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盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常


【秘技は世界に! 若き中国盆栽技術者の研修】

中国西安に活動の拠点を置いて8年、姉妹店としての「楊凌雨竹亭盆栽有限公司」から
技術研修出向の形で、若き2人が私の羽生本店に来て、1年半が経ちます。
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朝7:30から、夜は作業の多い日中の仕事が終わるのも19~20時。
「3年で出来るだけの管理と手入技術を身につけて故郷に帰り、多くの中国盆栽愛好家の為に、『商売よりも名品盆栽の維持管理』に尽くしたい」
と願う彼等。
日々の生活・盆栽に取り組む姿勢・今の日本では見られなくなった若者の熱意と信念を見ているようです。
今年の2月、彼達にとっての新春である「春節」を前に、
“両親に仕送りをしたい”と私に言ってきて、差し出した金額は1年の給料の半分でした。
こんな彼等に出来ることはないか?そんな気持ちに応えてくれたのが、名匠木村正彦先生でした。
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「森前君が躾けた子達ならいつでもいいよ」と快く彼等を交代での手伝いを許可して下さいました。
“世界の木村の下で 技を磨く”・・夢のような出来事ですが、それが中国へ戻った時の彼達のどれだけの心の支えと誇りになるか、私は唯々見守るばかりです。
心配で用事も無いのに 先生の所へ伺えば、名匠は相変わらず 盆栽と向き合う毎日。
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“この方は盆栽以外の事には何も興味がないんだ”・・天職というものを得た数少ない盆栽家。
あらためての尊敬という言葉を自然に感じました。
がんばれ!ハオ、がんばれ!ツァオ。
秋からは “木村マジック”の本格的な手伝いだぞ!
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【名匠木村正彦先生 改作スタート!】

東北三陸地方から戦前山採りされた 東北真柏の巨木は、抜きん出た3点が平成の時代まで大切に受け継がれました。
その内 残念ながら2点は3.11の大津波などで今はありません。
この樹は、四半世紀以上前に 日本に残された巨木真柏の王である事を聞きつけた、
都内の著名盆栽家の切望によって、長く秘蔵されていました。
蔵者が天寿を全うして、夫人の手でしばらく守られましたが、
8年程前に高齢を理由に放出が決まり、樹の存在を知る僅かなプロ作家達の情報で私の知るところとなり、
お世話になっている現在の福島県の愛好家・舩山先生の下に移されました。
当初より“こんなに大きな樹をどうするんだ?”と、尋ねられましたが、
私は “この樹はいずれ大型盆栽としての大変貌を遂げる”という確信がありました。
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福島の吾妻山の吹き降ろす風を受けて、真柏は健常な生育をみせて、堂々とした樹相を示すに至りました。
“そろそろだ”と思い、舩山先生に「木村先生にお願いしてこの樹を世に問うものにしましょう」
こうお話したのが、4月の毎年の植替え出仕事の折です。
昨年、大徳寺芳春院ご住職・木村先生・舩山先生・を中心にお世話になっているお客様方と中国蘇州の旅をした折、
おふたりは同じ「叙勲者」として意気投合なさっていました。
木村先生も特殊な改作に対して、出仕事で他者の盆栽を出かける事は殆どありません。
事前にお見せした真柏の写真、
「舩山会長のお仕事ならば、お手伝いしますよ!」と快諾頂いた事で、この樹の将来は大きく変わる事になりました!
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木村一門の名手・栃木 藤川氏・太宰府から埼玉に本拠地を移しての森山氏。
この2人を伴っての 作業となりました!
今回は 樹筋を確認して 水吸いに枝を特殊な行程で打ち込む仕事。
まもなく80歳を迎えるとは思えない集中力で、6時間の第1次の改作作業を終えました。
「森前さん、この部分の枝打ち込みでいいかな?」あくまでも依頼した私の頭の中の構想を尊重して下さる姿勢にも頭が下がります。
日差しの為に余分な枝を捌き、鉢植えの枝を保水・固定・をして、「これで1~2年の後には、元枝を全部取り除けます」との先生の弁。
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これだけの大樹・これだけの大物が、僅か3~4年後には、別の樹に姿を変える・・・。
『木村マジック』と世界のプロが感嘆の声を挙げる意味がわかります。
今回を含めて この真柏は、完成までの道程を、月間『近代盆栽』が追跡取材して、世界に発信することになります。
1000年の命を 新たな姿へと発想した私の考えが、盆栽界にとっても、この樹にとっても、正しい選択だった事を心から祈るばかりです。
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補助手伝いとして同行した、私の所の中国研修者・郝君・趙君・にも、
二度と体験できない巨匠の技を目の前で体験する機会なった事も、嬉しいものです。
二人は この秋から、私と木村先生との友情で、1年半という短期ではありますが、
木村先生の所で、その秘技と人間修養の時を得る事になっています。
遠く故郷を離れて、慣れない日本で、朝7時から夜遅くまで、中国盆栽界に技と管理技術のすべてを習得して帰る事に、
自身のすべてをかけている若者に私の出来る事を何でもしてあげたいと思っています。
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「春の観賞会」に合わせて、亭内の盆栽以外の部分も 飾り直しをしてみました。
我ながら“よくもこんなにあるものだ”と、“買い物好き”の自分を笑ってしまいます。
収蔵庫の名鉢・水石・水盤・卓。
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水石専用の展示室。
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中国広東・宜興・で誂えた鉢類。
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手頃なものから名品まで、千点以上の品々。
最近も 国風賞を受賞された古老愛好家のご親族より、蔵品の一括買取を依頼され、盆栽百点弱、盆器 約200点を引き受けました。
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まとめ買いは、もとより嫌いではありませんが、1年も経つと いつのまにかなくなっているものです。
それだけ業者の方々や愛好家の皆さんに御贔屓頂いている証ですね!
それでも盆栽も水石も鉢も、すべての面で 良品の入手が難しくなってきています。
日本の盆栽水石界が、残してきた遺産を 大切に伝え残したいものです!

