雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 水石

【お孫さんと都美水石展出品へ!】

20年近く、アメリカの友人達の依頼で、東海岸(ニューヨーク・ワシントン・ペンシルバニア)へ、
講演に行く中で、家族のように親しくなった、ニューヨークのロン・マッジオ氏。

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心優しい水石愛好家は、何となく、“年金暮らしのロバートデニーロに似ています(笑)


同じく、アメリカの盆栽水石の文化普及に努める、ビル・ヴァラヴァニス氏。

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彼とは修行時代からの40年以上のお付き合い!


この前も、コロナ災禍の地元から、2人で探石に行った便りが届きました。

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相変わらずの愉快な仲間です。



そのロンから連絡があり、大切なお孫さん、ロン・マッジオ3世!と共に、
来年の水石協会主催の東京都美術館『日本の水石展』へ、グランパとグランサンで2人で飾りたい!との事!

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世の中の政治が、各国の思惑で右往左往する中、こんな嬉しい出来事はないです!
ワクチンが行き渡らなければ、来日も難しいでしょうが、大切な2人の水石を、責任持って飾りたいと思います。
それにしても、3世、まだ歩けない時から、水石を片手に持つなんて!すごい!


3年前の『世界盆栽大会inさいたま』での、日本水石協会による未曾有の名石展覧「日本の水石百選」を基に、
平成の時代にも作られなかった名石図鑑を作ろうと決めて、長い刻が経ってしまいました。
協会からも「森前君に頼るしかないが、まだ出来ないか?」と幾度も言われて、愛好家の方々にも申し訳なく思っていました。

「百選」だけで作れば、昨年には執筆を終えていたのですが、“もう二度と作れない”と思うと、その後に登場した無名の名石の多い事!
『近代盆栽』日本執筆している「名石探訪」・毎年協会が開催する「日本の水石展・東京都美術館」・歴史ある「日本水石名品展・明治神宮」等々、
“まだこんな素晴らしい水石が隠れていた!”と、これも載せたい、これも記録を残したい、と、
既に200点近い賓石が候補となってしまいました!


“いつまでも待たせられない!“そんな事をずっと思っていて、コロナ災禍に悩む今夏、
社員の全員に夏季連休を取らせる間、お盆も羽生の留守役をして、
“最終執筆はここに居たら雑用でいつになっても出来ない!“と、腹を決めて、某所山奥の“隠れ家”に1週間籠る事にしました。

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ここから基本の単体解説を全品仕上げるまで頑張ります。
「筆を置く」にまで至らなくても、せめて単体執筆を終了させて、全体構成と巻頭巻末の編集を後にするまでにここで仕上げたいと思います。

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心配なのは、盆栽の無い刻を私が本当に1週間も持つかな?と少し心配です。笑!


2月の東京都美術館での『日本の水石展』以来、コロナ災禍の為、お会いすることのなかった、協会理事職の中川さんの所へ伺いました。
ご本人は、ご家族の気持ちもあり、上京は勿論、ちょっとした遠出も儘ならない日々!
数ヶ月をずっと長岡のご自宅での在宅で、出かけられないストレス!
本当に胃に穴が開いたそうです‼︎ 

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久しぶりの訪問でしたが、程よい大きさの庭にも盆栽や草物が美しくあり、邸内には中川さんらしく、各所に水石三昧の姿がありました。
本人は「ずっとここにいて気が滅入ってしまうよ」と仰っていますが、趣味というものは、こういう時にありがたいと思います。

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“この石をどう飾ろうか?添え物は何が良いだろうか?掛物は?”等々、思案をして、席を考案する。
水盤を替えるだけでも、石の見付きを僅かに動かすだけでも、そこに浮かぶ景趣が変わります。

同朋のコレクションを見ると、妙に欲しくなるのは、私の悪い癖!
譲ってくれなきゃ、帰らない!と、駄々をこねて、相変わらず!ニコニコしながら数点の良石を割愛してもらいました!

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遠い越後の地で、水石趣味の王道を楽しまれる先輩。
道の深さを同じように理解している方との刻は、あっという間です!
(本人には、また何を欲しがられるか怖いから、早く帰れと言われましたが・笑)
楽しい旅でした!


