雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭


暑気まだ残る九月、それでも朝夕の風に何処となく“秋“の気配を肌で感じる季節になって来ました。
記録的な夏を過ぎ、心の中も“秋景色“をどこかで求めています。


今年は“中秋の名月“が、10月1日と遅く、少し早めの「名月の飾り」をしてみました。

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まだ「芒・すすき」も席飾りに出来るほどの穂も背もなく、カリヤス草を使ってみました。

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鬱蒼としていたカリヤスの根本の古葉を手剥きで丁寧に取る、この作業が草物を主座に迎える時、とても大切な事です。
美しい根茎のスッと伸び上がる姿は、どんな名木にも替え難いものがあります。

掛物は「雲中の名月」上部に金泥を使った月光を見せています。

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カリヤスの足下には、つがいの鶉、草叢を行き交う姿が浮かびます。

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脇床には、蕭々と孤立する老松。
直近の名匠木村正彦先生による五葉松文人盆栽です。

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『山間に屹立する老樹、秋の澄む風は、名月の下、草叢の鶉を映す』

盆栽・掛物・草物・等々。
取り合せの妙を楽しむ季節が来ました。

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名門、蔓青園氏の紹介で、羽生に届いた黒松の太幹素材!

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庭木と大型盆栽の狭間にある様なこの樹、冬季まで管理に努めて、枝接ぎ、胴接ぎを施術して、
10年後には全体を半分の大きさにした作品にしようと思っています。

「こんな樹が本物になるのか?」と見る人の方が多いでしょう。
しかし、こういう素材が、“これがあの時の粗樹?!“と言うくらいに変貌していきます。

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市場で明日にでも売れる樹を扱う、これも商売ですが、
盆栽業として、“次の時代に残せる役立つ素材“、これを仕立てておくことも、大切な仕事です。

自分でも分かっているのですけど、私はどうしても“自分より遥かに大いなる樹“に魅力を感じるのです。
“これがいつの日か、多くの人達を魅了してくれれば“。
そんなロマンばかりを相変わらず追い求める私です(笑)


小僧の時代から数えれば、45年のお付き合いをさせて頂いた老大家。病に斃れて83歳の天寿を全うされました。

遺された夥しい水石・道具・そして掛軸。

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ご本人よりの遺言「すべては森前君に任せて、斯界を受け継ぐ愛好家の皆さんに残るように」。
これを奥様から強く要望され、8月は仕事の合間に少しずつ、ひとつひとつの中身を精査してみました。

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“片山一雨先生のものだ”、“水府散人先生からの石だ“、展覧会に出品した水石・卓・掛軸。
どうしたら多くの方々に広められるか?
3分の1を故人の親しかった方々に、残りの半分を故人が連載までされた月刊誌『近代盆栽』さんの通販に、そして残りの半分を、水石協会が主催する年2回の協賛オークションへ。

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協会のオークションは、その手数料のすべてが、協会文化活動に寄付されます。
過去にも1億円となる成果を挙げた、業界屈指の現金オークションです。
日頃はオークションに出品されることを嫌う愛好家の方々も、“協会の発展の一助となるなら“と、蔵内からの出品をして下さいます。
今年の秋のオークションは、9月13日。
前日の午後は、誰もが見学できる下見会です。
本当は業界の中枢機構である、上野グリーンクラブは、予約はしていたのですが、コロナ災禍を予防する見地から、協会事務局長を預かる私の羽生で開くことになりました。
名品から趣味家が愛した様々なものまで、勿論盆栽や鉢類も多数出品されます。
是非、お遊びにいらして下さい。


終戦記念日の15日、羽生の温度計は40度を超えていました!

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テレビの天気予報は熊谷・羽生地方は、38〜9度となっていますが、体感温度は40〜45度だと思います。
私が修行に入った頃、45年前は、暑い日で30〜32度だったと思います。


何万年もかけて種として存在している盆栽達も、たった数十年でこれだけの変化があると、生理的についてゆけないものがあります。
庭も数年前より、各種の日除けを設備していますが、松に日除けをするなど、考えてもいませんでした。

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朝もあまり早く水かけをすると、日中に乾きが強すぎて、8時頃に朝の水を与えるようにしています。
夕方の水は、渇きのあるものを中心に、全体には樹と周りの庭の温度を下げる目的で「葉水」と言うシャワーのような水かけをします。


8月も25日を過ぎると、朝夕の風が少しだけ変わっています。
そこまでの辛抱!盆栽達も必死に我慢しています。“ガンバッテ!“
不思議なもので、35度を超えると樹も水をあまり吸いません。
30~32度だと渇きも良く、樹も“夏バテするんだなあ“とつくづく思いました。


季節は巡ります。
ついこの間までの長梅雨。

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“早く梅雨明けしないかあ、青空しばらく見ていないなあ“と呟いていたのに、
今は“ひと雨欲しいなあ“・・もしかすると、人の心が一番わがままなのかもしれませんね!


八月、暦の上では立秋ですが、それは名ばかり!
ここから暑さも本番です。
今年は長梅雨で、地面の温度が昨年ほどにまだ上がっていません。
30〜33度、日本の中でも最高気温の高い羽生では、猛暑となれば、35~38度!
盆栽も夏バテしないように、各所に寒冷紗や日除けの設備を施して備えています。

床の間の飾りも、何処かに暑気を払い、涼を呼ぶものを心がける今です。

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揖斐川石の深山渓谷の一部を切り取ったかのような石が入ったので、飛沫をあげる滝下の景を現す水盤飾りを準備して、それに合わせた掛け物を設えました。

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「滝に鶺鴒」武部白鳳の作。
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峻烈な滝を横切る一羽の鶺鴒。
まるで眼下の揖斐川の岩溜りそばの渓流に棲む獲物を狙うようです。
大型の水盤石、掛け物をやや控えめの大きさにすることで、席全体の間調子を保つようにしました。
脇には五葉松の文人調。

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主石と喧嘩しないように、こちらも弱めの取り合せ。
景趣に合わせて、半懸崖の険しさのある盆栽でも良かったのですが、水石と力がぶつからない事を大切にしてこの樹にしました。
“場に合わせて飾る”・飾りの基本ですが、何度設えても、100点など程遠く、いつも反省を覚える為に繰り返しているようです(笑)

コロナで動きづらい日々。
せめて席飾りの中で、自然の素晴らしさを満喫して頂ければと願っています。
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