雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 水石

【7,000万の出来高❗️】

日本水石協会の文化事業を応援する業界組織として、仕組みを新たに開催されたオークション。
本来は東京盆栽倶楽部で行うイベントでしたが、昨今のコロナ拡大を配慮して、
少しでも換気の良い広い会場という事で、私達羽生雨竹亭での開催となりました。

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事務局を預かる私の周りは、名匠木村正彦先生、主催代表の小林國雄先生、業界を代表する皆さんが、全国から集って下さいました。
一般の業界オークションと少し違うのは、水石協会の活動援護の意を知って、
蔵深くに眠り続けている名石・名水盤が盆栽群と共に、表舞台に見る事が出来る事です。

今回も、“天下五剣“の筆頭として名高い国宝「三条・三日月宗近」を国立博物館に惜しげもなく寄贈された、
名家が旧蔵していた紅鞍馬石の絶品「若草山」や、銀象嵌の名器「鍋長楕円水盤」など、息を飲む品々!

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そこへ木村先生など、盆栽界の宝とされる作家の盆栽作品群!

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5,000円ほどの愛らしい石から、数百万の名樹まで、朝8時に開始されたオークションは、
気が付けば、終了の手締めがされたのは薄暗くなる黄昏時になっていました。

盆栽以外の競りすべてを担当した私は、今朝も声が出ないほどでした💦
でも、こんな時期に予想を超える参加者と出来高、仲間の心意気に感謝!感謝の1日でした。


日本水石協会との共催の形で、毎年大宮盆栽美術館で開催される本展。
今年も私共がお手伝いとなり、床の間飾りを含めて、美術館に“夏飾り“を設えました。
真・行・草・の3種の床構え、美術館らしいモダンな展示ブース、
それぞれの場面が持つ
イメージを大切に、お世話になっている愛好家の方々にご協力頂きました。


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“真の床“は、静岳石の雄大な台座石。
「白雲抱幽石」の禅語は“黄檗禅三筆“のひとり木庵。
格式の高い様式の床、脇書院・付書院など、石の持つ世界観と共鳴出来る道具合わせが重要です。

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行の床には、渓谷の景色を現す力強い伊予石。
明治の明治の日本画大家・山元春挙の大胆な構図の瀑布(滝)。
墨部分のみで清冽な水飛沫を見事に表した名画に滝下の渓流を想わせる石姿。
水石夏飾りの真骨頂の席。


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煎茶文化に端を発した、盆石の文房飾りを再現した珍しい席。
棚も名工鈴木節斎、水石三点は、“天・地・人“の趣意を持っています。



企画展「山水涼景~水石の世界」】
さいたま市大宮盆栽美術館HP
https://www.bonsai-art-museum.jp/ja/exhibition/exhibition-8110/

【小林國雄理事長の世界❗️】

一般社団法人・日本水石協会の社員総会が江戸川区「春花園・啓雅亭」で行われました。
理事長である盆栽家、小林國雄師の自邸です。

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久しぶりに訪れた春花園は、相変わらずの名木巨木に圧倒されるような棚でした。
コロナによる感染者数も全国的に以前より少し落ち着いて、来園される方々もたくさんいらっしゃいました。
二度と出来ないと言われている本格日本建築『啓雅亭』の室内も、各床飾りが見事にされていました。

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理事長自身の著作、“天地人“の最後の巻、“人“は、水石を主人公とするもの。
水石協会理事でもある、ウィル氏による英文翻訳の校正も、
総会終了後にオープンテラスで、役員達で寛ぎながら見守りました。

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74歳になられる中、ここからの盆栽人生を飽くなき探究心で見つめ続ける小林國雄理事長。
集大成の刊行は10月中旬との事です。


緑陰を楽しむ6月の梅雨景色。
もみじや深山の樹々の盆栽が、床飾りを映えさせてくれますが、時には少し早めの“水盤水石の飾り“をしてみようと思いました。

渓流や滝石と思い、水石蔵を探しましたが、雨竹亭の応接床の間は大きく、ここに見合う石がありませんでした。
10年ほど前、静岡の方から“生前家人が生涯をかけて集めた石を手放したい“と連絡を頂き、10トントラックで数台分の石を羽生に運びました。
“玉石混淆“の言葉通り、故人が集めた石群は、多種多様! 

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いつの間にか10年が経ち、風雨に晒されて、石肌に味わいが出てきました。
培養場の端に並べている中から、手にとってみたのが、この石です。

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ブラシで汚れを取り、水圧のかかる機械で、石の古感を損なわないようにしてみました。
水盤石として鑑賞する際は、基本的な汚れや、苔むした部分を掃除して、清浄な心象世界を石から感じられるようにしてから水盤に据え付けます。
当たり前の滝姿や渓流も、当然良いのですが、“この見方は今までにない“なんて、ヤンチャな心が、独特の興趣を作ってくれました。

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安倍川石の一種、藤枝石。
母岩の石肌が、淡白褐色で、大陸的な宋画の中に登場するような石相を醸し出してくれます。

聳り立つ岸壁、よく見れば、岩崖の間から“石清水“の滝が感じられます。
静かに音もなく、神韻とした空気。
石の色調が淡いので、水盤は“色で締める“気持ちで、瑠璃釉の袋式にしました。

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深山に聳える孤峰の断崖、霞む向こうには、月を一閃に横切るホトトギスの姿。
草木も生えぬ断崖の彼方に生きる真柏の老樹。
石に季節は表せづらいものです。
しかし、取り合わせる掛け物や、盆栽が、季節と席全体の景趣の一体感を創り上げてくれます。

名もなき石達。
数百点の誰も見向きしない中に、“見立てる“  心を持てば、床の間に飾れる石が生まれる。
これも水石趣味の醍醐味のひとつです!


山河に横たわっていた一塊の石を、人が“見立て心“で、美術芸術作品にも劣らぬ日本人の美意識の結晶とした“水石“。
これを美の殿堂と言える東京都美術館で開催すると言う悲願を実現して9年。
今年で9回目となる『日本の水石展』が始まりました。

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今回は、総席数150、特別出品の主座には、大徳寺塔頭「孤篷庵」所蔵の非公開盆石、小堀遠州、松平不昧公に由来を持つ石が公開されました。

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約250年前の不昧公による茶会に飾られた記録を有する歴史深い一石。

加えて京都に本拠をおく盆栽財団『慶雲庵』の紅幸太郎石など、賓石の数々が、披露れます。

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古来よりの陳列作法である座敷飾りの設備を作り、掛け軸を配した席飾りは、この展覧会ならではのものでもあります。

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国際的な人の往来が、国や文化の“特色“と言うものを薄めてゆく現代、
このような時代だからこそ、日本人の水石観が、大切なのではないでしょうか?

コロナ禍の開催、自然のような多くの参観は無理でしょうが、
美術館と言う広く安全な環境で、“日本“を堪能してみては如何でしょうか!


【第9 日本の水石展】

場所:東京都美術館 公募展示室2F-4

会期:2/142/18

時間:AM9:30PM5:30(入場PM5:00まで)

初日は式典のため10時開場

入場料:500

(団体10名様以上 400)
(
大学生・高校生;400円、中学生以下無料 

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