雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭


【羽生の総力を会場最大ブースに展覧!】

日本盆栽界の最大最高の祭典「国風盆栽展」に併催する、
上野グリーンクラブ(私は昔の名前の 東京池之端盆栽倶楽部 の方が好きですが!)での『立春盆栽大市』(2/9〜2/17)に、
恒例のエスキューブ特設ブースが設けられます。
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いつのまにか、会場内で最大のブースになって、内外の多くの愛好家の皆様とお会いして
名樹・名鉢・名石・などをご紹介する舞台となりました。
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“エスキューブの森前さんの売店を見たか!”といつも噂の的にばかりなっていますが、
今回も過去に国風展に出品された名樹8点・日本に秘蔵される古渡盆器の中型作の至宝『あさぼらけ』
紀州徳川家旧蔵の永楽善五郎(初代保全作)『紫紺釉葵紋入蘭鉢』
木村正彦先生作品 5点等々、ご来場下さる皆様に 私達の出来る限りの“今”をご提供出来ればと願っています!
17日までのロングラン!お越しをお待ちしています!
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【名筆 森 寛斎と瀬田川古石に五葉松】

立春も過ぎて 明けやらぬ春待ちの冬空。凍みる空気の中、床飾りをしてみました。
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昨秋 栃木県のご老体から譲り受けた五葉松。
三幹仕立ての持込古いこの樹は、木村正彦先生門下・森山義彦さんの手で、空間優美な典雅な松へと生まれ変わりました!
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“梅を使わない2月初旬の飾り”・・季節感を捉えた王道の飾りが すぐに浮かぶ季節こそ、それとは違う飾りをするのに 知恵熱が出そうです。
(手持ちの少なさと言う家庭の事情もありますが・笑)
久々に書斎の奥にしまっておいた森 寛斎の『朧月』の大幅を掛けてみました。
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仄暗い 雪模様の曇天の空、画中 天井部に大月。
幕末から明治にかけて京都画壇に君臨した名筆はやっぱり良いです!
「明治の応挙」と謳われた寛斎の作品の中でも、独特の構図を取る作品に、
これもずっとしまっておいた(実は大きくて重くて ずっと蔵の奥にありました!)2尺を超える瀬田川古石を、
“明けやらぬ朧なる春待ち”の想いを込めて取り合わせてみました。
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月の朧が冬すぎての春を・瀬田川石の稜線穏やかな山容が、泰然とした中に何処かしら長閑さを。
松は変わらぬ翠を湛えながらも、僅かに“水揚げ”の色を濃くし始めている姿。
微妙な季節の移ろいをどうやって捉えて飾りをしつらえるか、これも盆栽水石の楽しみのひとつです。
是非 羽生雨竹亭の床飾りをご覧にいらして下さい。

【吾妻五葉松「山の神」大改作!】

昨年の国風展売店で、鈴木伸二さんから入手した吾妻五葉松。
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昭和30年代、吾妻スカイライン建設に際して、道路予定地に自生する五葉松の採取が特別に許可されました。
この樹もその時に 下界に降ろされたものです。
根元部分に山採りならではの厳しい舎利芸を持ちながらも、全体として表面的に上手にまとめられている姿。
“ この樹は ちゃんと作るべき!” と思って、まず1年間 培養状態を高める事に専念しました。
厳寒の今、ここが手入れ時!  
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満を持して 大掛かりな枝抜きと基本的な樹形作りに挑みました。
吾妻五葉松の特性と言える “枝が直線的に走る” 嫌味を取り払って、
親幹も差枝も 左へ綺麗に流れる「枝元の作り」を 鉄棒とジャッキを使って進めました。
返しの枝も「鶴鍋」にならないように、元から折れるギリギリの畳み込みをしました。
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友人の寺川さん・スタッフの小川君・の協力を得て、なんとか、1回目の「今」出来る姿を浮かび出させたかと思います。
ここから2~3年の肥培管理で葉組みを増やし、重量感ある「山の神」が 目覚めます!
次の時代に伝承する樹の技。
この樹が盆栽界の晴れ舞台で 王者の佇まいを見せる頃には、私も老成した隠居になっているでしょう。
それでも、こんな仕事がなによりも好きです。
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【大型五葉松の植替え!】

厳寒の羽生第3培養場。
ここは未完の素材を手に入れて、少しずつ改作や手入れをする作品を生み出す「名樹のゆりかご」です。
今年の改作のはじめに、昨年 九州から運んだ五葉松の大樹、
プラスチックの大きな土管の様な鉢植だったものを、本鉢に入れ替える作業をしました。
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あまりに大きく、手で動かすことが大変なので、昨年買ったフォークリフトで吊り上げての根ほどきとなりました。
(フォークリフトを持つなんて、盆栽屋じゃないと思っていたのですが!)
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ここから切込み・枝作り・を繰り返して、樹齢150年のもう手に入らないクラスの五葉松大樹が盆栽界に登場します。
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こんな盆栽と格闘するような作業をみんなでしている時が、何よりも楽しいものです。
早春から陽春まで、国風展やお客様の手入れ・植替え・を挟んで、盆栽と「命の対話」をする時間が多くなります。
頑張ります!

【寝食忘れて手入れ修行!】

凍てつく1月の羽生、普段の仕事を終えての手入れ小屋での若者達。
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私達の時代は 修行という対価の無い盆栽を学ぶために住み込みで修行が当たり前の時代でした。
月1度の日帰りの休み、朝6時頃から遅い日は師匠が戻る夜中まで待機。
手入れの忙しい時期は深夜までの作業が続く日々でした。
今も木村正彦先生や、友人の鈴木伸二さんの所など、
その技の習得の為に 青春の大切な刻を盆栽に捧げる者たちも多くいます。
エスキューブは社会保険・厚生年金を完備した事業体です。
お客様と自分達の給料を稼ぎ出す為には、様々な仕事が日夜あります。
そんな中でも自分の盆栽人としての腕を磨くのは「自分自身の考え」と日頃から説いています。
将来の私の片腕?の見込みある小川君。
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中国の提携法人「楊凌雨竹亭園芸公司」から3年の技術研修で羽生にいるハオ君とツァオ君。
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そして見習いとして1年経ってもまだ先行きが心配な長野県からの前島君。
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“手入れの出来る僅かな季節、腕を磨きたいなら 仕事が終わってから自分で頑張りなさい!素材も道具も銅線も自由に使っていいから”
と 叱咤激励を続けているうちに いつのまにかみんなで手入れ小屋に夜いる時間が増えてきました。
“盆栽と向き合って夢中になる”そんな時間がどれほど貴重な経験なのか、私の年になると彼らの姿が眩しく見える時があります。
“そんなに上手くなくてもいい、盆栽を通して人として成長してほしい”
こんなこそばゆい言葉も心のそこから本心で願う自分、年をとったのかなあ?って思うこの頃です。

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