雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2020年08月


お得意様に納めてある、木村正彦先生の有名な真柏石付作品。
培養を重ねると各部分の繁茂と徒長をして、全体を締め込む手入れが必要となります。
木村先生の所に毎週3日ずつ住込で、特別指導を頂いている羽生雨竹亭のハオ君とツァオ君。
大型真柏の手入れをする私の隣で、この樹の仕事を任せました。

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“半日くらいかかるかな“と思ったら、2人で僅か2時間で仕上げました。
朝7:30から夜は10時位まで、自分の技術の向上の為に頑張る2人。

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木村先生も「この2人は、あと2年私の手元にいられたら、本物になるよ」。
残念ながら、彼らは今年いっぱいで、3年の研修を終えて、母国へ帰国しないといけません。
ご両親とも離れて頑張る彼らを見ていると、“あと2年ここにいてくれたら“と思う気持ちを中々伝えられません。

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でも、私はこの子達が、日本にいる間に教えられる事を精一杯教えて、生まれ故郷の中国へ帰って、
すぐに商売などせず、王永康先生のような大師のそばで、更なる腕を磨いてくれればと願っています。
でも、少し残念なのが、今日本にこの子達のような想いで、日常を送っている若き盆栽家の卵が、どれだけいるのだろう?と思う事です。
自分を磨く為に、寝食を忘れる・・
私の年代が心に思ったあの頃の情熱は、もう古いのでしょうか?
日本という国は、そんな思いが作ってきたと思うのですが。


八月、暦の上では立秋ですが、それは名ばかり!
ここから暑さも本番です。
今年は長梅雨で、地面の温度が昨年ほどにまだ上がっていません。
30〜33度、日本の中でも最高気温の高い羽生では、猛暑となれば、35~38度!
盆栽も夏バテしないように、各所に寒冷紗や日除けの設備を施して備えています。

床の間の飾りも、何処かに暑気を払い、涼を呼ぶものを心がける今です。

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揖斐川石の深山渓谷の一部を切り取ったかのような石が入ったので、飛沫をあげる滝下の景を現す水盤飾りを準備して、それに合わせた掛け物を設えました。

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「滝に鶺鴒」武部白鳳の作。
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峻烈な滝を横切る一羽の鶺鴒。
まるで眼下の揖斐川の岩溜りそばの渓流に棲む獲物を狙うようです。
大型の水盤石、掛け物をやや控えめの大きさにすることで、席全体の間調子を保つようにしました。
脇には五葉松の文人調。

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主石と喧嘩しないように、こちらも弱めの取り合せ。
景趣に合わせて、半懸崖の険しさのある盆栽でも良かったのですが、水石と力がぶつからない事を大切にしてこの樹にしました。
“場に合わせて飾る”・飾りの基本ですが、何度設えても、100点など程遠く、いつも反省を覚える為に繰り返しているようです(笑)

コロナで動きづらい日々。
せめて席飾りの中で、自然の素晴らしさを満喫して頂ければと願っています。
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