【船山邸植替え!】

毎年恒例の福島市・船山邸の春の植替え手入れに伺った。
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大型松柏盆栽の宝庫は、実に270点の五葉松名木群!
例年の手入れで、今年の植替え分は通年よりも、比較的少ない方。
それでも 幻の絶滅種五葉松「祖母五葉松」は、四人でやっとの作業でした。
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東京ドームで木村正彦先生の創作盆栽の代表として飾られた、先生の「創作盆栽」の真柏石付も、今回福島に初めて運び込み、
数百年の樹齢の盆栽から 名も知れぬ この五葉松原産地に生きた樹々まで、船山会長の所蔵五葉松は際限がありません。
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1000年の樹齢を持つ 真柏の巨大樹も、健常な姿で私達を迎えてくれました。
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僅か3日間で、大型松柏盆栽を 15~20点 植替えをしました!


【盆栽と共に 人生を刻む 宝物】

3月20日・盆栽だけが取り柄の人生が、60年の節目を迎えた。
日々慌しい生活の中、スタッフ達より 思いもかけぬ贈り物を貰った。
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『グランドセイコー』元来 着る物や身に付ける物には、余り気にしないというより、ほぼ無頓着な方だが、
若き頃より 盆栽関係で愛好家の方々の所に出入りして、多くの品格ある旦那さん達が、車はトヨタのクラウンに乗り、
時計はセイコーの上等なものをされている方が多かった。
「森前、見かけで着飾るような男になるな、良き物を目立たず身に付ける事が肝要」
と、よく聞かされた。
当時は若く、そう言ってくれた古老の心まで汲み取れなかった。
そして銀座の店を開いて、“唯我独尊”の様な、よく言えば遮二無二、悪く見れば好き勝手にわがままし放題の日々も過ごした。
そしてそれが 如何に意味の無い浅はかな姿だったかは、派手な銀座の仕事に躓き、
奈落の底へ落ちた時、初めて気がついた。“人は静かな本物こそが素晴らしいのだと”。
そして盆栽も、展示会で賞を取るような名木だけではなく、ひっそりと生き続けている細き老木にも深い美が沈潜していることが、
無一文となった時、何気ないと思っていた樹々から感じた。
そこから12年。
自分には盆栽・水石・だけが、人の世で生きる意味のあるもの、と気付き 
多くの人達に支えられ、助けられ、導かれて この歳になった。
私の様な者が、よくこの歳まで 同じ道を歩いてきたものだと、つくづく思う。
羽生の地に 根を下ろして 十数人のスタッフと共に、あくせくとした生活には変わりがないが、
若きあの頃、歳を取ったら 日本人としての品格を持った自分でありたいと願う姿のひとつとして、
『車はクラウン(今は レクサス?)時計はセイコー』、車は数年前、お客様より拝領したセルシオ
(結局5万キロで乗り始めて、20万キロで下取りに出した)から、社用車としてレクサスとなった。
そして 誕生日に このグランドセイコーが 左腕に届いた。
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クラスとしては同じグランドセイコーの中でも安価な方だが、私には丁度いい。
何よりも、薄給のスタッフ達が、浄財を出しあって この手に届けてくれたもの。
普段は盆栽の手入れでズタズタになるので、アルバという3000円の2~3年は壊れない物をしている。
この贈り物は、大切な刻、大切な人、大切な場所、そんな時にしていようと思う。
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勿論、これを贈ってくれたスタッフの結婚式には、必ずグランドセイコーで出席したい。
「時を刻む」 時計はそれが当たり前の事だが、盆栽人として 数百年の命宿る樹々と生きる身、
樹と共にここからの自分がどうあるべきか?大切な大切な この贈り物と歩いて行きたいと思う。
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ありがとう、みんな。
ありがとう、盆栽人生。

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