雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽

【五月雨の“緑陰“に包まれた芳春院盆栽庭園】


5月14日は、芳春院開山忌(玉室宗珀和尚)です。
半月ぶりに手入れで赴いた芳春院盆栽庭園は、新緑から美しい深い翠へと空気を変えていました。

IMG_0149
五月雨と呼ばれる、シトシトと降る霧雨が、緑の美しさを引き立たせています。
徒長芽の抑え切り、松柏類の新芽止め、病虫害の予防視認、施肥の状態。
そして何よりも、
庭園の雑草(ホントは雑草と言う名の草はないのですが💦)の手摘みによる除草❗️

IMG_0150
それでも静かな空気に包まれたこの庭園で盆栽といると、世情の憂いのすべてが消えていきます。
“ここにずっと盆栽の事だけ考えていられたらどんなにいいだろう“
などと、歳を重ねても相変わらず、修行の足りない私です(笑)


雲の間から見える庭園からの比叡山
IMG_0148

木村正彦先生が、庭園の為に作られた創作盆栽群(右)
加藤三郎先生遺愛の石群(左)
IMG_0145

隣接する龍泉庵の書院庭園
IMG_0146

盆栽庭園を作る時、150年間荒れ果てた地から出た仏様
IMG_0147





【各地で再開されるありがたさ❗️】

手入れなどで交流の深い、福島県吾妻地方。
東日本の五葉松の大半を占める“吾妻五葉“が自生するふるさと。

IMG_9973
土地の愛好家の方々が、年に一度、ご自身の愛樹を陳列するこの盆栽展も、コロナの影響で丸2年、開催できずにいました。
久しぶりの展覧に、それぞれがこの2年間、丹精を込めた盆栽が展示されていました。

IMG_9982
中央の規模の大きい、レベル的に全国を代表する催事も素晴らしいものですが、
各地方で、その地ならではの樹種がそこの方々によって飾られる・・本当はこれが“盆栽を作って飾ってみよう“とする原点のような気がしました。

IMG_9983
IMG_9984

来訪した時、丁度、福島市長もいらして、“来年はもっと大きい会場でやりましょう!“と声をかけていらした事が嬉しく思いました。

IMG_9985
※撮影時のみマスクを外していただきました

趣味のマニアックな集いではなく、公共の会場で一般の多くの人達に、盆栽の素晴らしさを見て頂く、大切な事を教えてくれた時間でした。



【まん防解除、多くの来場❗️】

春の盆栽倶楽部の恒例催事だった“緑風展“が企画改革で、新たな展示会『翠緑展』になりました。
コロナ禍が長く続いた中、久しぶりの解除の中、多くの来場者で賑わっていました。
特にウェブでの宣伝のせいか?
若い愛好家の方々の入場が多く、次代の盆栽界への嬉しい兆しを見たように思います。

展示作品は、季節を彩る藤や新緑の盆栽、圧巻の松柏類の巨木など、さすがに日本の盆栽界の中央展示と言えるものでした。

IMG_9714
2階展示には美術的な盆器の展示もあり、小品盆栽から大型名樹まで、観る者が飽く事ない豪華なイベントでした。

IMG_9716
売店ブースも、以前より充実しており、
特に“これから盆栽を楽しみたい“と思われる方々向けのリーズナブルなラインアップには、人だかりとなっていました。

IMG_9715
人が憩いの為に楽しめるという事が、どんなに大切なものか、つくづく感じた展覧会でした。


【森山義彦氏・内閣受賞後初の名樹に挑む❗️】

貴重盆栽として蒋介石が愛培したと伝わる赤松名樹「群鶴」は、蒋介石ゆかりの地、台湾の著名愛好家、陳祥甫氏の愛蔵樹。
ご縁を頂き、長く羽生雨竹亭で管理をしています。

IMG_9681
『第8回世界盆栽大inさいたま』にも、陳氏が出品され、奥様共々来日して、圧倒的な観客の多さに驚かれていました。
昨年の京都大徳寺「芳春院盆栽庭園」開園記念展示にも古都の名刹に拡張高い姿を披露頂きました。

