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盆栽歴42年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常

我が水石協会理事長・小林國雄先生 る創作エネルギーに脱帽!】

世界大会の余熱冷めぬ中、私も事務局長を務める 
日本水石協会主催の歴史ある展示「日本水石名品展・明治神宮」の 
出品審査会・撮影会が、理事長邸宅でもある「春花園盆栽美術館」で 行われました。
久しぶりの理事長邸、世界大会に飾られた黒松「雲龍」も 本来の居所に帰って元気そうでした。
"森ちゃんのお陰で、世界大会・日本の水石百選 も、上手くできてありがとう"
と、相変わらず、上下もなく、ご自分の思ったことを平らに仰る"大好きな"方でした。
驚くのは 庭に溢れるほどの 大型盆栽達です。
ほとんどが、手に入れた姿からご自分の創意を加えた「小林芸術」へと変貌していました。
"俺は樹を作っている時が一番幸せなんだよ" 
本当にこの方は、樹と語り合ったり、喧嘩したり、慰め合ったり・・・
盆栽家、ただひとりの「孤高の作家」なんだなとあらためて思いました。
私と11歳違い、69歳にして、創作意欲は私以上です。
一緒に撮った写真の通り、私はこの"ヤンチャで、わがままで、涙もろくて、人情深い" 作家の、
クシャクシャの笑顔が大好きです。
ああ、また上手にコキ使われそう!!(笑)


【中国 宜興  里帰りした古渡盆器の名品展】

先日、今年の盆栽中国輸送の際に、宜興市博物館で開催中の名盆器展を見学する機会を得ました。
10年位前まで日本盆栽家達が100年の歳月を守り続けた名器群が "里帰り "の形で、生まれ故郷のこの宜興の地に戻りました。
拝見して感慨深かったのが、居並ぶ名品盆器の半数以上が、私の旧蔵品で、若き頃より名盆器を扱い、
一時は故片山先生の跡を請けて美術倶楽部の鑑定家になる人生の思い出深い品々ばかりだった事です。
古渡最高峰と謳われた"李鴻章の烏泥"は、別格で飾られていましたが、
当時中国を代表する蒐集家 楊貴生先生に請われて手放したことが、昨日のように思い出されます。
楊 季初 の 絵白泥・川石山人の紅泥・為善最楽の梨皮紅泥
数えればキリがない数々の"思い出の名品"が、ここに集まっていました。

日本から海を渡らせることに忸怩たる思いを持ちながら当時を過ごしていた私ですが、
こうして大切に"博物館"の展示品として扱われている姿を見ると「これで良かったのかな」と思います。
私は今、この宜興に僅かに残された"古渡の技術"を踏襲する窯場と未来の実用盆器の研究製作に取り組んでいます。
試験的に完成した作品は、日本到着と同時に蔓青園氏を筆頭に著名盆栽家達の目に留まり、
自分で使いたいものまで含めて、あっという間に無くなってしまいました。
10代で恩師須藤進が運んだ「新々渡鉢」銀座三越時代に遮二無二扱った盆器達、
そして自ら中国との交流をする中で、手探りで始めた「名器の再現」。
秋には未来の国風展用の"廉価な名器"を多くの愛好家にご紹介したいと思います。




「陽春」と言う言葉が、庭の盆栽を見ているだけで感じる季節になりました。

遅霜を心配して室込みしてあった樹々達も、いっぱいの陽射しの下で美しい葉や花を楽しませてくれています。
山桜の静かな花と新緑・淡い紫色の藤桜・
軍配の房の様な花姿を名にした采振り木・深い緑の中にも春の新芽を吹く蝦夷松・・。
棚々に広がる千点を超える盆栽達を見ていると、世界大会の準備や、中国輸送の疲れも何処かにいってしまいます。

やっぱり、盆栽といっしょに過ごす穏やかな日々はいいもんですね!


【今は亡き加藤三郎先生の遺作を前にして】

業界の中では日々仕事を供にする蔓青園5代目 加藤崇寿氏。
先日この蔓青園に久しぶりに伺いました。
名樹の数々は相変わらずです! 
庭の一角に 蝦夷松の大型寄植え石附が大切に管理されています。
これは 日本の盆栽界の現代の姿を築いて下さった、蔓青園3代目故加藤三郎先生の遺作群です。
人が天寿を全うしても、その作品は受け継がれた人達の愛情で次の時代へ残されてゆきます。
あまり語ることはしませんでしたが、三郎先生は私にとって特別な存在なのです。
勿論、協会理事長職や名声を思えば不遜な事かもしれませんが、17年前の出来事は今も鮮明に覚えています。
銀座の店を開いて数年、事業資金などに行き詰まって店の存続を悩んでいた時がありました。
業界内での面倒臭い慣習や、業者同士のレベル低い脚の引っ張り合いなど、本当に嫌になっている時でした。
商用で三郎先生の所にお伺いした時、先生は当時の私の胸の内を察してか、
「森前君はあまり業界の事は考えなくていいんだよ。君は"銀座"に盆栽店を持ったんだよ。
この店を1日でも長く頑張る事が盆栽界にとってどれほどありがたいものか、それこそが君にしかできない事なんだよ」と。 
誰からも無理と言われた銀座の店、その店で頑張る勇気を先生は私に教えて下さったのです。
偶然ですが、銀座の店は開店日が5月15日、奇しくも三郎先生誕生日。
目の前の先生の作品を見て、私がやるべき事を改めて思う刻でした。


【コミュニティーセンターでのボランティア】

数年前より羽生コミュニティーセンターの依頼で地域の盆栽愛好家の方々向けに、
エスキューブ雨竹亭スタッフが、季節の盆栽教室を開催しています。
この教室は当初より、こちらで教材を用意するのではなく、
自分で持っている樹をどうしたらより良く出来るかと言う考えで開いています。
今回は植え替えの講習なので、
根をほどいた時に応急の作業が出ても対応できる様に、私達羽生雨竹亭で行いました。
「新しい用土に入れ替える」位の発想でいらした皆さんに、
樹に合わせた鉢合わせや、施術の程度などが樹それぞれで違うことの大切さを理解いただきました。

地元の人達に"本当の盆栽技術"を伝えるこのボランティアは、いつまでも続けたいと思います。

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