雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹庵


非常事態宣言が解除されたばかりの東京。
勿論キチンと“三密“を避けての日常生活が必須ですが、そんな毎日にも「春」はチャンと来ます。
オフィスも店舗も休業が続いた去年の春。
そんな中でも私達「銀座雨竹庵」の盆栽が、
店先・エントランス・窓口・などに飾られる事を喜んで下さるクライアントの皆様!
本当にありがたいものです。
さあ!日本の花木の象徴「桜」の晴れ舞台の季節に入って来ました!


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各所のレンタル盆栽のお得意様達に、一番喜んで頂く花物盆栽です!
一年365日の内、室内に飾ると、その花姿はわずかに1週間。
その為に羽生雨竹亭のスタッフは、残りの350日以上を、“花のない桜“達と過ごして過ごしています。ホントにご苦労様!


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でも、いろんな場面に飾られる桜の盆栽達は、何処でも人気者です。
その花姿を見て、人が一瞬でも優しい心に包まれてくれるなら、一年の苦労は報われます。


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役目を終えて“我が家“へ樹達が帰ってきたら、消毒・植替え・手入れ・等々、また長い1年が始まります。
考えてみれば、クリスマスのモミの木・お正月の松竹梅・みんな1年を1度の時の為に生きています。
私達も、今日、今、この時、が「一期一会」の一瞬と思って日々を過ごしたいものですね。
ありがとう、桜たち。



コロナ災禍の収束が見えない東京。
私共の銀座店「雨竹庵」も、お客様・スタッフの罹患を防ぐことを考え、4月1日よりの休業が今も続いています。
その中で再開した銀座最大のコンセプトビル「GINZA SIX」で、盆栽の展示のお誘いがあり、
7月1日より、ギャラリー会場で大小数々の盆栽をご覧頂いております。
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外出自粛など、人々の日常の生活がままならない中、“盆栽で何か役に立てる事はないものか?”と、思案していた時のお誘いでした。
『夏を感じ、星を想う』きっと有名なコピーライターの方が考えてくださったのでしょう。
日本人は季節を五感で感じ取り、日々の生活の中で自然に接して生きてきました。
都会は本物の自然に触れる機会が少ない所、何気ない“生きる命”を見過ごしてしまう、まさに“東京砂漠”と言う言葉が昔流行りましたが、
今のウィルス災禍は、人が移ろう季節の素晴らしさを忘れ失うようなものを感じます。
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夏を感じ星を想う・・いいですね! 
そんな情緒って、生きてゆく中でとても大切だと思います。
それが、盆栽で皆さんに提供できたら・・。
名もなき小さな命から、数百年を小さな鉢の中で生き続ける命まで、
無機質な都会の中で、ひとりひとり、感じ方は違っても、盆栽から“何か”を想ってくれれば・・とても嬉しいです!
(9日まで展示・小店の銀座店長、島田君が常駐しています。是非見て下さい)


1998年5月39歳の春、明治以来初の盆栽店を銀座に開いて、経営を替えながら23年目の今、
4月1日よりしばらくの間の臨時休業に入ります。
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徒手空拳で初めて、どんな時も銀座の盆栽屋としての扉を開け続けた店。
コロナウィルスの感染予防の一環として銀座名店会の一員として断腸の決断をしました。
東京の災禍がどれくらいで終息するのかわかりませんが、・・ツライです。
家賃100万を超える店を閉め続けなければならないと言う辛さと、
たとえどんなに小さな商いでも、盆栽に興味を持ってくださる人達の「窓」であり続けようと思った店。
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しばらくの間、お客様の応対は羽生本店「雨竹亭」となりますが、
こんな時こそ、自然に触れ合い、空気の澄んだ盆栽庭園で災禍に疲れた心と身体を癒して頂ければと願っています。
歩いて数歩で通り過ぎてしまう店。
それでも人生の3分の一を費やした店。
盆栽達が寒い冬を乗り切って芽生える季節を迎えるように、
一日も早く元通りの銀座、華やいだ街で、いつものとおり「盆栽はお好きですか?」の声をかけたいです。

