昨年、秘匿の内に四国鬼無から羽生に移送した五葉松の巨木素材群。
奈良時代からの旧家「神高総本家」と、鬼無盆栽界の恩人、小西翁から受け継いだ五葉松約150点。
今春、トレーラーを連ねて移送して、数ヶ月をかけて鉢入れした中の、“これは将来の宝“と見定めた樹の大改作を始動しました。
小手先の枝掛けでの“見た目だけの手入れ“をせず、10年後の名樹への想いを込めて、
1日1点の計画で樹の限界ギリギリのジャッキ曲げなどを駆使しての仕事です。
私も含めて、“明日売れるもの“に走りがちな現在の盆栽界。
だからこそ、次の時代に残すものを造り、そのプロセスを若いスタッフ達に経験させようと思いました。
しかし、大型の“つわもの達“。
簡単には言う事を聞いてくれません。
友人の改作の名人、寺川穂積氏の協力を得て、第1作が仕上がりました。
四国五葉松らしい、堂々とした力強さの表現を活かした樹相、勿論ひとつずつ、樹の持っている特性と表情は違います。
“こうしたい“と言う自分の我を出し過ぎずに、“樹に教わる“つもりで、この冬は少しずつ仕上げていこうと思います。
とにかく大きいので、幹や枝がみしみしと骨が折れる程の曲げ込みをした樹達は、
厳寒の季節を屋外にはおけず、寒風や低温を避ける必要があります。
また、“ハウスを作らなければ“・・スタッフ達の苦労が目に浮かびます。
でも、数年後、この樹達が見せる勇姿をみんなで見たいものです。