雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常


25歳の時から40年のお付き合いのある愛好家の所へ伺いました。
同じ65歳!
定年して盆栽三昧の日々を送られる手入れ好きの穏やかな方。

北関東の寒気を避ける為、納屋を冬室代わりにして、雑木類を保護されていました。

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もみじ・花梨・楓・椿・・花物がお好きな方。
苗木のような樹から刻を惜しまず40年❗️
いつの間にか、丹精が形になり、美しい樹相を見せるまでになりました。
“太くなくても、展示会向きでなくても、自分の好きな盆栽を!“と言い続けて来た方。

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五葉松・赤松の文人形もお好きで、“ウチの樹達は、風がすり抜けていくよ(笑)“と
いつも変わらぬ方です。
実用で集めた、山秋や鴻陽、そして秀峰、数えれば500点‼️

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あれを入れよう!これに合えば!としているうちに、集まっちゃった‼️と笑顔。
趣味家と言うもの、誰かに評価してもらおうとか、高く売れるようにとか、そんな事全く無い盆栽人生。
羨ましくもあり、見習うべきところもあり、の1日でした。


YouTube「WABIチャンネル」の撮影を兼ねて、雨竹亭がある羽生、飾りの求道に生涯を費やした、
故根岸庄一郎先生(号・雨卲)の遺された本格数寄屋建築の中に、盆栽飾りを今年初めてしました❗️

“明けやらぬ春“・干支の辰(龍)が不二(希望や夢)を目指して昇る。
こんな想いを、玄関・寄付床・書院・茶室、これが“ひとつの主題“で構成されている世界観でまとめてみました。

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玄関脇には、雪屋の香炉、京都清水焼の名工、清水六兵衛の作。
寄付には枯淡の幹味の野梅、掛け物は「雪に独雀」横山大観と並ぶ近代日本画の巨匠、竹内栖鳳の筆。
この2か所に込めた想いは、深々と降り積る雪、梅の花もまだ咲かず、雪上の一羽の雀は、寒さの中翔ぶ刻を待っています。
初春から早春へと移る手前、季節の訪れをじっと待つ“今“を表している世界です。

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本床(書院床)に飾られた真柏、細身ながらも厳しさを宿す姿は、まさに“龍が翔け昇る様“を感じさせています。
天を仰げば、そこには神厳なる霊峰。
不二は山でありながら、その姿を超越した“仰ぐシンボル“。
真柏の“龍“は、この神山に登ろうとする私達の心。
あえて脇床に大型の“大八洲・おおやしま“を配したのも、
“山“の被りと言う“忌み飾り“を承知の上で古典を超えて、年の初めの様々な“願い“を飾りに込めてみました❗️

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茶室には、数少ない門司梅花石。
“まだ咲かぬ梅の花、石の上だけでも咲き待ちの心を伝えたい“、これも願いを込めました‼️
掛け物は、若き“飾り道具としての掛物“の研究に尽力される、石川清秋師の“細雪“。
今年も早く“春よ来い“‼️


明けましておめでとうございます。


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この拙いブログも、9年目に入りました❗️

ありがとうございます。

元日の夕方、北陸を中心に起きた地震💧 

多くの人達が辛い思いの中に新年を迎えられる事になってしまった事、心からお見舞い申し上げます。

 

日常の盆栽屋の独り言から、いつの間にか海外の出来事、果ては、京都大徳寺での庭園❗️

あっという間でもあり、その中で経験した事、出会った人々、

振り返れば“いろいろあったなあ“と思うことばかりでした。


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15歳で盆栽の道に入って、50年の時が経ちました。

私のような好き勝手にしか、物事を出来ない劣等生が、ここまで来れたのは、

周りを支えてくれる家族や仲間、そして何よりも見守って下さるお客様のお蔭です。


美しい自然は私達日本人の宝物です。

それでも時に私達に苦難と試練を与える事もあります。


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でも日本という国は、これをいつも乗り越えて、生きてきました。


新年の床の間飾りをしました。


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“辰年“に因んで、真柏と龍の掛物、

前年の“ウサギが跳ねて、龍が天へ昇る年“になってほしいと、願いを込めてみました❗️

掛物の龍は富士を目指しています。

龍ほどの仏性の化身でも、霊峰から見れば、小さいものです💦

それでも雲間を貫いて“目指す山“へ翔ける龍の姿。


今年も、お客様、業者仲間、スタッフ、そして私を見守ってくれる家族に感謝しながら、

盆栽人として、精一杯の一年を過ごしたいと思います。

今年もどうぞ、宜しくお願いします。

皆様にとっても、佳き年となりますように。


【多くの出会い・たくさんの感謝・次の幕開けへ‼️】

12月26日22:00・10年余り途中で数ヶ月のお休みをしながら続けてきた、Yahoo!オークション(以下、ヤフオク)の雨竹亭盆栽水石オークション。

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最後の出品、皆さんの落札を終えました。
今までの出品総点数は8,000点を優に超えています❗️

“これからの時代は、Web上の市場の公開性が大切“  こんな事をスタッフで考えて始めたヤフオク。
初めは各種対応も含めて苦労の連続でした。
でもその中でも、
“商品説明には皆さんに出来るだけ、掲載品の良い所は勿論、欠点や留意点もキチンと伝える“
これを最後まで貫いた仕事だったと思います。

