雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2023年09月


羽生の地に、この雨竹亭を構えて、20年の刻が経ちました。
駐車場や応接庭園に植えた若木の桜達、毎年満開の美しい花を私達に楽しませてくれていました。

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「首赤ツヤカミキリムシ」外来種のこの害虫が、染井吉野桜を中心に猛威を奮って、大切な樹々を立枯れまで痛めてしまいました💧
関東平野北部一帯、この害虫による染井吉野桜の被害が急拡大した夏💦 
近隣は勿論のこと、園内の雑木盆栽への波及を考えて、“断腸の想い“で、全樹の伐採を決めました。

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今でこそ、羽生雨竹亭を多くの愛好家の方々、日本全国の盆栽園の仲間達が、周知してくれていますが、
資金もなく、細い桜達をこの手で植えた頃を思い出します。

雨竹亭の成長と共に大きく太くなっていった桜達。
いつも“そこにある“事が当たり前だった樹達が切り落とされて、何もなくなった景色は、
言葉に表せないものが胸を締め付けます💧
満開の花姿、葉桜の姿、未だ来ぬ春の中、枝先に蕾を見せてくれたあの頃、いつも見守ってきてくれて、ありがとう❗️
あなた達の美しさと強さは、いつまでも心の中で咲き誇っています(涙)


【越後、90歳の老盆栽家の生き方❗️】

コロナ禍を挟んで4年ぶりに、新潟燕市に住む、盆栽古老の所にご機嫌伺いに寄りました。
15年来のお付き合い、商売をした訳でもないのに、古老の生き方、盆栽に対する想い、に心を打たれて、
“何か喜んでもらえる事を“と思って、老が半世紀をかけて愛培した盆栽を一作は国風展、
もう一作は大観展、“生涯の思い出になった“と喜んでもらって長い時が経ちました。

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90歳を迎えた老は、ビックリするほどの元気さ!
"今年はホントに暑かったから、朝夕を選んで、棚場の置き直しをしたよ"の声に、もう一度ビックリ❗️

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お茶を頂く壁に、老が筆でしたためた『身が朽ちて皮となりしもおとろいず、益々さかん老梅の花』の句🙇‍♂️
夜明けに自宅から程近いこの盆栽専門の庭と言うよりは“盆栽の庵“   、
ここでお茶を飲んでの午前のひと時、適度な手入れや水やりをしてから自宅で朝食、またここへ戻って盆栽三昧!

昼過ぎは、体調によってここへ戻ったり、自宅でノンビリしたり。
こんな日々を30有余年💧

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“もうひと花咲けたら冥土の土産は本望だね“の言葉。
さて、それではその“もうひと花“をお手伝いしてみようと思う1日でした❗️


日本盆栽界の中枢的市場機能「水曜会※上野グリーン倶楽部」
毎月東京で開催されるこのオークションが、日本の盆栽業界の時々刻々と変わる盆栽の“相場“を判断する流通の指標となっています。
今回、この水曜会が、15年ぶりに東京から京都での“移動会“として開催されました。

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京都府宇治市、当初は“どれだけの出品が集まるだろうか?“の声もありましたが、
フタを開ければ、東西の同業者が集結して、約700点の秀品が約5,000万の出来高で売買されました。
海外市場も含めて、不安定要素の多い盆栽市場。

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遠征チームの準備からの苦労はひと方ならぬものがありました💦
相変わらず、人気のある樹種や大きさ、仕上がりの良い物などは、競合い!
“今向きでない物“は、予想よりも低い落札など、一喜一憂するものは変わりません💧

まだまだ市況の先行きは不透明ですが、こうして業界有志が集まって、“盆栽界の為“の想いを合言葉に、
多少の損をしてもオークションを成立させようとする意気込みは、いつかは業界全体に、ひいては愛好家の方々にもその想いが届くと思っています。

私もいつものように!買い過ぎました💧

【待ち遠しい秋の気配“  大徳寺庭園❗️】


例年以上に30度を超える残暑が続く毎日💦


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その中でも芳春院盆栽庭園は、少しずつ展示の内容と飾りが、秋色になっていきます。

色付きには程遠い今、まずは床の間や室内飾りに、掛け物や水石を使って、

少しだけでも、近づく秋を感じてもらおうと、設えました。


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庭園内「通玄庵」には、五葉松の文人樹。

江戸期名筆、長澤蘆雪の「雲月図」。

幽玄な静けさに、瀬田川虎石のくず屋石。


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展示場は故高木礼二翁遺愛の五葉松。


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山野草飾りは珍しいサワヒヨドリ、去年から名前が分からなかった山草でしたが、

我が芳春院常駐番のナベさんの朋友が、天才的な山草博士!

写真を送ると一発で種名を教えてくれました❗️

まさに令和の牧野富太郎‼️

今年は十五夜も九月の末、秋の気配もその分遅いようです💦


羽生雨竹亭を開いて間もなく、地域の盆栽愛好家の方々と楽しい交流が出来ればと開いた「盆栽教室」も、いつの間にか15年を過ぎました!
盆栽教室と言うと、初級・中級、カリキュラム💦実費教材など、事業的にやっているように感じるでしょうが、ここはそうではありません。
““自由““  がすべての基本です❗️

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自分で持っている盆栽の“ここからの作り方?ここからの仕上げ方?“を、楽しく相談しながら、
またそれを一緒に参加している教室の仲間“生徒“達で、共有しながら経験を重ねる!と言う姿です。

近隣で趣味を楽しまれていた方々、この中から、自分の樹が「国風盆栽展」と言う夢の舞台に届いたものも、5点になりました❗️

“盆栽博士ちゃん“で、マスコミでも有名になった、清水ちえりさん(当時は小学生でしたが、今では早稲田大学附属の高校生!)も、現在も教室の生徒さんです❗️
私は、盆栽教室で“物を売る“という事に重きを置いていません。
この雨竹亭を“我が家“の手入れ小屋、“相談に乗ってくれる仲間がいる家“として、アットホームな雰囲気で居てくれれば充分なのです。
業のして盆栽園を営む中、こうして少しでも盆栽趣味の皆さんの役にたつ事を出来ればと願っての事です。

普段は忙しくて、中々参加出来ません💦 
雨竹亭の培養責任者である、“生え抜き“!物静かな角田君(今では常務職!)が、
月2回、コツコツと生徒さん達と積み上げて来た教室です。

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宣伝をするわけでもなく、開催している日曜日に偶然羽生にいらしたご夫婦など、
まずは“お試し“で参加して、自分の生活環境に合えば、通ってみる。
月2回ですが、特に時間の縛りもありません。

私が教室に参加する際に伝える事はひとつだけです。
「自分の樹をどうしたいかも大切ですが、こんなに沢山の盆栽がある羽生、訪れた時は、せめて園内を一周して、様々な盆栽達の顔を見て下さい。それがとても勉強になります」
趣味の皆さんは、それぞれの人生をしっかり歩まれて、盆栽を趣味とされる、立派な方々。
私達も、この“生徒さん“と言う人生の先輩方から沢山の事をいつの間にか教わっているように思います。
月2回、月謝5,000円、ぜひ皆さんも気軽に覗いてみてくださいね‼️

雨竹亭盆栽教室についてはこちら

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