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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2018年11月


【木村正彦先生 創作作品 初の展示販売実現!】

大観展展示ブースの一角に、エスキューブの特設ギャラリーを作らせて頂き、
芸術作品としての展示設備を作り、初の木村正彦先生の創作盆栽を価格を表示して飾らせて頂きました。
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当初は「創作ものなんて、本格盆栽展では見る人がいない」などの揶揄もされましたが、
私は作家としての創作意識を創出される木村先生の作品をこのように価格を表示して飾ってみたかったのです。
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フタを開ければ 初日完売という有難い結果!
勿論先生の作品の力がすべてですが、著名愛好家の皆さんにも評価をいただいたことの方がとても嬉しかったです。
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次代の盆栽界がどのような方向に在るべきかの布石のひとつになればと願っています!

【企画展示責任者、もうクタクタ!】

友人鈴木伸二氏との二人三脚で、数ヶ月かけた大観展が始まりました!
京都財団「慶雲庵」の特別企画展示、舩山会長・本出先生の個人特別席。
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「振り返る明治150年の歴史・次代へ繋ぐ伝承の記憶」と銘打って、拙い知恵を絞っての
大展覧となりました。
京都への夢の盆栽美術館建設が、現実味を帯びる中、
財団の展示は全精力を注ぐ苦労がありますが、プロとしての甲斐にもなります。
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舩山会長は「常盤の翠・松風の世界」
本出先生は「樹・石・画・文人精神の世界」を
お二人に任されて創りました!
私や伸二氏だけで“次の時代”が創れる訳ではありません。
ただ、こんな風に今までの盆栽展にはなかった展示企画をする事で、少しずつでもこの世界が開かれていけばと願っています!
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【雑木盆栽の素晴らしさ! 蘇る『昇天の龍』】

大観展の関係で久し振りに大宮盆栽村の竹山先生の所へ伺いました。
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雑木盆栽の名手と謳われた芙蓉園。
ひとつひとつの樹の手入れの行き届いた状態に感銘を受ける程でした。
そして日本盆栽界を代表する名樹 真柏『昇天の龍』 
培養を考えての竹山先生の慧眼で、長く大振りな葉組になっていたものが、
鋏技による“透かし切り”が施されて、往時の姿へ蘇りつつありました。
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若き頃、国風盆栽展で若衆として展示品の警備と水掛け当番となった時、私の持ち場はこの昇天の龍の所でした。
1日この樹の前に立ち続けて、舎利幹や樹姿の隅々を眺め続けたあの頃を思い出し、
50年という人生にも近い時間をひとつの盆栽園で守り続けられる名樹の今を感慨深く拝見してきました。
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盆栽人としての人生で、どれ程の“本物”と出会い、その樹と共に入られるでしょう?
昇天の龍もいずれは竹山先生から次のこの樹に相応しい盆栽家が受け継ぐ時が来るでしょう。
その時も竹山先生が 内に秘めた“受け継ぐ心”を大切にして頂きたいと願っています。
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【愛樹 真柏二点 会場に!】

春の叙勲で旭日双光章を受章された 舩山会長。
長いお出入りをさせて頂くお客様の、ご正業での活躍による栄誉は、私事の様に嬉しいものです。
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300人を超えるお祝いにいらした各界の皆様の前に、会長と共に十数年をかけて
未完の樹から仕上げた真柏二本が、会場飾られて、今日の祝賀を共に祝っていました。
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初夏に東京白金「八芳園」で盆栽界としての祝いをさせて頂いた時、
駆けつけてくださった福田次郎元盆栽協会理事長が、秋の叙勲を受章された報せが先日届き、
こうして盆栽の世界に携わり国や文化の為に尽力される方々を傍に拝見する事で、
あらためてこの世界の為、お客様の為に精進しようと思いました。
また、アトラクションとしてマリンバの演奏がありましたが、奏者は舩山会長の愛孫 花菜さん。
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東京芸大在学中で 既に海外公演などの活動をされて、文部大臣賞も受賞されています。
十代より 正業に励まれ、ご苦労の末に県を代表する業界法人となり、ご子息に社長を譲られ、お孫様は芸大生としてご活躍。
日本人事業家の鑑と言える舩山会長、これからも私は会長の盆栽を守りながら、会長の足跡について行こうと思います。

【小林國雄理事長の審美!】
来春の東京都美術館「日本の水石展」床の間飾りの追加撮影の為に、春花園 小林國雄理事長の所へ伺いました。
目に飛び込んで来たのは、名亭「啓雅亭」の座敷床の間に飾られていた真柏。
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流麗な舎利幹・天ジン・無駄は枝を省いた空間有美・豪華な樹相の真柏が多い現代、久し振りに心にグッとくる“本物”を拝見しました。
雨竹亭への割愛をお願いしましたが、「こんな樹が好きでしばらくここで眺めていたいんだ」と上手に断られてしまいました。
“面から線へ”。
小林理事長が以前より盆栽に対して提唱してきた美意識、
こんな樹を見るとプロとして“何を良しとして伝えるべきなのか”を改めて考えさせられます。
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他の部屋の室礼飾りも素晴らしく、遮二無二駆け続ける『木下藤吉郎』だと思っていた理事長は、
いつのまにか利休と精神的茶道美を追求する『太閤』へと盆栽作家としての昇華を重ねていました。
及ばぬまでも私も私なりに頑張ろう!
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