雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭


【観音堂で 安らかに 畏友ガルのもとへ】

私がこの雨竹亭を作った時から雨風も一緒に過ごしてきた名犬タロウが 
天国へ旅立ちました。
何も無かったこの土地に子犬で来て、生涯十三年間をこの庭で暮らしました。
2年前に同じく初代名誉会長だった名犬ガルが旅立ち、
大病を患いながらも、人間の様な仕草を見せたタロウ。
番犬としても立派に務めを果たし、この一年は2匹の後輩ゴールデン見守っていました。
獣医先生の所から帰って来て、大好きだったピンクの衣装ケースに入った姿は、
今にも目を覚ましそうで涙が出ます。
ガルと同じように観音堂に眠っているよう!
生涯の友だったガルの眠るとなりに眠らせてあげました。
ありがとう、タロウ。
ガルと天国で好きなだけ走って遊んで下さい。

【150年の五葉松根連り】

朝夕の秋風が身心ともにありがたい季節になりました。
ニューヨーク・ワシントンの講演旅行に 出かける前に、
雨竹亭の応接床の間に、先日 木村正彦先生に整姿針金施術をお願いした、
樹齢150年を超える五葉松の根連りを飾ってみました。

叢雲を抱く澄み切った秋夜の空に煌々と明けき姿を見せる名月。

遠くを仰げば、峻険な山々が刻の流れを嘲笑うように、凛然と山容を見せています。

五葉松の各幹は、それぞれに揺れ立ちながら、ひとつの大きな景色を描き、
まさに"松風を聴く"と言う言葉を一席に現出出来たかと思います。

名僧の残された詩を思い出します
「月落ちて 露光冷やかなり 松根 羅屋を照らす」
本格的な盆栽飾りを楽しむ頃となりました!


【仲秋の山野草 床飾り】

朝夕に 虫の音と共に、涼やかな風を感じる頃となりました。
晩夏の名残をみせる昼間から、"秋風"を楽しむ 季節を迎える中、
山野草の床飾りを設えてみました。

先日、福島まで 出向いた折、久しぶりに名匠 阿部倉吉翁の所により、
お孫さんが営まれる「ぼんさいや・あべ」に伺い、今回の主草「目刈萱草」を譲って頂きました。

私は 山野草の秋飾りには、どうしても "寸詰まった" 感のあるものが苦手で、
この様な"吹く風に揺られる"風情のものが好きです。
ススキの穂が出た飾りもいいのですが、まだちょっと早く、目刈萱は有り難いものです。

掛軸は 今尾 景年 の「中天の月」名月を待ち望む今ならではの取り合わせです。
脇床(琵琶床)には 木彫の双鹿。
虫籠・うさぎ などの合わせも 面白く、注意するのは 主飾りが「草」なので、
鋳銅などの位取り高い材質を避ける事かと思います。
古盆の雅格が良いのは勿論ですが、時には
この様な「季節を切り取って肩の力を抜いて楽しむ」事も、忘れないでいたいものです。


【樹齢800年!人と邂逅  400年!】

以前から隠密裏に入手を交渉していた名樹3点が、羽生に着きました。

新潟県魚沼地方に伝承された一位の古木「謙信峠」
大観展で内閣総理大臣賞を受賞した一位「白昇龍」・
明治の皇族 伏見宮貞愛親王旧蔵の「宮様楓」の3点です。
特に「謙信峠」は未公開に近く、これから木村正彦先生に依頼して、
未来に伝承する日本最古の歴史を有する盆栽として、公開準備をしようと思います。
この樹は、上杉謙信が関東遠征の折、峠越えの際、山中で目に留め、
姉の嫁ぎ先である坂戸城主 長尾政景公に送った伝承が残るもので、
新潟県の広報にもその歴史が所載されている"日本最古の歴史を有する盆栽"です。
約2ヶ月の整姿施術で、目を奪われる程の、圧倒的な樹姿が 発表されるでしょう。
楽しみにしていて下さい。


【季節の狭間の静かな床の間飾り】

8月になると秋風を朝晩に感じるとした古人の心は、温暖化の現代には実感もないですね。
"立秋来たれど、酷暑の日々"、何処かに昏れなずむ刻の風景を捉えて、
暑さの中にもやがて訪れる秋趣を感じる席を創りたいものです。

先日、葉性の細やかなコナラの古樹を手に入れました。
この季節は本格的な格調美を見せる松柏盆栽より、
季節の風趣を席中に漂わせる樹種を飾ってみたくなります。
揺れ立つ古幹に鬱蒼と茂る葉陰、どこかその葉にも厳しい夏を過ごした"色"が欲しいものです。

取り合わせの掛物も、"晩夏"の黄昏を取り入れて、
夕暮れの山里に飛び交う蝙蝠、そしてやがて澄んだ名月となる
いまだ純湿さを見せる月。
脇床には景色の連携の中に見える農屋。
旧盆も過ぎれば、初秋の風を感じる席がよく似合う頃になります。
その狭間にこんな「一瞬の刻の切り取り」をした席を創出するのも楽しいものです。

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