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盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽

【地域の歴史と交流❗️】

大徳寺盆栽庭園の植替え作業の合間を縫って、近隣の京都府立植物園内で開催された『京都盆栽会展』に見学に伺いました。

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広大な植物園の一角の建物で、関係者が手作りで会場を設営した“温かみのある“展示会。

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ささやかな可愛らしい席から“この樹は国風展で観た事がある!“など、愛好会らしい観ていてほのぼのと“いいなあ“と憩いを感じる展示会です。

昨年に続き、会場には、普段よりお付き合いのある、河合さん・大溝さんが出迎えてくれました。

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お二人とも、明治から京都に続く名門の盆栽業。
こうして地元の愛好家の方々との交流の場を42年続ける事は、大変であり、業者として大切な仕事だと思います。
隣接する売店(500円の花物から10万位の盆栽まで)で、性分と言うか?“大人買い“で30点ほど頂き、大徳寺へ戻りました。

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我ながら、“どうしてこうも買い物が好きなのか?”、一生答えは出ないと諦めています。笑❗️


2年半前、四国鬼無地方の盆栽作出者を代表される、小西松楽園さんより、
先代から受け継いできた大型五葉松(銀八・別名宮島五葉・大阪松)の一群を羽生に全品運んで、
根巻の状態から鉢上げ、木箱入れをしたものを、いよいよ本格的な“将来の大型名樹へ“と言うプロセスを始める事になりました。

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80年以上の歳月を労苦を惜しまず丹精されてきた樹達。
ここから樹のひとつずつの“筋“を読んでの、枝々の角度と基本的な“正面“作りに入ります。

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手首程の太い枝、角度を変える事すら不可能と思われる作業。
特殊な手順で、枝が枯れるかギリギリの施術!

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このキツイ“災難“を樹に与えてこそ、一段も二段も格上の作品となる大切な作業です。
枝先だけを見た目の“ごまかし仕事“をするのは簡単ですが、“大枝の下ろし込み“となると、1日1本がやっとの手入れです。

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この樹達を小西さんから譲り受けて間もなく、病に倒れた小西さん。

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療養の日々を送られていますが、まるで神様がそれを見越して私に託したかのようです。

樹が悲鳴をあげるほどの枝への負担。
ここから数年の刻が、“これがあの畑にあった樹?“と言われるくらいの本格名樹へとしてみたいと思っています。

それでも、この仕事が出来る時間も少なく、今年も150点ある中で、僅か15~20本が限界です。
4月15日までが、樹の生理を考えて限界の刻。
焦らず少しずつ作れればいいと思っています。


【京都・季節の入替り!盆栽庭園の春爛漫へ!】

彼岸も過ぎて、京都北山に近い大徳寺も、春本番となってきました。

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まだまだ、名残り雪が舞い散る時もありますが、梅も間もなく終わり、入替りで“寒桜が満開となり、富士桜も咲き始めました。

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もう少しすれば、庭内の歴史的大型松柏盆栽達の“植替え・鉢替え“が始まります。
4人でようやくと言える巨大な樹々、1日に3~4作がやっとの仕事。
4〜5日で仕上げてゆくつもりです。

併せて冬の庭園を守り飾られた盆栽達から、陽春を彩る樹々への、羽生庭園から大型トラックでの輸送入替えを行います!
どんなに立派な庭園でも出来ない“季節による景色の入替え“・・これこそが盆栽庭園ならではのもの!

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1年を経て、少しは盆栽達も私達も、この庭園に慣れてきたところ!
それにしても、杉苔の築山に生えてくる、もみじの“ひこばえ“の量には辟易とします💦  

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この“小さな命“から今年も100本ほど、大切に育てて、“未来の盆栽の種“を残してゆきたいと思っています!

