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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常


福島県へ手入れに出向いた時、昨年の同じ頃初めて出会った「種からの栽培」を今も大切に続けている『野尻種苗』さん。
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何も無い所から新しい命を産み出し、そこから将来の盆栽が誕生する・・
私達盆栽家が忘れかけている原点の姿がここにあります。
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名木や名器を扱う日常、そんな日常がコロナウィルス災禍で崩れている今、15歳の冬、修行に入った46年前のあの時、
毎日ハウスの中で“元接ぎ”技法で八房五葉の苗木を各種作っていた頃を思い出しました。
先日も栃木県の交換会で、あの頃作った瑞祥が立派な盆栽になって登場したことは、この福島の実生苗作りに通じる感慨がありました。
人々の生活すら煩わすコロナウィルス。
こんな時盆栽業としてすべきことは、次の時代に残す命をたくさん作ること、
そう思ってスタッフに相談したら、みんな“やりましょう!”と言ってくれました。
事情を話して野尻さんの常務が
「本当は契約栽培が殆どですが、森前さんのおっしゃる気持ちに応えたいので、特別にお分けします」!
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五葉松3年生1000本・黒松2年生500本。
私達はこの命を守り育てる責任があります。
仕事もしづらい毎日、こんな時新しい命にふれることは、とても嬉しく、何か忘れていた感覚が蘇ります。
一年後、この子達がどんな姿になっているか、ぜひご覧にいらして下さい。
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【総額10億円超えの春の手入れ!】

福島市に八分咲きの桜が咲く中、
毎年恒例の舩山会長邸・春の手入れ植替えにスタッフと宮城県の加藤充君・埼玉県の森山義彦君の合計7人で伺いました。
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あいかわらずの名木群。
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無粋な盆栽商的見方をすれば、ここにある盆栽達で約10億円と言う価値もあながち夢とは言えません。
手入れの方は総数200点を超えるコレクションの内、事前に予定した数十点を手始めに、
今回は外庭に植えてある8年前に移植して届いた吾妻五葉松の素材の鉢上げもしました。
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十数年、毎年行なってきた植替え手入れですが、いつのまにか樹が徐々に古色と格を帯びてきたのを感じます。
鉢合わせも既に尽くしたものが多くなり、根ほどきによる「本植替え」と、
表土の目詰まりを避ける為に、上土をはずして表面の水の浸透を良くする「表土替え」の二分する作業をしました。
出入り方として、普段は舩山会長に水遣り・消毒・施肥・をお願いしている中、会長が普段盆栽を管理なさる時に、
少しでも樹の為になり、会長の仕事が楽になる事を願って、それぞれの樹に合った手入れをしました。
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おひとりの愛好家の棚をこうして長くお手入れに入らせて頂くと、“盆栽は手入れを続ける事で完成されていく”ということを実感します。
金銭的な価値観などここにある樹達には関係ありません。
みんな平等に舩山会長の愛情を受けて育っているのです。
五葉松のふるさと・福島県吾妻地方。
吹く風の冷たさが樹を育んでくれる事を肌で感じる3日間でした。

【80歳の作家意欲に脱帽!】

国風展の時、わざわざ私のような者と会う為に上京して下さった「樹鉢界の至宝」中野行山先生。
“必ずお伺いします”と言う約束を果たす意味もあり、四半世紀ぶりに日本盆栽鉢の聖地、常滑を旅しました。

行山先生のご自宅兼工房を訪れて、まずびっくりしたのが、蔵されているご自身の作品の多さでした!
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所狭しと室内に陳列された鉢・鉢・鉢。
パッと見ても約1000点!
更に感心したのが、工房に隣接する中庭の盆栽棚、数十点の盆栽はすべて行山先生の鉢に納められていました!
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私が鉢造りに対しての思いがある事をご存知の先生とは、形姿・焼成法・歴史など、汲めども尽きぬ時間を頂きました。
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初めての訪問にもかかわらず、大切な工房から窯場までご案内下さり、
80歳の今も“森前さんはどう思いますか?”と、飽くなき探究の姿勢に感服するばかりでした。

常滑の街は、若い陶芸家の方々が、新しい焼物の街として色々な挑戦をされているのが窺えましたが、
盆栽鉢の作家の皆さんは、けして豊かな“今”を送られているわけではない事も実感しました。
昔訪れた時には、多くの窯の煙突が勢いよく煙をあげていましたが、環境問題もあり、古い窯はまるでヨーロッパの古城の廃墟のようになっていました。
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私達、盆栽業界に生きる者が、もっと作家達の卓抜な鉢造りの技術の継承にも目を向けていかなければいけないと痛感しました。
名工『誠山』『山秋』は今はいません。
行山先生のように老成された作家も少なく、幸いにも誠山窯を継いだ、釉薬鉢の名手『黎鳳』で名高い片岡黎鳳先生の窯に伺い、
洗練された作品群に触れた事を土産に“もう一度、もっとどうすれば手伝えるか?”を考えて、この街に来ようと思います。
立ち並ぶ窯煙突が消え去らないように。
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【雨竹亭・大徳寺盆栽庭園・体験研修の実施!】

