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盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽


【時価30億円! 世界最高の盆器コレクション 蘇州 楊 貴生 邸】

蘇州での実演日程を終えて、木村先生と私たち一行は、
古渡盆器の至高 最大のコレクション
「楊 貴生 盆栽 盆器 コレクション」を 拝見に訪問しました。
存在感ある楊先生は、温厚で心優しい 盆栽と盆器を愛する 中国盆栽界で尊敬の的の人物です。
「古渡盆器の至宝」と謳われる 李鴻章旧蔵の烏泥を中心に、
息を呑む名品が数百点の単位で収蔵されている特別室は、木村先生・藤川君・森山君 皆が言葉を失う程でした。
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庭園の盆栽も同じく、数百点の真柏と黒松を中心とした 名品達、
そして何よりも木村先生が感嘆したのは、“10年後を見据えた段階的な樹作り”です。
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無駄枝を敢えて伸ばし、ふところの大切な枝を細やかに作ってゆく。
明日を完成にするのではなく、その樹が本当に持つ 力量に見合った時間をかけた培養計画。
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特に 中国奥地から山採りで採取された圧倒的な年輪と太さを持つ真柏の原木群は、
木村先生をして
「森前君、私はこんな素材を思い切り残された人生で作ってみたい!何とか日本に運んでほしい」
と言わしめる 日本国内では既に手に入れることは不可能と言える内容の逸材達です。
“先生の為にも、必ず この未来の名品達を日本に運んでみせる”
 子供のような眼差しでその素材を見つめる先生を見て、胸に誓う訪問でした。
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【中国 実演公演と盆栽漫遊の旅 Part 1】

3月26日、名匠 木村正彦先生と直弟子 藤川政幸氏・森山義彦氏と共に、
中国江蘇省 蘇州へ「第1回江蘇盆景協会連盟 逸品盆栽展」の式典と実演公演の為に日本を出発しました。
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同連盟の主席である、中国を代表する愛好家、張小寳先生の依頼によるものです。
700万都市である蘇州の「蘇州美術館」を使っての式典展覧に驚かされました!
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式典式辞の後、木村先生の特別実技公演が企画され、会場は多くの雑誌社・新聞社は勿論のこと、テレビ局の取材も入りました。
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当初は先生ひとりでの独演が予定されていましたが、準備された真柏が大きく、先生の指示で私を含めた4名全員での施術となりました。
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44年目の盆栽人生で、親交深い木村先生ではあっても、一門以外の私も含めての実演は、初めてです。
私自身も意外な経験となりました。
提供された真柏を見て、こんな素材が何百本でも手に入ると聞いて、
なんとか日本の盆栽界の将来のために、運べないものか、本気で考えようと思いました。
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【 一位原木の施術スタート!】

昨秋、北海道から運んだ一位の樹齢約500年の原木を、
いよいよ施術・鉢上げの為に、羽生雨竹亭(第3岩崎培養場)に、木村正彦師と門下の藤川氏・森山氏、
そして私とスタッフのみんなで、木箱から施術へ向けての作業に入りました。
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上部の舎利芸豊かな部分に比べて、伸びた下部幹部分と根の状態は、
名匠木村正彦師を持っても、“どうやってこれをたたみこむか”を 悩ませる状態です。
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ここからは、下部の不必要な幹部分を割いてはずし、水揚げの皮のみを小さくまとめて鉢入れする大胆な作業に入ります。
この樹が、最終的にどんな姿になるか、もうしばらくお待ち下さい!
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【植え替えです!大変です!】

彼岸の季節、暖気が増す頃となり、盆栽達の植え替えに心が惑わされます。
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子供の頃から この世界にいるせいか、桜の咲く季節となると、
毎日少しずつ芽を動かしてゆく樹々に「ああ、この樹も植え替えをしないといけない!」と、
2000点を超える目の前の盆栽達に、バタバタと心が乱れます。
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海堂・花梨・モミジ、五葉松・・動きの早い順や、眠りから覚める前に施術しないといけないもの、
手に入れて来て、羽生の庭に来たばかりで、姿や鉢映りを変えるべきもの、納得のいかないものが、目について離れません。
あれやこれやで抱えている仕事の合間を縫ってでも、弟子達と1日5~10本頑張っています。
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特に、鉢合わせで角度や雰囲気を変えるものは、“根締め”をしっかりとしなければなりません。
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いくつかの根締め法がありますが、私は基本的に手間を惜しまず「竹打ち」で行います。
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ガッチリと締め込んで、例えれば植え終わった時、樹を持っても鉢が付いてくるような根締めに心がけています。
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枝や鉢上の部分は、ここから2~5年、鋏や針金で樹作りが出来ます。
しかし、土中の根は次の植え替えまで、この時の仕事が唯一の時です。
“目に見えない部分を丁寧に!」を弟子達にも伝えたいです。


【受け継いだ日本一の樹】

先年より体調を崩されて、先生が所蔵される60数点の名盆栽を雨竹亭は託されました。
国風賞受賞樹を筆頭に数々の名木が、羽生の庭で健やかな日々を送っていますが、
この季節、とりわけの美しさを見せてくれるのが、
春の芽出しの時に鮮やかな紅色の新芽を楽しませてくれる モミジの貴賓種「清玄」です。
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数十年小泉先生は、この樹を大切に愛培され、多くの人たちが割愛を所望しても、自邸に飾られていました。
長く広東鉢の長方に植えられていましたが、先日 私が中国広州で誂えた均釉の袋式楕円に植え替えをしました。
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日本を代表する愛好家が半世紀を愛した名樹を、ここから盆栽界に受け継ぐのが、私の大切な役目です。

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