展覧会と言えば、盆栽の素晴らしさ・水石の神韻・をそれぞれに楽しむものが普通となっていますが、
日本の盆栽水石界は、明治の夜明けから戦後まで「座敷飾り」を主体とした“連席”による構成がほとんどでした。
ひとつの名品がみせる風趣や格調、これが続いて設える事で奏でる“もうひとつの深さ“を観者が“読み取り”
そこに現出した自然観・精神美・を、合わせて楽しみ語り合う事を至上としました。
この考え方を現代に踏襲して次代に日本の盆栽水石趣味の真骨頂を伝え残そうと努めているのが、数寄者の同行会「玄虹会」です。
3月の初旬に開催された第12回展、名刹・京都臨済宗大徳寺派総本山の最大塔頭『芳春院』での展示で印象深かった席をご紹介します。
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本堂に飾られた水石と真柏。
寂味の見事な真柏は、盆栽家としてプロを志す者ならば誰もが一度は現物を観たいと願う名樹「かりゆし」
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糸魚川真柏の座敷飾りに合う逸樹として昭和から平成まで「本物の真柏盆栽の極み」と謳われたものです。
現在、真柏盆栽を展示に飾る場合、針金整姿を施し、舎利を磨き化粧塗りをして、水吸いもきれいにする。
そんな事を嫌うようにこの樹は人と自然と“刻”が紡いだ姿を何よりも自然に大切にされているのです。
本来、真柏美は、人智の届かない厳しい自然観が内包されている事を第一としていますが、
近年は造形的な“綺麗さ”が重視され、本来そこに現する神韻や“畏れ”にも似た『美しさ』が忘れられがちです。
「綺麗と美しい」は、微妙に違うのです。
この真柏「かりゆし」を右に中の手は、打水を施した渓谷美をみせる八瀬巣立真黒の雅石。
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名高い旧岩崎財閥(三菱グループ)の総帥・岩崎小弥太の旧蔵石です。
合わせられた水盤は、中国清代に作られた白交趾『珠佩』の名器。
そして左には佐治川の堂々たる泰山を思わせる山形石。
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これは日立製作所創業者、久原房之助翁が愛したもの。
それぞれに日本の宝と言える文物ですが、これを威を張るわけでもなく、飾りの中に溶け込むように設える・・
この“使い切る”事こそが、趣味家としての醍醐味と言えるのです。
真柏が示す自然観と命、連綿と続く景色としての渓谷、遙か向うに仰ぐ山姿。
時代が変わろうと人の在り方に変化があろうと、何も変わらない自然の有り様。
3点の美が共鳴し合って響く連席の韻。
盆栽水石の深い楽しみの参考にして頂ければと思います。

【盆栽水石・究極の世界観】

盆栽水石の趣味世界を、“道”としての美意識のレベルで見つめる同好会「玄虹会」
京都禅林名刹「芳春院」を舞台に今年も静謐な展示がなされました。
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コロナウィルスの惨禍で、開催も危ぶまれましたが、たとえ無参観でも季節の飾りに込めた美を研鑽しようと言う会員の皆さんの想いのお手伝いとなりました。
文化財級の歴史的堂宇と茶室をご提供下さるご住職には感謝しかありませんでした。
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繰り広げられた各席の“設え”は、文豪谷崎潤一郎が著した『陰翳礼讃』に込められた日本人の美に対する精神的な意味と言うものを、無学な私にも感得できるものでした。
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ひとつひとつの盆栽水石の素晴らしさ・「連席」と言うひとりの方が複数のもので一席を設える世界・自然観の表現の裏側に込められた禅の教えにも似た“人が見つめる生き方”の想い。
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会期を片手に堂宇を巡る皆さんには、敢えて解説などをせず、観者の捉える見方を大切にしてほしいと言う会の思いがありました。
毎回、繰り広げられる世界観の中に、いつも新しい発見を感じます。
形骸化する盆栽展・水石展。
業界人として反省多き現代ですが、こんな展覧がずっと続いてくれる事を心から願いながら、至高の場に佇みました。
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