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盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽

 
【若きアーティストの卵達との煌めくひととき! 】

私が顧問を務める武蔵野美術大学盆栽部の特別講演が8日同大学にて開かれました。 

学部を問わず部活のひとつとして、100人近いメンバーがいることを聞いてびっくり! 
美術を志す若い方々が盆栽に対して深く興味を抱いてくれる事は何よりも嬉しいものです。 
完成名木の展示・観賞・解説。
そして真柏を教材にしての学生とプロの競演。
何よりも伝えたかったのが、日本の美の源流が、自然や千年の時をかけて育まれた"用の美"にあること、
そしてこれからの日本を作られていく皆さんに"日本人が持つ繊細な感性こそが、
次の時代に世界に対して最も大切なもの"である事を伝えたかったのです。 

担当の原 教授から「美大も女性が過半数」で、盆栽部も参加者の7割が女性だった事に、
驚きと共にこれからの私共盆栽界が考えるべき「社会に広げる盆栽の多様性」を改めて考えさせられる刻となりました。 
でも、やっぱり若さというものは素晴らしいですね。
何ものにもとらわれないみずみずしい感性、そして汚れのない素直な表情の煌めき、
何か自然な若葉を見ているようで、私自身心が洗われる楽しい講演でした。 

 
【秋の盆栽展のさきがけ! 木村正彦先生の作品に感動! 】

東京の秋の盆栽展の第一弾として、上野グリーンクラブで開催された「東京展」「瑞祥展」に伺いました。

久しぶりに拝見する瑞祥展は、ひとつの樹種で行われる盆栽展という
他には例を見ない樹形の多様性の楽しみがありました。

同時に開催された東京支部主催の「東京展」は
さすが帝都の長い盆栽趣味の歴史を思わせる幅広い展示で、
"愛好家と出入り方専業者"のあり方に感心させられるものがありました。 
びっくりしたのは名匠木村正彦先生が、東京展にご自分の作品を自身の出品として参加されていたことです。
最近は私共との交流や国風展などの扱い手入れがほとんどで、
公の場に作品出品をされることが少ない先生です。
齢を重ねての作品作りに取り組む姿勢に頭が下がります。 


【中国 張小実会長と訪れた 椎野健太郎氏の園】

中国盆栽協会と言うべき『BCI』の江蘇省地方の分会が発足し、
会長に就 任された張小宝氏が
11月式典実演に招聘する為、盆栽界の若きエース「宝樹園」椎野健太郎氏の庭にご案内しました。
37歳の実力・行動力共に素晴らしい彼が中国デビューする機会として一番良いと思って張会長にご紹介しました。
江戸期より富士信仰の登山口だった地に"山青く水清き"まさに盆栽の楽園を造った彼が
これからどんな盆栽人としての歩み方をしてくれるか、私はとても楽しみです。
一言で彼を評すれば日本盆栽界が失ってはいけない"盆栽家の矜持"をもつ若者と思っています。
私も20歳離れた彼を見習いながら、"自分の歩み"を自分らしく努めようと思います。


【「盆栽も庭もこのままで維持しろ」久原房之助の精神を受け継ぐ長谷家 】

十数年ぶりに「盆栽ロード」を庭内に持つ港区白金「八芳園」を訪ねました。

オーナー奥様の長谷久美子様に出迎えて頂き、
盆栽を広める私共「雨竹庵」と、の1万坪を有する都心の大庭園、
そして旧所有者であった日立製作所創業者である久原房之助翁の遺徳を半世紀を越えて受け継ぐ方々の"確固たる思い"が、
ある意味共通している事に感動しました。 
「人の手を加え過ぎるな、自然のあるがままを大切に」など、
名庭を散策すれば75年前よりこの地でずっと守り続けられる盆栽達と、
仰ぐほどの"人の心が創り上げた大自然"と言うべき樹々に対する守り人達の精神がしっかり息づいている事に、
盆栽人として深く学ぶべきものを感じました。
日本はこの様な"事業の中にも揺るがぬ信念"が築き上げた歴史がある事を
もっと海外の人達にも伝えるべきと痛感しました。
もしかすると、帝都においてひとところに変わらず生き続ける盆栽の(皇居は別として)最長のものかもしれません。
頭が下がります。 

【そして 羽生本店の看板「金看板」! 】

秋虫の聲が黄昏時に耳に沁みるこの頃です。
先日15年の培養の末、ようやく仕上げた真柏を応接床の間に飾ってみました。
まだ枝さばきに"若さ"は残りますが、双幹体の樹相は荘厳の中に
「死して次なる命を支える舎利幹、生と死の相生の姿」
を現出する"超越する自然界"を見事に表現してくれました。
市場の流通に追われる日々の中、歳月をかけて仕上げた作品への感慨はひとしおです。

合わせて十六夜の16日大安、雨竹亭本店の大門看板が掛け替わりました。 

10年前、この雨竹亭が完成した時、
私淑する大徳寺芳春院ご住職である秋吉則州師の揮毫で掛けられた看板も
雨風で筆跡が霞んできていました。
"板を彫り直して貰おうか"と悩んでいた中、
先日、愛好家としてご贔屓を頂く板金師三代の名門、当代湯浅一徳様が
松の木に銅板を貼り、叩き出しと金泥漆を施した「雨竹亭」の立派な看板をお持ち下さいました。
誰に聞くでもなく、ご自分で当亭の看板を写し取り、ご恵贈下さったのです。 

百年もつ見事なこの看板は、単に板金師の匠作と言うだけではなく、
お客様の真心がこもった ものです。
私にとってお客様との有難いお付き合いが運んでくれた本物の「金看板」です。 

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