雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭

【雨竹亭のレンタル盆栽】

私が銀座に店を出して1年たった頃、“和食の鉄人” 道場六三郎さんがいらして
「店を新しく作るので、飾る盆栽を売って欲しい」のご要望から、痛んだり管理の難しさ・季節感・などをご相談した結果、
“季節の美しい盆栽を飾るサービス”が始まりました。
都心を中心に22年たった今では、年間4000万円を超えるサービス業になり、
盆栽界という趣味の狭い世界にいた盆栽達が、幅広い多くの皆さんにご覧頂く仕事になりました。
年末は大忙しです!
年間契約のレンタル先に、雨竹亭ならではの「季寄せ盆栽」
つまり宮中などで設えられる松・梅・竹・千両・柚子・福寿草・フキノトウ・等々、新春の目出度さをひと鉢の中に込めた盆栽の製作作業にスタッフみんなで頑張っています。
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盆栽としては、1点ではどことなく物足りない樹達が、ひと鉢の中に組み合わされるで、“醜いアヒルの子が白鳥になる”ような独特の盆栽が生まれます。
場所や大きさ、高さや奥行きなど、1年間お世話になっている所に合った季寄せ盆栽、新春の迎春盆栽として 
多くの方々が 園芸店などで市販されている松竹梅とは違う嬉しい驚きを持って観て下さいます。
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昔は自分で鉢合わせや、流れなど、率先して創っていましたが、今ではスタッフみんなに任せておいても大丈夫になりました。
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“季節を寄せる”と書いて季寄せ盆栽。鏡割りの頃には、役目を果たして庭に帰ってきます。
そして来年までの力を蓄える為に、また元の鉢に戻し植えする作業が待っています!
常しえの栄の徴「松」寒気の中葉も付けずに凛と咲く梅の魁、節目を持ってまっすぐに生い立つ竹、そこに色とりどりの実物花物の“宝尽くし”。
皆さんもご自身の生活に合った「季寄せ盆栽」に挑戦してみて下さい!​​


いよいよ私の大観展特別ブース“最期の展覧”に出発します。
10日間の留守をする羽生雨竹亭。
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それでもこの庭に訪れて下さる内外の愛好家は多く、居ない間の美しさをキチンとしたくて、庭と床の間を飾り替えました。
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「名残の秋」を 美しい紅葉で楽しんでもらえればと、ガマズミの彩り、となりには昨年の国風展に出品した、五葉松の古木。
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いらして下さった皆さんが、“盆栽っていいなあ”という、記憶をお土産にしてくれることを祈って飾りました。
私と一緒に京都まで行く樹達、羽生の庭で帰りを待つ樹々達。
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私にとっては、家族であり、共であり、ある意味私の生き方の形でもあります。

