雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭

縁があって世界盆栽友好連盟(WBFF)の名誉会長であった故岩﨑大蔵先生の遺産盆栽を全て譲って頂いて半年になります。

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この五葉松も先生が半世紀以上をかけて苗木から見事な盆栽に導いた労作です。

かの五葉松名樹「春高楼」を彷彿とさせる丸幹薄模様の逸材で先日基本的な整姿作業を終えた所です。

生前岩﨑先生は
“売ることを覚える前に樹を作り、種を蒔きなさい。”
をおっしゃっていました。

夥しい数の松柏盆栽を遺された先生はその言葉を実践されて天寿を全うされたのです。

この樹を見ると人が変わらぬ愛情を注げば、一本の苗が人に感動を与えるまでになると解ります。

私も羽生で約5000坪の培養場を預かる者として、

“売れる樹”だけではなく、“次代に遺すべき素材”を大切に育てようと思います。


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主木 山柿
掛物「来雁図」

手頃な寸法の味わい深い柿の盆栽です。

園芸的な丸幹の切傷のある柿の鉢植はよく見ますが、
この木の様に実の“重さ”でたわわな枝姿を描き出すものこそが、
柿盆栽の有るべき姿と言えます。

誂えの白釉鉢によって、実色、葉色との調和を図っています。
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掛物に描かれた雁が列をなして舞い降りてくる様は、
“日本の秋”を表現するのによく扶けています。
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さり気ない季節の盆栽飾りの中に、樹、鉢、取合せの掛物という
「三位一体」の美があります。


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立ち上がりから幹中央やや上迄は真柏としての幹芸満点の樹ですが、
上部の水吸いが正面に立ち、樹冠の舎利味を隠してしまっています。

水吸いと舎利を上部のみ割いて水吸いを舎利の裏側に巻き込む施術を来週行って
ブログでご紹介させて頂きます。

樹冠の動きで真の名木が誕生します。

 


「秋の観賞会」の応接間は日替わりで名樹が飾られますが、
この真柏の様に“何処となく何処かで見た風景”を感じる作品も心和むものがあります。

宮城県石巻に近い名勝「松島」に見られる美しい景色がこの中に見えてきます。

「見立ての美」と言うものを日本人は大切にしてきました。

この樹はそんな“借景”の世界を楽しませてくれます。

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昨年まで栃木県鹿沼市の花木センターで開催していた「至宝展」を
今秋からは本店雨竹亭で「秋の観賞会」として皆さんをお招きして開くことになりました。

盆栽が色とりどりの表情を見せてくれる心地良い季節の始まりです。

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床の間は格調高く黒松に日の出の掛け軸、脇に瀬田川の遠山石。

庭園に散りばめられた盆栽達も秋色の装いになっています。

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