雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭


【訪れて下さる方々への庭園整備💦】


このブログが公開されている時には、もう京都で大観展の会場で右往左往している事だと思います。

毎年の行事なのに、大観展前になると、どうしてこんなに忙しないのだろう自問自答します。

4日間のイベントの為にかかる準備、全部で10日間以上、毎日3~4名が、この準備に費やされます😥

正直言って、この時間を使って、普段のような仕事をしていたらどれ程の手入れや作業が出来るだろう“  とも思いたくなります(笑)


出品される愛好家の皆さんとのご相談、お預かり、手入れ、卓や掛軸、そして添え物の取り合せ、

またお世話になっている京都国際文化振興財団(通称・慶雲庵)の、

企画展示の創案から出品物の選出、そして雨竹亭の10mを超える特設売店の商品準備に手入れ💦

もう40年以上、小僧の頃から続いている催事です。


今年は水石組合(水石を業とする団体・今年、新たな組織運営となりました)の特別ブース(展示販売会)が設けられ、

300点超の水石・水盤・卓などが、一同に展示される企画が会場であります。

この総括責任者の役目となり、仲間の業界人との連絡や設営の準備など、目が回る大観展になりました😅

65歳を目前にするこの頃は、心の何処かで、静かな盆栽人としての毎日を渇望しているのでしょうかね❗️


会場へ運び込まれる雨竹亭のメイン商品達、庭内の美しい樹達が、出稼ぎに出動する中、

それでも大観展に合わせて、海外の団体が羽生までいらっしゃいます。

残された樹々で、もう一度庭内を飾り込む💦

これも大切な仕事です。

普通の商売の盆栽園なら、訪れるお客様に楽しんでもらう為という、作業時間はあまりないでしょう。

私達の庭は規模も大きく、飾り替えとなれば、数人で丸1日かかります。

時々思います。なぜこんなに苦労してでも、この形を取るのだろうと。

生活のためだけなら、要らない事かもしれません。

お得意様・業界・売れる商売、これで足りるのかもしれません。

しかし、私には無理でしょう(笑)


この頃特に思うのですが、私は何故?何がしたくて、年を重ねてこうしているのだろうとふと思います。

きっと私は、自分が何者なのか?“  “自分は何が出来るのだろう

頭の中で考えることはいつも盆栽と水石を通して伝えたい何かなのです。


多くのお客様にも恵まれました。

挫けそうな時に、どれ程の人達に助けられてここに居るでしょう。

そんな七転八倒の人生ですが、どんな時でも、

こんなことしたらいいだろうなあ

こう言うことをすべきじゃないだろうか“  

そんなことばかりです💦


私は盆栽作家なんて高尚な者ではありません。

自分で手掛けた盆栽を買ってほしくて右往左往と世の中を泳ぐようなら、真の作家とは言えないし、

自分には出来ません。

私は"盆栽商"です

絵で言えば画商です。

勿論、11年の住込修行を経ていますから、相応の腕には自信はあります。

でも私の矜持が、「ハサミと算盤は相持つものではない」です。

だからこそ、スタッフには作風展への挑戦の道も後押ししますが、私は生涯、

盆栽作家としての評価を得たいとは思わないのです。

盆栽や水石に対する目筋については、それは、自負こそあれ、

最終的には周りの方々が、判断されることだと思います。


初めて、画像のないブログを書きました。

2015年以来です!


ここからも毎日迷いながら“ それでも盆栽や水石、そして周りのすべての人達に助けられて歩んで行くと思います。

心だけは、「禅僧になりたかった15の小僧」のままで❗️


間もなく京都で開催される『第43回日本盆栽大観展』への出品の為、愛好家秘蔵のケヤキの大樹が、羽生に運ばれました❗️

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展示を前に卓を合わせる為に、応接展示室に持ち込みましたが、私も半世紀盆栽に携わって来ましたが、
これだけの丸幹太幹の大型ケヤキは、今までに扱った事がない樹です。

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美しい黄葉を見せる樹。
大観展では寒樹の葉落ちの姿での展示になります。

僅か1週間の黄葉の勇姿❗️
床飾りを構えてみました!

