雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2019年01月

 【14mの巨大ブース!】

2月9日からの第93回 国風盆栽展。
業界最大最高質の売店・上野グリーンクラブでの「立春盆栽大市」は、私が小僧に入った45年前も 憧れと緊張の場所です。
今年も エスキューブは、この2階の半分を使った 最大ブースを設けます。
商売も勿論ですが、国風展と言う トップクラスの愛好家の方々が集う祭典・店の立ち位置をお見せする“ハレ”の舞台でもあります。
毎年“今年はどんな形を作ろうか?”と 準備段階は試行錯誤の繰り返しです。
特にこの数年は、海外勢の購買が、全体の半数近くになり、
市場全体に流通している盆栽の材料も、徐々に減少しているように思います。
本格派の名木・味わいを大切にした雅盆・名鉢・名石・等々、商材を用意するのに、
業界の仲間と 情報の探り合いの様な日々があります。
大体の盆栽の目安が立った中、その全体を第2培養場の収蔵庫を使って並べてみました。
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“今年はこんな感じだな”って、自分に言い聞かせているようです。
まだこれから、器物関係の割り出しがあります。
6~7日に搬入して、初日前日の8日には、愛好家の皆様にも“事前開放”となります。
今年のエスキューブを ご覧頂く 大型売店、楽しみにいらして下さい。
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【大型五葉松の植替え!】

厳寒の羽生第3培養場。
ここは未完の素材を手に入れて、少しずつ改作や手入れをする作品を生み出す「名樹のゆりかご」です。
今年の改作のはじめに、昨年 九州から運んだ五葉松の大樹、
プラスチックの大きな土管の様な鉢植だったものを、本鉢に入れ替える作業をしました。
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あまりに大きく、手で動かすことが大変なので、昨年買ったフォークリフトで吊り上げての根ほどきとなりました。
(フォークリフトを持つなんて、盆栽屋じゃないと思っていたのですが!)
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ここから切込み・枝作り・を繰り返して、樹齢150年のもう手に入らないクラスの五葉松大樹が盆栽界に登場します。
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こんな盆栽と格闘するような作業をみんなでしている時が、何よりも楽しいものです。
早春から陽春まで、国風展やお客様の手入れ・植替え・を挟んで、盆栽と「命の対話」をする時間が多くなります。
頑張ります!

「日本の水石展」に特別出品!

水石文化の発展の為に 始まった 東京都美術館の「日本の水石展」もこの2月の開催で6回目。
全国から150点以上の各地の名石が水石協会の選考を経て出品されます。
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毎回「特別出品」として水石界に伝わる伝承の名石を、冠として公開しています。
第1回の上野寛永寺の「黒髪山」は、東日本を代表する大名石でした。
数々の名品がこの展覧会に登場していますが、水石界に身を置く者として、織田信長が石山本願寺との長い戦いの末、
和睦の証として贈ったとされる盆石『末の松山』は、日本水石界を代表する別格中の別格。
“末の松山の出品は無理”という業界人の評、何とか平成の最期の展覧に華を添えたいと1年の交渉の末、
所有者である西本願寺のご協力で、今回の出品となりました。
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水石協会は清廉と言えば聞こえが良いですが、私達が組織を預かった時、
予算も殆どなく、会員の協会費ではとても展覧会を開催できる状態ではありませんでした。
多くの方々の協力を得て、オークションや様々な活動で資金を捻出して、現在の活動となっています。
ただ!今回の「末の松山」には これに掛かる費用で頭を痛めました!
西本願寺様は、ご好意に等しい御礼で良いのですが、文化財級の歴史と内容を持つ盆石、
その取り扱いと運搬は、重要文化財と同じ仕組みなんです!
日本通運の美術運搬特別便だけに掛かる往復の費用だけでも、何と140万以上!
これに同伴する学芸員の日当・交通費・宿泊費・等々、今月27日に開催される「日本の水石展」での資金捻出の為のオークション、
もし2000万分の落札があっても、この石ひとつの経費で消えてしまいます!!(泣笑)
それでも稀代の名石、全国の愛好家の皆さんに観て頂く事に、協会は頑張ります!
是非、「城ひとつ分の石」をご覧に来て下さい!
勿論、美術館の中には 多くの水石が飾られ、一部は床の間飾りに設えられています。
河川に横たわる一塊の石が、人の美意識によって、
森羅万象を表現する美へと昇華される水石、
美術館で同時に開催されている「国風盆栽展」と共に 楽しんでください!
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【寝食忘れて手入れ修行!】

凍てつく1月の羽生、普段の仕事を終えての手入れ小屋での若者達。
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私達の時代は 修行という対価の無い盆栽を学ぶために住み込みで修行が当たり前の時代でした。
月1度の日帰りの休み、朝6時頃から遅い日は師匠が戻る夜中まで待機。
手入れの忙しい時期は深夜までの作業が続く日々でした。
今も木村正彦先生や、友人の鈴木伸二さんの所など、
その技の習得の為に 青春の大切な刻を盆栽に捧げる者たちも多くいます。
エスキューブは社会保険・厚生年金を完備した事業体です。
お客様と自分達の給料を稼ぎ出す為には、様々な仕事が日夜あります。
そんな中でも自分の盆栽人としての腕を磨くのは「自分自身の考え」と日頃から説いています。
将来の私の片腕?の見込みある小川君。
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中国の提携法人「楊凌雨竹亭園芸公司」から3年の技術研修で羽生にいるハオ君とツァオ君。
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そして見習いとして1年経ってもまだ先行きが心配な長野県からの前島君。
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“手入れの出来る僅かな季節、腕を磨きたいなら 仕事が終わってから自分で頑張りなさい!素材も道具も銅線も自由に使っていいから”
と 叱咤激励を続けているうちに いつのまにかみんなで手入れ小屋に夜いる時間が増えてきました。
“盆栽と向き合って夢中になる”そんな時間がどれほど貴重な経験なのか、私の年になると彼らの姿が眩しく見える時があります。
“そんなに上手くなくてもいい、盆栽を通して人として成長してほしい”
こんなこそばゆい言葉も心のそこから本心で願う自分、年をとったのかなあ?って思うこの頃です。


【同門 加藤君 苦節8年ようやく開園】

私と同門、羽生にも数年勤めて、中国との盆栽交流の創成期だった8年前、
今のように両国の盆栽界の交流が薄かったあの頃、私が開設した西安楊凌の展示培養場をたったひとりの日本人として、
1年間1度も帰国せず、想像を超える苦労をしながら守り抜いてくれた加藤君。
帰国後 故郷 宮城県多賀城市に戻ってまもなく、東日本大震災。
市内を見下ろす彼の家は無事だったものの、町は浸水。
盆栽を広める環境など不可能に近い日々の中、東北各地を手入れで回りながら、
7年の時をかけて新築の住まいと盆栽園の基礎となる庭が完成近くになりました。
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仙台と日本三景「松島」の間、多賀城市は天平の時代からの歴史を持つ古街。
彼の家系は父君まででも23代となる旧家。
朴訥な彼はお客様と手入れに勤しんでいるのが好きらしいが、ここから東北を守るプロの盆栽家として、
私の友人でもある大町氏や藤川氏の指導を貰いながら頑張ってほしいものです。
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今年はこれから日本盆栽協同組合加盟・盆栽庭園の整備など、
やるべき事山ほどですが、夢を見失わず 寝食を忘れる想いで歩いてほしいです。
松島観光・仙台方面にお越しの皆さん、是非一度のぞいてみてあげて下さい。
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