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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2022年06月

【ひと足早く『初夏の飾り』芳春院盆栽庭園❗️】

絵に描いたような大徳寺の青空!
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盆栽達もひと通りの春の手入れが終わり、緑豊かな充実の時に入りました。
庭内「通玄庵」の床の間も、少し早めの“夏飾り“にしてみました!
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「緑陰」の言葉がピッタリとする“山蔦“。
空にはまだ湿気を纏った月、そこに一閃をひくホトトギス。
里山の寓居からそれを見上げる高士。

床飾りで大切なのは、“間調子“  と言われる、主木はもちろんの事こと、
掛物、添景、などの空間を活かした、その場面の全体を“ゆったり“と設えてあげる事です。

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明治期に中京で活躍した日本画家、織田杏逸が遺した「月にホトトギス」の図。
細身の軸に小さめに描かれたホトトギスが、画中は勿論の事、席全体を広々とした世界を創り上げています。

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山蔦も大き過ぎず、葉物盆栽の季節と“色“をよく表しています。

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添景に木彫を使った事で、主木や掛物の“季節に合わせた柔らかさ“を扶けてくれました。

盆栽にしても、水石・山野草の飾りにしても、どうしても“肩肘を張った“席を創りがちですが、
空間と季節感を活かした“日々の飾り“を努めることが、いつの間にか、スッキリとした席作りになるものです。

とは言え、いつも“その時の飾りと持ち合わせの道具立て“で、頭を抱える日々の多いこと💦


コロナ禍で、「日本水石名品展」の主会場としてご協力頂く、明治神宮。

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3年の開催が中止される中、日本水石協会では、名誉会長である同神宮のご配慮で、
内陣回廊での「奉納盆栽展」は、この期間も休まず続けて、
今年も神宮の菖蒲の花咲く季節、名樹の数々と協会選抜の名石群を陳列して、
参拝される内外の方々に、日本文化の象徴としての盆栽・水石をご覧頂いています。

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神宮所蔵の五葉松を中心に、京都国際文化振興財団『慶雲庵』より杜松名樹「東濃の杜」、
九霞園旧蔵・伊予滝石「蒼龍」など、少しずつ人が増える都心の聖地を訪れる方々が、感嘆の声をあげておられます。
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6月7日まで展示される本展。
邪気を祓う帝都の杜で、清浄な空気の中に佇む古樹達に会いに来てください。
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【新しい時代の展覧会❗️】

東京立川市にある“昭和記念公園“、国立の盆栽園がある事で知られていますが、
今回2年ぶりの開催となった『春風盆栽展』に友人の鈴木伸二さんからのお誘いで訪れました。

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現代的な解放感ある建築の中に広がる各種展示、著名名樹から子供達への盆栽のアピール、
そして鈴木伸二さんが企画した「九頭龍の舞」と銘打った、真柏9点が競演した象徴的な展示。

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一般の方々に盆栽の素晴らしさを伝えようとする主催者の熱意が、見事に表現されたとても印象深い展覧でした。
盆栽展と言えば、どちらかと言えば、マニアックな上級者向けの、名品の競い合いが通例ですが、
この展覧は、初めて家族連れで盆栽と触れ合う人達に焦点を当てた“これからの盆栽界が見つめるべき方向性“をピタリと当てたものだと思います。

伸二さんと話しましたが、若い人達、幼い子供達の手をひいたお母さん達、“すごいね!“ や
 “面白いね!“  など、素直な視点での“盆栽との出会い“は、将来に対しての一筋の光にも似た喜びを感じます。
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“森前さんも来年是非参画して下さい“と伸二さんに言われ、また、忙しい日常にムラムラと“楽しい事したい“  という病気が起きそうな1日でした(笑)

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