昨年の春、3年間の日本での修行を終えて、故郷中国へ戻った、ハオ君とツァオ君。

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私と一緒に日本での技術習得を見守って下さった、名人・木村正彦先生も
“稀に見る二人。出来ればもう一度来日してあと数年学べば、紛れもなく、唯一の私の弟子として認められる“
とまで言わしめた逸材達。
故郷のご両親、ビザなどの関係で帰国しましたが、“ここからの更なる向上が大切“と思って、
私が公私共に盆栽家として人として信頼する、中国常州の王永康先生の所に預けて、“生活費は私が出します。
王先生には住居と食事をお願いします“とお願いして、一年半が経ちました。

雨竹亭の10倍はある王先生の「随園」二人はここで日々、数え切れないほどの盆栽の手入れに従事しています。

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一年中、盆栽の手入れが出来る環境。
盆栽家を志す者なら、理想の日々と言える毎日を、彼らは怠る事なく過ごしています。

週に一度ほど、“会長、見て下さい“ と、仕事をする前の樹と針金施術をした後の姿を数多く送ってくれます。
70代の老翁・王先生は、何も言わずに、我が子のように彼らの仕事ぶりと技術の向上を見定めながら、扱う樹の内容と作家としての技術を授けてくれています。
日本の木村先生・中国の王先生。
交流のある二人は、本人達が言うようにまさに“義兄弟“のような盆栽を愛する老翁達です。

私には若き中国の盆栽家友人として大倉という所に孫程輝さんがいます。
商売ばかりが目立つ中国盆栽界(日本も似ていますが・笑)で、“この人は本当の盆栽業を作れる人“と思った人物です。
例えれば、ある日、私と久しぶりに彼の所で会う機会がありました。
当日、彼から連絡があり、
“森前、申し訳ないが、日程を明日にしてくれないか。実は昨日、悪天候で私の大切なお客様の盆栽が、強風で棚から落ちて鉢が割れてしまった。急ぎ弟子達と向かっているので“ と。

盆栽家は、愛好家あってのもの。
この姿勢こそが何よりも大切なのを私達も修行時代に身に付けました。

この孫さんの所に数年前から黒松の名樹を預けています。
培養から芽切りなど、“友人だから気にしないで“と、料金も取らずに守ってくれています。

ここへ先日、ハオ君とツァオ君を王さんの許可をもらって、手入れに派遣しました。
日本で習得した技術。
帰国して王先生の所で磨いた技。

私が思っていた通りの仕事を彼らはしてくれました。

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“商売を考えるな、ひたすら盆栽と向き合え、そうすれば自然に人は集まってくるから“
そう教えて日々応援しています。
コロナなんて、早く消えて、昔のように海を渡って当たり前のように往来したいです。
盆栽を愛する仲間に、国も国境もありません。
若い二人と、もっと“次なる幕開け“を語りたいです。