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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2021年07月


毎年学校から依頼されて続けている盆栽講座。
昨年はコロナの関係で中断をやむなくしましたが、今年は例年通りに、体育館に六年生全員が集まって、盆栽を見ながらの講座を開きました。


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2時限の講座で、盆栽が生き続けるには、“人のたゆまぬ愛情”が、大切で、
これは人々の暮らしや生き方にも同じ事が言えるものと伝えました。
11〜12歳と言う、多感な年頃、言葉を選びながら、それでも伝えたい内容は、
盆栽のここがいい、こうすると良い、などと言うものではなく、
“好きな事を見つけて欲しい“ “物事をあきらめないで、コツコツと続ける事の大切さ“・・
私のような盆栽しか人に伝えることが出来ない者が、大切な日本の未来を担う子達に伝えられるのは、
自分が盆栽を通して生きてきた“恩“と教えだけです。

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それでも、純真な子供達と過ごす時間は、本当に楽しいですね!
ボランティアで、羽生の小学校各所での、教室を開いてもう6年。
身体の続く限り、頑張りたいと思います。


所用で、久しぶりに宮城県に出向く予定が出来たので、羽生の“卒業生として、故郷で頑張っている、加藤充君の所へ行きました。


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朴訥な彼、商売も決して上手い方ではなく、盆栽で食べていくのを心配していましたが、
40を過ぎて、ようやく良きお嫁さんを得て、数年前に建てた自宅も落ち着き、
地域の愛好家の方々に愛されて、何とか頑張ってる様子に、ホッとしました。
彼の真面目さを理解して下さる皆さんに感謝感謝です!

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彼のお父さんが、愛好家として五十年以上培養した五葉松の中品など、
僅か小指ほどの誰でも買える素材を、半世紀愛しむ事で、こんな立派な樹になるんだなと、
あらためて、盆栽は、人と時間と自然が創るものだと思いました。

20年位前に、自宅の新築間もない頃に伺った、仙台市郊外の、吹田勇雄さんの盆栽園、
加藤君も行った事がなかったので、懐かしくて伺いました。

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当時の自宅は、引舞して、盆栽の応客室と展示場に、自宅は元の場所に新築されていました。
“これからは、年齢に合わせて、夫婦で地元の方々とコツコツやってゆくつもりです“

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海外まで、駆け回っていた彼、壮年となる中、良い年の取り方だなあ、と羨ましくもありました。



私のように、未開の大地を切り開いて、戦うように生きてきた道、
2人のように、地元と密着して盆栽業を営む姿、形はそれぞれでも、
皆んな盆栽で生きてゆく仲間達だなって、つくづく感じた1日でした。

【若き木村一門作家と見学!】

未来の名木作りに日々鍛錬を続ける、羽生近在で頑張っている、森山義彦氏。
木村正彦先生の愛弟子として、“良い作家となるように、導いて“と、先生に言葉を頂いてもう5年。
盆栽園を構え、結婚し、手入れに勤しむ毎日。


私自身も先代よりお世話になっている、長野県須坂市「井浦勝樹園」、
森山君が一度も伺ったことがないと聞いて、真柏原木群の庭に伺いました。

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名樹「風神・雷神」内閣総理大臣賞「雷」を筆頭に、夥しい数の真柏群!
森山君も初めて見る“失われつつある真柏素材群“を目の当たりにして、圧倒されていました。


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面倒見の良い現当主井浦さん。
真柏名人と謳われた、先代と共に苦労した経験を、惜しげもなく、若者達に享受していました。

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こうして、日本の若い盆栽作家たちが、先輩たちの経験を受け継いで、
次の時代の名木達の守り人となってくれる事、そばで見ていても、嬉しいものです。
それにしても、相変わらずの、真柏の素材!素材!素材❗️

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