現在の当社の担当2人になって、安定した閲覧を頂いたヤフオク。
楽しみに観て下さった皆さんには、長い間の感謝しかありません🥲

時代は少しずつ変わり、当社自身の雨竹亭の販売サイト(ECサイト)への応答が増え、海外も含めて多くの方々が利用して下さっています。

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正直申し上げて、“ネット上で顧客同士がビッドを繰り返し、競り合う“という、オークション。
参加される皆さんの楽しみにもなる事は充分理解しています。
しかし、“盆栽水石の文化と市場性“という社会性を大切にしながらお客様に商品を提供していく雨竹亭としての考え方。

ひとつの盆栽・ひとつの鉢や水石を、その内容の説明、評価としての価値、愛好家の皆様に良品を提供させて頂くと言う理念。
そんなコテコテの“昭和の修行盆栽人“は、流動的な販価にも見えるオークションシステムには、中々馴染めずにいました。
それでも、会社運営のため、若い幅広い趣味家の方々への宣伝など、
若いスタッフに背中を押される感じで、“会長はとにかく良い解説をお願いします“と
日々“この樹・この水石にどんな言葉をかけてみようか“ そんな気持ちで、文を起こして来ました。

雨竹亭のECサイトが、羽生雨竹亭に来園される皆さんと同じものをWeb上の画像でも見易く、分かり易いように、
少しずつでも映像も全体構成も日々改善した結果、今では掲載商品が即日の応答を頂くまでになって来ました。
ありがたい事です💧

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新年より、雨竹亭の商品販売サイトは、毎週今までの倍の点数をアップする事になりました。
この為、残業覚悟で日々業務に勤しんでくれるスタッフの苦労を熟慮して、
“二兎は追えず“の例え、長く皆さんにお楽しみ頂いた、ヤフオク出品を終了する事になりました。

ありがとうございました。
廉価品から国風展級まで網羅する盆栽、小品から大型の展覧会出品記録を持つ名石まで掲載の水石。
和物から渡来品まで幅広い盆器の数々。

是非、雨竹亭のWeb販売サイトを楽しんで頂けますよう、お願いします🤲

雨竹亭オンラインショップ


【訪れて下さる方々への庭園整備💦】


このブログが公開されている時には、もう京都で大観展の会場で右往左往している事だと思います。

毎年の行事なのに、大観展前になると、どうしてこんなに忙しないのだろう自問自答します。

4日間のイベントの為にかかる準備、全部で10日間以上、毎日3~4名が、この準備に費やされます😥

正直言って、この時間を使って、普段のような仕事をしていたらどれ程の手入れや作業が出来るだろう“  とも思いたくなります(笑)


出品される愛好家の皆さんとのご相談、お預かり、手入れ、卓や掛軸、そして添え物の取り合せ、

またお世話になっている京都国際文化振興財団(通称・慶雲庵)の、

企画展示の創案から出品物の選出、そして雨竹亭の10mを超える特設売店の商品準備に手入れ💦

もう40年以上、小僧の頃から続いている催事です。


今年は水石組合(水石を業とする団体・今年、新たな組織運営となりました)の特別ブース(展示販売会)が設けられ、

300点超の水石・水盤・卓などが、一同に展示される企画が会場であります。

この総括責任者の役目となり、仲間の業界人との連絡や設営の準備など、目が回る大観展になりました😅

65歳を目前にするこの頃は、心の何処かで、静かな盆栽人としての毎日を渇望しているのでしょうかね❗️


会場へ運び込まれる雨竹亭のメイン商品達、庭内の美しい樹達が、出稼ぎに出動する中、

それでも大観展に合わせて、海外の団体が羽生までいらっしゃいます。

残された樹々で、もう一度庭内を飾り込む💦

これも大切な仕事です。

普通の商売の盆栽園なら、訪れるお客様に楽しんでもらう為という、作業時間はあまりないでしょう。

私達の庭は規模も大きく、飾り替えとなれば、数人で丸1日かかります。

時々思います。なぜこんなに苦労してでも、この形を取るのだろうと。

生活のためだけなら、要らない事かもしれません。

お得意様・業界・売れる商売、これで足りるのかもしれません。

しかし、私には無理でしょう(笑)


この頃特に思うのですが、私は何故?何がしたくて、年を重ねてこうしているのだろうとふと思います。

きっと私は、自分が何者なのか?“  “自分は何が出来るのだろう

頭の中で考えることはいつも盆栽と水石を通して伝えたい何かなのです。


多くのお客様にも恵まれました。

挫けそうな時に、どれ程の人達に助けられてここに居るでしょう。

そんな七転八倒の人生ですが、どんな時でも、

こんなことしたらいいだろうなあ

こう言うことをすべきじゃないだろうか“  

そんなことばかりです💦


私は盆栽作家なんて高尚な者ではありません。

自分で手掛けた盆栽を買ってほしくて右往左往と世の中を泳ぐようなら、真の作家とは言えないし、

自分には出来ません。

私は"盆栽商"です

絵で言えば画商です。

勿論、11年の住込修行を経ていますから、相応の腕には自信はあります。

でも私の矜持が、「ハサミと算盤は相持つものではない」です。

だからこそ、スタッフには作風展への挑戦の道も後押ししますが、私は生涯、

盆栽作家としての評価を得たいとは思わないのです。

盆栽や水石に対する目筋については、それは、自負こそあれ、

最終的には周りの方々が、判断されることだと思います。


初めて、画像のないブログを書きました。

2015年以来です!


ここからも毎日迷いながら“ それでも盆栽や水石、そして周りのすべての人達に助けられて歩んで行くと思います。

心だけは、「禅僧になりたかった15の小僧」のままで❗️

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