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盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽

【圧倒的な規模!】

8月1日・日本と同じ位の猛暑の北京へ、日本代表としてこの博覧会に赴きました。
北京郊外の延慶という地、ひと昔前までは、この地域で最も貧しい所だったとか。
会場の広さは、日本の規格では表現できないくらいのもの!
約45,000坪!
その中でも盆栽パビリオンは、中心に位置していて、
建築だけでも世界の建築家がコンペでも開いて作ったのかな?と思わせるくらいの素晴らしさ!
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約500席の出品盆栽は多種多様。
古典的な名木から、庶民への提案型の室内装飾用・そしてこの国ならではの、
古い時代から受け継がれた各地域に根付いた「○○派」と称される独特の樹相を示す盆栽達。
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私は『日本から両国行政機関の正規ルートによって中国に名木を運んだ唯一の日本人』として、顕彰を込めて招待頂きました。
(旅費まで出してもらって来るなんて、何故かこそばゆい感じです。笑)
世界の国々のパビリオンが個性的な建築物で立ち並ぶ中、盆栽パビリオンは その規模と来場者数において、他を圧倒していました。
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こうして中国の巨大な祭典に訪れれば訪れる程、“世界に冠たる日本の盆栽”と、あと何年胸を張って言えるのだろう?”と思ってしまいます。
でも、こんな事を重ねているからこそ、日本人と日本の盆栽だから伝えられることがあると信じています。
鉢映り・席の構成・手入れの最終仕上げの完璧さ・・。
日本人だから伝えられる「何か」を私は 見つけるつもりです。

【20代からの思い出の「樹・人」】

先日 93歳のご長寿を全うされた名古屋の盆栽大家・鬼頭正男先生。
まだ20代の若き頃、皐月盆栽専門の愛好家だった先生の所にお手入れによく伺って
「本格的な盆栽趣味になさった方が」とお伝えしていました。
その先生が、国風賞を受賞される大家となり、盆栽協会の重鎮理事となられるなど、還暦を迎えた中、月日の長さを感じます。
愛蔵されていた イワシデ名樹が縁あって羽生雨竹亭に届きました!
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個人的な意見ですが、日本盆栽界においての「雑木盆栽」の三指に入る大名品だと思います。
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多くの名盆栽がある中でも、この樹は 樹自身の内容は勿論のこと、
過去 愛蔵された愛好家のすべてが、日本を代表する歴史的な方々で、「人品卑しからず」の紳士ばかりです。
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70年前の高橋貞助先生・40年前の岩船光雄先生・30年前の福島茂夫先生・20年前の大沼佑先生・そして鬼頭正男先生。
私とこの樹の“目に見えぬ縁”は、愛蔵された皆様すべてが、私を可愛がって下さった「忘れえぬ恩人達」ばかりだと言うことです。
20代の若僧を、慈しむように育てて下さった方々。
守り継がれた「日本の宝」を私はプロとして、盆栽家として、
この樹の次なる佳き主人と出会うまで、大切に大切に 守りたいと思います。

【日本の名盆栽 初の公開!】

先日 中国最高峰の盆栽愛好家・張小宝 氏 の依頼で、8月の北京園芸万博に展示される盆栽の手入れ進行をお伝えしましたが、
仕上がった7点の作品をご紹介します。
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「日本の名盆栽を!」という意味では、あと10点位 飾りたい思いですが、会場や運搬の都合上、この選出となりました。
今回、予定をやり繰りして お手伝いさせて頂いたのは、中国では 名盆栽を入手されても、
その後の手入れに対して どちらかといえば「元気ならば良い」という風潮があり、
日々の細やかな枝々の間に至るまでの鋏や整姿に、丹精をかけないところがあります。
盆栽は 手に入れてからのたゆまぬ手入れがされてこそ、その美しさが増すものです。
他の美術品と違って、命あるもので、この積み重ねが樹格向上とするのです。
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張先生に至っても、以前より名匠木村正彦先生と伺った折も、これを強く伝えていましたが、今回の訪問手入れで、ようやくその意味を理解して下さったようです。
各作品のビフォーアフターをご覧下さい。 