【世界に広がる文化】
先日 京都盆栽美術館の設計打合せに、オリンピック会場のデザインの一部も行なっている
日本デザインとの 
京都盆栽財団 理事長面談に立ち会う為に、夕方の灯り美しい銀座の店で待ち合わせました。
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久し振りに 見る銀座の店姿。
小さな店に訪れて下さる多くの外国人観光客。
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銀座の盆栽ショップ、盆栽好きの海外の方の多くがいつのまにかネット情報の中で店の存在をご存知で、
先日は 天皇陛下の式典に来訪された ジョージアの大統領も直接店に盆栽を求めにいらして下さいました。
私が自分でこの店を切り盛りしていた20年前とは、在り方も 求められる内容も様変わりしましたが、
日本の盆栽をご紹介する店としての意味は、何も変わらずに日々が続いています。
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もっともっと、この銀座の片隅で 皆さんにお伝え出来る“何か”を見つけてゆきたいです。

【いつの日か・・】

8年間の夏の銀座雨竹庵・軽井沢店、8月20日をもって役目を終了しました。
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はじめの5年間は、スタッフ中心で頑張りましたが、避暑地の夏、中々思うような結果とはなりませんでした。
このまま閉じるべきか? 悩んで社員の意見を求めましたが、「採算が無理」と言う答え。
悩んだ末に私が出した結論は「ここからは会長に任せてみて!」でした。
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銀座店の半分の小さい店、ご覧に入れている盆栽も どちらかと言えば 初心者向けの可愛らしいものが中心。
“ここで1カ月間で100万の収益をこの形であげるのはキツイ、何か別の方策はないか?”
・・私が出した答えは、「もうひとつの軽井沢応接室」でした。
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以前より親交のあった軽井沢名門貸別荘「前田郷」。
 8月のベストシーズンだけを借りると1ヶ月でなんと120万!
 “500万売ってやっと収益イーブン!?” 私はやる事にしました。
重要文化財「三笠ホテル※現在は観光公開のみ」の近隣、木洩れ陽の美しい軽井沢を絵に描いたようなロケーション。
“ここにお世話になっているお客様を招いて、夏の応接室にする!”
お陰様で 前田郷と軽井沢通りの店、この二ヶ所体制にして、売り上げは、毎年1000万台にのせることが出来ました。
私にとっても、普段とは違う場面での お得意様と一対一の時間。
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朝夕は、羽生では全体の盆栽管理や業務に心が動きますが、
ここでは 物事を考えたり、普段出来ない執筆を進めるなど、店に10時から16時、お得意様がいらっしゃれば、留守を頼んで別荘へ。
“この形でしばらく頑張ってみよう!”

昨秋、京都大徳寺・30年近く 私淑させて頂く芳春院のご住職より、「寺の中に盆栽庭園を作らないか?」と思いもしないお言葉を頂きました。
応仁の乱以後、500年の間、戦国大名が建立した名刹塔頭しか存在しない大徳寺、
しかもご住職が指定された場所は、織田信長公の墓所の北、
「利休に帰れ」の名著で有名な立花大亀和尚が創った如意庵、そして脇には最大塔頭芳春院。
幾度も分不相応と辞したのですが、ご住職の強いお勧めを頂き、盆栽庭園開園を決意したのです。
今年秋より工事に入り、建方を春までに終了し、作庭を夏前に終わらせる。
そして来秋には「大徳寺・芳春院 盆栽庭園」が 開園します。
“二兎は追えず”の例え通り、軽井沢の店を営みながら、大徳寺の庭を仕上げる・・どちらも中途半端になってしまう。
そして私が出した結論が、「100年後にも残る盆栽庭園」でした。
想いを込めて頑張ってきた軽井沢、こんなに複雑な気持ちになったのは初めてです。
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私が好きで始めた店など、いつ無くなっても、但し、大徳寺は私だけの想いで閉じられない。私の次までも守れる形を作るのが、私の役目。
軽井沢店をご利用下さった皆様、本当にありがとうございました。
心から御礼申し上げます。
羽生本店・銀座店・そして 来年秋からは、京都で皆様をお待ち申し上げます。
・・・でも、大好きな軽井沢、形を変えて・・考えたいです!
ここを好んで下さった私の様な
盆栽水石以外、何の役にも立たない者を良しとしてくださる方々の為に。

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