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盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽


【20mの特別大展示 小布施・鈴木伸二邸 での作品選別!】

4月の第8回世界盆栽大会では、昨年京都に設立された
「一般財団法人 京都国際文化振興財団」通称「慶雲庵」が、
関東で初めての総長20mに及ぶ大展示を行います。
私共エスキューブと長野県小布施の鈴木伸二氏が作品の管理と展示の企画構成をします。
今回、長野県小布施にある財団の盆栽を確認して、全体の展示構成をどの様にすべきかの思案を開始しました!
日本盆栽家のトップレベルである鈴木伸二氏の棚は、どれを見ても銘品の山!
財団の理事長であり、オーナーでもある田中慶治氏のコレクションは、
まさに日本盆栽界の宝の山でした。
さて、この中から20mに飾る樹を、羽生にある高砂庵岩崎大蔵先生の遺愛品である名木30点と合わせて
"15点のエリート"を選び出すのは"金メダルの中からプラチナメダルを選ぶ"ような難しさ!
でも、日本を代表する最高の展示を任された責任と誇りを持って
会場デザインと共に43年の経験を活かして取り組んでみるつもりです。
忙しい鈴木氏の代わりに私を迎えてくれたのは、
名匠木村正彦先生の弟子である鈴木氏の息子さんと弟子の野村さん。
20代の若き盆栽家と展示の構想を話していると、
私が私の歳でやるべき事が次の世代の記憶になることを実感します。 

ここに来てもうひとつ感慨を覚えたのが、庭内のすべてが美しく静謐で、
"ああ、盆栽っていいもんだなあ"
と素直に感じられる空間が、ちゃんとあることでした。
プロたる者は訪れる方々に何かしらの感動の記憶を持って帰って頂く位の日常を考えたいですね!


【震災・津波 の街に 若き盆栽文化の継承者!】

私共エスキューブ雨竹亭で修行を終えた 宮城県多賀城市の 加藤 充 君が、
震災から6年、様々な思いを込めて住み慣れた自宅を壊し、
市内を見下ろす地に盆栽園を建設中です。

徒手空拳の初代、何もないところからのスタートは並大抵のものではないでしょう。
先日、多賀城へ出向き初めて現場を拝見に行きました。
高台にある旧家の自宅は津波を免れたものの、眼下の見慣れた街は大変な被害にあったとの事。

修行中も東北人らしく、寡黙で盆栽と向き合う様な性格の彼は、
故郷へ帰ってからの7年、人生を変える程の災害を目の前に盆栽と向き合う日々を、
各地の愛好家の手入れ仕事をしながら過ごしてきました。
"1度きりの人生、盆栽しか自分が世の中に尽くせるものはない"
と心に決めて傾斜地という難しさと闘いながら、もう少しというところまで来ました。

今はまだ、仮置きの盆栽棚、ようやく地面が仕上がった自宅部分、
夢と苦労を背中に背負う青年の応援をしたいと思います。
頑張れ!東北人の魂!


【矢内 信幸翁 の 美意識と日常の中の盆栽】

先日 久しぶりに大阪箕面市の料亭「みのお茶寮」へ
20年来の得意先 矢内信幸先生の所に行って来ました。
元々はご自宅だった茶寮は、まさに矢内先生の美意識のかたまり!
自然体に造られた庭には、其処此処に盆梅の古木が点在していました。
建築や調度品など、造作のすべてが翁の凝った意識の中でまとめられ、床の間には白梅の古樹。
ここ"みのお茶寮"は、まさに「矢内ワールド」全開の世界でした!
20年前、独立間も無い私が初めて出店した「日本盆栽大観展」の売店。
そこで矢内先生に出会い、ご自宅の盆栽を拝見した時、
"関西にこんな味の効いた盆栽を理解して楽しむ方がいたのか!"
と驚きを覚えたことがつい昨日のようです。
長いお付き合いの中で、意見をぶつけたり、個展の開催をお手伝いしたり、いろんな事を教えて頂きました。
盆栽界にも料理界にも染まらず、自身の「矢内ワールド」を貫く姿は今も昔も変わりません!
約300点に及ぶ盆栽をたった一人で日常の管理手入れをし、
毎日店に訪れる方々を迎えるように各部屋に「季節の自然」を設える。
これを矢内先生は数十年続けているのです。
至福の昼食を頂いた後、退出する暖簾の脇に紅梅の古木が見送ってくれました。
 



【埼玉県行田市桜ロータリークラブ講演】

先日 ご懇意にしている愛好家の依頼でロータリークラブの講演をさせて頂きました。
私に出来ることは、盆栽や水石を隣において様々な自分の日常や出来事をお話しするだけです。
今回は4月の世界大会に出品する真柏を飾り、この大会が日本の盆栽界にとってどれ程大切なものかを伝えて、
併せてそこで「盆栽と水石を世界遺産登録へ!」という活動の発信についてお話しました。
地域や社会に尽くされる方々に、少しでも盆栽界の現状と未来を伝えられればと願っています。

真柏は彫技による舎利やジンの芸ではなく、自然の風雪が創り上げた天然の姿を持つ数少ないものです。
僅かな枝姿で幽玄な相を現しているのも真柏盆栽の真骨頂と言える樹です。
使われている鉢は宜興紫砂泥で特注した扇型で、
"古典と現代的モダン"を融合させた作品として私なりに気に入っているものです。
海外・特に中国での多くの真柏盆栽を目にする今ですが、
こんな日本ならではの美意識で作出された盆栽を訪れる多くの皆さんに観て頂きたいものです。


【捉え方で表情を変える山採り盆栽の面白さ!】

国風展売店に飾る為に、以前から庭にあった真柏古木の見付・鉢合せを変えてみました。

いつものことですが、鉢合せは決まる時は1発で簡単に決まりますが、
合わないとなると何枚試みても合いません。
2000~3000点の鉢が羽生雨竹亭にはあるのに困ったものです!!
この真柏は以前から両面から見られるので、どちらで作るべきか中々纏まらなかった樹です。

漸く枝の捌きや空間の姿などを総合的に考えて右流れで仕上げる事にしました。
正方の"逃げ"の効く鉢から紅泥袋式楕円と言う量感と"抑え込む力"を持つものに換えてみました。

以前に整枝作業をして針金掛けによって枝作りをした姿から今回の植え替え・植付けで、
舎利幹の前にある左落ち枝の下部分を取り、幹筋の流れと空間を見せるようにしました。

私は「名人」ではないので、時間をかけて樹と少しずつ対話する気持ちで、
"そうか!ここを直せばこの樹はもっと美しくなるかも!"
とはっきり感じてから作業をする事にしています。
上野グリーンクラブ2階に特設されるエスキューブ国風展特設売店で是非ご覧になって下さい。

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