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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2022年04月

【地域の歴史と交流❗️】

大徳寺盆栽庭園の植替え作業の合間を縫って、近隣の京都府立植物園内で開催された『京都盆栽会展』に見学に伺いました。

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広大な植物園の一角の建物で、関係者が手作りで会場を設営した“温かみのある“展示会。

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ささやかな可愛らしい席から“この樹は国風展で観た事がある!“など、愛好会らしい観ていてほのぼのと“いいなあ“と憩いを感じる展示会です。

昨年に続き、会場には、普段よりお付き合いのある、河合さん・大溝さんが出迎えてくれました。

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お二人とも、明治から京都に続く名門の盆栽業。
こうして地元の愛好家の方々との交流の場を42年続ける事は、大変であり、業者として大切な仕事だと思います。
隣接する売店(500円の花物から10万位の盆栽まで)で、性分と言うか?“大人買い“で30点ほど頂き、大徳寺へ戻りました。

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我ながら、“どうしてこうも買い物が好きなのか?”、一生答えは出ないと諦めています。笑❗️


2年半前、四国鬼無地方の盆栽作出者を代表される、小西松楽園さんより、
先代から受け継いできた大型五葉松(銀八・別名宮島五葉・大阪松)の一群を羽生に全品運んで、
根巻の状態から鉢上げ、木箱入れをしたものを、いよいよ本格的な“将来の大型名樹へ“と言うプロセスを始める事になりました。

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80年以上の歳月を労苦を惜しまず丹精されてきた樹達。
ここから樹のひとつずつの“筋“を読んでの、枝々の角度と基本的な“正面“作りに入ります。

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手首程の太い枝、角度を変える事すら不可能と思われる作業。
特殊な手順で、枝が枯れるかギリギリの施術!

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このキツイ“災難“を樹に与えてこそ、一段も二段も格上の作品となる大切な作業です。
枝先だけを見た目の“ごまかし仕事“をするのは簡単ですが、“大枝の下ろし込み“となると、1日1本がやっとの手入れです。

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この樹達を小西さんから譲り受けて間もなく、病に倒れた小西さん。

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療養の日々を送られていますが、まるで神様がそれを見越して私に託したかのようです。

樹が悲鳴をあげるほどの枝への負担。
ここから数年の刻が、“これがあの畑にあった樹?“と言われるくらいの本格名樹へとしてみたいと思っています。

それでも、この仕事が出来る時間も少なく、今年も150点ある中で、僅か15~20本が限界です。
4月15日までが、樹の生理を考えて限界の刻。
焦らず少しずつ作れればいいと思っています。

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