【乾坤一擲の準備!】

11月22日からの第39回日本盆栽大観展。
今年も昨年に続き、主催者の理解を頂き、展示ブースに特別設営のギャラリー展示をします。
今回は 私の大観展での最期の企画展示ブースになります。
来秋は、同じ京都 禅寺「大徳寺」内 塔頭「芳春院」に 造営が予定されている
『芳春院盆栽庭園』を任される事になり、私の活動の中心がそこになるためです。
全長28mの最大級の展示ブース、名樹・名鉢・名石・を、持てる力の限りを尽くして 皆様に披露します。
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今はその準備に追われる毎日、盆栽の整姿・苔張り・鉢合せ、
名石・名鉢 の展示設備の寸法出し など、時間の空く時を惜しむように ひとつひとつを仕上げています。
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第1回から関わってきた大観展、いつのまにか “業界最大級”となったブース。
還暦の年に千秋楽の披露をして、来年は大徳寺の庭園で 皆様のご案内役をする・・・
こんな盆栽人生が訪れるなんて、思いもしませんでした。
今は “ハレの舞台”に立つ樹々や名品達と、その日に向かって向き合う毎日です!
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羽生雨竹亭・秋の恒例企画『秋の観賞会』も終了し、庭内の整理や盆栽達の仕上げ仕事に追われる日々が続いています。
先日、細身ながら 山採りの枯淡の味わい見事な真柏を、長野県須坂市にある井浦勝樹園氏より譲り受けました。
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真柏の舎利仕上げでは、国内指折りの彼、さすがの舎利芸です。
私は 新しい樹が入るとしばらくの間、なるべく何気なく棚で見ているようにしています。
“この樹の直す所はないか?もっと良い捉え方はないか?自問自答の気持ちで、樹に向き合っています。
私達盆栽家は、ともすれば「これはこうしよう!」と即座に作り変える事がありますが、私はそんなに器用ではありません。
朝夕・日々・己の心が変化する中で、安直に答えを出さず、その樹が生きてきた年月を考えれば、他愛も無い僅かの刻を大切に見つめます。
中には10年以上育て作りながら、ある時 “あっこの樹はこの捉え方があったんだ”と、思いがまとまる時があります。
何度もその経験をした私は、自分の樹を観る心がしっかりとなった時にこそ、樹に向かい合うことにしています。
この真柏も、井浦氏が丹精を込めた樹で、何も悪い所は無いのです。
しかし、どうも枝が重い。
何故だろうと毎日眺めている間に、“そうか!枝を大切にしすぎているんだ!真柏の厳しさと幹芸が弱いんだ”と思いました。
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「差枝を切る」普通は 考えぬことですが、真柏に大切なのは、
「細身でありながらも、凝視すれば どれ程の厳しい刻を生き抜いてきたか」
が表現されていることだと思います。
ゴツ過ぎる鉢合せと共に、樹相の捉え直しを行いました。
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更に、盆栽は 棚で鑑賞することは、その素晴らしさの半分です。
庭で眺めるだけなら庭木と変わりません。季節や景色、遠く心の中に浮かぶ世界が、
部屋の中に持ち込めて、それが思うままの時に替えられるから素晴らしいのです。
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卓を合せ、「自在天」の書。
この書は 150年前、武家社会の身分封建制度から、万民平等の時代を作り上げた、明治維新の元勲 天信翁の書です。
翁は維新という革命を天皇と共に成しながら、一切の栄誉を拒み 新社会成立後は、文人として生涯を送った私が尊敬する人物です。
添えと言われる「点景」には、銅製の観音像を配しました。
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真柏は、人と共にある世界観の樹ではありません。
自然界を超越した神秘すら宿しています。
神仙の住む世界観に相応しい点景として、仏の姿を取り合わせました。
盆栽は、どの様な樹にも、その樹が持つ世界観があります。
草木ひとつに宿る生命、その命が描く「心の中の自然」これを表現することこそが、盆栽趣味の醍醐味だと思います。


※音声が流れます。音量にご注意ください。

【秋の盆栽観賞会】

年に2度の羽生雨竹亭を 多くの方々にご覧頂く観賞会。
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今年は11月5日まで。
普段は盆栽愛好家、つまり国風展や大観展へのご出品をなさるお客様をお相手する雨竹亭ですが、
観賞会は 広く門戸を開いて、地元の家族連れや御年配の方、お若いカップルの皆さんが、のんびりと盆栽と過ごして頂きたくて、行なっています。
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5日間の為に、盆栽の掃除や庭内の整頓を心がけ、スッキリとした庭で 特別な時間が楽しめるように、スタッフみんなで頑張りました。
秋晴れの中、どことなく普段見ている樹々達も、少し緊張して気恥ずかしそうです(笑)
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私自身も毎日あくせくとしていますが、この期間は羽生で盆栽とお客様、そしてスタッフ達と過ごす “貴重な” 刻です。
時に追われることなく、自分の庭で盆栽を見つめながら過ごす時間が、とても尊い事だと、
還暦を過ぎてしみじみと感じます。
やっぱり盆栽はいいなあ!って。
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