雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽


4/12(金)~4/14(日)、上野グリーン倶楽部で、春の恒例イベント、『翠緑盆栽展』が開催されました。

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古感見事な黒松や五葉松、生命の神秘すら感じる真柏の古木、
そして、今の季節を代表する、新緑の雑木盆栽の数々!

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冬季の格調高い『国風盆栽展』の素晴らしさは勿論ですが、
“春の息吹き“・“自然の生命の美“を感じさせてくれる、若葉の美しさは、何物にも代え難いものがあります。
全国から集められた多くの逸品が、“名残の桜“で賑わう、この上野公園に程近い、グリーン倶楽部に集まりました!

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同じ松柏類にしても、厳しい冬の姿と今の瑞々しい季節の葉色は違うもので、新しい1年を樹達が迎える“色“は良いものです❗️


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名画・横山大観の「雨後の山」と共に飾られた、五葉松「稲取」は、
旧高木盆栽財団の記念帖に平成2年(1990)にその姿を映してから34年、
一時衰弱がひどく、
木箱での必死の培養が続けられてから、初めての出品で、おおらかな勇姿が、“稲取生きていた!“ の声が、会場からも聞こえてきました。

新芽の動く時期の展示の難しさ💦
出品者も、扱い業者の方々も、その苦労に頭が下がります。


季節の捉え方の難しいこの頃の春!
2000本を超える庭園を守る私達
雨竹亭。
それでもお世話になっているお客様のところにある樹々のことも考えなければなりません。
特に大型盆栽を多く所有される年配のお客様は、毎年“出仕事“の形で、3~4名で伺います!

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“任せるから好きにやってくれ“と仰るお客様❗️
そう言われれば言われるほど、樹にとって、お客様にとって、
何が1番の手入れの、植替えの選択か?思案しながらの時間になります!

愛好家が、毎日毎日水掛け・消毒・施肥・除草、時を惜しまずに大切になさっている樹々。

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それだけに、プロとしての見識ばかりを考えての判断が正しいものか?悩む時があります。
その人、その土地の気候、そこで育まれた盆栽達、健やかであるのなら、多少の違いがあっても、
盆栽達はそこの“生活“に馴染んでいる事を大切にしたいものです。

どうしても大掛かりな手入れをすべきと判断するものは、持ち帰らせて頂き、
植替えや手入れだけではなく、その後安定するまでの培養をしてからお届けするように心掛けています。

長くお世話になっているお客様。
例えてはいけませんが、そこでの気候に合わせた管理と同じく、
お客様と紡いできた“信頼関係“というかけがえのないものこそが、樹を守り続ける最も大切な事だと、50年やってきて、何よりも感じます。

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手入れにしても、植え替えにしても、100点は中々取れません❗️
いつも精一杯の努力をしているだけで、“これでいい“は、見つからないものですね💦


最近の盆栽市況は、“次の盆栽“を作るための素材の入手が難しくなっています。
この10年、市場が世界規模になる中、日本の愛好家の方々が、時間をかけて仕上げた盆栽達の多くが、私達プロの誘導で市場に流れました。
勿論愛好家の方々の事情(高齢で少し減らしたい・大きなものが扱い辛くなったなど)もありますが、
“要望のある売れ筋“を求める業界側の事情も関係しています。

年明けからの交換会(業界の卸売市場)も希薄になっている中、業界本部交換会(水曜会)では、様々な要因を含めて、
海外からのリモート参加(相手国の応札希望者を代行してライブでオークションに参加する仕組み)を
一時的に中断する決断をされました。
市況を考えれば、中断は収益を減少させる事になりますが、
国内の業界保護や、卸売り市場の適正化という点では、英断と言える事だと思います。

それでも、“この樹ならこう作れば“と思えるような盆栽が激減しています💧

第一から第三培養場まで、総数は数え切れないほどの羽生雨竹亭。
買い付けてから培養の安定まで1~2年、作ることよりも健常にする事を心がける樹達。

“こうしてみよう“と思う樹を少しずつ手入れと植替えをし始めました❗️

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山採り後、根元の切り落とした舎利幹がそのままになっていた真柏、整姿と植替えで、皆さんに観て頂ける盆栽へと導く。

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当たり前の事ですが、そんな時間を今まで以上に大切にしないと!と思う春になりました。

※画像の真柏の植え替え風景はWABI CHANNELでご覧頂けます


春の真柏植替え鉢合わせ解説~盆栽に応じて使い分けたい根捌き根締め方法~


春の彼岸の頃となれば、私達盆栽家は、夜も昼もなく、庭内にある盆栽達の植替えに追われます。
芽出しが進む雑木盆栽、鉢を抜けば、びっしりと張った新根💦

数千本の保有盆栽、毎年150〜200点の植替えを順々に進めますが、
有難いことに、年々で“お嫁に行く“樹達の後から、新しくこの庭に来た樹達、
他所から“売られてきた“この子達のほとんどが、数年植替えなどされていないものが多く、
結局雨竹亭は、毎年同じ数を植え替えなければなりません💦

まずは、レンタル盆栽で、一所懸命“出稼ぎ“をして来てくれた盆梅達、これを4人がかりで、一斉の植替えを行いました。

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腕が上がらなくなるような作業😓
気が付けば、50本を1日で進めました❗️ 
用土を入れ替えるだけではなく、鉢を替えたり、植え付けの角度を見直したり、枝の切込みなど、
この時に次の舞台への準備も含めた様々な作業をしています。

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“果てしない植替え作業💦“ 
ここから雑木盆栽、一段落の後には、松柏盆栽が控えています。
土とハサミと盆栽。
没頭すれば、これ程に楽しい時はありません。

まだ始まったばかり💦あと300~500本❗️
どうやって遂行しようか😓

頭が痛いです😣


盆栽水石の研鑽の愛好家団体「玄虹会」回を重ねて16回目の展覧は、
舞台を京都大徳寺芳春院から
東京「春花園盆栽美術館」へ替えての展覧となりました。
当初、会員からは、“大徳寺から春花園か“と、格式という面で落胆の雰囲気すらありましたが、
蓋を開けてみれば、盆栽水石を飾る為に造られた本格数寄屋建築の同美術館の「啓雅亭」の見事な構えと、
11席に及ぶ床間造りに、感嘆の声すら上がりました。

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現在、「景道三世家元」を襲名されている春花園小林國雄親方。
つまり景道の本部教場でもあるここで、玄虹会の飾り上手の面々によって繰り広げられた“三昧世界“は、さすがのひと言でした。

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五葉松に名筆橋本関雪の旭日、脇に翁の像。
まさに“ハレ“の一席。

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季節を謳う枝垂れ桜、掛物は“描き表具による“雪月花“  心に染みる情感豊かな席。

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そして大座敷中央には、ハレも季節も超越した、蓬莱山を想わせる八瀬の石。
名筆村上華岳画伯の名品「観世音菩薩像」、脇床には真葛香山の香炉の格調。
仏性観を心底に込めた、飾りの奥義を観たように思う一席でした。

その他、茶室に設えた台座石と水盤石の水石飾り、大観の名画と真柏の大床飾り。

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盆栽展で見る盆栽とはひと味もふた味も違う世界観。 

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“趣意を練る“そしてその心に合わせた主飾りと各種道具、この趣味の高みを目指す方々の心意気が満ち溢れる会となりました❗️
この玄虹会展の中身は数回に分けてご報告します。
併せて、私がナビゲーターを務めるYouTubeチャンネル「WABI CHANNEL」では、その全貌をお紹介しますので、是非チャンネル登録をしてお楽しみ下さい‼️

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