羽生雨竹亭は今、春の雑木盆栽の植替えに日々明け暮れています。
単に植え替えるのではなく、その樹をどうすればより良い樹格になるかを、想定しながらの、
簡単に言えば、樹の将来を決める大切な作業でもあります。
盆栽歴46年目の春、昔ほどの馬力もなくなりましたが、若き研修スタッフ達に、手入れ技術と“大切な捉え方”を伝えながら、植替え・改作に励んでいます。
今年の秋には、日本有数の禅宗寺院・京都大徳寺内に、500年を超える歴史で初めての盆栽庭園を造営します。
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私のような盆栽と水石の世界以外、社会人としても落第点だらけの男、
幾度もご住職に分不相応なのでご辞退を申し上げたのですが、四半世紀のご交誼を頂く現在は大徳寺派大本山の宗務総長を務められる芳春院ご住職のお言葉、
羽生の事や、水石協会、盆栽流通業界に対して、やらなければならない事も多いのですが、
与えられた残りの人生の大部分をこの盆栽庭園が営々と続く仕組みを残すことが、私の役割と心に決めて取りかかっています。

さて、そんな私を取り巻く今ですが、若い盆栽界の将来を担う方が不足しています。
せっかく名刹に庭園を作っても、受け継ぐ者がいなければ、意味がありません。
いろいろ考えた末に、広く門戸を開いて多くの方々に挑戦してもらえれば良いと考えました。
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これより数ヶ月、「盆栽や水石を道として生きてみたい」という思いで、私に応答を頂いた方を、
一度お会いして、1~3週間の実施研修をして頂いてみようと思っています。
皆さんは盆栽・水石と言うと、何かとてもマニアックで難しい印象でしょうが、私も15歳でタオルと歯ブラシしか持たずに師匠に入門した者です。
大切なのは「自分はどのように生きればいいのか?」
そんな事を自問自答している人の方が、身体全体と心でいつのまにか、“何かを探す”事が出来るものです。
羽生には、研修用の個室もあります。
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8時〜18時、庭の掃除から始まって、園内の盆栽水石に関わるすべての仕事を体験してもらいます。
研修中は6日間を1クールとして朝夕の食事代を含めて5万円を支給します(昼食は社員弁当を無料支給)
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3クールを達成出来た人の中から、大徳寺への私のアシスタントを探したいと思っています。
勿論、羽生雨竹亭のスタッフになる道もあります!
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「テッペン」を望めるチャンスが誰にでもある盆栽界です!
問合せ・面談は随時OKです。 
未来の「私」と出会える事を楽しみにしています。 IMG_5898

お問い合わせはこちらから

羽生雨竹亭 
TELL:048-565-4114
Mail: info@bonsai-s-cube.com

※お問い合わせの際は「研修採用のブログを見て」とお伝えください



【お得意様の皆さんと 日帰り旅行!】

玄虹会の皆さんと新年の顔合わせを兼ねての、小旅行をしました。
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今回は 立川市昭和記念公園の盆栽庭園!
私を含めて殆どの方が、行ったことがなかったのです。
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広大な敷地、各所の素晴らしい景観、特に盆栽庭園が隣接されている日本庭園部分は、設計から各建築物まで、日本の粋を集めた内容。
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盆栽園の方は、昔から親しくさせて頂く鈴木さんが、温かく迎えて下さいました。
鈴木さんは、盆栽家として、昔ながらの鋏作りでゆっくりと時間をかけて樹を仕上げる古典派。
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守られている盆栽達も、鈴木さんの温厚な性格がそのまま反映されているような、観ていてしみじみとするものでした。
足を伸ばして、圏央道の川島インターから15分ほどにある、「遠山記念館」へ。
昭和初期、日興証券の創業者 遠山完一翁が、生母の為に故郷に私財を投じて作り上げた名建築!
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数年前に重要文化財に指定された圧巻の邸宅と庭園!
戦時中にこれが都心にあったら空襲で灰燼に帰していただろうと思うと、故郷に錦を飾った遠山翁の徳に感謝しました。
羽生からわずか3~40分のところにある名庭。今度はスタッフみんなで来ようと思いました!

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