雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭

【枝垂れ桜・床飾りの美】

細身ながら、一重性の可憐な美しい花を見せる枝垂れ桜(富士桜系)が、今年も羽生の庭で咲きました。
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陽春の徴として毎年床飾りを楽しませてくれるこの種、今年も朧月の掛け軸と、
春らしい 稜線美しいのどかな遠山石を“水温む”感を楽しめるように、水盤飾りでの脇飾りとしました。
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「樹・石・画」 が一体となり、席中に「季節と詩情」を生み出すのも、床飾りの醍醐味です。
2000点を超える庭の子供達(盆栽)も、暖かい陽射しを受けて、花や芽吹を見せるものも多くなりました。
“ あれも飾りたい、これも面白い” と あちこちと庭を歩き廻る朝が多くなりました。
これも良い運動ですね!

【植え替えです!大変です!】

彼岸の季節、暖気が増す頃となり、盆栽達の植え替えに心が惑わされます。
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子供の頃から この世界にいるせいか、桜の咲く季節となると、
毎日少しずつ芽を動かしてゆく樹々に「ああ、この樹も植え替えをしないといけない!」と、
2000点を超える目の前の盆栽達に、バタバタと心が乱れます。
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海堂・花梨・モミジ、五葉松・・動きの早い順や、眠りから覚める前に施術しないといけないもの、
手に入れて来て、羽生の庭に来たばかりで、姿や鉢映りを変えるべきもの、納得のいかないものが、目について離れません。
あれやこれやで抱えている仕事の合間を縫ってでも、弟子達と1日5~10本頑張っています。
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特に、鉢合わせで角度や雰囲気を変えるものは、“根締め”をしっかりとしなければなりません。
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いくつかの根締め法がありますが、私は基本的に手間を惜しまず「竹打ち」で行います。
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ガッチリと締め込んで、例えれば植え終わった時、樹を持っても鉢が付いてくるような根締めに心がけています。
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枝や鉢上の部分は、ここから2~5年、鋏や針金で樹作りが出来ます。
しかし、土中の根は次の植え替えまで、この時の仕事が唯一の時です。
“目に見えない部分を丁寧に!」を弟子達にも伝えたいです。


【受け継いだ日本一の樹】

先年より体調を崩されて、先生が所蔵される60数点の名盆栽を雨竹亭は託されました。
国風賞受賞樹を筆頭に数々の名木が、羽生の庭で健やかな日々を送っていますが、
この季節、とりわけの美しさを見せてくれるのが、
春の芽出しの時に鮮やかな紅色の新芽を楽しませてくれる モミジの貴賓種「清玄」です。
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数十年小泉先生は、この樹を大切に愛培され、多くの人たちが割愛を所望しても、自邸に飾られていました。
長く広東鉢の長方に植えられていましたが、先日 私が中国広州で誂えた均釉の袋式楕円に植え替えをしました。
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日本を代表する愛好家が半世紀を愛した名樹を、ここから盆栽界に受け継ぐのが、私の大切な役目です。


【初めての整姿作品を初めての植え替え!】

西安雨竹亭で楊凌の盆栽パビリオンを2年間守って来てくれた、郝君と趙君。
昨春3ヶ月の研修を日本で過ごし、12月より3年間(当初は1年のビザ・延長願いを出して更に2年)
故郷に帰ることも出来ないのを承知で、私の庭「羽生雨竹亭」に住込みで勉強しています。
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43年前、貧乏で布団も用意出来ずに、バッグひとつで小僧に入ったあの頃の自分を思い出します。
日々、8時前からの庭内の掃除、あとは19時〜20時位まで、雨竹亭の慌しい毎日を、言葉の壁を越えて必死に頑張っています。
「ハオ!ツァオ!」と呼べば「ハイ!」と駆けてくる姿は、私たちの世代の修行時代を彷彿とさせてくれます。
冬の間しか松の針金掛けは勉強できないよ!と、12月に与えた五葉松も
2人して眠い目を擦りながら、時には仕事の終わった深夜に励んでいました。
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国風展の忙しさの終わった中、2人の仕上げた五葉松の植替えを指導しました。
教えることに専念して、なるべく自分の手でやらせてみました。
“針金がキツかったり、いじりすぎたりで、いくつか枝が痛むかも”と予想していますが、
その姿をこの庭で見ながら経験を重ねる事も大切なことです。
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2年後の作風展に若手部門でこの樹を挑戦させてあげたい!
そんな事を思いながら、終わってみたら、深夜12時でした!


【国風展 売店 3回入替! 売上レコード更新!】

久し振りに 陣頭指揮で挑んだ国風展売店「立春盆栽大市」。
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昨年より展示ブースを広げて、他店の “売れない中でブースを広げるなんて”との 陰口など気にせず、
全力で展開企画から練りこんで、前日のバイヤー取引日・初日~2日間、中間期間展示、
そして未公開の「上杉謙信公伝承の盆栽」を中心とした最終展示。 
海外からの『黒船』と呼ばれる買付け! 国内愛好家の皆さんから見れば、複雑な思いがある事も当然ですが、
現状の盆栽市場は この海外勢の購買によって相場が確立されている事も事実です。
はじめの3日間はこのバイヤー中心の市場買いで仕入れが出来る盆栽を“これでもか”と言うくらい並べて対応しました。
初日からは展覧にいらっしゃる本来の愛好家の方々の為の“本物”と“味の良い樹”そして雅味ある水石・古鉢、
来場される旧知のお客様達、歓談しながらの“品定め”は、国風展売店の昔ながらの姿です。
『日本の水石展』が開幕された国風展後期展は、盆栽の歴史的名樹の通説を覆す500年の伝承を持つ
 “伝説の盆栽” 上杉謙信公の「一位」を中心とする 日本名木群の一堂展示。
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3回の夜間特別入替をご理解頂き、許可下さった組合方にも感謝しています。
おかげさまで、私が手掛けた過去の国風展売店の売上レコードを更新することが出来ました。ありがとうございます。
海外との対応・交渉、日本愛好家の方々への私共がしなければならない業者としての役割と責任。
この2つの目的を無事に遂行できたと思います。
でも、「奢るもの、久しからず」の 言葉を胸に、ささやかな愛らしい盆栽をじっとご覧になっている初心者の方を、
寄り添う気持ちで少しずつでもその楽しみをお手伝いすることが、何よりも大切だと言う事を、スタッフに伝えてゆきたいと思っております。
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