雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常


【季節を室内に取り込んで・・自己の修練!】

40年近いお付き合いをさせて頂く愛好家、
小林二三幸さんの自宅に飾られた"日常の飾り"をご紹介します。
日立製作所の常務まで歴任された小林さんは、生粋の盆栽水石愛好家。
古稀を過ぎて"自身の趣味の中で心の修練"を楽しまれています。
玄関の脇にさり気なく佐渡赤玉石の古色見事なくず屋石、
小振りな掛物は「月にススキ」、
季節を切り取ったかのような、訪れる人を迎えてくれる静謐な飾りです。

床の間は小林さんが盆栽水石を飾る為に数年かけて改築された「数寄屋風書院造り」。

赤松の飄々とした三幹、青富士はもう冠雪を纏っています。
目を脇床に向ければ木彫の「旅の僧」、三保の松原を想わせるこの席は、
旅路の僧が"人生まだまだ道半ば"を語っています。

盆栽歴半世紀に近づく小林さんの「飾らない飾り」は、
国風展などの品評会的盆栽のあり方に、一石を投じるような真の愛好家の姿勢を感じました。


【中国 張小実会長と訪れた 椎野健太郎氏の園】

中国盆栽協会と言うべき『BCI』の江蘇省地方の分会が発足し、
会長に就 任された張小宝氏が
11月式典実演に招聘する為、盆栽界の若きエース「宝樹園」椎野健太郎氏の庭にご案内しました。
37歳の実力・行動力共に素晴らしい彼が中国デビューする機会として一番良いと思って張会長にご紹介しました。
江戸期より富士信仰の登山口だった地に"山青く水清き"まさに盆栽の楽園を造った彼が
これからどんな盆栽人としての歩み方をしてくれるか、私はとても楽しみです。
一言で彼を評すれば日本盆栽界が失ってはいけない"盆栽家の矜持"をもつ若者と思っています。
私も20歳離れた彼を見習いながら、"自分の歩み"を自分らしく努めようと思います。


【「盆栽も庭もこのままで維持しろ」久原房之助の精神を受け継ぐ長谷家 】

十数年ぶりに「盆栽ロード」を庭内に持つ港区白金「八芳園」を訪ねました。

オーナー奥様の長谷久美子様に出迎えて頂き、
盆栽を広める私共「雨竹庵」と、の1万坪を有する都心の大庭園、
そして旧所有者であった日立製作所創業者である久原房之助翁の遺徳を半世紀を越えて受け継ぐ方々の"確固たる思い"が、
ある意味共通している事に感動しました。 
「人の手を加え過ぎるな、自然のあるがままを大切に」など、
名庭を散策すれば75年前よりこの地でずっと守り続けられる盆栽達と、
仰ぐほどの"人の心が創り上げた大自然"と言うべき樹々に対する守り人達の精神がしっかり息づいている事に、
盆栽人として深く学ぶべきものを感じました。
日本はこの様な"事業の中にも揺るがぬ信念"が築き上げた歴史がある事を
もっと海外の人達にも伝えるべきと痛感しました。
もしかすると、帝都においてひとところに変わらず生き続ける盆栽の(皇居は別として)最長のものかもしれません。
頭が下がります。 

【水石協会オークション 水石界・盆栽界 有志の心意気に感謝 】

8月28日上野グリーンクラブで開催された、
「日本水石協会・協賛オークション」は、
木村正彦先生・徳尾真砂弘 ・近代盆栽会長・内海日本盆栽協同組合理事長など、
斯界の錚々たる面々を中心に120名を超える参加者でした。
このオークションは"水石界の発展の為"に毎年2月東京都美術館で開催される「日本の水石展」と
来年4月にさいたまスーパーアリーナで予定されている「日本の盆栽水石 至宝展」
での
水石協会が企画する"日本の名品水石を世界の方々に披露する"巨大特別ブース設営資金の協賛事業として催されました。 

昨年の8月は出来高9000万円台と言うバブル期以後最高額となり、
今回も協会役員が出品物のお願いなど総力を挙げて取り組んだ結果、
現在の市況では不可能と思われた1億円(1億800万円)の大台越えとなりました。 
事務局長としてメインオークショナーを務めさせて頂いた私にとっても、
この事業に参画下さり多くの所蔵品をご出品頂いた方々、
当日水石界の未来を思って積極的にオークションに参加下さった皆様、
このすべてに只々、感謝、感謝、感謝 です。
ありがとうございました。


【中国広州の旅で出会った若き陶芸家】

香港に近い中国広州へ"失われた広東鉢"を探す旅の途中、
佛山市という所で若き陶芸家に出会いました。
王為敏君。29歳の彼は5年前"自分探しの旅の途中で陶芸に出会い、
この広東窯(正確には石湾窯)で陶芸家を目指すことになったそうです。
清の時代の建物を仲間と借りてアルバイトをしながら
佛山にある明の時代の登り窯を借りて作品造りに励んでいます。
「貧しくても自分の夢を追いかけて」
42年前、15歳の私がこの道に入ったあの頃を思い出しました!
彼からその時頂いた小さな置物を使って真柏と取り合わせてみました。
大自然を生き抜く樹とそれを仰ぐ老僧、今度広州へ行った時、
彼にこの分野の作品を作ることを相談してみようと思います。
旅の出会いが新たな飾り道具を生んでくれたら嬉しいです!

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