埼玉県西部、本庄市のとある農地。
ひとりの古老が、猛暑の中、大きな日除け傘の下、見渡す限りの各種盆栽の苗木素材の手入れをされていました。

約800坪を埋め尽くすビニールポット❗️
真柏(糸魚川から紀州・四国産まで)もみじ(イロハ・山・イタヤ・はうちわ・等々)、
数えきれない樹種が僅かな通路(一輪車1台分)以外を所狭しとビッシリと置かれています。

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元々は“種屋“と呼ばれる全国の山野を周り、実生の種を“大手“サカタのタネ“や“タキイ種苗“へ卸す事を本業にされていた方。
“景気悪くなって、種だけじゃ食べられないから、各地に実生畑を持って、ホームセンターなんかに大量に売っているんだ“と。
聞けば私もよく知っている盆栽園の方々も、量こそ僅かでも、よく“選り抜き“で買付けに来られるよう。
但し、各種の値段を聞けば、“これでやっていけるの?“と耳を疑うばかり。
現状で各地に10~15万の苗木を作っていられるらしいけど、70才を過ぎる中、後継者もおらず、“自分が年中無休で作ってきた分で終わり“とのこと!

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盆栽の素材が激減する中、安く手に入れたいのは誰もが同じですが、
10年かけて作った鉢物素材が、500~1,000円!
これでは誰も跡を継ぐ訳がないと痛感しました。

自分で使えそうな種を合計で1,000~1500本頂くことにしましたが、
これを右から左へ売るのではなく、約2~3割の“筋の良い素材“を寄植えや、文人調に作ってあげたいと思いました。

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社会の中で“ボンサイ“が広く理解していただける時代が来た反面、“次の時代の素材作り“の後継者がいない現状💧
色々な事を考えさせられる日になりました。

“頑張って素材作りを手がけたい“ 
この世界にいる私達は、この事を決して忘れてはいけないと思いました。