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時雨の中、寄り添い飛び交う雀の画、遠くには、“京都“を想う三重塔。
根元の幅45cm❗️を超える大樹❗️
それでも、単に“太い“と言うだけではなく、条件を整えた樹姿の名樹。
やっぱりごまかしのない大樹は良いですね‼️


12月に上野グリーン倶楽部で開催される「第49回・日本盆栽作風展」に、
この雨竹亭から巣立った盆栽家と現役のスタッフ達が出品に挑戦して、各樹共にそれぞれ受賞の評価を頂きました❗️

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10年の羽生、1年の辛苦の中国、今は奥さんとお父さんと故郷宮城県多賀城市で、お客様の手入れを中心にした活動をしています加藤くん。
東北人らしい“朴訥“とした性格。
福島の著名愛好家の舩山様の所では、いつも手入れを手伝ってもらっています。

今回、舩山様のご厚意で、彼が長年手入れを続けてきた蔵樹を出品させて頂きました。

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“本物の吾妻五葉松の古樹“として、プロ達も夙に知る名樹。
作風展と言えば真柏を中心とした、“表裏逆転“や、素材を大きく変える姿にどうしても注目が集まりがちですが、
多くの盆栽家達が、その樹の持つ“個性と味わい“を損なう事なく、
年々と愛培を重ねてこそ醸し出る“老樹の姿“を“作り過ぎずに培養する“ 事も、
立派なその盆栽家の“作風“では無いでしょうか!

中身の濃い樹と言う評価で、この樹も“委員会賞“を頂きました。
舩山様ごとく、“一所懸命手入れをしてくれる方々、少しでも若い皆さんの為になるなら“と、愛樹の出品を快諾して下さいました。 

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小店副社長、島田君も、同じく手入れのお手伝いをしている愛好家の方より、
岩しでの古樹をお預かりして、同じく委員会賞となりました。

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スタッフの近藤君は、数年前より、先の舩山様より“この子に1本樹を預けてくれませんか?“とお願いして、
五葉松の根上がり盆栽を、整姿・針金・植替え・鉢合わせ、そして何よりも大切な“時間をかけた落ち着き“を培養で仕上げました。
結果、新鋭作家部門で、初挑戦での“銀賞“❗️
よく頑張りました。

盆栽家、将来に夢を持つ若い面々は、作風展などに出品したくても、その素材を自分のものとして長く持ち続けるには、資金力が足りないものです。
資産家や盆栽園の二代目など、恵まれた環境の者ばかりではありません。
今回のように愛好家の方々が、見守って協力してくださる事で、成り立つものです。
さて、3人とも来年への心構えが大変です💦
ガンバレ❗️ヒヨコ達‼️


好天が続く秋空の下、羽生雨竹亭恒例の“秋の観照会“となりました。

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常盤の翠をみせる松柏類の数々と共に、季節を彩る実物や紅葉の雑木盆栽達。
応接庭園もお迎えの“衣装“を着たような配置です❗️

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展示場も盆栽をはじめ、水石・卓・古鉢・掛軸など、盆栽や水石を飾る道具立てを大切にする雨竹亭らしい品揃え❗️
スタッフも年に2度のこの催しで、雨竹亭の半年の変化を皆さんに楽しんで頂ければと、庭内の整理整頓に努めました。


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スッキリと配置された盆栽、各所に展示された数々の品々。
やっぱりお迎えする姿が整うのは良いですね‼️
是非皆さんもお遊びにいらして下さい❗️


秋の観照会についてはこちらから


11/1~7日に開催される、羽生雨竹亭“秋の観照会“を前に、紅葉の秋飾りをしてみました!

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猛暑の長い夏から、ようやく訪れた“秋“は、あっという間に過ぎて行きそうです💧
3年培養して、一番綺麗な紅葉を見せてくれた山ツタ。

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神奈川県の愛好家が3
代に渡って大切にして来た樹だそうです。
水谷芳年の「来雁図」、脇床には寄木造りの三重塔。

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山間の巨刹、里山を彩る山ツタの映え!
渡り鳥が、降り来る姿。

秋飾りの楽しさですね❗️

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秋の清々しい空気に、庭々の盆栽達も、ここから観照会にお越しになる愛好家の皆様のために、
最後の“薄化粧“手入れの時です‼️

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