くの人々の心を癒やしてくれることを願っての展覧会になりますよう、祈りたいです。


関東地方・上州群馬を代表する盆栽愛好家、廣瀬幸夫先生(号・自在庵)の所へ、水石飾りの設え替えに伺いました。
門を入って驚くのは、その木造建築の邸宅!

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現代にこれだけの檜と欅材で、この大きさの邸宅を作るのに、どれ程の年月がかかるものか?
“材木集めに5年・建築に5年かな“と聞いてビックリ!

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そして、名庭と言える広大な庭の一部に作られている盆栽棚。
五葉松を中心に、国内最高レベルの名品の数々!
近年は、水石の美への探究心が強く、精力的に名石を蒐集されています。
盆栽・水石・僅かな時間で究極の逸品へ辿り着く「目筋」は、
50代の頃には完成したと言われる「日本刀剣」の大コレクションで培われたそうです。

“名品を見極める心は、何でも同じだよ。とにかく、最上の作品をよく見る事、その“出会い“を得る事が出来る日常に心がける事だよ”
と、廣瀬翁の弁。
一代で築き上げた事業とコレクション、いずれは個人の道楽としてではなく、
次代に受け継ぐ日本の文化遺産として公に尽くされたい、と願っておられるそうです。

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それにしても、あまりのスケール、温厚な盆栽水石をこよなく愛される古老と知らなければ、
どこぞの“組長“や“総長“の本宅?に見えて門から怖くて入れませんよ!!


【夢にみた据付と飾り付けは、伊勢の神宮が紡いで下さった!】

伊予産名石『五十鈴川』・3代続く大家「如学庵」の蔵石として名高く、
私もこの道に入って様々な図録で、その湧き流れる渓流の姿は、若かりし頃の私の目にも強く残りました。
名園吉村香風園氏の大旦那として、昭和前期より活躍された家門。
蔵石のすべてが日本水石界を代表するものばかり。
初代が蒐集した刀剣は、『三条宗近・別名“三日月宗近”』を筆頭に、
国宝・重文・多く、その殆どを国立博物館に寄贈された事は、水石界ではあまり知られていません。(因みにその額約20億円!)

先日京都大徳寺の展覧を終えて、
数年来の念願だった『神宮』(伊勢神宮は通称で、ここだけは“神宮“と呼び、日本神社界の頂点の社)へ参拝しました。
その帰路、“名石五十鈴川が放出される“の報を頂き、師走の世知辛い世間の喧騒の中、
香風園氏の協力で、若き頃より夢にみた“五十鈴川“を扱わせて頂く機会を得ました。


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今回、三尺銅水盤への“据付け“と、新年の床飾りを設えました。


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清流の水音が聴こえるような景色、広々とした水盤の中に、五十鈴川は描いた通りの素晴らしい世界を見せてくれました。


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取り合せに、橋本雅邦の「富嶽図」


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控えめの掛物の寸法が、名石を映えさせてくれると思いました。
添えに青銅の三重塔。
お世話になった大家小泉薫先生の形見の品です。
コロナに振り回された一年、五十鈴川の神気漂う世界観が、病魔退散、邪気を祓ってくれますように。

【お孫さんと都美水石展出品へ!】

20年近く、アメリカの友人達の依頼で、東海岸(ニューヨーク・ワシントン・ペンシルバニア)へ、
講演に行く中で、家族のように親しくなった、ニューヨークのロン・マッジオ氏。

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心優しい水石愛好家は、何となく、“年金暮らしのロバートデニーロに似ています(笑)


同じく、アメリカの盆栽水石の文化普及に努める、ビル・ヴァラヴァニス氏。

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彼とは修行時代からの40年以上のお付き合い!


この前も、コロナ災禍の地元から、2人で探石に行った便りが届きました。

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相変わらずの愉快な仲間です。



そのロンから連絡があり、大切なお孫さん、ロン・マッジオ3世!と共に、
来年の水石協会主催の東京都美術館『日本の水石展』へ、グランパとグランサンで2人で飾りたい!との事!

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世の中の政治が、各国の思惑で右往左往する中、こんな嬉しい出来事はないです!
ワクチンが行き渡らなければ、来日も難しいでしょうが、大切な2人の水石を、責任持って飾りたいと思います。
それにしても、3世、まだ歩けない時から、水石を片手に持つなんて!すごい!


3年前の『世界盆栽大会inさいたま』での、日本水石協会による未曾有の名石展覧「日本の水石百選」を基に、
平成の時代にも作られなかった名石図鑑を作ろうと決めて、長い刻が経ってしまいました。
協会からも「森前君に頼るしかないが、まだ出来ないか?」と幾度も言われて、愛好家の方々にも申し訳なく思っていました。

「百選」だけで作れば、昨年には執筆を終えていたのですが、“もう二度と作れない”と思うと、その後に登場した無名の名石の多い事!
『近代盆栽』日本執筆している「名石探訪」・毎年協会が開催する「日本の水石展・東京都美術館」・歴史ある「日本水石名品展・明治神宮」等々、
“まだこんな素晴らしい水石が隠れていた!”と、これも載せたい、これも記録を残したい、と、
既に200点近い賓石が候補となってしまいました!


“いつまでも待たせられない!“そんな事をずっと思っていて、コロナ災禍に悩む今夏、
社員の全員に夏季連休を取らせる間、お盆も羽生の留守役をして、
“最終執筆はここに居たら雑用でいつになっても出来ない!“と、腹を決めて、某所山奥の“隠れ家”に1週間籠る事にしました。

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ここから基本の単体解説を全品仕上げるまで頑張ります。
「筆を置く」にまで至らなくても、せめて単体執筆を終了させて、全体構成と巻頭巻末の編集を後にするまでにここで仕上げたいと思います。

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心配なのは、盆栽の無い刻を私が本当に1週間も持つかな?と少し心配です。笑!

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