雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 園内


水石協会の文化事業資金協賛の目的で毎年2回開催される「水石協会大オークション」は、
毎回5000万超えの出来高で、その時の業界の現実市況を反映する指針になっています。

今回、上野グリーンクラブでの開催が予定されていましたが、コロナの影響で“安心安全な環境”と言う意味で、私の羽生雨竹亭に会場変更となりました。

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6時開門、約800点の盆栽、200点の水石と盆器。
18時に終了した時には、総出来高約7000万の成果でした。
本当にありがたいです。

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“森前さんの所でなら行くよ!“と多くの仲間が集まってくれただけでも感謝です。


特に今回は日本盆栽作風展で内閣総理大臣賞を受賞している著名盆栽作家の面々が、奇跡的に一堂に集う機会にもなりました。
“神セブン“と言われる人達です。

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本当はこれに大町氏・井浦氏が加わって“神ナイン”ですが、神セブンの集合写真を羽生の庭で撮れる唯一の機会になりました!
長老から若手まで、こうして業界が集うと、時代が少しずつ変わってゆく事を実感します。

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〈コロナ災禍で刻を止めた日々・盆栽との静かな時間〉

半世紀近く、盆栽業をさせていただく中で、ゴールデンウィークと言えば、お得意様・一般の盆栽に興味を持たれる方々の対応に追われる年に1度の季節。
今年は人生の中で初めて“誰も居ない”この時期を過ごしています。
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17人のスタッフ、内12名の男子は、
普段ならそれぞれの仕事(銀座店・レンタル盆栽・本店管理)などに分かれて慌しい日々を過ごしているのですが、今は庭内の仕事が殆ど!
仕事の合間に盆栽棚で腰に剪定鋏と又枝切とピンセットを持って、
ひとつひとつの樹の細かい切込みをしていると、吹き抜ける風の音と、自分で切っている鋏の音だけが聞こえてきます。
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世の中がウィルス災禍で身動きが出来ない中、こうして自分の広い庭で1日中手入れをしていられる事に感謝しなければいけないのですが、
手入れをした盆栽達を見て楽しんでくださる方々が、誰も訪れない不思議な今、
私達盆栽家が出来ることって何だろうと、自問自答してしまいます。
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何か世間のためになる事はないものか?
こうして出来るだけ、自分の出来る事を発信して、たとえ一人の方にでも、盆栽を伝える事になればと、拙い願いを込めています。
“出かけないように”と、世の中は言っています。
それでもせめて写真の中だけでも「盆栽の楽園」を見ていただいて、少しでも心の癒しにして欲しいです。 
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【体感40度以上!】

長い梅雨が明けたかと思えば、昨年の熱波を思い出させる猛暑が襲ってきました!
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気象庁の予測を基に、7月下旬には棚場の遮光をしておいたので、
その下の気温は2~3度低くなります。それでも 人も樹もギリギリの温度。
朝の水掛けの他に、夕方の「葉水掛け」は欠かせません!
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樹と鉢の中、そして棚場全体の温度を下げる効果は、人間が昼間どんなに暑くても、夜涼しい中ならば ゆっくり休めることに似ています。
“葉水をかけながら、余分な水は与え過ぎない”この矛盾するようなふたつを樹の表情を見ながら1点ずつ調整するのがプロなのです。
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昔から盆栽屋は「8月は素麺食べて水掛けしてろ」と言われることがわかります!
でも 人間は甘えん坊ですね!
梅雨の間は「青空が見たい」夏が来れば「涼しい秋が待ち遠しい」・・いつも“今以上”を求めてしまいますね!
それが本当は一番美しい日本の四季であり季節の移ろいなのはわかっているんですが!笑

芳春院ご住職 14年目の読経

羽生雨竹亭に「盆栽観音堂・雨竹堂」を開堂して14年になります。
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ここに生きる盆栽達は、自然界に生きる私達と同じ命を持つものですが、
盆栽園である因果で、枝を切り、根を捌き、時にはその命を落とす程の荒仕事をする事があります。
作品を作る為・食べる為・に、“樹の本当の声”を聴かずに 傷めてしまう事も無いとは言えません。
そんな私達や盆栽そのものを守って頂く為に、開園間もない頃、この観音堂は創られました。開眼をして頂いたのも、今回 久し振りにご来園頂いた、京都大徳寺 塔頭「芳春院」第23代住職の秋吉則州師です。
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開眼の年・7年目の年・今回。
3度目のご来園のご住職は、変わりゆく雨竹亭を感嘆の声で散策されました。
久し振りに響く 臨済宗大徳寺派の現宗務総長の読経。
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何処へゆくにも 法衣を纏い 平易な態度で私達にも優しくお声をかけられるご住職。
あらためて 観音堂の存在とここで住み暮らす私どもと盆栽達の、平穏を祈る日でした。

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【梅雨の美しさ!】

ここ数年、梅雨らしい梅雨が無かったような気がします。
猛暑と強い陽射し、松柏類にまで始めて遮光ネットをかけました。
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今年は 雨のち曇り、そして僅かな晴れ間の後にまた雨。
気温も20~25度をうろついて、盆栽の葉色も 潤湿な空気の中、汚れを知らない美しい翠を湛えています。
盆栽協会・水石協会・総会・大宮盆栽美術館の展示解説・月刊近代盆栽に連載の「名石探訪」の選出と執筆・・
自分の庭でありながら、ゆっくりと散策する時間もありません。
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それでも束の間の刻を庭の盆栽と過ごすと、“有難い仕事”だとつくづく思います。
樹々は その時その時期を正直に生きています。私も盆栽を見習って、目の前の出来事に正直に向かって過ごそうと思います。
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彼らのようにまでいかなくても、ここからの残された年月を盆栽人として 自然のままに行こうと思います。
・・・でも 盆栽達はいいなあ!

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