雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2022年08月


6月中旬から7月にかけて、黒松・赤松の芽切りをした樹達。
新しい芽が切った所に出てきます。
これをそのままにすると、芽数が多すぎて、ゴチャゴチャになってしまいます。

ピンセットで芽を2~3に減らす調整をしなければなりません。
以前は毎年名木はこの仕事をしたものです。

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芽切りもその後の芽掻きも、時間のかかる大変な仕事ですが、短い美しい葉にしておく大切な作業です。
しかし、この数年、異常気象と言えるほどの“猛暑“が6月あたりからある事で、
芽切りの時期の判断が難しくなっています。

木村正彦先生などは、“東京近郊は、樹の健康を考えると2年に一度くらいの方がいいね“と言われます。
空梅雨💦戻り梅雨💧天候を考えながらのタイミングが大切な仕事です。

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順調に出てきた新芽。

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新しい芽の中で、強いもの、多いものを切り取ります。
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芽数が少なく新しい芽が徒長しているものは、“途中留め“に切ります。
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根気のいる仕事ですが、美しい秋から冬の姿を作る大切な作業です。







八月、長く続いた京都“祇園祭り“も終わり、各地の祭事も過ぎてゆきます。
七日には暦の上では“立秋“を迎えましたが、酷暑はまだまだ続き、
併せてコロナ感染はいまだに猛威をふるっています。
世の中が感染社会の苦悩に苛まれている今、盆栽飾りに“願い“を込めてみました。

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真柏の美しい半懸崖。
流麗な樹姿は真柏盆栽の真骨頂とも言えます。

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真柏で季節感を表す事は難しいものです。
しかし、掛け物や添景に季節感や風物を織り込むことで、床間に、別世界を表現できます。

画面全体を覆う滝姿の掛物。

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戦前の筆家、寺田盧秋が残した賓作です。
脇床に法塔を飾る事で、世界遺産“那智の滝“が胸中に浮かびます。

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清冽な深山から湧き出でる水飛沫が、すべてを洗い流すほどの瀑布となって席中に水音を響かせるようです。
ご神体とされる“那智の滝“。
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世情の憂いのすべてを洗い流して、“穢れ“を落としてもらい、来る秋には清涼、清浄な、日々を迎えたいものです。


雨竹亭がYahooのネットオークションをはじめて、もう10年になります。
初めは中国鉢が2万円からスタートしたものが、海外のお客さん同士で競い合って、100万円になった事などに一喜一憂していました。
しばらくして、何故かギャンブルみたいな感覚の中に大切な盆栽や鉢や水石を載せていることに、
自分でやっていながら違和感を覚えて、一度休止しました。
“これが本当の盆栽業がやる事なのか?“そんな疑問に自分が悩んだのです。

スタッフも若返った6年前、新たな考えで再スタートしたのが、今も皆さんに楽しんで頂いているYahoo雨竹亭オークションです。

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“スタート価格以外、一切こちらは操作しない。一度のビットが入ったらそれで落札で良い“
この考えを貫いています。

例えば、2万円で業界市場で仕入れた盆栽、これを腕の良い盆栽技術者に整姿をお願いして、美しい樹相をスタジオで撮影。

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これを私が解説したものをレコーダーで録音してスタッフが商品の解説に起こす。
これを最後に校正してアップへ。

手入れ・撮影・解説・アップ・この行程を全部入れて2万円の樹のスタート価格は3万円💧
この内7~8,000円が手入れ代で支払うもので、2~3,000円での作業に数人がかかります。

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雨竹亭のオークションは、2万円に対して、例えば、21,000円のビットでも、他の方のオーダーがなければ、落札となります。
Yahooさんへの手数料を引くと赤字です。
・・でもそれでいいと思っています。

殆どの商品を“プロのオークションに出しても、そのスタート価格なら売れる“、これが雨竹亭の考えです。

本来の盆栽園の在り方は、良き物を誠意をもってご紹介したり、
来園されるお客様に“感動“して頂けるものを飾っておくのが仕事だと思っています。

お客様同士が、“競り合う“と言う事が、愛好家の方々をより良い趣味家へと道案内する私達にとって正しい事なのか?
今も答えは出ていません。

勿論、オークションを楽しみながら、“良いものを安く手に入れたい“とされる、純粋な気持ちの方々の為にこのサービスがある“と信じています。
中国バイヤーさん達の、“ザラ買い“が続く業界市場。
皆さんにご提供したい素材の入手にも頭を痛めるこの頃です。

それでも雨竹亭は、“この値段で落ちて儲かるの?“と言う設定を続けます。
お客様は、顔も見えない私達を信頼してくれているのだと、それこそを大切にしたいと願っています。
毎週25点(夏季は盆栽13点・鉢、水石、卓など12点)が火曜日22時にスタートします。

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毎週火曜日22時に1週間のビットの末、落札が決まります(競い合いの時は、システムが自動で延長時間を設けます)
是非皆さんも一度ご覧になってみて下さい。


雨竹亭ヤフーオークションストア

https://auctions.yahoo.co.jp/seller/bonsai_s_cube




埼玉県西部、本庄市のとある農地。
ひとりの古老が、猛暑の中、大きな日除け傘の下、見渡す限りの各種盆栽の苗木素材の手入れをされていました。

約800坪を埋め尽くすビニールポット❗️
真柏(糸魚川から紀州・四国産まで)もみじ(イロハ・山・イタヤ・はうちわ・等々)、
数えきれない樹種が僅かな通路(一輪車1台分)以外を所狭しとビッシリと置かれています。

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元々は“種屋“と呼ばれる全国の山野を周り、実生の種を“大手“サカタのタネ“や“タキイ種苗“へ卸す事を本業にされていた方。
“景気悪くなって、種だけじゃ食べられないから、各地に実生畑を持って、ホームセンターなんかに大量に売っているんだ“と。
聞けば私もよく知っている盆栽園の方々も、量こそ僅かでも、よく“選り抜き“で買付けに来られるよう。
但し、各種の値段を聞けば、“これでやっていけるの?“と耳を疑うばかり。
現状で各地に10~15万の苗木を作っていられるらしいけど、70才を過ぎる中、後継者もおらず、“自分が年中無休で作ってきた分で終わり“とのこと!

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盆栽の素材が激減する中、安く手に入れたいのは誰もが同じですが、
10年かけて作った鉢物素材が、500~1,000円!
これでは誰も跡を継ぐ訳がないと痛感しました。

自分で使えそうな種を合計で1,000~1500本頂くことにしましたが、
これを右から左へ売るのではなく、約2~3割の“筋の良い素材“を寄植えや、文人調に作ってあげたいと思いました。

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社会の中で“ボンサイ“が広く理解していただける時代が来た反面、“次の時代の素材作り“の後継者がいない現状💧
色々な事を考えさせられる日になりました。

“頑張って素材作りを手がけたい“ 
この世界にいる私達は、この事を決して忘れてはいけないと思いました。

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