雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2018年03月

【枝垂れ桜・床飾りの美】

細身ながら、一重性の可憐な美しい花を見せる枝垂れ桜(富士桜系)が、今年も羽生の庭で咲きました。
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陽春の徴として毎年床飾りを楽しませてくれるこの種、今年も朧月の掛け軸と、
春らしい 稜線美しいのどかな遠山石を“水温む”感を楽しめるように、水盤飾りでの脇飾りとしました。
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「樹・石・画」 が一体となり、席中に「季節と詩情」を生み出すのも、床飾りの醍醐味です。
2000点を超える庭の子供達(盆栽)も、暖かい陽射しを受けて、花や芽吹を見せるものも多くなりました。
“ あれも飾りたい、これも面白い” と あちこちと庭を歩き廻る朝が多くなりました。
これも良い運動ですね!

【植え替えです!大変です!】

彼岸の季節、暖気が増す頃となり、盆栽達の植え替えに心が惑わされます。
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子供の頃から この世界にいるせいか、桜の咲く季節となると、
毎日少しずつ芽を動かしてゆく樹々に「ああ、この樹も植え替えをしないといけない!」と、
2000点を超える目の前の盆栽達に、バタバタと心が乱れます。
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海堂・花梨・モミジ、五葉松・・動きの早い順や、眠りから覚める前に施術しないといけないもの、
手に入れて来て、羽生の庭に来たばかりで、姿や鉢映りを変えるべきもの、納得のいかないものが、目について離れません。
あれやこれやで抱えている仕事の合間を縫ってでも、弟子達と1日5~10本頑張っています。
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特に、鉢合わせで角度や雰囲気を変えるものは、“根締め”をしっかりとしなければなりません。
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いくつかの根締め法がありますが、私は基本的に手間を惜しまず「竹打ち」で行います。
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ガッチリと締め込んで、例えれば植え終わった時、樹を持っても鉢が付いてくるような根締めに心がけています。
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枝や鉢上の部分は、ここから2~5年、鋏や針金で樹作りが出来ます。
しかし、土中の根は次の植え替えまで、この時の仕事が唯一の時です。
“目に見えない部分を丁寧に!」を弟子達にも伝えたいです。


【受け継いだ日本一の樹】

先年より体調を崩されて、先生が所蔵される60数点の名盆栽を雨竹亭は託されました。
国風賞受賞樹を筆頭に数々の名木が、羽生の庭で健やかな日々を送っていますが、
この季節、とりわけの美しさを見せてくれるのが、
春の芽出しの時に鮮やかな紅色の新芽を楽しませてくれる モミジの貴賓種「清玄」です。
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数十年小泉先生は、この樹を大切に愛培され、多くの人たちが割愛を所望しても、自邸に飾られていました。
長く広東鉢の長方に植えられていましたが、先日 私が中国広州で誂えた均釉の袋式楕円に植え替えをしました。
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日本を代表する愛好家が半世紀を愛した名樹を、ここから盆栽界に受け継ぐのが、私の大切な役目です。


【原 研哉さんの 賛文 最高です!】

日頃から盆栽の展示でお世話になっているGSIXの蔦屋書店さんで、久しぶりの企画展示をさせて頂きました。
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その展示のメインボードに、デザイン界の巨匠・原研哉さんの 盆栽に対する序文を頂きました。
その文の素晴らしさ! 
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僅かな言葉で、人が盆栽とどう関わるべきかを、見事に説いています。
この文に込められた盆栽を見つめる心に触れるだけでも、この展示企画はしてよかったと思う程です。
ぜひ皆さんも見てあげて下さい。
主人公は・・・盆栽達です!

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【藤川・森山 腹心の弟子と共に】

3月26日より、名匠木村正彦先生は、
若き頃岩崎太蔵氏に導かれて訪れた中国盆栽界の依頼で、“最後の海外実演旅行”に出発します。
中国を代表する盆栽愛好家団体「江蘇盆景協会連盟」の主席であり、
同国を代表する愛好家、張 小宝 氏の招きによるものです。
公演に先立って先日 張氏の広大なコレクションがある常熟市に赴きました。
山東省で山採りされた“日本ではもう不可能”と言える真柏(約300~500年)の素材の中から数点を選びました!
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当日27日は、午前中木村先生の独演を、世界各国から訪れた盆栽家が見守る中進められます。午後は、同じく張氏の所蔵される五葉松の大根連なりを、
各国代表チームが、それぞれ実演する時、日本チームの素材として改作をします。
特殊な道具だけでも50~60キロをみんなで中国へ運び、
“木村マジック”の本領を見せたいと思っています。終了後またその姿をこのブログでご紹介します!
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