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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽

五葉松・黒松の生産と育成では、国内随一の高松鬼無地方。
鬼無を代表される「小西松楽園」小西幸彦先生の所へ伺いました。
前回お伺いした時、今は殆ど手に入らない、“銀八”宮島五葉松を苗から育成され、中品盆栽に仕上げた夥しい鉢数を見て驚きました。

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「通年ならヨーロッパなどからの注文で、この時期は予約品で売る物も無い時なのに、今年はコロナの事で、来年の鉢上げ分をどうやって棚に置こうか悩んでいる」
これを聞いて、棚に広がる千点近いこれらの樹を全部譲って頂く事にして、今回それを引取りに来ました。

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ご家族総出で積込みを手伝って頂く中、“ちょっと来てくれ“と言われ、
小西先生と暫く歩くと、目を疑う程の大型太幹の五葉松が、整然と植え並んでいました!

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“親の代に植えて、私の時代でも半世紀を超えた作出をした樹達。森前君が良ければ譲ろう”と申されました。
鬼無各地を廻りましたが、こんなに手間をかけて見事に作出した太幹物は、初めて見ました。

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来春の抜き込み、移動、という事で譲って頂くことになり、思いがけない縁を頂きました。
老匠達が、刻を惜しまずに手がけた鬼無の銀八五葉松。
有り難くもあり、次の時代にはこのような樹達がこの街からも消えてゆく事に、複雑な思いも抱きました。
世の中の生活レベルが向上して、日が昇り、暮れるまで、樹と土にまみれて暮らされて来た先輩達が残された遺産。
これからは“5~8年位で出荷できる生産品へ“となっている現状。
盆栽がいかに人の刻を削って作り上げられてきたのか、私達は伝えていかなければいけないと痛感しました。
鬼無に来ると、何故か心が穏やかになります。
それはきっと、そこで盆栽達の育成に努められる皆さんが、自然と樹と共に、無理せず暮らされているからなのかもしれません。
羽生に運ぶこの子達を、大切に盆栽を愛される皆さんへ繋いでゆく事の重さを感じる1日でした。


一年の時をかけて進めた、大徳寺芳春院・盆栽庭園も、いよいよ最終的な仕上げの工事に入りました。
先週、庭方の親方と盆栽を庭に乗せる石柱(初めは灯籠の竿柱を使う予定でしたが、和尚様の案で、贅沢な御影石の石柱になりました)
の位置と高さを決めて、この日羽生から昨年中国から運んだ清の時代の水瓶を三基、庭に埋め込んで配置しました。

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石柱が立ってくると、ここに厚みある板を敷いて台として、盆栽を飾る姿が空間的に見えてきます。
庭方・建方・皆さんさすがに大徳寺のお仕事をなさる方々。

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一を伝えれば百を理解され、共にこの庭園を預かる者として、ひとつひとつの出来事に、緊張感が生まれます。
何よりも、傍で見守ってくださる和尚様は、いつも穏やかで、それでいて和尚様の眼が皆んなを引き締めている気がします。
ここから10日に一度の仕上げの進みで、11月半ばには完成します。

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盆栽が置かれた姿を思うと、身が引き締まります。

でも、展示場・手入れ小屋・手洗い・すべてが白木造り!
毎日の掃除に今から目が回りそうです♪ 
誰か一緒に守ってくれる盆栽が好きな“変わり者“の若い人いないですかね!


多くの名木素材をご紹介して、二人三脚で国風展や各種展覧会に発表してきた、福島県の舩山様。
もう20年程の刻が経ちました。
40代だった私も60代、舩山様も秋には77歳。盆栽達が少しずつ仕上がってゆく中、
私達もあの頃のヤンチャさから、お互いに何も言わずに分かり合えるお付き合いになっていました。


最近は、何か良い盆栽をご紹介すると言うことよりも、今まで2人で集め創り上げて来た盆栽達の、日々続く“命の変貌”に対して、
1ヶ月に一度位のペースで、スタッフ4〜5人で、細かな鋏入れや、日当たり具合による置き場の移動、肥料の多寡の確認、大型作品の持ち帰りとお届け。
等々、刻を重ねてゆく仕事に専念しています。

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いつかは次の愛好家へのバトンタッチが来ます。
舩山様も私も、どんな姿であれば良いか?
まだまだ固まりません。
今はお年を重ねられた舩山様に、ご負担をなるべくかけないように、盆栽達の手入れに尽くしています。

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溢れる名木群、盆栽界の宝達を見守り続けます。

【マルキョウ植木】

千葉・匝瑳市で、植木・盆栽の生産と販売をされるマルキョウ植木・江波戸さん。
私より7歳上の68歳、バイタリティーあふれる活躍にはいつも頭が下がります。

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大型の槇の植木から、最近は「次の時代のために」と、お孫さん達と、若木の生産までされています。
広大な培養場を埋め尽くす程の松柏の群、私もそうですが、これだけの圧倒される量、自分の気持ちが相当に強くなければ維持管理は出来ません。


月に数回のオークション会場としても、全国の業者に知られる江波戸さん。

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お年を重ねても“前へ前へ“と日々努力される姿は、すべてに見習うものがあります。
名木から苗木まで、プロのあるべき姿がここにありました。

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生産が減少する盆栽界、唯一の里、四国鬼無は私達にとっても大切な場所。
日頃からお世話になっている北谷養盛園さんへ伺いました。

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4代にわたる培養で出来た黒松・五葉松。培養の苦労から年々の手入など、普段は買付が主な予定ですが、
今回は会社のみんなを連れて、“作り手の方々のご苦労の現場“を直に見て、エスキューブがすべき意味を伝えたくて来ました。

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また、通販大手“妙興“の辻本さんの好意で、“これからの盆栽通信販売”がしなければならない意味とスキルについて、とても貴重な時間をご一緒しました。

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“4億円の盆栽通販市場を10倍に出来れば“と言う想いを描かれる辻本さんは、自身が苦労されて辿った世界を、私達に惜しみなく公開して下さいました。
“ひとりが頑張ってもダメです。みんなでこの世界に何が貢献できるか?私で協力する事が有れば”、
とここからの通信販売での盆栽の在り方の構築をしました。
会社の若いスタッフ達に託す“次の時代の仕事“。年をとりました!皆んなの成長を願うばかりです。

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