「群鶴」の名で広く盆栽界に知られるこの樹は、戦後間もない頃から展覧会に出品された記録を持ちますが、
年々の培養により、本来この樹が持つ独特の幹芸とそれに合い和す枝作りが、徐々に丸みを帯びた、穏やかな樹相へと変化してゆきました。

日々、樹と過ごす中で、“往時の人達がこの樹に求めたものは何だったのか?“と言う気持ちが大きくなり、
近隣に居を構えて、盆栽作家として王道を歩み始めた若き盆栽作家、森山義彦氏に
“持主の許可が出れば、貴方の作家としての階段のひとつになるような、施術をしてくれるか?“
を尋ね、了諾を得ました。
それから台湾に連絡して、
“本当なら台湾に持ち帰りたい樹、しかし、検疫上、根を洗うことは樹への負担が大きすぎる”
と、以前話した事で、陳氏は“何よりも歴史的な樹の健康を優先してほしい“と理解して下さり、
羽生の地に置いてあるのです。

今回の私の思いを申し上げると「すべてお任せする」と返事を頂き、森山氏の挑戦になりました。

IMG_9682
『月刊近代盆栽』に相談して、この作業のすべては、いずれ近代盆栽に掲載されます。

IMG_9683
盆栽作家の方々は、“改作“と言う名のもとに“この樹がこんなふうになった!“と言う発表が多い昨今ですが、
日本の名樹達は、私達の師匠、そのまた師匠、そしてそれを愛蔵されてきた歴代の大家達の心が守り伝えたものです。
盆栽は生きています。
年々その姿を変えてゆくのは当然ですが、樹の持つ“個性“や、その樹に先人達が求めた美を伝承することはとても大切なことだと思っています。
その為にこの赤松「群鶴」を“今の群鶴において、描ける在り方“を森山氏にお願いしたのです。

IMG_9680
手入れ前・手入れ後の写真をご覧になって、感じて下さい。
盆栽は持主や手入れをする作家が、対峙して感じ取った“貌“になっていきます。
ここから、しばらく森山氏のアトリエで、培養・芽切り・いずれは鉢映りも再考する時もあるかと思います。
近代盆栽にその勇姿が載る時を楽しみにして下さい。

【大徳寺・芳春院盆栽庭園 大型盆栽の植替え!】


開園から1年を迎えた「芳春院盆栽庭園」普段は1日だけ休園日を設けて羽生からの盆栽入替をスタッフ達と行っていますが、

今回は初の現場での超大型盆栽の植替えをしました。

IMG_1918

旧高砂庵の代表的五葉松「大納言」伏見宮貞愛親王旧蔵の「宮様楓」など、

プロが4人でも持ち上がらない大樹群。

4日間かけてようやく陽春の盆栽庭園が落ち着きました。

IMG_1922

庭園そのものが“大きく“、国風賞クラスの盆栽が“レギュラーサイズ“に見える庭園!

いざ植替えに取り掛かると、ひとつの作品を仕上げるのに四苦八苦!7種の配合の用土もみるみる減ります!

中には15年近く1度も植替えがされなかった樹もあり、根の状態を確認しながら急げど慎重に作業を進めました。

IMG_1919

IMG_1920

IMG_1921

庭園を守り続けることが私達の役目。ようやく1年。

そしてまだ1年。

禅と茶の湯と中世日本の文化と歴史が凝縮された禅林。

この地に盆栽庭園があり続ける事こそが、未来の盆栽界を拓く事と役目の重さを痛感しています。

よく友人や同業者達に“商売にもならない事を何故無理してやるのか?“と言われます。

勿論大変です。

でもこの庭を守る事、そして次の時代に残すことが、何よりも大切なのを感じているからです。

機会があったら是非ご覧になりにいらして下さい。



↑このページのトップヘ