いつの間にか、夏日の多くなる季節となりました。
潤湿な空気、ともすれば鬱陶しさすら感じる中、盆栽の床飾りだけでも、どこか清々しいものを創りたいものです。

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深山の大木に絡み、天高く花を咲かせる“岩がらみ“、見上げれば、まるで蝶が空に舞うような錯覚をする季節の有難い樹です。

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掛物は、“東の大観“に比肩される“西の栖鳳”、竹内栖鳳の若描きの「雨裏新螢」の図です。
山深い清流の緑蔭に、夕闇近くなると、仄かに光る様は、儚さの極みといった風情を感じさせてくれます。

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脇床に「駿河千本竹細工」の虫籠。
飾り道具として、夏景色には本領を発揮する小道具です。
繋ぎ目もわからない程の精緻な作り、職方の数も減り、今では入手も難しくなってきた道具です。
まだ観ぬ螢、籠の戸口を開けて、“ほ、ほ、ほたる来い“  の人の心の願いが聞こえてきそうです。

観るだけで、スッと涼を感じる席、こんな飾りもこの時期は楽しみたいものです。