※2022年3月29日(火)は、庭園内盆栽入れ替えのため、休園となります。

【宜興・広東の正統を次代に!】

10年前、中国泥物鉢の聖地「宜興」に、いにしえの登り窯“龍窯“の視察と取材に訪れてから、
“本物の継承がしたい“と願って、ようやく日本での本格的な紹介を開始するまでになりました。
「宝山」の名で知られる、紫砂古渡盆器の踏襲をしている周さん・楚さん達。
現代の名工と謳われた、馬先生の技と教えを受け継ぐ人達と、紫砂の泥質の追求、盆器としての“器形の美しさ“の再現に挑戦し続けてきました。
国内の常滑を中心とする盆栽鉢メーカーの減少、勝ち残った鉢作家の高額さ。
多くの愛好家の方々に、“使えば使う程に味わいが増す中国盆器“にやっと辿りつきました。

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大観展や国風展、業界市場での“使ってもらう為の販売“に、2~3年、
木村正彦先生をはじめ、盆栽作家の皆さんに「この鉢は、土も良く、凍て割れなどせず、作行きも良い」・こんな言葉を頂けるようになりました。


併せて、中国南部、広州へも6年前から赴き、“失われた石湾窯の再現“に挑戦しました。
佳き窯元と出会い、半世紀前に途絶えた釉薬の焼成に試行錯誤の格闘。

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初めて納得のいく作品を日本に持ち帰り、プロの市場にかけたところ、
小売価格の数倍まで高値がつき、落札した方に“そんなにしませんからもうひとつ持って行って下さい“と言った記憶が昨日のように甦ります。

釉薬鉢も泥物も、今の日本では幅が65cmを超えると、特注になってしまいます。
“こんな器形があったら“と思う物を少しずつ宜興・広州を行き来しながら、増やしていきました。
今年の国風展売店でも、盆栽業の皆さんに注文を頂くようになり、
“よし!全国に向けてのカタログを作って、誰でも使ってもらえる仕組みを作ろう!“
と思い、全釉薬・全器形の撮影を開始しました。

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愛好家の皆さんに、カタログをお届け出来るのは、まだ数ヶ月先ですが、
ごまかさず、鉢に求められる条件をひとつずつ解決してきたこの2種類の鉢群は、既に国風展にも使用されています。
数十年後、私はもういないでしょうが、鉢はその頃には、持ち込んだ味わいを呈する実用の名器になっているでしょう。

ここから、21世紀の盆栽鉢の歴史がスタートします。
楽しみにしていて下さい。


【梅の香満ちる庭園・咲き替わる盆梅達】

国風展など、業界の慌ただしき2月も過ぎ、1ヶ月ぶりに“京都の我が家“、大徳寺盆栽庭園に
戻りました。
1ヶ月経つと、庭の空気も季節感も大きく変わっているのを感じます。

厳寒の冬姿から、庭全体が何処となく“春の空気“を纏っています。

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関東の“空っ風“の中から来ると、ここが“都“だった事が、潤湿さが漂っている事と、盆栽達がとても良い“色“で過ごしてくれている事でわかります。
2~3日に一度、天気が替わる“北山時雨“のせいか? 盆栽達に“潤い“を感じるのです。

庭内の盆梅達も、種類によって名残の花咲きから、これから咲き始めるもの、移ろう季節が梅だけでも教えてくれます。

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ここ芳春院は加賀百万石・前田家初代、前田利家公の夫人、“まつ様”諡“芳春院殿様“の建立。
前田家の家紋、“梅鉢紋“ に因んで、院内には、そこかしこに梅の樹があります。

盆栽庭園も負けずに数々の盆梅を飾らせて頂いています。

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枝垂れ梅の花が綻び始めると、早咲きの桜が後を追ってきます。
ここから季節の変化が日々感じる頃です。
手入れ・入替え・相変わらずの忙しさですが、訪れる方々に、静かな大徳寺盆栽庭園で、
ひとときの至福が盆栽を通して感じていただける様に尽くしたいと願っています。

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