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【北京園芸万博 出品の為の手入れ!】

北京で開催されている「世界園芸博覧会」の 盆栽ブースに、日本から正式に移送された盆栽の展示を依頼され、
江蘇省 盆景連盟協会主席である張小宝 先生の所へ、出品作品の仕上げ手入れの為に訪れました。
中国で 日本の盆栽として正式に招聘出品を受けたのは今回が初めてです。
日本盆栽大観展の国際審査員として我が国の盆栽界との交流も多い張氏は、中国有数の盆栽愛好家。
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自宅とは別の太湖に近い5階建の約1000坪の屋上には、日本の作品を含めた名品の数々が所狭しと並んで居ます。
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8点の作品を選び、エスキューブスタッフの小林君と木村先生門下の森山義彦氏が、5日間で仕上げます。
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私も初日のみ参加して、張家ご家族への挨拶と選出指示をしました。
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木村正彦先生作品2点を中心に各特徴ある日本らしい盆栽が、8月1日より北京の万博パビリオンに展示されます。
「木村技術の申し子」と言われる森山氏の仕上げの姿は、次回お届けします。
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私は、スタッフと熱波の広州仏山・来春植え替え用の釉薬鉢デザイン発注の打ち合わせで、劉峰 窯 に向かいます!
それにしても、張氏のコレクションは、日本国内でも類を見ない程の圧倒的な質量です。
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こんなにあっても張氏は 更に広大な庭園計画を持ち(太湖のほとりに約2万坪!)大型名木を精力的に蒐集される予定だそうです。
この国にいると、比較しづらいくらいの愛好家の規模に感覚がおかしくなりそうです。
これだけの資産家・愛好家でありながら、張氏もご家族も 謙虚で優しく、お手伝いをしていても、気持ちが良いくらいです。

【時限付の徹夜の日々!】

毎年6月中旬から7月上旬は、黒松・赤松 の芽切り作業で ヘトヘトになります。
3月初めには肥料を早めにやり始めて(途中5月に肥料を乗せかえる)力強く伸ばした新芽を
全部切り落とす。
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これによってそこから新しく吹いた多くの若芽を最終的に8月に間引いて短い葉姿にまとめる。
これが『短葉法』という  黒松・赤松・を美しく保つ手入れ方法です。
一般の愛好家の方々は、春の芽を伸ばしたままで秋を迎えるので、葉の長いバサバサした姿にしてしまいます。
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芽を切り、その下の去年の葉を7割くらい間引きする。
・・大型の盆栽ならば、1点で1~2日かかります。
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雨竹亭にはそのような盆栽が、大小合わせて200~300点!
手入れ管理のスタッフは昼夜を問わずの日々が続きます。
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名匠 木村正彦先生の所も、今も雨竹亭スタッフが、応援手入れに行っています。
特に海外の名木愛好家の方々は、日本のこの細やかな手入れを知らない方が殆どです。
どれだけ細やかな手入れを年々続けたかが、作品の完璧さを作り出します!

今年の芽切りの様子を動画で撮ってみました。
(開くと音が流れます)

地味で それをやったからと言って、劇的に樹格が見違える訳でもなく、
どうしても手入れの手間賃がかかる為、おざなりにしがちな作業ですが、私も含めて日本の盆栽家にとって、芽切りはとても重要な作業。
みんなこの時期の外出を避ける程の事です。
健康で生育状態が良好でないと、却って痛めてしまう作業。
樹によっては、下半分をやって、上半分を10→12日後にやる。
そんな 「樹に合わせた芽切り方」まであるくらいです。
難しいと思う方は、遠慮なく 雨竹亭を訪ねて下さい。
でも中型以下でも7月10日が作業の限界期日です!

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